アーカーの『ブランド・アクイティ戦略』ではブランドを資産として見る視点とその構成要素、測定方法を提唱していた。ブランド・アクイティ(資産)を構成する要素は、ブランド認知、品質知覚、ブランド連想、ブランドロイヤリティである。ブランド形成の課題は、企業が作るブランドアイデンティティを顧客とのコミュニケーションを通じて、顧客のなかにどのようなブランドイメージが作られるかである。『ブランド優位の戦略』ではブランドイメージ形成にはブランド連想が中心的なドライバーとなることを説いている。アーカーは「ブランド・アイデンティティはブランド連想のユニークな集合体である」と言う。コア・アイデンティ=環境が変わっても維持し続けるアイデンティティ、拡張アイデンティティ=詳細を付け加えることにより絵を完成させるアイデンティティと位置づけ、①シンボルとしてのブランド(ロゴ、スローガンなど)、②人としてのブランド(性格、顧客との関係)、③組織としてのブランド(企業理念、運営方針、文化など)、④製品してのブランド(個別製品の属性など)で分析する。この本に登場する例はホテルのマリオット以外は消費財産業などばかりだったが、サービス産業にどれほどブランド優位の戦略が通用するのか検討したい。