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●袴田事件、《捜査機関による証拠捏造》…《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》というのに、またしても検察は死刑求刑

2024年05月27日 00時00分01秒 | Weblog

[↑ ※《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》(『報道特集』、2023年03月18日[土])]


(2024年05月23日[木])
袴田事件、《捜査機関による証拠捏造》…《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》というのに、検察は死刑を求刑》しました。ヒトデナシの所業です。第三者には《みそタンクに隠すのは不可能》ですが、唯一、《捜査機関の者》はそれが可能だったのではないですか。《捜査機関の者》には《「実行不可能で非現実的な空論だ」》となぜ言えるのですか?
 とにかく、91歳の袴田ひで子さんが気の毒でならない。また、検察の所業は被害者やその遺族をも欺く酷い仕打ちだ。検察は《被害者遺族の「真実を明らかにしてほしい。尊い4人の命が奪われていることを忘れないで」とする意見陳述書も読み上げた》そうだが、冤罪であるという《真実を明らかに》した時、遺族は、捜査機関や検察にどう責任をとってもらうのだろうか? 遺族の意見陳述では《袴田さんに言及することはなかった》そうだが、検察はその理由をどう考えるか。袴田巌さんや姉ひで子さん、親族の皆さんの人生を滅茶滅茶にした上に、検察や捜査機関は真犯人を取り逃がした訳だ。
 《白山聖浩弁護士は「間違えましたということができない検察の姿勢は、事件発生時から何も変わっていない」と批判した》。《被害者が「冤罪の共通点」を語った…袴田事件と大川原化工機事件 半世紀以上変わらぬ長期拘束、自白強要、イジメ》。大川原化工機冤罪事件同様、間違いを認めない、謝ることの出来ない検察。そして裁判官の責任。

 共同通信の速報【再審でも死刑求刑、結審へ 捏造「理由ない」、袴田さん公判】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/328643)によると、《検察側は論告で、袴田さんが金品を得るために犯行に及んだと指摘。最大の争点となっている「5点の衣類は袴田さんのものだとし犯行着衣と認められる」と述べ、死刑を求刑した》。

   『●袴田巌さんに無罪を…《死と隣り合わせの生活が心にもたらした影響
     …暗黒の日々の長さを思わざるをえない…夜は終わったわけではない》
   『●《読者はこうした報道を何日もシャワーのように浴びた。…裁判官
     たちも例外では》ない…袴田事件の《冤罪に加担したメディアの責任》
   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
   『●袴田冤罪事件…タンパク質に糖分が触れると「メイラード反応」が
     進み、1年2カ月後には《常識的な範囲で『赤みは残らない』》はずだ
    「《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん。すぐさま、袴田巌さんに
     無罪を! マスコミももっと後押しすべきなのではないか。裁判所も
     自分たちの先輩の誤りを受け入れるべき…『●《読者はこうした報道を
     何日もシャワーのように浴びた。…裁判官たちも例外では》ない…
     袴田事件の《冤罪に加担したメディアの責任》』」

   『●布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過
     ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》
   『●《「証拠は再審請求の段階でも捜査側に偏在している」…検察は
     掌中の証拠をあまねくオープン》にするよう裁判所は訴訟指揮すべきだ
   『●48年も獄中に囚われていた袴田巌さん…《検察は再収監を諦めて
     いません》って、正気なのかね? すぐさま、袴田巌さんに無罪を!
   『●袴田冤罪事件…袴田巖さんや袴田秀子さんらの人生をめちゃめちゃに
     した《捜査機関による証拠捏造》に対して責任ある対応が求められる
   『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
     刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ
   『●袴田冤罪事件…袴田巖さんや袴田秀子さんらの人生をめちゃめちゃに
     した《捜査機関による証拠捏造》に対して責任ある対応が求められる
   『●《捜査機関による証拠捏造》…無罪判決を勝ち取り《いまも、死刑囚の
     まま》から脱却できても、「拘禁反応」に苦しめられ続ける袴田巖さん
   『●袴田事件…《検察は…「色合いなどもう1度、調べる」とする動きがある
     …裁判官が“デッチ上げ”と見ている証拠から何を引き出そうというのか》
   『●大谷昭宏さん《袴田事件で審理の引き延ばしを図る検察に、陰湿、陰険、
      姑息、傲慢…などと書いて、一瞬、書きすぎ? と思ったのだが…》
   『●袴田冤罪事件…小泉龍司法相《「法律に不備はない」と言い放つ…果たし
     て人の心はあるのだろうか。耐えがたいほど正義に反する日々は…続く》
   『●《冤罪を起こしてはならない。再審法の改正が待たれる。杉山さんや桜井
       さんらが残した人間の笑い泣き、そして袴田さんの思いを見逃すまい》
   『●再審法の改正を…桐山桂一さん《冤罪ほど人生や人権を踏みにじる不正義
     はない。…袴田巌さんの再審が決まった…大崎事件は…冤罪が疑われる》
   『●冤罪で死刑執行、飯塚事件…『正義の行方』木寺一孝監督《が描いたのは、
      死刑執行後だからこそ、より鮮明に浮かび上がる「人が人を裁く重み」》
   『●ニッポンの《刑事司法はおそろしいほどに後進的…代用監獄…人質司法》
        …《法曹三者が「冤罪を学び、冤罪から学ぶ」こと》が重要だが…
   『●高杉晋吾氏「彼はなぁ、本当に正しいんだよ」…いつまで《耐えがたいほど
     正義に反する日々は…続く》のか? 《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん

 東京新聞の記事【袴田巌さんの姉が白いジャケット姿を選んだ理由 死刑求刑にも表情変えず「検察側の都合でやっていること」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/328784)によると、《「死刑を求刑します」。被告のいない法廷に検察官の声が響いた。22日、強盗殺人事件で死刑が確定している袴田巌さん(88)の再審公判が結審した。検察側が求めたのは56年前と同じ刑。袴田さんの姉ひで子さん(91)は改めて、心神喪失で不在の弟は無実と訴えた。事件発生から58年余となる9月、判決が言い渡される》。

 それにしても、《元検事の高井康行弁護士》…酷いね。「検察側は、捏造は不可能なことを詳細に立証した」って、正気で言っているのかね? 赤みが残る可能性も立証」されただって??
 東京新聞の記事【袴田巌さんに検察が再び死刑を求刑 再審公判、9月に判決 「5点の衣類」証拠捏造めぐり主張は対立したまま】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/328785)によると、《だが、展開した主張や示した証拠は、半世紀以上前の一審時とほぼ同じ血痕の赤みについても「残る可能性があると従来の主張の域を出なかった》。また、《◆「有罪の立証になっていない」 関東学院大の宮本弘典教授(刑事法)…》、一方、《◆「検察側は、捏造は不可能なことを詳細に立証した」 元検事の高井康行弁護士…赤みが残る可能性も立証しているので、確定判決までの証拠によって(袴田さんの)犯人性は裏付けられる》。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/328643

再審でも死刑求刑、結審へ 捏造「理由ない」、袴田さん公判
2024年5月22日 14時39分 (共同通信)

     (自宅前で取材に応じる袴田巌さんの姉ひで子さん
      =22日午前、浜松市)

 1966年に静岡県清水市(現静岡市)のみそ製造会社専務一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審第15回公判が22日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。検察側は論告で、袴田さんが「金品を得るために犯行に及んだ」と指摘。最大の争点となっている「5点の衣類は袴田さんのものだとし犯行着衣と認められる」と述べ、死刑を求刑した。

 一連の証拠を捏造とする指摘に対しては「合理的理由がないと否定した。袴田さんの服と酷似した衣類を用意し、従業員に知られないようにみそ工場に侵入してみそタンクに隠すのは不可能だとして、捜査機関の捏造だとする指摘は「実行不可能で非現実的な空論だ」と強調した。

 被害者遺族の「真実を明らかにしてほしい。尊い4人の命が奪われていることを忘れないで」とする意見陳述書も読み上げた。

 同日午後、弁護側の最終弁論や、姉ひで子さん(91)の最終意見陳述を経て結審する見通し。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/328784

袴田巌さんの姉が白いジャケット姿を選んだ理由 死刑求刑にも表情変えず「検察側の都合でやっていること」
2024年5月23日 06時00分

 「死刑を求刑します」。被告のいない法廷に検察官の声が響いた。22日、強盗殺人事件で死刑が確定している袴田巌さん(88)の再審公判が結審した。検察側が求めたのは56年前と同じ刑。袴田さんの姉ひで子さん(91)は改めて、心神喪失で不在の弟は無実と訴えた。事件発生から58年余となる9月、判決が言い渡される。

 旧清水市一家4人強盗殺人事件と袴田さんの再審 1966年6月30日、旧清水市のみそ製造会社専務宅から出火、焼け跡から4人の他殺体が見つかった。従業員だった袴田さんが強盗殺人罪などで起訴され、無罪を主張したが80年に最高裁で死刑が確定した。第2次再審請求審で2014年に静岡地裁が再審開始を認め、死刑執行と拘置が停止に。袴田さんは約48年ぶりに釈放された。検察の異議申し立て(即時抗告)で審理は続き、昨年3月、東京高裁は「5点の衣類」が捜査機関に捏造(ねつぞう)された可能性を指摘した上で、再審開始を決定。検察側の特別抗告断念で確定し、同10月27日に再審の初公判が開かれた。

     (自宅でくつろぐ袴田巌さん=浜松市内で
      (袴田さん支援クラブ提供の動画から))


◆再審7カ月 ようやく結審

 「強固な殺意」「生命軽視の態度は顕著」—。

 静岡地裁の202号法廷。男性検察官は論告で、袴田さんの罪状などについて淡々と口にしていった。読み上げは数時間。「特段くむべき事情も認められない」と極刑が相当とした。

 求刑時、ひで子さんは正面を見つめたまま、表情も変えなかった。この日は白色のジャケット姿。「白(無実)ということを強調するように」との考えからだ。再度の死刑求刑については「検察側の都合でやっていることだから、当たり前だと思う」と受け止めた。

 袴田さんが待ち望んだ再審の開始が確定したのは昨年3月。同10月に始まり、7カ月をへて結審した。ひで子さんは記者会見で「ようやく終わった。判決が出たら、巌に裁判のことを伝えようと思っております」。「もうこれで勝ったようなものだと思っている」と晴れやかな表情で語った。


◆弁護団「検察官は汚点残した」

 ひで子さんの会見には、弁護団も同席。検察側の死刑求刑への怒りを示し、角替清美弁護士は「検察官は今日、汚点を残した」。白山聖浩弁護士は「間違えましたということができない検察の姿勢は、事件発生時から何も変わっていない」と批判した。

 検察側が証拠捏造(ねつぞう)を否定したことにも不満を示し、小川秀世弁護士は「5点の衣類が(犯行時の着衣との)根拠は何もない」と批判。「裁判所に捏造をはっきりと認定してもらいたい。弁護側はそれだけの立証はできた」と自信をのぞかせた。

 一方、公判後に会見した静岡地検の小長光健史次席検事は死刑求刑について「極めて悪質な事案であることを踏まえた」と理由を述べ、「被告人が有罪であることは立証されている」と説明。証拠捏造の疑いの指摘には「現実的に行い得ない」と反論した。

 取材に応じた検察幹部は「法と証拠に基づき、証拠を十分に検討し、慎重に見極めて事案に見合う量刑として求刑した。メンツのために死刑求刑したということはこれっぽっちもない」と強調した。(東田茉莉瑛、長谷川竜也)

     (袴田巌さんの再審公判で、静岡地裁に入る姉ひで子さん(左)
      と弁護団事務局長の小川秀世弁護士)


 


◆みそ製造会社専務の孫「真実を明らかにして」と意見陳述

 再審公判では、事件で殺害されたみそ製造会社専務の孫が書面で意見陳述した。書面は検察官が自席で代読。冒頭で「尊い4人の命が奪われたことを忘れないで」と訴え、「事実を精査し、真実を明らかにして」と願いを伝えた。袴田さんに言及することはなかった

 孫は、自身の母である専務の長女が、事件で家族を失ったことで「計り知れないほどの悲しみと恐怖を感じ、重度のうつ病にかかった」と述べた。2014年に静岡地裁が再審開始を決定する直前に亡くなったという。

 読み上げられた書面では、事件で生き残ったことなどを理由に長女がネット上で犯人視されてきたことや、「自殺した」とうわさされたことを明かし、「根拠のない話」と強調。再審公判で、事件の真相が解明されることを望んだ。(佐々木勇輝)


 


◆「お母さん、遠からず真実を立証して帰りますからね」

  再審公判も終盤に近づいた午後5時過ぎ。袴田巌さんの姉ひで子さんは最終意見陳述で証言台に立った。国井恒志裁判長と正対し、片手にはA4判の用紙。「今朝方、母さんの夢を見ました、元気でした、夢のように元気でおられたらうれしいですが、お母さん、遠からず真実を立証して帰りますからね」と読み上げた。

 袴田さんが獄中から母にあてた手紙だった。無実を信じた母は一審の公判に通い続け、1968年の死刑判決の2カ月後に亡くなった。ひで子さんは、袴田さんが体験した苦悩や無念を代弁するように読み上げ、用紙を持つ手は震えた。

 手紙部分を伝え終えると、時折、裁判長に視線を向けながら「(袴田さんは)釈放されて10年たちますが、いまだ拘禁症の後遺症、妄想の世界にいる心は癒えておりません」と言葉をつないだ。(足達優人)


【関連記事】袴田巌さんに検察が再び死刑を求刑 再審公判、9月に判決 「5点の衣類」証拠捏造めぐり主張は対立したまま
【関連記事】獄中の袴田巌さんが手紙につづった「無実」 高杉晋吾さんと往復書簡 「彼はなぁ、本当に正しいんだよ」
【関連記事】袴田さんに検察は求刑どうする 検察組織は変わったのか…OBは語った 
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/328785

袴田巌さんに検察が再び死刑を求刑 再審公判、9月に判決 「5点の衣類」証拠捏造めぐり主張は対立したまま
2024年5月23日 06時00分

 1966年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で起きた一家4人強盗殺人事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)の裁判をやり直す再審公判が22日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で結審した。検察側は、事件現場近くで見つかった「5点の衣類」は袴田さんの犯行時の着衣と認められるなどとして死刑を求刑。弁護側は、捜査機関が証拠を捏造(ねつぞう)したと主張し、無罪を訴えた。判決は9月26日。


◆検察側 捏造は「非現実的で実行不可能な空論」

 長期間拘束された影響による拘禁症状が残る袴田さんに代わって出廷した姉ひで子さん(91)は最終意見陳述で、「巌を人間らしく過ごさせてくださいますよう、お願い申し上げます」と訴えた。

     (支援者とドライブへ出かける袴田巌さん
      =22日午後2時59分、浜松市内で)

 刑事訴訟法は再審公判について、「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」が認められた場合に開かれると規定。袴田さんも無罪の公算が大きい。

 検察側は論告で、金品を得るための袴田さんの犯行と指摘。最大の争点となった5点の衣類に付着した血痕を巡っては「赤みは残りうる」と弁護側に反論した。証拠を捏造した、との指摘には「非現実的で実行不可能な空論」と否定した。その上で「強固な殺意に基づく極めて冷酷で残忍な犯行」と述べた。検察側は論告に先立ち、「事実を精査し、真実を明らかにしてほしい」との被害者遺族の意見陳述書を読み上げた。

 弁護側は最終弁論で、東京高裁による再審開始決定などを引き合いに「検察側の証拠はすでに否定されているか、ほとんど価値がないものだ」と主張。5点の衣類について「袴田さんを犯人に仕立てあげるために捜査機関が捏造した証拠」と改めて訴えた。

 5点の衣類は事件発生から1年2カ月後、袴田さんの勤務先のみそタンク内で見つかった。確定判決は袴田さんの犯行時の着衣と認定。再審請求審では、長期間みそ漬けにされた血痕に赤みが残っていたことは不自然かが争われ、東京高裁は昨年3月、弁護側の主張を認めて赤みは残らないと判断。捜査機関による証拠捏造の可能性を指摘し、再審開始を認めた。再審公判は昨年10月に始まり、この日は15回目。

 戦後、被告の死刑確定後に再審公判が開かれた4事件では、いずれも検察側が死刑を求刑したが、無罪となっている。(足達優人、佐々木勇輝)


◆検察がこだわった「証拠捏造」への反論

 記者解説 7カ月の審理の末、検察側は56年前と同じ死刑を求刑した。再審公判で袴田さんの有罪立証に改めて取り組んだが、過去の主張の繰り返しが目立った。その一方で、証拠捏造(ねつぞう)の疑いを払拭することには強いこだわりを見せた。

     (袴田巌さんの再審公判で、支援者らに手を振って
      静岡地裁に入る姉ひで子さん(前列左)と弁護団
      事務局長の小川秀世弁護士(同右))

 再審公判は、過去の判決や決定に拘束されない。再審請求審では検察側、弁護側双方の争点は5点の衣類に付いた血痕の赤みに絞られたが、検察側は再審公判で「一から立証し、裁判官に総合判断を求める」と表明していた。

 だが、展開した主張や示した証拠は、半世紀以上前の一審時とほぼ同じ。血痕の赤みについても「残る可能性がある」と従来の主張の域を出なかった

 5点の衣類を捜査機関が捏造した疑いに対しては、当時の状況や発覚のリスクなどから「非現実的で、不可能」と多くの時間を費やして否定した。この日の論告でも、「捏造の主張に合理的な根拠はない」などと否定の言葉を繰り返した。

 弁護側は5点の衣類だけでなく、他の一部の証拠も捏造されたと主張。捏造を認定した上での無罪判決を求めている。再審開始を判断した静岡地裁、東京高裁に続いて三たび裁判所が捏造の疑いを指摘すれば、捜査当局への打撃は計り知れないだろう。(山本真嗣)


◆「有罪の立証になっていない」

 関東学院大の宮本弘典教授(刑事法)の話 1年以上みそ漬けされた「5点の衣類」の血痕には赤みが残らないと判断した再審開始決定で、確定判決の証拠構造に疑いが出た。再審では検察側に「赤みが残る」ことを証明する必要があった。どのような状況であれば赤みが残り、実際にその状況で5点の衣類がみそタンクに漬かっていた事実を証明しなければならなかった。検察側は「赤みが残りうる」という可能性の指摘にとどまった。有罪の立証になっていない


◆「検察側は、捏造は不可能なことを詳細に立証した」

 元検事の高井康行弁護士の話 当時のみそタンク内の状況を再現できない限り、「5点の衣類」の血痕に赤みが100%残らないとは言えない。再審のポイントは、捜査機関が5点の衣類を捏造(ねつぞう)したかどうか。検察側は、捏造は不可能なことを詳細に立証した。赤みが残る可能性も立証しているので、確定判決までの証拠によって(袴田さんの)犯人性は裏付けられる。


【関連記事】袴田巌さんの姉が白いジャケット姿を選んだ理由 死刑求刑にも表情変えず「検察側の都合でやっていること」
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●袴田冤罪事件…タンパク質に糖分が触れると「メイラード反応」が進み、1年2カ月後には《常識的な範囲で『赤みは残らない』》はずだ

2021年04月14日 00時00分33秒 | Weblog

(20210331[])
山田雄之記者による、二つの東京新聞の記事【1年以上みそ漬けだった服の血痕、なぜ赤いまま? 袴田さん審理差し戻しで焦点 DNA型鑑定論争には終止符】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/76240)と、
【科学論争で審理さらに長期化の懸念 袴田さん差し戻し審で3者協議】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/93105)。

 《「もう50年以上、裁判をしている長いですよ。とにかく勝つしかない」 裁判所と検察側、弁護側の3者が非公開で協議後、袴田さんの姉秀子さん(88)は弁護団とともに東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し、再審開始決定までの道のりの長さに疲れたような表情を見せた》。

 「鑑定技術の進展によって細胞が数個分あればDNAの検出は十分に可能だとされていて、鑑定の信用性を否定すべきとは思わない。犯人のものとされるシャツに付いた血痕と袴田さんのDNA型が違い、血痕は袴田さんのものではないという重大な疑いが生じる」との指摘にもかかわらず、「DNA型鑑定論争には終止符」と言われてもねぇ。

 〝味噌漬け〟により縮んだとはいえ、異常に小さすぎる衣服のサイズなど、数々の《重大な疑い》があるにもかかわらず、《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん。

 タンパク質に糖分が触れると「メイラード反応」が進み、1年2カ月後には《常識的な範囲で『赤みは残らない』》はずだ。《1年以上みそ漬けにされても「血痕の赤み」が残る》訳も無く、《弁護側は高裁段階で「メイラード反応が進行し、血痕は黒くなっていたはずだ」》は十分に《常識的》だ。《再審請求審では弁護側、検察側の双方が、血液を付けた衣類をみそに漬け込んだ実験の結果を証拠として提出。いずれも5~6カ月経過すると褐色化が進み、赤みが完全に消える結果が出》ている。
 《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん。すぐさま、袴田巌さんに無罪を! マスコミももっと後押しすべきなのではないか。裁判所も自分たちの先輩の誤りを受け入れるべき…『●《読者はこうした報道を何日もシャワーのように浴びた。…裁判官たちも例外では》ない…袴田事件の《冤罪に加担したメディアの責任》』。

   『●『美談の男』読了
   『●袴田事件: いい加減に誤まりを認めるべき
   『●作られた袴田冤罪事件、理不尽極まる漸くの初の証拠開示
   『●袴田事件、48年間のそれぞれの苦難……
      袴田巌さんと秀子さん、そして、熊本典道さん
   『●袴田事件: 静岡地裁は「疑わしきは被告人の利益に」を
   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審:
                   司法の良心を示せるか?
   『●袴田事件・釈放!: 「捜査機関が重要な証拠を捏造した疑い」
               「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」

   『●映画「ザ・ハリケーン」と袴田事件:「冤罪事件を「絶対に忘れるな」」
   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
    《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけには
     いかないのだ」▼袴田さんの無実を信じる人にとってはどうあっても狼に
     許されぬイソップ寓話(ぐうわ)の羊を思い出すかもしれない…
     検察と裁判所を納得させる羊の反論の旅はなおも続くのか
     ▼事件から五十二年長すぎる旅である

   『●《袴田巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ…
       政権や検察に忖度した東京高裁、そして、絶望的な最「低」裁
    「NTVの【NNNドキュメント’18我、生還す -神となった死刑囚・
     袴田巖の52年-】…《今年6月、東京高裁が再審開始を取り消した
     「袴田事件」。前代未聞の釈放から4年半、袴田巖さんは死刑囚のまま
     姉と二人故郷浜松で暮らす》」
    「三権分立からほど遠く、法治国家として公正に法に照らした
     「司法判断」ができず、アベ様ら政権に忖度した「政治判断」乱発な、
     ニッポン国の最「低」裁に何を期待できようか…。
     《巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ」

   『●冤罪は晴れず…「自白を偏重する捜査の危うさ…
       証拠開示の在り方…検察が常に抗告する姿勢の問題」
   『●袴田秀子さん《ボクシングに対する偏見…
      チンピラだっていうイメージ…その印象以外に何の証拠もなかった》
   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
           耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    「週刊朝日の記事【袴田事件で「捜査機関が証拠を”捏造”」 
     弁護団が新証拠の補充書を最高裁に提出 】」
    《静岡地裁の再審開始決定を取り消した東京高裁決定から、
     1年余りが経過した。死刑が確定した元プロボクサーの
     袴田巌さん(83)は最高裁に特別抗告中だが、弁護団はこのほど
     “新証拠”を提出した》

   『●《死刑を忠実に実行している》のはニッポンだけ…
       飯塚事件でも、《十三人の死刑執行》でも揺るがず…
   『●(ジョー・オダネルさん)「焼き場に立つ少年」は
     《鼻には詰め物…出血しやすい状態…なんらかの形で被爆した可能性》
   『● CD『Free Hakamada』の《ジャケットには、元プロボクサーの
          袴田さんが…名誉チャンピオンベルトを持った写真》
   『●《「袴田事件」で死刑判決を書きながら、後に「無罪の心証だった」
        と明かした元裁判官熊本典道さん》がお亡くなりになりました
    「袴田巌さんと秀子さん、そして、熊本典道さん」

   『●映画『BOX 袴田事件 命とは』で熊本典道さん役…《「法廷では
     裁判官自身も裁かれている」。自分で自分を裁こうとした日々…》
   『●袴田巌さんに無罪を…《死と隣り合わせの生活が心にもたらした影響
     …暗黒の日々の長さを思わざるをえない…夜は終わったわけではない》
   『●《読者はこうした報道を何日もシャワーのように浴びた。…裁判官
     たちも例外では》ない…袴田事件の《冤罪に加担したメディアの責任》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/76240

1年以上みそ漬けだった服の血痕、なぜ赤いまま? 袴田さん審理差し戻しで焦点 DNA型鑑定論争には終止符
2020年12月24日 05時50分

 袴田巌さん(84)の再審請求審で最高裁第3小法廷が審理を東京高裁に差し戻したのは、「なぜ1年以上もみそに漬けられた衣類の血痕に、まだ赤みが残っているのかという疑問からだった。DNA型鑑定論争には終止符を打ったが、血痕の化学反応を巡る今後の検討結果次第で、再審開始が近づく可能性がある。(山田雄之

【関連記事】袴田さん審理差し戻し 再審理認めぬ決定を最高裁が取り消す





◆5点の衣類「DNA残っても微量、劣化の可能性高い」

 「DNAが残っているとしても極めて微量で、劣化している可能性が高い。確定判決に合理的な疑いを差し挟む証拠とは言えない」

 事件から1年2カ月後にみそ工場のタンクから見つかり、犯行時の着衣とされる「5点の衣類」。その衣類に付いた血痕のDNA型が、袴田さんや被害者と一致するかが焦点となっていた第2次再審請求審で、最高裁はDNA型鑑定の証拠価値を否定した。

 弁護側が推薦した筑波大の本田克也教授が、独自の手法に基づく鑑定で「袴田さんや被害者の型と一致しないとした結論を評価し、2014年の静岡地裁は再審開始決定を導いた。一方、18年の東京高裁は「研究途上で、科学的原理や有効性には深刻な疑問がある」とし、再審開始を認めなかった

 最高裁が今回、鑑定論争に終止符を打ったことで、差し戻し審での焦点は、1年以上みそ漬けにされても「血痕の赤み」が残るのか否かに移る。


◆弁護側「血痕黒いはず」、高裁は分析や考察せず

 「5点の衣類」発見当時の実況見分調書などには、血痕は「濃赤色」「濃赤紫色」の記述がある。

 再審請求審では弁護側、検察側の双方が、血液を付けた衣類をみそに漬け込んだ実験の結果を証拠として提出。いずれも5~6カ月経過すると褐色化が進み、赤みが完全に消える結果が出た。タンパク質に糖分が触れると「メイラード反応」という化学反応が起き、タンパク質は褐色化する。血液にはタンパク質が含まれ、みそは糖分がある。

 弁護側は高裁段階で「メイラード反応が進行し、血痕は黒くなっていたはずだ」と主張したが、高裁は専門的知見に基づく分析や考察をすることなく、「メイラード反応はさほど進行していなかったはずだ」と一蹴した


◆最高裁「著しく正義に反する」と高裁非難

 最高裁は決定で、メイラード反応を巡る高裁の訴訟指揮を「審理を尽くしていない」とし、高裁決定を取り消さなければ「著しく正義に反すると非難した。「現時点では1年余りみそ漬けにされた血痕に赤みが残る可能性があるのかどうかを判断するには不十分」と指摘。「弁護側の主張通りであれば、袴田さんが犯行直後にみそタンクに衣類を入れたとすることに疑いが生じる。袴田さんの犯人性にも合理的な疑いを差し込む可能性がある」と述べた。

 さらに一歩踏み込んだのが、外交官出身の林景一裁判官と行政法学者出身の宇賀克也裁判官が述べた反対意見だ。衣類をタンクに入れたのは犯行直後ではなく発見直前と考えられ、袴田さん以外の第三者による可能性を指摘。ただちに再審を開始すべきだとした。

 最高裁の多数意見が再審でなく審理の差し戻しとしたことに、あるベテラン裁判官は「最高裁は再審開始決定も検討しただろうが、慎重に判断すべきだとの考えが勝ったのでは」と推察した。今後、東京高裁での差し戻し審では、みそと血痕のメイラード反応について、専門家らが意見を戦わせることになりそうだ。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/93105

科学論争で審理さらに長期化の懸念 袴田さん差し戻し審で3者協議
2021年3月23日 06時00分

 袴田巌さん(85)の第2次再審請求審で、最高裁が東京高裁に差し戻した審理を巡る3者協議が22日、高裁で始まった。審理の焦点は、犯行時の着衣とされた衣類の血痕の色みが不自然かどうか。1966年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家4人が殺害されてから半世紀余り。科学論争に陥るのではなく、早期に再審開始を決定すべきだとする声もある。(山田雄之


◆「50年以上も」

 「もう50年以上、裁判をしている。長いですよ。とにかく勝つしかない」

 裁判所と検察側、弁護側の3者が非公開で協議後、袴田さんの姉秀子さん(88)は弁護団とともに東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し、再審開始決定までの道のりの長さに疲れたような表情を見せた。

     (「早く再審開始を」と求める袴田巌さんの姉秀子さん(左)と
            小川秀世弁護士=東京・霞が関の司法記者クラブで)

 最高裁は昨年12月、逮捕から1年以上たって、袴田さんの勤務先のみそタンクから発見された「犯行時の5点の衣類」に、赤みを帯びた血痕が残っていたことを疑問視。血液のタンパク質がみその糖分に5~6カ月触れると「メイラード反応」で褐色化するという可能性について、専門的知見に基づき十分に審理されていないなどとして、高裁に審理を差し戻した。


◆消えた赤み

 みそに漬かった血液が褐色化し、赤みが消えることが証明されれば、第三者がタンクに隠した疑いが濃くなる。

 弁護団は最高裁の決定を受け、複数の専門家に相談したものの、血とみその化学反応を調べた研究結果は見当たらず、研究に取り組んでいる専門家がいる形跡も確認できなかった。

 そこで弁護団は自ら、血液を付着させた布をみそに漬ける実験を100以上のパターンで実施。血を付けてからみそに漬けるまでの時間やみその種類をどのように条件を変えても、すべて2週間以内に血液の赤みは消え、黒や黒褐色になった

 3者協議後の会見に参加した弁護団の小川秀世弁護士は、「現段階では1年以上もみそに漬かれば、血液の赤みが消えてしまうと推認できる」と指摘。3者協議に出した意見書では、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則再審にも適用されるとして、「速やかに審理を進め、早期の再審開始決定を」と求めたという。


◆再審への道

 あるベテラン裁判官は「裁判所の指揮次第では検証実験をする可能性もある」と指摘。そうなればさらなる長期化は必至だ。最高裁決定では、2人の裁判官が「時間をかけることには反対」などとして再審を直ちに開始すべきだとの反対意見を述べている。

 白鴎大の村岡啓一教授(刑事訴訟法)は「科学論争になれば審理は長引く。いたずらに踏み込みすぎるべきではない。常識的な範囲で『赤みは残らない』と証明できれば、裁判所は再審開始を認めてもいいのではないか」と話した。

【関連記事】1年以上みそ漬けだった服の血痕、なぜ赤いまま? 袴田さん審理差し戻しで焦点 DNA型鑑定論争には終止符
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●《読者はこうした報道を何日もシャワーのように浴びた。…裁判官たちも例外では》ない…袴田事件の《冤罪に加担したメディアの責任》

2021年02月12日 00時00分32秒 | Weblog

(2021年01月24日[日])
山口正紀さんの、レイバーネットのコラム【冤罪に加担したメディアの責任も問い直したい〜「袴田事件」再審、高裁に審理差し戻し】(http://www.labornetjp.org/news/2021/0111yama)。

 《新型コロナの感染爆発、緊急事態・再宣言と気の重い年末年始、うれしい報せが12月23日に飛び込んできた。袴田事件再審の高裁決定取り消しだ。1966年に静岡県清水市(現・静岡市清水区)の一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巖さん(84歳)が再審を求める袴田事件。その第2次再審請求審で、最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)は再審開始を認めなかった東京高裁決定を取り消し、審理を高裁に差し戻す決定(12月22日付)を出した。事件発生から半世紀を超え、死刑確定から40年、「これ以上、拘置を続けるのは耐え難いほど正義に反する」と述べた静岡地裁の再審開始決定(2014年3月)からも6年9か月、東京高裁は審理を引き延ばすことなく、1日も早く再審開始を決断すべきだ。《袴田さん再審開始へ光/喜ぶ姉「何よりうれしい」》 ―24日付『朝日新聞』社会面トップの見出しだ。(山口正紀)》。

 検察という《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》…《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん。すぐさま、袴田巌さんに無罪を! 《死と隣り合わせの生活が心にもたらした影響…暗黒の日々の長さを思わざるをえない…夜は終わったわけではない》。
 《読者はこうした報道を何日もシャワーのように浴びた。静岡地裁の裁判官たちも例外ではなかっただろう。タテマエは「起訴状一本主義」で裁判開始まで予断を持たないとされているが、実際には裁判官の多くが事件記事をよく読んでいるという》…山口正紀さんの仰るように《冤罪に加担したメディアの責任》も重大。そして、山口さんが以前仰っていた様に、《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》。

   『●『美談の男』読了
   『●袴田事件: いい加減に誤まりを認めるべき
   『●作られた袴田冤罪事件、理不尽極まる漸くの初の証拠開示
   『●袴田事件、48年間のそれぞれの苦難……
      袴田巌さんと秀子さん、そして、熊本典道さん
   『●袴田事件: 静岡地裁は「疑わしきは被告人の利益に」を
   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審:
                   司法の良心を示せるか?
   『●袴田事件・釈放!: 「捜査機関が重要な証拠を捏造した疑い」
               「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」

   『●映画「ザ・ハリケーン」と袴田事件:「冤罪事件を「絶対に忘れるな」」
    《ルビン・カーターさんが二十日亡くなった。七十六歳…
     デンゼル・ワシントン主演の映画「ザ・ハリケーン」のモデル
     といえば、思い出すだろうか▼一九六六年六月、
     米ニュージャージー州のバーで三人が殺された。現場近くを車で
     走っていたカーターさんが逮捕された。無実を訴えたが、
     有罪の評決が下り、八五年に釈放されるまで十九年間服役した。
     冤罪事件の背景には人種差別もあった袴田事件も同じ年同じ六月
     だった。同じ元ボクサー。獄中にあった袴田巌さん(78)は
     境遇の似たカーターさんが釈放された時、手紙を書いたという。
     「万歳万歳と叫びたい」。カーターさんの返事は
     「決してあきらめてはならない」だった》

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
    《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけには
     いかないのだ」▼袴田さんの無実を信じる人にとってはどうあっても狼に
     許されぬイソップ寓話(ぐうわ)の羊を思い出すかもしれない…
     検察と裁判所を納得させる羊の反論の旅はなおも続くのか
     ▼事件から五十二年長すぎる旅である

   『●《袴田巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ…
       政権や検察に忖度した東京高裁、そして、絶望的な最「低」裁
    「NTVの【NNNドキュメント’18我、生還す -神となった死刑囚・
     袴田巖の52年-】…《今年6月、東京高裁が再審開始を取り消した
     「袴田事件」。前代未聞の釈放から4年半、袴田巖さんは死刑囚のまま
     姉と二人故郷浜松で暮らす》」
    「三権分立からほど遠く、法治国家として公正に法に照らした
     「司法判断」ができず、アベ様ら政権に忖度した「政治判断」乱発な、
     ニッポン国の最「低」裁に何を期待できようか…。
     《巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ」

   『●冤罪は晴れず…「自白を偏重する捜査の危うさ…
       証拠開示の在り方…検察が常に抗告する姿勢の問題」
   『●袴田秀子さん《ボクシングに対する偏見…
      チンピラだっていうイメージ…その印象以外に何の証拠もなかった》
   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
           耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    「週刊朝日の記事【袴田事件で「捜査機関が証拠を”捏造”」 
     弁護団が新証拠の補充書を最高裁に提出 】」
    《静岡地裁の再審開始決定を取り消した東京高裁決定から、
     1年余りが経過した。死刑が確定した元プロボクサーの
     袴田巌さん(83)は最高裁に特別抗告中だが、弁護団はこのほど
     “新証拠”を提出した》

   『●《死刑を忠実に実行している》のはニッポンだけ…
       飯塚事件でも、《十三人の死刑執行》でも揺るがず…
   『●(ジョー・オダネルさん)「焼き場に立つ少年」は
     《鼻には詰め物…出血しやすい状態…なんらかの形で被爆した可能性》
   『● CD『Free Hakamada』の《ジャケットには、元プロボクサーの
          袴田さんが…名誉チャンピオンベルトを持った写真》
   『●《「袴田事件」で死刑判決を書きながら、後に「無罪の心証だった」
        と明かした元裁判官熊本典道さん》がお亡くなりになりました
    「袴田巌さんと秀子さん、そして、熊本典道さん」

   『●映画『BOX 袴田事件 命とは』で熊本典道さん役…《「法廷では
     裁判官自身も裁かれている」。自分で自分を裁こうとした日々…》
   『●袴田巌さんに無罪を…《死と隣り合わせの生活が心にもたらした影響
     …暗黒の日々の長さを思わざるをえない…夜は終わったわけではない》

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http://www.labornetjp.org/news/2021/0111yama

山口正紀のコラム : 冤罪に加担したメディアの責任も問い直したい/「袴田事件」再審、高裁に審理差し戻し

山口正紀の「言いたいことは山ほどある」第9回(2021/1/11 不定期コラム)
冤罪に加担したメディアの責任も問い直したい〜「袴田事件」再審、高裁に審理差し戻し


     (*袴田巖さん(YouTubeより))

 新型コロナの感染爆発、緊急事態・再宣言と気の重い年末年始、うれしい報せが12月23日に飛び込んできた。袴田事件再審の高裁決定取り消しだ。1966年に静岡県清水市(現・静岡市清水区)の一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巖さん(84歳)が再審を求める袴田事件。その第2次再審請求審で、最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)は再審開始を認めなかった東京高裁決定を取り消し、審理を高裁に差し戻す決定(12月22日付)を出した。事件発生から半世紀を超え、死刑確定から40年、「これ以上、拘置を続けるのは耐え難いほど正義に反する」と述べた静岡地裁の再審開始決定(2014年3月)からも6年9か月、東京高裁は審理を引き延ばすことなく、1日も早く再審開始を決断すべきだ

 《袴田さん再審開始へ光/喜ぶ姉「何よりうれしい」》

――24日付『朝日新聞』社会面トップの見出しだ。紙面の中央に「記者会見で笑顔を見せる袴田秀子さん」の写真が大きく掲載され、「年なんて全然気にしていない。(来年)わたしは88歳、巖は85歳ですか。確かに高齢者ですが、がんばって参ります」と秀子さん。弟の無実を信じ、その冤罪を晴らす闘いに人生を捧げて半世紀余、まさに「不屈の高齢者」のまぶしい笑顔だ

 事件は1966年6月30日未明に発生、みそ会社専務宅が全焼し、一家4人の他殺体が見つかった。静岡県警は8月、住み込み従業員の元プロボクサー袴田巖さんを逮捕。袴田さんは連日10数時間に及ぶ苛酷な取調べで「犯行を自白させられた。公判では無実を主張したが、静岡地裁は68年に死刑判決を言い渡し、80年に最高裁で死刑が確定した。

 袴田さんは81年に第1次再審請求を申し立てたが、94年に静岡地裁が請求棄却、2008年3月に最高裁が弁護側の特別抗告を棄却した。翌4月、直ちに第2次再審請求を申し立て、14年3月に静岡地裁がようやく再審開始を決定。袴田さんは48年ぶりに釈放され、「死刑の恐怖」から解放された。しかし、検察が決定に即時抗告したため再審は開始されなかった。東京高裁は即時抗告審に4年もかけた末に18年6月、再審開始決定を取り消し、弁護側が特別抗告して最高裁で審理が続いていた。

 この第2次再審請求審の争点は、事件の1年2か月後、みそ会社のタンクから見つかったとされる「5点の衣類」の血痕。検察は「5点の衣類」を袴田さんの「犯行時の着衣」と主張してきたが、静岡地裁は衣類に付着した血痕のDNA型鑑定の結果から、「血痕は袴田さんや被害者のものではない可能性がある」として14年、再審開始を決定した。ところが東京高裁は、このDNA型鑑定を「確立した手法と言えず、信用性は乏しい」と否定し、地裁決定を取り消した。

 今回の最高裁決定も、DNA型鑑定の証拠価値を否定した。しかし、最高裁は問題の衣類がみそに1年以上も漬かっていたとされながら血痕に赤みがあったこと、弁護団の実験では、みそ漬けにすると血痕は約1か月後に黒褐色になり、赤みが消えたこと(メイラード反応の影響)に注目、「高裁決定は血痕の変色に関する専門的知見について、審理が尽くされていない」として、審理を高裁に差し戻した。

 この決定で注目すべきは、裁判官5人が全員一致で高裁決定の取り消しに賛成し、しかもそのうちの2人が「検察の即時抗告を棄却して直ちに再審開始すべきだ」として、審理の差し戻しには反対、「直ちに再審開始をすべき」との意見を述べたことだ。

 「確定判決は衣類が1年以上タンクに漬けられたことが前提になっており、実験の報告書は確定判決に合理的な疑いを生じさせる新証拠と考えられる。メイラード反応の審理のためだけに差し戻す多数意見には反対せざるを得ない」(林景一宇賀克也裁判官)

 再審に関する最高裁決定で、反対意見がついたのは極めて異例だ。袴田さんが今年3月で85歳を迎えることを思うと、これ以上審理を引き延ばすことは許されない、との思いも伝わってくる。東京高裁は、直ちに審理を始め、再審開始決定を確定させるべきだ。

 それ以上に、もっと早く再審を開始する方法がある。検察が地裁決定に対する即時抗告を取り下げることだ。そうすれば、再審開始決定は直ちに確定する。最高裁決定、とりわけ2人の裁判官の「即時再審開始」意見を踏まえれば、それが本来「公益の代表者」である検察当局の取るべき、まっとうな対応ではないか。

 にもかかわらず、最高検は最高裁決定について「主張が認められず誠に遺憾」との刑事部長コメントを発表した。安倍晋三・前首相のさまざまな疑惑(モリ・カケ・サクラ)には平気でふたをする一方、警察・検察が延々と繰り返してきた冤罪=権力犯罪にはシラを切り続ける。この国の検察には、「正義」どころか「公益」の概念すら存在しない


●無罪心証で死刑判決を書いた熊本典道さんの無念

 もし2014年の地裁決定で再審が始まり、再審無罪が出ていたら、どれほど喜んだだろうか、と思う人がいる。袴田事件の裁判で1968年、一審・静岡地裁の裁判官として意に反する死刑判決を書いた熊本典道さんだ。それがきっかけで裁判官を辞めた熊本さんは約40年後の2007年、「無罪心証で書いた死刑判決について告白し、袴田さんに謝罪した

 1日も早い再審開始を待ち望んでいた熊本さんだが、今回の最高裁決定が出る約6週間前(11月11日)、福岡市内の病院で亡くなられた。83歳だった。

 熊本さんは07年1月、袴田さんの支援団体宛てに「無罪判決を起案したが、他の2人の裁判官の反対で死刑判決を書かざるを得なかった」旨の手紙を書き、袴田さんを支援する集会などで苦しい思いを訴えた。私はそんな集会で熊本さんのお話をうかがった。

 熊本さんは事件発生から5か月後の1966年11月、静岡地裁に赴任し、12月の第2回公判から事件を担当した。供述調書などの記録を読むと、袴田さんの取調べは1日平均12時間、長い日は16時間にも及んでおり、まず自白の任意性に疑問を持ったそうだ。そうして証拠を分析すればするほど、検察側の主張について疑問が増えて行ったという。

 ①小さなクリ小刀1本で4人を殺害できるか②逃走経路とされた裏木戸は留め金がかかっていた③盗んだとされる金額より現場に残った金額の方が多く、犯行動機があいまい④犯行着衣が「パジャマ」から1年後、「5点の衣類」に変更されたのも不自然……。

 判決文の起案を担当した熊本さんは無罪判決を書いた。だが、裁判長ら他の2人は有罪を主張した。「合議」の結果、2対1の多数決で有罪。熊本さんは無罪の判決文を捨て、有罪、しかも死刑判決に書き直すことを余儀なくされた

 それでも熊本さんは出来得る限りの抵抗を試みた。袴田さんの45通の供述調書は1通を除き、証拠採用しなかった。そのうえで、「捜査官は被告人から自白を得ようと、極めて長時間にわたり被告人を取調べ、自白の獲得に汲々として、物的証拠に関する捜査を怠った」「このような捜査は、真実の発見はむろん、適正手続きの保障の見地からも厳しく批判されるべき」と判決文に「付言」した。高裁の裁判官が一審判決の矛盾に気づき、判決を見直してほしい、との思いからだったという。

 「無罪心証の死刑判決」(1969年9月)から半年後、熊本さんは裁判官を辞し、弁護士になった。だが、高裁、最高裁に託した熊本さんの思いは届かなかった。上級審の裁判官たちは熊本さんが「付言」に託した思い気づくことはなく、死刑判決は覆らなかった

 やがて熊本さんは自責の念から自暴自棄となった。酒浸りの生活で家族も離散、弁護士活動もままならなくなり、遂には自殺を考えるほど追いつめられていった……。

 07年、元担当裁判官として再審を求めた「熊本告白」は大きな反響を呼んだ。熊本さんの話で、特に私が心を動かされたのが、袴田事件におけるメディアの役割だ。熊本さんは、他の2人の裁判官が有罪心証を変えようとしなかった原因の一つとしてマスコミの犯人視報道の影響」を挙げた。その話を聞いた後、私は袴田事件支援者の協力を得て、当時の新聞報道(全国紙3紙の静岡県版と静岡新聞)を詳細にチェックした。

 事件発生から数日の間、各紙の報道は「複数犯・外部犯行・怨恨説」だった。例えば、1人で小刀だけで短時間に4人を制圧し、殺害できるのか、との疑問。裏木戸には留め金がかかっている一方、玄関のガラス戸は開いていたこと。遺体は最大15カ所も刺されるなどの惨殺。その一方、現金、宝石などは手つかずのままだったこと――。

 それが、袴田さんの事情聴取と家宅捜索が行われた7月4日以降、「単独犯・内部犯行・物盗り説」に一変する。警察が袴田さんの部屋から小さな血痕らしきもののついたパジャマを押収すると、4日付『毎日新聞』夕刊は、《従業員H浮かぶ/血染めのシャツを発見》という記事を掲載、「右手に切り傷」「アリバイなし」「金に困っていた元プロボクサー」などと報道した。以後、各紙が袴田さんを標的にした犯人視報道合戦に転じた。

 8月18日の逮捕後は、袴田さんを犯人と決めつけた報道が繰り広げられた。『毎日』は、《袴田を連行、本格取り調べ/不敵な薄笑い》《ジキルとハイドの袴田》《袴田ついに自供/ねばりの捜査/69日ぶり解決》などと連日、犯人断定報道を展開し、各紙が追随した。

 読者はこうした報道を何日もシャワーのように浴びた静岡地裁の裁判官たちも例外ではなかっただろう。タテマエは「起訴状一本主義」で裁判開始まで予断を持たないとされているが、実際には裁判官の多くが事件記事をよく読んでいるいう。

 ただ、熊本さんは例外だった。熊本さんが静岡地裁に赴任したのは、事件発生から約5か月後の66年11月。第2回公判から裁判に加わった袴田さんは、犯人視報道に汚染されず、虚心坦懐に調書を読み、証拠を調べて無罪の心証を形成したのだ。

 袴田事件は、代用監獄長期勾留死刑制度、再審制度など日本の刑事司法が抱える重大な問題の全てを孕んだ事件だが、マスメディアの報道のあり方についても大きな課題を突きつけている今なお続く犯人視報道、人権侵害報道――この事件で、袴田さんと同じく、人生を大きく狂わされた熊本さんが私たちに遺した大きな宿題だ。(了)
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●袴田巌さんに無罪を…《死と隣り合わせの生活が心にもたらした影響…暗黒の日々の長さを思わざるをえない…夜は終わったわけではない》

2021年01月15日 00時00分16秒 | Weblog

 (2020年12月27日[日])
NHKの記事【袴田事件 再審認めない決定取り消す 高裁に差し戻し 最高裁】(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201223/k10012779771000.html)。

 《今回、最高裁が東京高裁の決定を取り消したため、6年前の静岡地裁の決定に基づいて、釈放された状態が続くことになります》。

 《袴田巖さんは、いまも、死刑囚のまま》だ…こんな残酷なことがあっていいのか?
 東京新聞の記事【袴田事件 最高裁が再審を認めなかった高裁決定を取り消し 裁判官2人は「再審開始すべき」と反対意見】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/76173)によると、《裁判のやり直しを認めなかった東京高裁決定を取り消し、審理を差し戻す決定をした。弁護団が「無罪とすべき新証拠として提出したDNA型鑑定信用性を否定した一方、犯行時の着衣とされた「5点の衣類」に付着した血痕の変色状況について疑問が解消されていないと指摘。高裁で改めて審理を尽くすべきだと結論付けた…第2次再審請求では、静岡地裁が2014年に再審開始を認め、併せて死刑と拘置の執行を停止した。高裁も執行停止は維持し、袴田さんは現在釈放されている。結論が確定するまで、再収監はされない見通し》。

 酷過ぎる…。袴田巌さんにすぐさま無罪を。
 西日本新聞の【社説/袴田事件の再審 いたずらに引き延ばすな】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/676745/)によると、《裁判をやり直す再審の道を維持したことは評価できる。それでも「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の大原則に照らせば、何とももどかしい決定と言わざるを得ない。…再審開始の可否に決着をつけるものではなく、袴田さんの再審請求はさらに長期化する。仮に再審が始まっても判決までにはさらに時間が必要だろう。袴田さんの年齢を考えれば、あまりに酷というほかはない》。
 東京新聞のコラム【筆洗/<目とじても片隅に咲く月見草>。劇作家寺山修司が「誰か月見…】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/76527?rct=hissen)によると、《▼その袴田さんに再審の可能性をもたらす最高裁の決定である。決定を知らされた袴田さんは、「こんなもの来るはずない」と話したという▼死と隣り合わせの生活が心にもたらした影響は、地裁の再審開始決定で六年前に釈放された後も残っているようだ。暗黒の日々の長さを思わざるをえない▼最高裁は、再審開始を認めなかった高裁の決定を取り消した。事件の一年以上も後に見つかり、有罪の最大の根拠となった衣類。血痕の変色などについて審理が尽くされていないとし、高裁に再検討を求めた▼疑わしきは被告人の利益は原則だろう。寺山が「打たれ強いボクサー」であったと記した袴田さんも八十四歳である。夜は終わったわけではない急がなければなるまい。》

 《今回の決定について、元刑事裁判官の門野博弁護士は、「…高裁でまた時間をかけて審理するのではなく、直ちに再審を認めて、やり直しの裁判の中で議論させるという判断をしてもよかったのではないか」と話しています》。それでも時間をかけ過ぎです。さっさと、(無理なことは承知ですが)無罪判決を出すべきではないのか? とことろで、《元刑事裁判官の門野博弁護士》 ――― 「とうとう、奥西勝死刑囚が亡くなった。警察や検察、裁判所は「触らぬ神にたたりなし、ということなのか」?、訴えることが出来なくなるのを待った司法の残酷さ!、を痛切に感じる。のろのろと「死」を待っている様にしか見えない。特に、裁判所の酷さ。当時の《名古屋高裁刑事第2部(門野博裁判長)》、《名古屋高裁刑事第2部(下山保男裁判長)》、《名古屋高裁刑事一部(石山容示(ようじ)裁判長)》、《最高裁第1小法廷(櫻井龍子裁判長)》ら。《冤罪と同じほど罪深い司法の自殺的行為》」…。名張ぶどう酒事件で、再審開始決定を取り消したのが門野博元裁判長。「のろのろと「死」を待っている様にしか見えない」司法の一人だ。

   『●『美談の男』読了
   『●袴田事件: いい加減に誤まりを認めるべき
   『●作られた袴田冤罪事件、理不尽極まる漸くの初の証拠開示
   『●袴田事件、48年間のそれぞれの苦難……
      袴田巌さんと秀子さん、そして、熊本典道さん
   『●袴田事件: 静岡地裁は「疑わしきは被告人の利益に」を
   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審:
                   司法の良心を示せるか?
   『●袴田事件・釈放!: 「捜査機関が重要な証拠を捏造した疑い」
               「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」

   『●映画「ザ・ハリケーン」と袴田事件:「冤罪事件を「絶対に忘れるな」」
    《ルビン・カーターさんが二十日亡くなった。七十六歳…
     デンゼル・ワシントン主演の映画「ザ・ハリケーン」のモデル
     といえば、思い出すだろうか▼一九六六年六月、
     米ニュージャージー州のバーで三人が殺された。現場近くを車で
     走っていたカーターさんが逮捕された。無実を訴えたが、
     有罪の評決が下り、八五年に釈放されるまで十九年間服役した。
     冤罪事件の背景には人種差別もあった袴田事件も同じ年同じ六月
     だった。同じ元ボクサー。獄中にあった袴田巌さん(78)は
     境遇の似たカーターさんが釈放された時、手紙を書いたという。
     「万歳万歳と叫びたい」。カーターさんの返事は
     「決してあきらめてはならない」だった》

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
    《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけには
     いかないのだ」▼袴田さんの無実を信じる人にとってはどうあっても狼に
     許されぬイソップ寓話(ぐうわ)の羊を思い出すかもしれない…
     検察と裁判所を納得させる羊の反論の旅はなおも続くのか
     ▼事件から五十二年長すぎる旅である

   『●《袴田巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ…
       政権や検察に忖度した東京高裁、そして、絶望的な最「低」裁
    「NTVの【NNNドキュメント’18我、生還す -神となった死刑囚・
     袴田巖の52年-】…《今年6月、東京高裁が再審開始を取り消した
     「袴田事件」。前代未聞の釈放から4年半、袴田巖さんは死刑囚のまま
     姉と二人故郷浜松で暮らす》」
    「三権分立からほど遠く、法治国家として公正に法に照らした
     「司法判断」ができず、アベ様ら政権に忖度した「政治判断」乱発な、
     ニッポン国の最「低」裁に何を期待できようか…。
     《巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ」

   『●冤罪は晴れず…「自白を偏重する捜査の危うさ…
       証拠開示の在り方…検察が常に抗告する姿勢の問題」
   『●袴田秀子さん《ボクシングに対する偏見…
      チンピラだっていうイメージ…その印象以外に何の証拠もなかった》
   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
           耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    「週刊朝日の記事【袴田事件で「捜査機関が証拠を”捏造”」 
     弁護団が新証拠の補充書を最高裁に提出 】」
    《静岡地裁の再審開始決定を取り消した東京高裁決定から、
     1年余りが経過した。死刑が確定した元プロボクサーの
     袴田巌さん(83)は最高裁に特別抗告中だが、弁護団はこのほど
     “新証拠”を提出した》

   『●《死刑を忠実に実行している》のはニッポンだけ…
       飯塚事件でも、《十三人の死刑執行》でも揺るがず…
   『●(ジョー・オダネルさん)「焼き場に立つ少年」は
     《鼻には詰め物…出血しやすい状態…なんらかの形で被爆した可能性》
   『● CD『Free Hakamada』の《ジャケットには、元プロボクサーの
          袴田さんが…名誉チャンピオンベルトを持った写真》
   『●《「袴田事件」で死刑判決を書きながら、後に「無罪の心証だった」
        と明かした元裁判官熊本典道さん》がお亡くなりになりました
    「袴田巌さんと秀子さん、そして、熊本典道さん」

   『●映画『BOX 袴田事件 命とは』で熊本典道さん役…《「法廷では
     裁判官自身も裁かれている」。自分で自分を裁こうとした日々…》

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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201223/k10012779771000.html

袴田事件 再審認めない決定取り消す 高裁に差し戻し 最高裁
2020年12月23日 16時57分

 昭和41年に静岡県で一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」で死刑が確定した袴田巌さんについて、最高裁判所は、再審・裁判のやり直しを認めなかった東京高等裁判所の決定を取り消し、高裁で再び審理するよう命じる決定をしました。

 袴田巌さん(84)は、昭和41年に今の静岡市清水区でみそ製造会社の役員の一家4人が殺害された事件で、死刑が確定しましたが、無実を訴えて再審を申し立てています。

 平成26年に静岡地方裁判所が、事件の1年余り後に会社のみそのタンクから見つかった犯人のものとされる衣類の血痕のDNA型が袴田さんのものとは一致しなかったという鑑定結果などをもとに再審を認める決定をした一方、おととし、東京高等裁判所は「DNA鑑定の信用性は乏しい」として再審を認めず、弁護団が特別抗告していました。

 最高裁判所第3小法廷の林道晴裁判長は、衣類の血痕のDNA鑑定について「衣類は40年以上、多くの人に触れられる機会があり、血液のDNAが残っていたとしても極めて微量で、性質が変化したり、劣化したりしている可能性が高い。鑑定には非常に困難な状況で証拠価値があるとはいえない」として、弁護側の主張を退けました

 一方で、衣類に付いた血痕の色の変化について「1年余りみそに漬け込まれた血痕に赤みが残る可能性があるのか、化学反応の影響に関する専門的な知見に基づいて審理が尽くされていない」として、23日までに再審を認めなかった東京高裁の決定を取り消し、高裁で再び審理するよう命じる決定をしました。

 一方、決定では、5人の裁判官が、3対2で意見が分かれています。

 2人の裁判官は反対意見の中で、DNA鑑定などを新証拠と認め、血痕が袴田さんのものではないという重大な疑いが生じているとして、再審を認めるべきだとしています。

 再審を求める特別抗告で裁判官の意見が割れるのは異例です。

 袴田さんは、静岡地裁で再審が認められた際に釈放されていて、今回の決定後も釈放された状態が続きます。


裁判官2人が「再審開始すべき」

 5人の裁判官のうち、林景一裁判官と宇賀克也裁判官の2人が、「再審を開始すべきだ」とする反対意見を述べました。

 反対意見ではまず、犯人のものとされる衣類に付いた血痕のDNA鑑定について、「鑑定技術の進展によって細胞が数個分あればDNAの検出は十分に可能だとされていて、鑑定の信用性を否定すべきとは思わない。犯人のものとされるシャツに付いた血痕と袴田さんのDNA型が違い、血痕は袴田さんのものではないという重大な疑いが生じる」と指摘しています。

 また、みそのタンクから見つかった衣類に赤い血痕が付いていたことについて、「みそ漬けを再現した実験では、1か月で血痕の赤みは全くなくなり、1年2か月後にはさらに黒くなって血液が付いたことすら分からない状態になっている。袴田さんが逮捕される前にみそのタンクに衣類を隠したとすれば、1年以上、漬けられていたことになるが、実験の結果は、この点に合理的な疑いを生じさせる証拠で、袴田さんが衣類を隠したことにも合理的な疑いが生じる。犯行直後ではなく、衣類の発見直前に袴田さん以外の第三者に隠された可能性が生じる」と指摘しています。

 そのうえで、DNA鑑定と、みそ漬けの再現実験の報告書はいずれも新証拠として認められると判断して再審を開始すべきだとして、高裁に審理のやり直しを命じることについて「化学反応の影響を審理するためだけに、時間をかけることには反対せざるをえない」と述べています。

 再審を求める特別抗告で裁判官の意見が割れるのは異例です。


最高検察庁刑事部長「内容精査し適切に対処」

 最高検察庁の齋藤隆博刑事部長は「検察官の主張が認められなかったことは誠に遺憾だ。決定の内容を精査し、適切に対処したい」というコメントを発表しました。


袴田巌さん「言うことはない 終わったんだ」

 袴田巌さんと姉のひで子さん(87)は、23日午後6時すぎ、浜松市の自宅で取材に応じました。

 巌さんは「言うことはない。終わったんだ、分かりきっている」などと話していました。

 ひで子さんは、巌さんに「おめでとう」と声をかけたうえで、「なんとなく表情が明るい。やっぱり分かっていると思う」と話しました。

 自宅には、知人などから電話が相次いでいて、ひで子さんは、最高裁判所から届いた書類を手に取って、主文を読み上げるなどして、笑顔で報告をしていました。

 ひで子さんは「とにかく前進してくれないと困るのでうれしい。年内に最高裁の決定が出ると思わなかったので、クリスマスプレゼントになった」と話していました。


死刑確定も釈放続く

 袴田巌さんは、刑事手続き上は死刑が確定していますが、釈放された異例の状況が当面、続きます。

 6年前、静岡地裁で再審が認められた際に刑の執行と拘置が停止されて、東京拘置所から釈放されました。

 おととしの東京高裁の決定では、再審は認められませんでしたが、「年齢や生活状況、健康状態などを考えると、再審についての決定が確定する前に、釈放を取り消すべきとは言いがたい」として釈放は取り消されず、浜松市内で家族とともに生活を続けています。

 今回、最高裁が東京高裁の決定を取り消したため、6年前の静岡地裁の決定に基づいて、釈放された状態が続くことになります。


弁護団「主張が正しく理解された」

 最高裁判所の決定を受けて袴田巌さんの弁護団が静岡市内で記者会見を開きました。

 この中で、弁護団の事務局長を務める小川秀世弁護士は「非常にうれしい決定だ。われわれの主張が正しく理解されたと思っている。論点がはっきりしたので再審開始という結論に持って行くことができるのではないかと大いに期待している」と述べました。

 一方、別の弁護士は、今後の審理について、「最高裁判所の指摘があった衣類の血痕の色の変化について、専門的に研究している人はいないので、具体的に裏付けるような資料や意見を集めることができるかどうか、弁護団にとっても高裁にとっても大きな課題になる」と話しました。


プロボクシング関係者は

 長年にわたって袴田さんの支援活動をしてきた日本プロボクシング協会の新田渉世事務局長は「心強い決定だ。裁判官の意見がわかれたことで長引く懸念があるが、大きな一歩だと思う」と話していました。

 また、プロボクシングを統括するJBC=日本ボクシングコミッションの安河内剛本部事務局長は「私たちとしては、一刻も早く真相が解明されることを祈っている」と話していました。


元刑事裁判官「再審を認めてもよかったのでは」

 今回の決定について、元刑事裁判官の門野博弁護士は、「『再審を開始すべきだ』という反対意見もあり、最高裁判所の裁判官の間でかなり時間をかけて議論が交わされたことがうかがえ、それだけ多くの謎が残されている難しい事件だということが表れている。最高裁の決定の中で、みそに漬かった衣類の色の変化についてさらに精査が必要だと判断したのであれば、差し戻しによって高裁でまた時間をかけて審理するのではなく、直ちに再審を認めて、やり直しの裁判の中で議論させるという判断をしてもよかったのではないか」と話しています。


これまでの経緯

 「袴田事件」は、有罪か無罪かが50年余りにわたって争われ続けています

 昭和41年6月、今の静岡市清水区で、みそ製造会社の専務の家が全焼し、焼け跡から一家4人が遺体で見つかりました。その年の8月に会社の従業員だった元プロボクサーの袴田巌さんが、強盗殺人などの疑いで逮捕されました。

 当初は無実を訴えましたが、19日後に取り調べでいったんは自白し、裁判では再び無実を主張して争いました。

 事件から1年余りがたち、裁判が始まった後で、みそ製造会社のタンクから血の付いたシャツなど、犯人のものとされる5点の衣類が見つかりました。昭和43年9月、静岡地方裁判所は、自白した時に作られた45通の調書のうち44通は捜査官に強要された疑いがあるとして、証拠として認めませんでしたが、衣類を有罪の証拠だとして死刑を言い渡しました。

 2審の東京高等裁判所と最高裁判所でも無罪の主張は退けられ、昭和55年に死刑が確定しました。翌年、弁護団は再審・裁判のやり直しを求めました。

 弁護団は、事件の直後の捜索でタンクから衣類が見つからなかったことや、衣類のサイズが合わないことなど不自然な点があるうえ、自白も強要されたものだと主張しましたが、静岡地裁で退けられました。

 東京高裁では衣類に付着した血痕のDNA鑑定が行われましたが、劣化が激しかったことからこの時は「鑑定不能」とされ、申し立てが退けられました。

 その後、平成20年に最高裁でも退けられ、27年に及んだ1度目の再審の申し立ては認められませんでした。2度目の申し立てで、静岡地裁は、5点の衣類のDNA鑑定を再び行うことを決めました。

 その結果、弁護側の専門家が「シャツの血痕のDNAの型は袴田さんと一致しない」と結論づけたことなどから、平成26年に再審・裁判のやり直しを認める決定を出しました。

 「捜査機関が重要な証拠をねつ造した疑いがある」と、当時の捜査を厳しく批判し、釈放も認める異例の決定でした

 東京高裁では、弁護側の専門家が行ったDNA鑑定の手法が科学的に信頼できるかどうかが争われました。おととし6月、東京高裁は「DNA鑑定の手法の科学的原理や有用性には深刻な疑問が存在している」として、地裁とは逆に、衣類は袴田さんのものだと考えて不合理な点はないという判断を示し、再審を認めませんでした。

 一方で、地裁で認められた釈放については「本人の年齢や生活状況、健康状態などに照らすと、再審についての決定が確定する前に釈放を取り消すのが相当とは言い難い」として、取り消しませんでした。

 弁護団は高裁の決定を不服として最高裁判所に特別抗告。最高裁の決定が注目されていました。
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●死刑制度存置: 袴田事件にどう責任?、そして、飯塚事件の絶望感

2014年05月06日 00時00分31秒 | Weblog


マガジン9』(http://www.magazine9.jp/)に出ていた小石勝朗氏による記事【法浪記第26回 改めて、袴田事件の再審開始決定を受けてなすべきこと】(http://www.magazine9.jp/article/hourouki/12282/)。

   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審:
                         司法の良心を示せるか?
   『●袴田事件・釈放!: 「捜査機関が重要な証拠を捏造した疑い」
                 「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」
   『●袴田事件、48年間のそれぞれの苦難・・・・・・
               袴田巌さんと秀子さん、そして、熊本典道さん
   『●袴田冤罪事件を機に死刑制度の再考ができない我国
   『●「疑わしきは罰せず」「疑わしきは被告人の利益に」:
              今ごろそれを裁判所に訴えねばならないとは・・・
   『●鎌田慧さんインタビュー: 「一人の人間として勇気をふるった名判決」
   『●映画「ザ・ハリケーン」と袴田事件: 
                        「冤罪事件を「絶対に忘れるな」」

 「袴田さんが即日釈放になるとは、弁護団も予想していなかった。袴田さんが無実であり、再審開始が必ずや認められると信じていた人たちでさえ、そうだった。これまで捜査機関や裁判所に、ことごとく主張を跳ね返されてきただけに、なおさらだった。だから、これが現実の出来事なのかどうか、いまだに実感が湧かないのだと思う。解放を心から喜びたい」。

 裁判で「捜査機関による証拠捏造の疑い」が指摘された袴田事件。警察・検察はまだ悪あがきを続けるようだ。
 「東京高裁の大島隆明判長は弁護団に「検察、弁護団双方の意見を聞きながら、速やかに審理を進める」と答えたという」 大島隆明裁判官は、

   『
●『冤罪File(2009年12月号)』読了(2/2)
    「池添徳明氏「横浜事件再審で免訴 葛飾ビラ配布に無罪 
     大島隆明裁判長ってどんな人?」(pp.112-119)。良識派の珍しい、
     貴重な裁判官という評価。「「疑わしきは被告人の利益に」という
     刑事裁判の基本原則を、忠実に実践しているように見える」
     数少ない裁判官」 

という方。 

 当ブログでも指摘したし、この記事でも指摘されている様に・・・・・・「政府の世論調査(2009年)では85.6%が「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えていることは承知のうえで、では袴田さんのような事態が現実に起きていることに対する死刑存置論者の意見を聞きたい」。全く同感だ。

 「それにしても国は、釈放すればあとは姉や弁護団、支援者に任せて知らんふりで良いのか。袴田さんの体調をここまで悪化させた原因は、すべて国家機関や警察にあるのだから、無罪確定前とはいえ可能な限りの支援策を講じるべきだろう。1人の人間の人生をめちゃめちゃにした側の、最低限の対応だと思う」・・・・・・袴田巌さんの「人生をめちゃめちゃにした」警察や検察、裁判官、国家は「最低限の対応」さえ出来ていない。「場合によっては死刑もやむを得ない」とする「85.6%」の人々は、冤罪で死刑にされた久間三千年さん、「飯塚事件」をどう考えているのだろうか? 警察や検察、裁判官、国家の威信にかけて「飯塚事件」をもみ消し冤罪は決して晴れることはないのだろうか・・・・・・、大変に悔しいけれども絶望的じゃないかな・・・・・・。何とかならないものか! 「85.6%」の死刑制度存置派がいるわが国ではますます絶望的か・・・・・・。

 最後に、袴田巌さんについての『BOX袴田事件 命とは』(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/992be37bb74661549a9c7343d2143341http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/9f1d0b1a666a16759c240cbeccd37e90) を漸く見た。フィクションとノンフィクションが混ざってはいるが、本当に恐ろしい中身。映画が出来て約4年。高橋伴明監督の大力作。

==============================================================================
http://www.magazine9.jp/article/hourouki/12282/

小石勝朗 「法浪記」第26回 
改めて、袴田事件の再審開始決定を受けてなすべきこと
2014年4月16日up

 目の前にいるのが本当にご本人なのか、にわかには信じられない気持ちだった。死刑判決が確定しながら身柄拘束48年目にして自由の身になった元プロボクサー・袴田巖さん(78歳)が、再審開始決定~即日釈放から18日ぶりに公の場に姿を見せた。4月14日に東京で開かれた日本弁護士連合会(日弁連)主催の報告集会である。

 袴田さんが即日釈放になるとは、弁護団も予想していなかった。袴田さんが無実であり、再審開始が必ずや認められると信じていた人たちでさえ、そうだった。これまで捜査機関や裁判所に、ことごとく主張を跳ね返されてきただけに、なおさらだった。だから、これが現実の出来事なのかどうか、いまだに実感が湧かないのだと思う。解放を心から喜びたい

 袴田さんの様子は後述するとして、この集会には受けとめるべき材料が多かった。

 率直に記すと集会の会場では、マスコミへのPRに過剰なまでに注力する主催者の姿勢と、マスコミの厚顔無恥な取材態度がどうにも胡散臭く感じられて、「誰に向けた集会なの?」とやや白ける部分もあった。ただ、日弁連は、袴田さんが最初の再審請求をした直後の1981年から継続して支援してきただけに、これから取り組むべきことについてもポイントをきちんと押さえていた。

 静岡地方裁判所(村山浩昭裁判長)の再審開始決定の内容については、前回の拙稿を読んでいただくとして、袴田さんの様子に大騒ぎしているだけのマスコミが報じない部分を報告しておきたい。

 最初の関心事は、再審請求の今後の動向だろう。ご存じの通り、検察は静岡地裁の再審開始決定を不服として、東京高等裁判所に即時抗告したからだ。

 袴田さん弁護団の小川秀世事務局長は強気だった。根拠に挙げたのは、再審開始決定が指摘した「捜査機関による証拠捏造の疑い」である。警察が捏造なんてするはずはないという「偏見」を打ち破り、事実と証拠を素直な目で見ることに加えて、捜査機関の行動を全体的に判断することによって導き出された「必然の結果」だからこそ、「決して動かないものになった」と評価した。

 小川弁護士によると、袴田さんの犯行着衣とされてきた「5点の衣類」には、そもそも犯行着衣である証拠は何もなかったそうだ。犯行現場の近くで発見されたことや血が付いていること、損傷があることなどだけで、犯行着衣と断定されてしまった。それが、再審請求審で実施された血痕のDNA鑑定で完全に否定されたわけで、高裁の即時抗告審に向けても「盤石だ」と、やや興奮気味に語っていた。

 一橋大大学院の葛野尋之教授(刑事法)は、やはり検察の即時抗告に批判的な立場から、もう少し冷静に見通しを分析していた。

 葛野教授によると、高裁の審理では少なくとも、5点の衣類に付着した血痕のDNA型が「袴田さんと一致する」という結果が示されない限り、5点の衣類が袴田さんの犯行着衣とした死刑判決の認定には合理的な疑いが残る。しかし現実的には、高裁でDNAの再鑑定をしたとしても、一致するという結果が得られる可能性は限りなく低い。だから、高裁は「再鑑定を実施しても意味がない」と判断するのではないか、と見立てていた。

 袴田さんの弁護団は3月31日、検察の即時抗告に対して「きわめて不当」との声明を出している。地裁の重い判断を無視して、いたずらに再審開始決定の確定を先延ばしさせるうえ、袴田さんに無用の負担を負わせることを理由に挙げ、「国家機関の不正義により作り出してしまった現状を全く顧みようとしていない」と強く批判した。4月10日には東京高裁に、検察の即時抗告を棄却するよう求める意見書を出している。

 袴田さんの年齢や体調を考えた時、一刻も早く再審を開始し、無罪判決を確定させるべきだろう。東京高裁の大島隆明判長は弁護団に「検察、弁護団双方の意見を聞きながら、速やかに審理を進める」と答えたという。訴訟指揮に期待したい。

 もう一つの大きなテーマは、冤罪を生んだ原因を究明し、同じ被害者を絶対に出さないための対策をしっかり取ることだ。前回の拙稿でも触れたが、「袴田さんが釈放されて良かった」で終わりにしてはいけない制度の改革が不可避である。

 集会で葛野教授は、取り調べの全過程の可視化、検察が持つ証拠の全面開示、DNA再鑑定の機会保障を求めていた。西嶋勝彦・弁護団長も、取り調べの全面可視化、証拠の全面開示、冤罪の原因を究明する公的な第三者機関の設置などを冤罪防止策として挙げた。

 袴田さんは逮捕直後、犯行を否認していたがゆえに、猛暑の中、1日平均12時間、日によっては午前2時まで16時間を超える長時間の取り調べを受けた。取調室に持ち込まれた便器で用を足すように指示されたり、暴行されたりもしたらしい。その結果、逮捕から20日目で「嘘の自白」に追い込まれる。こうした経緯を振り返れば、取り調べの可視化は冤罪の防止に欠かせまい

 今回の再審請求審では、静岡地裁の訴訟指揮で検察が持つ約600点の証拠が新たに開示され、再審開始決定の支えになった。例えば、5点の衣類のズボンはタグに記された「B」をもとに、もともと袴田さんがはけた大きなサイズが味噌に漬かって縮んだとされてきたが、実は「B」は色を示しており、ズボンはY体だったことが明らかになった。検察が自分たちに都合の悪い証拠を出さなくても良い仕組みになっているからこそ、袴田さんの冤罪を証明するのにこれほどの時間がかかったと言える。

 また、袴田さんを有罪にした証拠が否定された最大の要因が48年前の血痕のDNA鑑定だったことを振り返れば、どんなに昔の事件であっても後に再鑑定ができるように、試料の保存・適正管理をする仕組みも必要だろう。袴田事件の再審開始決定が出た4日後に、死刑執行後の再審請求が棄却された「飯塚事件」では、試料が使い切られていてDNA再鑑定ができなくなっている

 葛野、西嶋両氏は「死刑制度の再考」にも触れていた。「死刑事件でも捜査や裁判の誤りが現実にある」ことが明らかになってしまったわけだから、誤判が取り返しのつかないことになる死刑のあり方について、改めて議論する機会にするべきだろう。政府の世論調査(2009年)では85.6%が「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えていることは承知のうえで、では袴田さんのような事態が現実に起きていることに対する死刑存置論者の意見を聞きたい。

 最後に、袴田さん本人の様子に触れておこう。

 姉の秀子さん(81歳)とともに会場に入って来る時に、客席に向かってVサイン。やや猫背で、飄々と歩いて演壇へ。イスに座ってからも右手でVサインを繰り返し、やがて両手でVを掲げた。穏やかだが、フラッシュの放射を浴びても表情は変わらない。

 秀子さんの挨拶の途中でマイクを握ると、「西郷隆盛」「改革」「完全平和」「権力一本化」といった単語を織り交ぜて語るが、脈絡はない。秀子さんによると、「ピントが狂ったことを言うが、まともな時もある」そうだ。逮捕から48年近くに及ぶ身柄拘束による拘禁反応と認知症の影響である。秀子さんは「何年かかっても、せめて半分くらいは(もとの)自分に戻ってほしい」と願っていた。ぜひそうなってほしい。

 解放されてから袴田さんと面会した支援者が、集会の前に記者会見した。

 一緒に散歩をした日本プロボクシング協会事務局長の新田渉世さんは「ボクシングの会話がかみ合わずに、ちょっと残念でした」と話した。袴田さんは常に持ち歩いている紙袋にちり紙の束を入れていて、いろいろな物をきれいに拭くほか、念入りに手を洗ったり歯磨きをしたりしていたそうだ。病棟の外出届にはしっかりと自分の名前を書いていた。

 長年の支援者で3回面会した寺澤暢紘さんは「今も自分の世界に閉じこもったまま、まだ自由を実感していない」と印象を語り、その原因となった冤罪の問題性を強調した。「のんびりと自分のしたいことができる時間を確保でき、必要な時に支えてくれる人のいる場所で過ごしてほしい」と望む。現在は東京都内の病院にいるが、郷里の静岡県への転院を検討しているようだ。

 袴田さんの弁護団は、当面の生活費や医療費に充てるため「袴田救済ファンド」と名づけた基金を設け、募金を呼びかけている。無罪が確定すれば刑事補償を受けられるが、それまでには時間がかかりそうだからだ。

 それにしても国は、釈放すればあとは姉や弁護団、支援者に任せて知らんふりで良いのか。袴田さんの体調をここまで悪化させた原因は、すべて国家機関や警察にあるのだから、無罪確定前とはいえ可能な限りの支援策を講じるべきだろう。1人の人間の人生をめちゃめちゃにした側の、最低限の対応だと思う。

   (客席に向かってVサインをする袴田巖さん。右隣は姉の秀子さん。)
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●袴田事件・釈放!: 「捜査機関が重要な証拠を捏造した疑い」「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」

2014年03月28日 00時00分46秒 | Weblog


東京新聞の記事【袴田事件の再審開始決定 静岡地裁「無罪の可能性」】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014032701000806.html)。
asahi.comの二つの記事【袴田事件の再審開始決定、釈放へ 証拠「捏造の疑い」】(http://www.asahi.com/articles/ASG3K6R2XG3KUTPB01C.html?iref=comtop_6_01)と、
【無実の叫び48年、支え続けた姉「うれしい」 袴田事件』(http://www.asahi.com/articles/ASG3T5QVHG3TUTPB015.html?iref=comtop_6_02)。

 出張先で知った衝撃的なニュース。素晴らしい判断、画期的な判決である(当然の判断で、あまりに遅い)。しかも、釈放である。「村山浩昭裁判長は、犯人が事件時に着ていたとされる「5点の衣類」に付いた血液のDNA型が袴田元被告とは一致しないとする鑑定結果を認定。衣類は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する」と判断」「村山浩昭裁判長・・は「捜査機関が重要な証拠を捏造(ねつぞう)した疑いがあり、犯人と認めるには合理的疑いが残る」と判断。「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」と刑の執行停止(釈放)も決めた」。「犬」や「ヒラメ」でないことが証明。

 「無実の叫びが半世紀を経て、ようやく司法に届いた。事件から48年、確定死刑囚となってから33年。27日、静岡地裁が袴田巌(いわお)死刑囚(78)の再審開始を決定した。支援を続けてきた姉は支援者と抱き合い、喜びを分かち合った。だが、死刑囚本人は、その意味を理解できるのかすらわからない」・・・・・・取り返しのつかない48年。死刑囚として精神的に大変な苦痛だったはずであり、これまで袴田事件に関わった警察、検察、裁判所はどう対処する心算だろうか? 「だが死刑囚は長い拘置所生活で精神を病んでおり、その意味を理解できるのかすらわからない」・・・・・・なんて残酷なんだろう・・・・・・激しい怒りがわいてくる。足利事件菅家さんの怒りのコメントと『噂の真相』で有名な宗像紀夫元検事の司法擁護コメントが対照的で、後者のコメントに心底呆れた。
 次は飯塚事件、こちらは既に死刑執行・・・・・・。

   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審
                           司法の良心を示せるか?

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014032701000806.html

袴田事件の再審開始決定 静岡地裁「無罪の可能性」
2014年3月27日 13時13分

    (袴田事件で再審を認める決定が出され、喜びを語る袴田巌元被告の
     姉秀子さん=27日午前、静岡地裁前

 1966年6月に静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家4人を殺害したとして、80年に死刑が確定した元プロボクサー袴田巌元被告(78)=東京拘置所収監中=の第2次再審請求審で、静岡地裁は27日、裁判のやり直しを決定するとともに、死刑の執行を停止、元被告の釈放を認めた

 法務省によると、死刑囚の再審開始決定で、拘置の執行停止が認められたのは初めて。 村山浩昭裁判長は、犯人が事件時に着ていたとされる「5点の衣類」に付いた血液のDNA型が袴田元被告とは一致しないとする鑑定結果を認定。衣類は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する」と判断した。

(共同)
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http://www.asahi.com/articles/ASG3K6R2XG3KUTPB01C.html?iref=comtop_6_01

袴田事件の再審開始決定、釈放へ 証拠「捏造の疑い」
2014年3月27日10時55分

    (再審開始が決まり、感想を述べる姉の袴田ひで子さん。
     左は西嶋勝彦弁護団長=27日午前10時3分、静岡市葵区、
     山本壮一郎撮影)

 1966年に静岡県の一家4人が殺害、放火された「袴田事件」で死刑が確定した元プロボクサー袴田巌(いわお)死刑囚(78)=東京拘置所在監=の第2次再審請求審で、静岡地裁(村山浩昭裁判長)は27日、再審開始を認める決定をした。村山裁判長は「捜査機関が重要な証拠を捏造(ねつぞう)した疑いがあり、犯人と認めるには合理的疑いが残る」と判断。「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」と刑の執行停止(釈放)も決めた。

 死刑囚の再審開始決定は免田財田川松山島田無罪確定4事件と、後に覆された2005年の名張毒ブドウ酒事件の名古屋高裁決定に次いで6件目。

 静岡地検の西谷隆次席検事は「予想外の決定。上級庁と協議して速やかに対応する」と語った。刑の執行停止に対しては即日、不服申し立てをする方針。再審開始の判断については、不服申し立てを28日以降に行う方向とみられる。

 事件は66年6月30日に発生。同年8月、みそ工場従業員だった袴田元被告が強盗殺人や放火などの容疑で逮捕され、捜査段階で犯行を認める自白調書が作られたが、公判では一貫して否認。静岡地裁は68年9月、自白調書1通と間接証拠から元被告の犯行と断定して死刑を宣告し、80年11月に最高裁で確定した。

 08年4月に始まった第2次再審請求の最大の争点は、犯行時の着衣の一つとされる白半袖シャツに付いていた血痕のDNA型鑑定だった。確定判決は、シャツの右肩についた血痕の血液型が同じB型だとして、元被告のものと認定。第1次再審請求でもDNA型鑑定が行われたが、「鑑定不能」だった。

 第2次請求で再鑑定された結果、検察、弁護側双方の鑑定ともシャツの血と元被告のDNA型が「一致しない」とする結果が出た。検察側は「鑑定したDNAが劣化しており、汚染された可能性がある」と主張。弁護側と鑑定結果の信用性を巡って争っていた。

 この日の静岡地裁決定は弁護側鑑定について、「検査方法に再現性もあり、より信頼性の高い方法を用いている」と指摘。「検察側主張によっても信用性は失われない」と判断した。そのうえで、犯行時に元被告が着ていたとされる着衣は「後日捏造された疑いがぬぐえない」と指摘。DNA型鑑定の証拠が過去の裁判で提出されていれば、「死刑囚が有罪との判断に到達しなかった」と述べ、刑事訴訟法上の「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」にあたると結論づけた。

 さらに「捏造された疑いがある重要な証拠で有罪とされ、極めて長期間死刑の恐怖の下で身柄拘束されてきた」として、「再審を開始する以上、死刑の執行停止は当然」とも指摘した。

 事件では起訴から1年後の一審公判中、現場近くのみそ工場のタンクから血染めの白半袖シャツやズボンなどが見つかり、検察側は犯行時の着衣を、パジャマから変更。静岡地裁判決は自白偏重の捜査を批判し、45通のうち44通の自白調書を違法な取り調べによるものとして証拠排除したが、5点の衣類を始めとする間接証拠類と自白調書1通で、死刑を選択した。

     ◇

 〈袴田事件〉 1966年6月30日未明、静岡県清水市(現・静岡市清水区)のみそ製造会社専務(当時41)宅から出火。焼け跡から専務、妻(同39)、次女(同17)、長男(同14)の遺体が見つかった。全員、胸や背中に多数の刺し傷があった。県警は同年8月、従業員の袴田巌元被告(同30)を強盗殺人などの疑いで逮捕。一審で死刑判決を書いた熊本典道・元裁判官は2007年、「捜査段階での自白に疑問を抱き、無罪を主張したが、裁判官3人の合議で死刑が決まった」と評議の経緯を明かし、再審開始を求めていた。
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http://www.asahi.com/articles/ASG3T5QVHG3TUTPB015.html?iref=comtop_6_02

無実の叫び48年、支え続けた姉「うれしい」 袴田事件
2014年3月27日12時43分

     (再審開始が決まり、会見で喜ぶ姉の袴田ひで子さん=
      27日午前11時33分、静岡市葵区、福留庸友撮影)

 無実の叫びが半世紀を経て、ようやく司法に届いた。事件から48年確定死刑囚となってから33年。27日、静岡地裁が袴田巌(いわお)死刑囚(78)の再審開始を決定した。支援を続けてきた姉は支援者と抱き合い、喜びを分かち合った。だが死刑囚は長い拘置所生活で精神を病んでおり、その意味を理解できるのかすらわからない。

 再審開始の知らせを手に静岡地裁を出た袴田巌元被告の姉、ひで子さん(81)は、笑顔でくしゃくしゃになっていた。「うれしい。それだけです」。目には涙が浮かんでいた。

 弟を支えるため、一身を捧げてきた48年だった。

・・・・・・・・・。
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●作られた袴田冤罪事件、理不尽極まる漸くの初の証拠開示

2011年12月23日 00時00分46秒 | Weblog


東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011121202000032.html)。もたもたと、腹立たしくてしょうがない。

 ようやく証拠の開示。初だ。あまりに理不尽ではないか。単なる冤罪ではない。味噌樽に仕込まれた、本人が履くこともできない服など、警察や検察に証拠が捏造された冤罪の疑いが濃い。それを正せなかった裁判所。一体どう責任を取るつもりか! 司法は、「スローな死刑」を待っているとしか思えない。司法関係者は、美談の男冤罪 袴田事件を裁いた元主任裁判官・熊本典道の秘密』を読んでくれ。
 袴田秀子さんによると、精神的にかなり問題が発生しているようだ。絶望感、毎朝が死刑に脅える恐怖で、まともな精神状態でいられるはずがない。しかも、作られた冤罪で・・・。

 asahi.comの記事(http://www.asahi.com/national/update/1222/TKY201112220265.html)によると、DNAは不一致だったという。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011121202000032.html

袴田事件 録音テープを開示
20111212 夕刊

 一九六六年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家四人が殺害された袴田事件の第二次再審請求で、静岡地検は十二日、静岡地裁の勧告を受け、袴田巌死刑囚(75)の取り調べを録音したテープや供述調書など百七十六点の証拠を、地裁で開かれた臨時の三者協議で新たに弁護団に開示した。

 弁護団は開示後に記者会見し、警察官が録音の承諾を求める部分などテープの一部を再生した。

 裁判所の勧告に基づく証拠開示は、同事件で初めて。福井の女子中学生殺害事件では、名古屋高裁金沢支部の勧告による証拠開示が再審開始につながったとされ、今回明らかになった証拠も、再審の可否をめぐる地裁の判断に影響を与える可能性がある。

 弁護団の西嶋勝彦団長は会見で「大きな前進」と評価。「証拠を基に論点を補充し一日も早く再審決定をしてもらえるようにしたい」と述べた。

 開示されたのは静岡県警が起訴後の六六年九月二十一日に取り調べ状況を録音したテープ一本と、起訴前後の同年七月四日~九月三十日に作成された供述調書など約三十通のほか、凶器とされた小刀に関する捜査報告書、血が付いているとされたパジャマの血液鑑定書など。

 地検はこれまで、弁護団が請求した捜査報告書など証拠の一部を開示したが、今回の証拠は「再審請求の内容に関連がない」と拒否していた。地裁は今月五日、全てを開示するよう勧告した。


取り調べ一部再生 小さな声「はい」 

 「今日はこれから、きみの話したことを録音しますが、承諾するかね」と質問する警察官。袴田死刑囚は小さい声で「はい、いいです」と答えた。弁護団が十二日、記者会見で再生した録音テープ。確定判決から三十一年、袴田死刑囚が取り調べに臨んだ際の肉声が初めて表に出た。

 「言いたくないことは言わなくていいし、嫌なら言わなくていい」と諭すように話し、録音していいか尋ねる取調官に、袴田死刑囚は「はい」と答えた。再生はされなかったが、この後に犯行を認める供述調書を読み上げたといい、弁護団は「自白の任意性を証明しようとしたのではないか」と録音の狙いを分析している。

 弁護団は開示された現場写真のネガも公開。小川秀世弁護士は「侵入方法の再現実験など、あるべき写真が欠けている警察がいかにいいかげんな捜査をしていたのか分かる」と興奮気味に話した。
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http://www.asahi.com/national/update/1222/TKY201112220265.html

20111222149
袴田事件、弁護側「DNA型不一致」 服の鑑定結果

 静岡県清水市(現静岡市清水区)で1966年にみそ会社専務一家4人を刺殺したなどとして死刑が確定した袴田巌(いわお)死刑囚(75)の第2次再審請求で22日、検察側と弁護側がそれぞれ推薦した鑑定人によるDNA型鑑定の結果が明らかになった。弁護団推薦の鑑定人による鑑定では、袴田死刑囚が犯行時に着ていたとされる「5点の衣類」に付いていた血痕と一致するDNA型は、被害者のものとみられる衣類からは検出できなかったとされた

 一方、検察側が推薦した鑑定人は「5点の衣類」の一つと、被害者のものとみられる衣類の一部から検出されたDNA型は「同一人に由来した可能性を排除できない」との結論を示しており、見解が分かれた。ただ、二つの鑑定とも被害者のものとみられる衣類から検出されたDNA型には血縁関係が認められるとした。

 鑑定結果は、静岡地裁(原田保孝裁判長)が同日、弁護団と静岡地検の双方に通知し、これを受けて弁護団が開示した。弁護団はこれまで「5点の衣類についた血痕は被害者のものではないから、袴田死刑囚がこの服を着て犯行に及んだと認定した確定判決は誤りだ」と主張。弁護側鑑定の結果はこの主張を補強する証拠になる可能性があるが、鑑定結果が異なることから、地裁は今後、鑑定方法などについて慎重に検証することになる。
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