時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

他人事ではない地方自治体の財政破綻

2006年10月15日 | 国家破綻
昨夜、テレビ朝日の「小倉智昭の怒れ国民、税金のムダ使い真相調査第3弾」という番組を見ていたら、夕張市の財政破綻のことが話題になっていた。
この破綻については随分有名なので、私が改めて説明するまでもないが、簡単に触れておこう。
夕張市はもともと炭鉱で栄えた街だったが、エネルギー政策の転換により石炭の需要が激減し、炭鉱が次々と廃坑になり、街がどんどん寂れていったのである。市は新たな生き残り策として、バブル期に新たな借金を繰り返しながら、映画祭や各種のテーマパークの建設を進めてきたが、それらも失敗し、莫大な借金だけが残ったのである。
しかも、市当局による「粉飾決算」ともいうべき杜撰な財政管理により、どんどん傷口が広がり、とうとう破産の憂き目を見たのである。
正確には覚えていないが、番組で紹介されていた夕張市の借金額は、約600億円程度だったと思うが、その金額はどうでもよい。
問題なのは、その借金のツケがすべて、夕張市民の肩にのしかかることだ。
住民税の増税、各種の公共料金や保険料の値上げ、サービスの切捨てなどが目白押しである。これに対して、出席していた自民党の若手衆議院議員の上野賢一郎が、「こういうことは、最終的には自分たちに跳ね返ってくることを住民も早く気づくべきだ」という旨の発言をして、高橋ジョージなどのゲストから「住民の責任なのか!議員や政府に責任はないのか」と噛み付かれていた。
しかし、よく考えてみよう。
この場合、上野議員の主張が正しい。主権者は国民であり、選挙を通じて、国や地方自治体の議員を選ぶわけであり、その議員を日常的に監視するのも国民の義務であり、責任である。したがって、夕張市の場合、市長や議員が、借金をしてまでバカな施策を推進することにお墨付きを与えてきたのは、ほかならぬ夕張市民であり、その結果の財政破綻は、市民の元に跳ね返ってくるのは当然である。
ただし、おそらく夕張市議会の議員も全員がこれらの愚策に諸手を挙げて賛成し、推進してきたわけではなく、おそらくムダ使いに反対した議員もいるだろうし、そういう良識を持った議員に投票した健全な市民も多かったに違いない。
したがって、こういう一つひとつの施策に誰が反対し、誰が賛成したのか、番組ではぜひそこまで追及して欲しかったと思っている。そうしないと、市民は、次の選挙で誰に投票してよいのかわからなくなるし、市長や議会の責任もアイマイになってしまうだろう。
番組では、たしか夕張市の人口と借金額を1万倍すると、日本の人口と日本政府の借金額になると報じていた。日本の借金もいくらあるか分からないくらいに膨れ上がっており、財政破綻するのではないかと心配する国民も多い。
しかし、そういう国民の多くが、投票に足を運ばなかったり、この莫大な借金の作ってきた張本人である自民党などに、何10年にもわたって懲りもせず投票を続けてきたのではなかったのか?
番組では、さまざまな無駄遣いの例が紹介されていたが、こういう事例は、読者諸兄の住む自治体でも間違いなく同じことが行われており、ただ、そのことが十分に知らされていないだけである。
全国のほとんどの自治体の議会は、「保守系無所属」と呼ばれる自民党議員によって占められ、国会では野党面をしている民主党もほとんどの都道府県、市町村では、自民党とともに与党を構成している。
ぜひ、地元の自治体の予算に目を通し、必要な説明も受け、議会に足を運んで傍聴されることをお勧めしたい。
地方自治体の借金総額は、200兆円と言われており、夕張市の例は、けっして特殊な例ではない。読者諸兄の今後の賢明な投票行動を期待したい。


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