嘉手納基地へ2月にF22戦闘機12機が一時移駐することについて件幹部は9日、説明はなにもないとした上で「一体どうなっているんだという話だ。これから嘉手納基地の演習も移転しようという時に、一時的であれ(機数が)増えるわけで、運用改善とは全く逆の動きとなり、地元としては受け入れ難い。東アジアの状況が特段、緊張しているようには見えない。その辺の説明もどうなっているのか」と強い不満を示した。
(F22嘉手納配備 米国外で初兵員250人も http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-20337-storytopic-3.html)
筆者も地方公務員に国際感覚は要求するつもりもないが、上の現状認識はいくらなんでも恣意的にすぎる。
例えば、今日の新華社を見る限り、中国はまるで日本が明日にも侵攻してくると考えているようだ↓
・日本は軍事大国に向けて一歩を踏み出した(中文)
http://news.xinhuanet.com/world/2007-01/09/content_5582370.htm
・防衛庁は省に昇格し、核武装論が台頭(中文)
http://news.xinhuanet.com/world/2007-01/10/content_5585815_2.htm
・防衛庁昇格は危険な傾向 日本は歴史を鏡とするべき
http://news.xinhuanet.com/world/2007-01/09/content_5582631.htm
・日本防衛庁の省昇格について(和文)
http://j.people.com.cn/2007/01/10/jp20070110_66759.html
これは、どうみても緊張している。
更には中国もなりふり構わず軍備を増強するというこのような記事も
・われ既に空母建造能力あり 嫦娥1号は今年機会を見て発射
http://news.xinhuanet.com/mil/2007-01/09/content_5581461.htm
国防科工委、黄強秘書長の発言として「中国は既に空母の建造能力を持っている、作るか作らないか、作るとしたらいつ作るか検討中だ」と伝えている。
・わが国攻防兼備の軍事力は 対外侵攻には用いない
http://news.xinhuanet.com/mil/2007-01/10/content_5586244.htm
軍事力を攻撃用と防衛用に分けて考えたがる中華圏と日本国内団体の習慣にはどうもついていけないのだが、その習慣をもった国防大学戦略研究所所長、楊毅海軍少将が断言しているのだから攻撃用の装備を計画しているのだろう。
中華圏の理屈に従うならば、不況にあえぎっぱなしの国が管轄官庁の名称を変えただけで「周辺諸国の脅威」になり得るのだから、世界第一位の外貨準備を誇る経済大国が攻撃用の装備を始めたらそれはもう脅威ではすまないだろう。なにしろ「なにかには使用しない」などといいながら、潜水艦を領海侵犯させた国なのだ。
どうみても東アジアは緊張している。
それにしても、表面的には日米の動きに対する反作用ではあるのだろうが、最近の人民解放軍は鼻っ柱が強い。どうも中の方でまたなにやら蠢動がある模様。
殲10関係の報道内容を見ていると
「殲10は強いそらもう台湾のF16よりもミラージュよりも、でも中国は平和的な国だから脅威なんかじゃないから、あの海上自衛隊がびびるくらい人民海軍も強いし、いや人民解放軍の装備はほとんどが古臭くて、殲××は兵器の国際ブランドになるね絶対、中国脅威論なんて根も葉もない話っすよほんとうに」
こんな感じで、素直に喜びたい反面中国脅威論に繋げられても困るのがバレバレで実に微笑ましい。
これもいままで、そして今でも、脅威でもなんでもない自衛隊を脅威だと言い張ってきた自らの理論に自家撞着しているのである。実際には、核兵器を装備している人民解放軍が、自衛隊を恐れる「当面の」必要は政治的にはない。
朝鮮の動きを直接のきっかけとした斜陽日本の変質、経済発展を背景にした中国の軍事的伸張、にアメリカの思惑が絡んでこのような状況になりつつある、と書いてしまえばそれまでなのだが。その中でぽっと浮かぶ個人、例えば上の黄秘書長であるとか、楊少将であるとか、沖縄県職員などが見せてくれる人間模様が実に興味深い。