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堀義人『創造と変革の志士たちへ』PHP研究所

2010-09-26 18:40:04 | マネジメント・ガバナンス
著者の堀義人氏はグロービス経営大学院大学の学長である。
アパートの一室でビジネスパーソンにマーケティングを細々と教えることから始めたグロービスだが、現在では文部科学省認可の日本で一番大きなビジネススクールになっている。

堀氏は「創造と変革の志士」を輩出することにより社会のダイナミズムを生み出すことを使命とし、グロービス経営大学院をアジアでナンバーワンのビジネススクールにするという志を持っている。この本は、そのことが熱く伝わる本である。そういう意味では、この本はグロービスに関係するすべての者にとって「バイブル」であるのかもしれない。

これからグロービスはアジアでナンバーワンのビジネススクールを目指す。これは量的にも質的にもという意味だろう。量的にはハーバード・ビジネススクール並みの1学年900人規模にすることが目標らしい。そのため福岡校を開設し、英語プログラムのフルタイム・キャンパスをつくる。質的には学生満足度ですでに日本ではNo.1なので、修了生の社会的評価もNo.1にすることが目標なのだろう。壮大すぎるビジョンだが、グロービスなら不可能を可能にするパワーを秘めていると思う。

専門職大学院として発足した日本のビジネススクールの多くが現在では定員割れになっている。株式会社で大学院を設立したグロービスの躍進は奇跡とも思える。しかし、これは許認可行政のもとでゆるんだ体質の業界に対して、顧客志向の精神で着実に挑戦した結果だろう。総務省に対するソフトバンクやイーアクセス、国土交通省に対するヤマト運輸など顧客に新しい価値を提供してきたベンチャー企業と共通している。能力開発のプログラムや人的ネットワークの機会提供だけでなく、志までも鍛えるグロービスの教育は文部科学省のものさしではおそらく善し悪しの判断ができないのではないかと思う。

「徳が高い人がリーダーとして国民を率いるべき」であり、キング牧師のような正義感をもち、強い精神力を持つ人々こそが「創造と変革の志士」である(p.205~206)。

これまで能力の高い人がリーダーであるべきと思っていたが、徳が高い人こそリーダーになるべきだと思った。堀氏の考え方は陽明学や仏教の影響を強く受けていると思う。アジアでナンバーワンのビジネススクールにふさわしい哲学かもしれない。

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