Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●膨大な《デブリの総量も3基で計約880トン》のうち、福島第1原発2号機の《1グラム程度を数回採取する予定》…いまだ、それさえも困難?

2023年11月07日 00時00分43秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年10月12日[木])
「廃炉」のゴールがどこか不明。10km、1万km、1光年先? 「廃炉終了の定義」も無く、汚染水投棄で「廃炉終了」への0.1歩の前進もない。

   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の
     議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●核燃料デブリに触れた汚染水をALPS処理した〝汚染水〟の海洋
     放出に断固反対する…〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行である
   『●(デモクラシータイムス/原発耕論)《汚染水海洋放出は無責任の極み!》
      …希釈しても汚染物質は減らない、〝汚染水〟の海洋放出に断固反対
   『●そんな核燃料デブリに触れた水を処理した〝汚染水〟…そんなものを海に
      捨てた例はどこにもない、〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行
   『●《通常の原発からも海洋放出しているから安全なのではなく、人体に
     とって危険なトリチウムを排出する通常の原発稼働も止めることが必要》
    (長周新聞)《カナダでは、重水炉というトリチウムを多く出すタイプの
     原子炉が稼働後しばらくして住民のあいだで健康被害の増加が問題に
     された。調査の結果原発周辺都市では小児白血病や新生児死亡率が
     増加し、ダウン症候群が80%も増加した。またイギリスの
     セラフィールド再処理工場周辺地域の子どもたちの小児白血病増加に
     関して、サダンプト大学の教授は原因核種としてトリチウムと
     プルトニウムの関与を報告している》

   『●長周新聞【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める
      政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】
   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●「賠償ではなく、漁業をしたいだけ」…福島県漁連は《関係者》では
     ないのか? ―――「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」?
   『●#zutto_uso_datta、斉藤和義さん「#ずっとウソだった」。そして、「関係
     者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束もウソだった
   『●既に実害…《「汚染水放出は危険・問題派」…汚染水放出そのものが
     すでに中国や韓国など海外による輸入規制など経済的実害を生んでいる》
   『●《「海洋資源に大きく依存している太平洋諸島の人々の命と生活を脅かす」
        …「太平洋を核廃棄物のごみ捨て場にこれ以上するべきではない」》
   『●息吐く様にウソをつく…「日本の原発でそういう事態は考えられない」、
     菅直人氏についてのデマ「メルマガ事件」、「汚染水漏えい問題はない」
   『●【全責任持つという無責任】…《漁業関係者は…反対…岸田文雄首相が
       「漁業が継続できるよう、全責任を持って対応する」として押し切った》
   『●《30年以上も放出が続けば長い半減期の放射性物質の総量は増え続ける
     ことにならないか。微量でも人体に入れば内部被ばくが起きる可能性》
   『●《万が一にも大事故が起きれば…。そのようないたってシンプルな理由
     から原発の停止を命じた裁判官がいる。元福井地裁判事の樋口英明氏だ》
   『●木野龍逸さん《そもそも「廃炉」の定義すら決まっていない中で、廃炉を
     を進めるために汚染水の海洋放出が必要という理屈はまったく意味が不明》
   『●「廃炉終了の定義」も無く、0.1歩の前進もない…汚染水という名の《処理
     水の海洋放出が政府や東電が言う「大きなステップ」となる》はずもない
   『●まさに汚染水、海洋投棄してはいけない…トリチウム以外にも
     《炭素14…コバルト60…ヨウ素129…セシウム137》が含まれる汚染水
   『●【こちら特報部/応じないと非国民? 岸田政権が旗を振る「国民運動」に
     違和感 国産水産物の風評被害を招いたのはそもそも】汚染水の海洋投棄

 それにしても、《1号機の土台損傷》(ペデスタル)問題はいったいどこに行ってしまったのだろうか? ――――――《原子炉圧力容器を支える土台…鉄筋コンクリート…全周にわたって損傷し、内部の鉄筋が露出していた。東電は耐震性を評価》? 《巨大な地震はいつ起きてもおかしくない》というのに。東電の主張する《根拠》から、大地震が起こっても、次も幸運に恵まれると思っているのか…。《「支持機能は維持されている」…東電福島第一廃炉推進カンパニーの小野明・最高責任者はそう強調した。…圧力容器を支えるのに問題はないという意味だ。昨年3月の震度6強の地震でも容器が落下しなかったことなどが根拠という》…あぁぁ、絶望的な気分になる。

   『●耐震性? 《原子炉圧力容器を支える土台…鉄筋コンクリート…全周に
     わたって損傷し、内部の鉄筋が露出していた。東電は耐震性を評価》?
   『●《「支持機能は維持されている」…小野明・最高責任者はそう強調…圧力
     容器を支えるのに問題はないという意味だ》…次も幸運に恵まれるの?
   『●ドイツは《脱原発を完了》: 彼我の差を感じて情けなくなる…何処まで
      愚かな国なのだろうか。そして、いま、原子炉圧力容器が崩落の危機…

 「1個のデブリを僅かに持ち上げた」…と大喜びしていたあの頃と何も変わっていない。
 福地慶太郎記者による、アサヒコムの記事【福島第一原発デブリ回収、3度目の延期? 東電の代案「相当厳しい」】(https://www.asahi.com/articles/ASRB964JKRB6ULBH003.html)によると、《東京電力福島第一原発事故で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の試験的な取り出し作業について、3度目の延期の可能性が出てきた》。

   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
      3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?

 膨大な《デブリの総量も3基で計約880トン》のうち、福島第1原発2号機の《1グラム程度を数回採取する予定》かぁ。それさえも無理ではないのか? 「廃炉終了の定義」は何処? 汚染水投棄で「廃炉終了」への第1歩どころか、0.1歩の前進もある訳がない。10km先に「廃炉終了」がある保証もない。
 東京新聞の記事【東電、ロボットアーム使えない? 福島第1原発、デブリ取り出し】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/280378)によると、《東京電力は28日、2023年度後半に開始予定の福島第1原発2号機の溶融核燃料(デブリ)取り出し用に開発したロボットアームが使えない恐れが出てきたため、より簡易な伸縮式パイプの使用も検討していると発表した》、《しかし貫通部のふたを留めているボルトが強く固着していることが分かり、堆積物も同様に固着している可能性が出てきた》、さらに、《東電は現時点でデブリ取り出し開始時期を変更しない。当初は試験的な位置付けで、1グラム程度を数回採取する予定。》
 ところで、《1グラム程度を数回採取》したその僅かなデブリ、どこでどのように保管するのだろうか?

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https://www.asahi.com/articles/ASRB964JKRB6ULBH003.html

福島第一原発デブリ回収、3度目の延期? 東電の代案「相当厳しい」
福地慶太郎 2023年10月9日 21時00分

     (福島第一原発2号機の格納容器で、燃料デブリと
      みられる複数の小石状の堆積(たいせき)物(中央)を
      装置で挟む様子=東京電力提供)

 東京電力福島第一原発事故で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の試験的な取り出し作業について、3度目の延期の可能性が出てきた。

 政府と東電は当初、作業を2021年に始める予定だったが、装置開発の遅れなどで2度にわたって延期。今年度後半の作業開始をめざすが、今度は現場の準備が難航し、専門家からはさらなる延期を懸念する声も。東電は代替案の検討を始めたが、先行きは不透明だ。

 燃料デブリは、福島第一原発1~3号機に計880トンあるとされる。燃料デブリは非常に高線量で人が近づけず、遠隔装置を使うしかないため、廃炉に向けた最難関の作業だ。

 政府と東電は、11年12月にまとめた工程表で、10年以内に燃料デブリの取り出しを始めるという目標を明記した。その後、内部の調査が進んだ2号機で21年から取り出しを始めると決めたが、新型コロナウイルスの影響や装置の不具合などによって作業の開始時期が2回延期された。

 政府と東電の計画では、原子炉格納容器の内部へ通じる既存の貫通口から折りたたみ式のロボットアームを入れ、試験的に数グラムの燃料デブリを取り出す

 貫通口は直径約55センチ。ロボットアーム(縦約40センチ、幅約25センチ)を入れるためには、貫通口の中にたまっているケーブルなどを除去する必要がある。

 東電は今年6月、貫通口のフタを固定しているボルト24本の取り外し作業を始めた。

 今年度上期にはフタを開き、中のケーブルなどの除去を始めるはずだったが、一部のボルトが固着していて、取り外しが難航。事故時に炉心が高温になり、フタの接地面のゴムなどが溶けてボルトの穴につまった可能性があるとみられ、今もボルトの取り外しを終えていない

 廃炉作業の進み具合を確認する今年8月の政府の会議では、外部の専門家から「ボルトが取れても、フタが開くのか。溶けた樹脂が接着剤のようになって、すぐに開かないのでは」「(今年度後半の取り出し開始は)時間的に厳しく感じている」などと先行きを懸念する声が相次いだ。

 こうした状況を踏まえ、東電………
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/280378

東電、ロボットアーム使えない? 福島第1原発、デブリ取り出し
2023年9月28日 21時44分 (共同通信)

     (福島第1原発2号機の溶融核燃料取り出し)

 東京電力は28日、2023年度後半に開始予定の福島第1原発2号機の溶融核燃料(デブリ)取り出し用に開発したロボットアームが使えない恐れが出てきたため、より簡易な伸縮式パイプの使用も検討していると発表した。

 東電によると、アームを差し込む原子炉格納容器側面の貫通部内には事故時の熱で劣化した樹脂とみられる堆積物などがあり、高圧の水を噴射して取り除く予定だった。しかし貫通部のふたを留めているボルトが強く固着していることが分かり、堆積物も同様に固着している可能性が出てきた。

 パイプは過去の調査でも使った実績があり、先端からデブリ採取装置をつり下げる。アームより細いため堆積物を完全に除去できなくてもデブリに届くが、範囲は限定的になる。記者会見した東電廃炉責任者の小野明氏は「手間取るかもしれないが、堆積物は除去できると思う。メインはアームだ」と述べ、アームも活用する考えを示した。

 東電は現時点でデブリ取り出し開始時期を変更しない。当初は試験的な位置付けで、1グラム程度を数回採取する予定。
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●「廃炉終了の定義」も無く、0.1歩の前進もない…汚染水という名の《処理水の海洋放出が政府や東電が言う「大きなステップ」となる》はずもない

2023年10月05日 00時00分37秒 | Weblog

[『放射線を浴びたX年後』(http://x311.info/part1.html)↑]


(2023年09月08日[金])
どこが「処理水」なの? そりゃぁ、「汚染水」です。そんなものを海に放流・廃棄すれば、漁業者に対する《二重の加害》(河合弘之さん)だし、他国が海洋放出に反対するのも当然だろう。既に経済的実害を生じています。そもそも、逆の立場だったら (例えば、中国や韓国であればなおさら) 「やかましぃ文句言うでしょうがぁ」、ねぇ。基本に立ち返れば、《通常の原発からも海洋放出しているから安全なのではなく、人体にとって危険なトリチウムを排出する通常の原発稼働も止めることが必要》という発想でしょうもん。
 山川剛史記者による、東京新聞の記事【7割は再び処理が必要 福島第1原発の「処理途上水」の実情とは】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/274245)。《東京電力は、福島第1原発で貯蔵する高濃度汚染水を処理した後の「処理水」を8月24日から海に放出し始めた。放出は、トリチウム以外の放射性物質が基準値を下回るまで処理した後、大量の海水で薄め、除去できないトリチウムは基準値の40分の1未満にするという。ただ、現時点で政府が新たに定めた放出基準を満たす水は、134万トンのうち3割ほどで、残る7割は少なくとももう一度処理する必要がある。東電自らが「処理途上水」と呼ぶ水だ。基準を満たさない水はどのエリアにあり、なぜこんな状況になったのかを探った。(山川剛史)》。

 定義も出来ない「廃炉終了」、「廃炉」は1mmも進んでいない。東京電力核発電人災により、膨大な《デブリの総量も3基で計約880トン》…廃炉終了の定義も無く、デブリの持って行き場所も? いや、デブリの取り出しや廃炉終了までのスケジュールが全く見通せないのだ。小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》。流入する地下水を止める気がないのですから、永遠にデブリに触れた〝汚染水〟が生成…。一体全体、〝汚染水〟の海洋投棄で廃炉作業の何が進むのか?

   『●すぐさま廃炉作業に着手を!

 上記の2013年09月12日のブログ…「解体先進国」イギリスに於いてでさえ、(鈴木耕さん)《なんとも気が遠くなるような話だ。これまでに20年間を費やして廃炉作業を行ってきたが、最終処理まであと70年かかるという。つまり、合計で90年の歳月が必要ということになる。しかも、これは深刻な事故を起こしたわけでもなく、普通に運転をして普通に廃炉作業に入った原発で、なおかつ23.5万キロワットという小さな原発である。それでもこれだけの時間が必要なのだ。問題はそれだけではない。大きくのしかかるのが「廃炉費用」だ。このトロースフィニッド原発の廃炉にかかる総費用は約6億ポンド(900億円)になるという。だがこれは、現段階での試算あと70年間に、それがどうなるかは実は誰にも分からない

 デブリ取り出し後、《30年から40年続く廃炉への道のり》…メルトダウン、メルトスルーなのに、以下の社内報では、見積もりが甘くないでしょうかねぇ? 《「解体先進国」英の原発 稼働26年 廃炉90年》です。まず、この12年間、《廃炉への取組み》など何も出来ていないし、そもそも《総量も3基で計約880トン》ものデブリ取り出しは可能なのか…? どうやって取り出し、どこに、どのように保管?
 鹿島建設株式会社の(2023年8月号No.769 社内報KAJIMA)【特集/福島第一原子力発電所の廃炉 -1号機・2号機の燃料取り出しに向けて-】(https://www.kajima.co.jp/news/digest/aug_2023/feature/index.html)/《全社を挙げた福島第一原子力発電所の廃炉への取組みが12年を過ぎた。30年から40年続く廃炉への道のり。すべてが初の試みとなる重要な作業であり,一つの作業の終わりは,次の作業の始まりとなる。当社は現在,福島第一原子力発電所の1号機と2号機の燃料取り出しに向けたステップの一つを担う。高線量という環境下で,より安全・安心なプロジェクト遂行に挑む当社の最前線を紹介する》。

 《処理水の海洋放出が政府や東電が言う「大きなステップ」となる》はずもない。キシダメ首相《「処理水を保管するタンクが林立し、廃炉を進めるために必要なスペースがなくなっている」》という言い訳のなんというデタラメさ。
 小野沢健太渡辺聖子両記者による、東京新聞の記事【2051年になっても処理水を放出している可能性 デブリ取り出しや地下水流入阻止 廃炉へ困難な課題山積】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/271688)。《東京電力福島第1原発の汚染水を浄化処理した水の海洋放出が24日にも始まる見通しになった。放出により事故当初からの懸案だった敷地内のタンク保管の限界は避けられる。一方で、汚染水の発生そのものを止める手だてはなく、2051年とされる廃炉の目標を超えても、放出が続く可能性がある。今後の事故収束は極めて困難な作業が山積みで、廃炉の姿すらはっきりしない。処理水の海洋放出が政府や東電が言う「大きなステップ」となるのかは疑問だ。(小野沢健太渡辺聖子)》。

   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の
     議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●核燃料デブリに触れた汚染水をALPS処理した〝汚染水〟の海洋
     放出に断固反対する…〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行である
   『●(デモクラシータイムス/原発耕論)《汚染水海洋放出は無責任の極み!》
      …希釈しても汚染物質は減らない、〝汚染水〟の海洋放出に断固反対
   『●そんな核燃料デブリに触れた水を処理した〝汚染水〟…そんなものを海に
      捨てた例はどこにもない、〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行
   『●《通常の原発からも海洋放出しているから安全なのではなく、人体に
     とって危険なトリチウムを排出する通常の原発稼働も止めることが必要》
    (長周新聞)《カナダでは、重水炉というトリチウムを多く出すタイプの
     原子炉が稼働後しばらくして住民のあいだで健康被害の増加が問題に
     された。調査の結果原発周辺都市では小児白血病や新生児死亡率が
     増加し、ダウン症候群が80%も増加した。またイギリスの
     セラフィールド再処理工場周辺地域の子どもたちの小児白血病増加に
     関して、サダンプト大学の教授は原因核種としてトリチウムと
     プルトニウムの関与を報告している》

   『●長周新聞【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める
      政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】
   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●「賠償ではなく、漁業をしたいだけ」…福島県漁連は《関係者》では
     ないのか? ―――「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」?
   『●#zutto_uso_datta、斉藤和義さん「#ずっとウソだった」。そして、「関係
     者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束もウソだった
   『●既に実害…《「汚染水放出は危険・問題派」…汚染水放出そのものが
     すでに中国や韓国など海外による輸入規制など経済的実害を生んでいる》
   『●《「海洋資源に大きく依存している太平洋諸島の人々の命と生活を脅かす」
        …「太平洋を核廃棄物のごみ捨て場にこれ以上するべきではない」》
   『●息吐く様にウソをつく…「日本の原発でそういう事態は考えられない」、
     菅直人氏についてのデマ「メルマガ事件」、「汚染水漏えい問題はない」
   『●【全責任持つという無責任】…《漁業関係者は…反対…岸田文雄首相が
       「漁業が継続できるよう、全責任を持って対応する」として押し切った》
   『●《30年以上も放出が続けば長い半減期の放射性物質の総量は増え続ける
     ことにならないか。微量でも人体に入れば内部被ばくが起きる可能性》
   『●《万が一にも大事故が起きれば…。そのようないたってシンプルな理由
     から原発の停止を命じた裁判官がいる。元福井地裁判事の樋口英明氏だ》
   『●木野龍逸さん《そもそも「廃炉」の定義すら決まっていない中で、廃炉を
     進めるために汚染水の海洋放出が必要という理屈はまったく意味が不明》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/271688

2051年になっても処理水を放出している可能性 デブリ取り出しや地下水流入阻止 廃炉へ困難な課題山積
2023年8月22日 06時00分

 東京電力福島第1原発の汚染水を浄化処理した水の海洋放出が24日にも始まる見通しになった。放出により事故当初からの懸案だった敷地内のタンク保管の限界は避けられる。一方で、汚染水の発生そのものを止める手だてはなく、2051年とされる廃炉の目標を超えても、放出が続く可能性がある。今後の事故収束は極めて困難な作業が山積みで、廃炉の姿すらはっきりしない。処理水の海洋放出が政府や東電が言う「大きなステップ」となるのかは疑問だ。(小野沢健太渡辺聖子


◆ロボットでわずか数グラム

 「処理水を保管するタンクが林立し、廃炉を進めるために必要なスペースがなくなっている」。21日、岸田文雄首相は全漁連坂本雅信会長との面会後、記者団に放出処分の意義をそう強調した。

 必要なスペースとは、1~3号機内から取り出した溶け落ちた核燃料(デブリ)を保管する建物などを意味する。デブリに触れた冷却水が建屋に流入した地下水や雨水と混ざり、大量の汚染水となる。汚染水の発生源を断つデブリの取り出しは、事故収束の最難関とされる。

 2号機で23年度後半に試験的な取り出しが計画されるが、遠隔操作のロボットを使って取り出せるのはわずか数グラムデブリの総量は3基で計880トンと推計され、全量の取り出しができる工法ではない


◆丸ごと構造物で囲う案は…

 大規模な取り出しに向け、3号機を丸ごと構造物で囲い、建屋全体を水没させて取り出す工法の検討が始まったが、実際にそのような工事が可能なのかも分からない。1号機は格納容器底部の広範囲にデブリが散らばっている可能性が高く、工法は白紙。大量のデブリを保管する施設が必要になる時期は見通せない

 ほかに汚染水の発生を止める手段は、原子炉建屋への地下水、雨水の流入をゼロにすること。建屋周辺の井戸で地下水をくみ上げたり、地面を舗装して雨水が地下水になることを防いだりして対策は進み、汚染水発生量は15年度に比べて5分の1ほどに減った

 しかし、建屋のどこから地下水が流入しているのかは不明で、放射線量が高く詳しい調査や止水工事は難しい。東電は将来、建屋地下に鉄板を巡らすなどの対策を候補に挙げているが、検討の具体化は5年以上先とみられ、流入防止につながるのかも不確かだ。


◆廃炉の定義、見えないまま

 福島第1の廃炉計画は、51年までに廃炉を完了させる目標を掲げる。事故当初の計画には、1~4号機の原子炉建屋を解体することが記載されていたが、13年時点の改定で建屋解体の記載がなくなった。これにより、廃炉がどのような状態を示すのかが分からなくなった

 廃炉は通常の原発では更地化することを指すが、福島第1の廃炉の定義について、東電福島第1廃炉推進カンパニー小野明・最高責任者は「最終的にどうするかは地元自治体と相談して決めていくことになるだろう」と説明。最終的な姿が見えず、放出を完了できる見通しもないまま、政府は放出日程の判断に向かうことになる。

【関連記事】原発処理水の放出にお墨付き…IAEAは本当に「中立」か 日本は巨額の分担金、電力業界も人員派遣
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●《30年以上も放出が続けば長い半減期の放射性物質の総量は増え続けることにならないか。微量でも人体に入れば内部被ばくが起きる可能性》

2023年09月04日 00時00分18秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年08月31日[木])
定義も出来ない「廃炉終了」、「廃炉」は1mmも進んでいない。東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も3基で計約880トン》…廃炉終了の定義も無く、デブリの持って行き場所も? いや、デブリの取り出しや廃炉終了までのスケジュールが全く見通せないのだ。小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》。流入する地下水を止める気がないのですから、永遠にデブリに触れた〝汚染水〟が生成…。一体全体、〝汚染水〟の海洋投棄で廃炉作業の何が進むのか?
 長周新聞の記事【海洋放出計画を凍結し、影響を受ける人々が参加する議論のプロセスを 福島大学研究者などでつくる福島円卓会議が緊急アピール発出】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/27460)。《政府と東電が24日から開始した福島第一原発汚染水の海洋放出をめぐり、住民参加型の議論を求めて福島大学の研究者が農漁業者らと設立した「復興と廃炉の両立とALPS処理水問題を考える福島円卓会議」が21日、緊急アピールを発出した。地元住民や漁業者との約束を反古にし、一方的に海洋放出を決定した政府に対して計画の凍結と議論のやり直しを求めている。起草したのは、福島円卓会議呼びかけ人である…。福島現地の切実な訴えとして全文紹介する。》《1.今夏の海洋放出スケジュールは凍結すべきである》《2.地元の漁業復興のこれ以上の阻害は許容できない》《3.いま優先して取り組むべきなのは地下水・汚染水の根本対策である》《4.海洋放出は具体的な運用計画がまだなく、必要な規制への対応の姿勢も欠けている》《5.今後、県民・国民が参加して議論する場が必要である》。

 《二重の加害》…そして、何度目の実害か…。
 同紙の記事【「汚染水」の海洋投棄を撤回し議論のやり直しを求める れいわ新選組が声明】(https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/27464)。《政府と東電が24日から福島第1原発内の汚染水の海洋放出を開始することを発表したことを受けて、れいわ新選組(山本太郎代表)は23日、「『汚染水』の海洋投棄を撤回し議論のやり直しを求める」とする声明を発した》。《規模、期間ともに前例のない放射能汚染水の太平洋への投棄を撤回し、生態学的・経済的・文化的に貴重な海洋資源と共に生きてきた人類と地域社会をまもるための他のアプローチを徹底追求することを強く求める》。

 #zutto_uso_datta斉藤和義さん「ずっとウソだった」。
 東京新聞の【<社説>海洋放出に周辺国反発 原発事故の反省あるのか】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1774592.html)。《しかし、30年以上も放出が続けば長い半減期の放射性物質の総量は増え続けることにならないか。微量でも人体に入れば内部被ばくが起きる可能性がある。将来への影響がないと言い切れるか、国民は不安を拭えずにいる》。
 《原発事故は周辺国も震撼(しんかん)させた。日本政府は、その反省と責任を認識しているのか。それが問われている》…はずなのに、福島を《原状回復》することもなく、《原発回帰》《原発復権》するニッポン。老朽原発も再稼働させたいそうだ。「脱原発の約束はどこに」?

   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の
     議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●核燃料デブリに触れた汚染水をALPS処理した〝汚染水〟の海洋
     放出に断固反対する…〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行である
   『●(デモクラシータイムス/原発耕論)《汚染水海洋放出は無責任の極み!》
      …希釈しても汚染物質は減らない、〝汚染水〟の海洋放出に断固反対
   『●そんな核燃料デブリに触れた水を処理した〝汚染水〟…そんなものを海に
      捨てた例はどこにもない、〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行
   『●《通常の原発からも海洋放出しているから安全なのではなく、人体に
     とって危険なトリチウムを排出する通常の原発稼働も止めることが必要》
    (長周新聞)《カナダでは、重水炉というトリチウムを多く出すタイプの
     原子炉が稼働後しばらくして住民のあいだで健康被害の増加が問題に
     された。調査の結果原発周辺都市では小児白血病や新生児死亡率が
     増加し、ダウン症候群が80%も増加した。またイギリスの
     セラフィールド再処理工場周辺地域の子どもたちの小児白血病増加に
     関して、サダンプト大学の教授は原因核種としてトリチウムと
     プルトニウムの関与を報告している》

   『●長周新聞【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める
      政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】
   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●「賠償ではなく、漁業をしたいだけ」…福島県漁連は《関係者》では
     ないのか? ―――「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」?
   『●#zutto_uso_datta、斉藤和義さん「#ずっとウソだった」。そして、「関係
     者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束もウソだった
   『●既に実害…《「汚染水放出は危険・問題派」…汚染水放出そのものが
     すでに中国や韓国など海外による輸入規制など経済的実害を生んでいる》
   『●《「海洋資源に大きく依存している太平洋諸島の人々の命と生活を脅かす」
      …「太平洋を核廃棄物のごみ捨て場にこれ以上するべきではない」》
   『●息吐く様にウソをつく…「日本の原発でそういう事態は考えられない」、
     菅直人氏についてのデマ「メルマガ事件」、「汚染水漏えい問題はない」
   『●【全責任持つという無責任】…《漁業関係者は…反対…岸田文雄首相が
       「漁業が継続できるよう、全責任を持って対応する」として押し切った》

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https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1774592.html

<社説>海洋放出に周辺国反発 原発事故の反省あるのか
2023年8月29日 05:00

 東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出開始後、「核汚染水の海洋放出」と批判する中国で反日感情が拡大している。経済関係に大きな影響が出ているほか、SNSへの差別的な投稿や日本人学校への投石などが起きている。一般人に対する人権侵害は行き過ぎであり、残念である。

 海洋放出は、日本だけの問題ではない。周辺国の漁業者も風評被害を受ける。韓国政府は理解を示すが、韓国国民の反発は強い。日本政府は国内でも、漁業団体の理解を得るという約束をほごにした。国内、国外とも、理解を得ずに強行する日本政府の姿勢が今回の事態を招いた。放出を停止し、代替策の検討も含めて、国内も周辺各国とも真摯(しんし)に協議をやり直すべきだ。

 政府は、希釈しての海洋放出による影響は科学的にないと主張している。放出しているのは、トリチウム以外のストロンチウム90炭素14などの放射性物質の濃度の総和が1ミリシーベルト未満になるよう希釈し、さらにトリチウムが国の基準値の40分の1未満になるよう希釈したものだ。その結果、放出後の海水の測定で検出限界を下回っている

 水産庁は放出初日の24日に周辺海域で採取した魚を検査た結果、トリチウム濃度は検出限界値未満だったと公表した。しかし、30年以上も放出が続けば長い半減期の放射性物質の総量は増え続けることにならないか。微量でも人体に入れば内部被ばくが起きる可能性がある。将来への影響がないと言い切れるか、国民は不安を拭えずにいる。

 地球温暖化や海洋プラスチック問題も、何十年も年月を経て深刻な問題と認識されるに至った。ポリ塩化ビフェニール(PCB)や有機フッ素化合物(PFAS)も、健康への影響が後になって問題となった。「科学的にと言うとき、100年後を展望した謙虚さが求められる

 代替策は十分に検討されたのか。政府は、海洋放出、蒸発させる大気放出、地層注入など五つの方法のうち、国内外に実績のある方法として海洋放出と大気放出に絞り込んだ。そのうち、放出後のモニタリングがしやすいという理由で2021年4月に海洋放出を決定した。2年間の準備を経て今回の放出に至った。

 政府・東電にとって最も都合のいい方法として、海洋放出という結論が初めからあったのではないか。

 京都大複合原子力科学研究所研究員の今中哲二氏は、トリチウムの半減期が12・3年であることを踏まえて、第1原発敷地内でのタンク増設は可能であり、さらに10キロ南にある、廃炉が決まっている第2原発の敷地も使えるとして、長期保管を提案してきた。そして地下水の流入を防ぐ根本的な対策を進めるべきだと指摘している。

 原発事故は周辺国も震撼(しんかん)させた。日本政府は、その反省と責任を認識しているのか。それが問われている。
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●既に実害…《「汚染水放出は危険・問題派」…汚染水放出そのものがすでに中国や韓国など海外による輸入規制など経済的実害を生んでいる》

2023年08月28日 00時00分43秒 | Weblog

※ 「3.11から12 「避難中」なのに「原発回帰」(週刊金曜日 1411号、2023年02月10日) ↑]


(2023年08月26日[土])
飯田哲也さんの一連のつぶやきが凄く印象に残った:

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https://twitter.com/iidatetsunari/status/1694536445132964172

IIDA Tetsunari 飯田哲也@iidatetsunari

処理水/汚染水問題の構図

■全体構図
・完全に二極化してそれぞれがエコーチェンバーに入って、双方を「非科学的」と見做している
・日本政府が丸ごと一方のエコーチェンバーに入っている。

以下、双方のエコーチェンバーを私見と独断で対比してみる。
・「処理水放出は安全で問題ない派」を「処理水派」(処)と呼ぶ。
・「汚染水放出は危険・問題派」を「汚染水派」(汚)と呼ぶ。

午前11:25 2023年8月24日
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https://twitter.com/iidatetsunari/status/1694536450451341715

■主要論点と双方の食い違い

(1)廃炉に必要?
(処)福島第一原発の「廃炉」には避けて通れない
(汚) 「廃炉」の定義もない。地下水流入や水冷却を脱することが先決


(評価)
どう見ても「汚染水派」の批判が妥当

午前11:25 2023年8月24日
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https://twitter.com/iidatetsunari/status/1694536451780936001

(2)代替案
(処)他にスペースもなく、放水が最も低コスト
(汚)すでに放出案は風評被害対策評価を考慮すると高コスト。水蒸気放出、コンクリート化、巨大タンク化など多くの代替案がある

(評価)
これも「汚染水派」の提案が妥当かつ合理的

午前11:25 2023年8月24日
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https://twitter.com/iidatetsunari/status/1694536453425074536

(3)安全論
(処)トリチウムは安全、濃度も告示限度以下に抑えている
・IAEAも安全と評価している
(汚)トリチウム以外の多種多様な放射性物質核分裂生成物(約200種)が含まれており、多くは計測すらされていない
・トリチウムも有機結合型トリチウムは生物濃縮を起こす可能性がある
・告示限度は敷地境界1mSv/年以下に過ぎないが、こうした一般環境への放出には、長期かつ集団被曝の確率的な影響を考えて少なくとも100倍の安全裕度が必要
・IAEAは日本政府と東電の出したデータと評価を承認しただけ、そもそも原子力推進機関で、チェルノブイリ事故後にも被害を大きく過小評価した前科がある。
・人類が過去半世紀以上の公害、オゾン層破壊、気候変動などを引き起こす中で学んだ予防原則に立てば、未知・不可知のリスクを恐れるべき

(評価)
これも「汚染水派」の批判が真っ当で人類の叡智を踏まえている

午前11:25 2023年8月24日
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https://twitter.com/iidatetsunari/status/1694536455555793048

(4)他もやっている
(処)中国、韓国の原発からもトリチウムは大量に出ている
(汚)原発から必然的に出るトリチウムと、メルトダウンデブリの核汚染水とは根本的に違う

・排水口から「出てしまう」トリチウムと、いったん地上で保管している「核汚染水」をわざわざ放出する行為は、意味合いが全く違う
・再処理工場の排水は、トリチウム以外の汚染も懸念されるが、そもそも破綻した核燃料サイクルも再処理工場も止めることがベスト

(評価)
これも「汚染水派」の批判が真っ当

午前11:25 2023年8月24日
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https://twitter.com/iidatetsunari/status/1694536457061609916

(5)呼称
(処)処理済みであり「処理水」と呼ぶことが妥当
・汚染水と呼ぶと風評被害を招く
(汚)処理しても、なお汚染しており、正しく呼ぶことが重要
風評被害以前に実害リスクも考慮すべき
・国がメディアに「処理水」と呼ばせる言論ファシズムの気配がある
・海外メディアは汚染水(Radioactive contaminated water) と呼んでいる

(評価)
これも「汚染水派」の主張が真っ当

午前11:25 2023年8月24日
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https://twitter.com/iidatetsunari/status/1694536458491838923

(6)風評被害
(処)汚染水と呼んだり被曝リスクの主張は風評被害を招く
(汚)「風評被害」という言葉でリスクの問題定義を封じ込めることは実害リスクの隠蔽に繋がる
・汚染水放出そのものがすでに中国や韓国など海外による輸入規制など経済的実害を生んでいる

(評価)
これも「汚染水派」の主張が真っ当

午前11:25 2023年8月24日
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 キシダメ首相や西村経産相、東京電力はとうとう〝汚染水〟の海洋放出をやってしまいました…、取り返しのつかないことを。汚染水の海洋投棄が廃炉完了に向けての第一歩的な説明、無批判な報道…デタラメ過ぎやしませんか。デブリの取り出しの目途は全く立たず、どこで、どう管理するのか、いつまでに行うのかのスケジュールさえ不明。廃炉の定義さえ示せない。東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も3基で計約880トン》…廃炉終了の定義も無く、デブリの持って行き場所も? いや、デブリの取り出しや廃炉終了までのスケジュールが全く見通せないのだ。〝汚染水〟の海洋投棄で廃炉作業の何が進むのか?

   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない

 #zutto_uso_datta斉藤和義さん「ずっとウソだった」。「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束もウソだった。福島の漁師に会うこともしない。「聞かない力」を発揮。
 中国が、福島産どころか、日本の全ての水産物の輸入を停止…キシダメ首相らは「想定外」だったそうです。諸外国にも広がる可能性大。あまりにアホウ。これもある意味、風評被害どころか実害ではないのですか。大々々々損害。
 「賠償ではなく、漁業をしたいだけ」…福島県漁連は《関係者》ではないのか? ―――「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束ウソだったのね? 祝島の皆さん、「お金はいらない、この海の恵みを受けて暮らしたい」。

   『●すぐさま廃炉作業に着手を!
   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の
     議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●核燃料デブリに触れた汚染水をALPS処理した〝汚染水〟の海洋
     放出に断固反対する…〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行である
   『●(デモクラシータイムス/原発耕論)《汚染水海洋放出は無責任の極み!》
      …希釈しても汚染物質は減らない、〝汚染水〟の海洋放出に断固反対
   『●そんな核燃料デブリに触れた水を処理した〝汚染水〟…そんなものを海に
      捨てた例はどこにもない、〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行
   『●ドイツは《脱原発を完了》: 彼我の差を感じて情けなくなる…何処まで
      愚かな国なのだろうか。そして、いま、原子炉圧力容器が崩落の危機…
   『●長周新聞【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める
      政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】
   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●「賠償ではなく、漁業をしたいだけ」…福島県漁連は《関係者》では
     ないのか? ―――「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」?
   『●#zutto_uso_datta、斉藤和義さん「#ずっとウソだった」。そして、「関係
     者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束もウソだった

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●#zutto_uso_datta、斉藤和義さん「#ずっとウソだった」。そして、「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束もウソだった

2023年08月27日 00時00分33秒 | Weblog

[※ 「3.11から12 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年8月25日[金])
《問題をなかったことにする意の「水に流す」》…汚染水を流す。そして、実害を生じさせる。流さなければ、風評被害も生じなかったでしょうに。「問題をあったことにする…「汚染水を流す」」。
 キシダメ首相や西村経産相、東京電力はとうとう〝汚染水〟の海洋放出をやってしまいました…、取り返しのつかないことを。汚染水の海洋投棄が廃炉完了に向けての第一歩的な説明、無批判な報道…デタラメ過ぎやしませんか。デブリの取り出しの目途は全く立たず、どこで、どう管理するのか、いつまでに行うのかのスケジュールさえ不明。廃炉の定義さえ示せない。東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も3基で計約880トン》…廃炉終了の定義も無く、デブリの持って行き場所も? いや、デブリの取り出しや廃炉終了までのスケジュールが全く見通せないのだ。〝汚染水〟の海洋投棄で廃炉作業の何が進むのか?

   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない

 #zutto_uso_datta斉藤和義さん「ずっとウソだった」。「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束もウソだった。福島の漁師に会うこともしない。「聞かない力」を発揮。
 中国が、福島産どころか、日本の全ての水産物の輸入を停止…キシダメ首相らは「想定外」だったそうです。諸外国にも広がる可能性大。あまりにアホウ。これもある意味、風評被害どころか実害ではないのですか。大々々々損害。

   『●「賠償ではなく、漁業をしたいだけ」…福島県漁連は《関係者》では
     ないのか? ―――「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」?

 日刊ゲンダイの記事【岸田首相がハッシュタグ“#STOP風評被害”のデタラメ 処理水海洋放出強行に国内外から猛反発】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/327966)。《福島の水産・漁業関係者はカンカンだ。突然の放出決定に「約束が破られた」「闇討ちのよう」など、怒りの声が噴出している。新たな風評被害への懸念が払拭されないまま、放出が強行されるのだから憤って当然だ。…〈#STOP風評被害〉とのハッシュタグを付けたが、〈なぜ福島の漁業の方と直接話をしない?〉〈まずは国民の声を聞いてくれ〉などとヒンシュクを買っている。…岸田首相は「聞く力」を自慢しているが、「聞かない力」の間違いだ》。

 それにしても不思議だ。なぜ1km沖合❓ なぜ希釈❓ 無希釈で東京湾や大阪湾に放流すればいいのにね。安全・安心なんでしょ❓ 官邸の庭にでも散水すれば良いし、岸田家のお庭にでも。《全責任》を負うそうなので、岸田家が続く限り末代にまで「処理水」を利用してもらいましょう。

 デモクラシータイムス(https://www.youtube.com/watch?v=G0iX_Kv9dGE)でマスミさんが、東京電力の利用者に一人一本づつペットボトルで配ったら、と提案。山田厚史さんはそれを「飲みながら」考えてみてはどうか、と提案。飲んでも大丈夫なんでしょ❓
 自公お維コミの議員に100本づつ配ってはどうでしょう。安全・安心、飲んでも大丈夫なんでしょうから。

 また、トリチウム濃度の公開ではなく、排出した放射性物質の質量こそを公開すべき。トリチウムだけではなく、全ての放射性物質量。何を測定し、各物質の検出限界はどの程度で、測れない放射性物質は何なのか。全てを公開すべきだ。

 「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」を守れない者が〝汚染水〟廃棄の《X年後》の実害に《全責任》を持てるはずもない。今後何十年と〝汚染水〟廃棄を続ける気満々だが、《全責任》などと云う《空手形》を誰が信じるのか?
 日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/処理水「責任を持つ」と約束したけれど…その時にはもう責任者などいない】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202308230000099.html)。《★首相は21日、日本の漁業者団体・全漁連(全国漁業協同組合連合会)会長・坂本雅信を官邸に呼びつけ会談。「漁業者の皆様が安心してなりわいを継続できるように、必要な対策を取り続けることを、たとえ今後、数十年の長期にわたろうとも、全責任を持って対応することをお約束いたします」と言うも、その時にはもういない首相や大臣、担当する官僚に“責任者”はいない国の約束など空手形だということは福島の人たちだけでなく、国民は知っている》。
 東京新聞の【<社説>処理水放出 「全責任」を持てるのか】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/271966?rct=editorial)。《東京電力福島第一原発にたまり続ける「処理水」が、海に流される。「風評被害」を恐れる漁業者に対し、岸田文雄首相は「漁業が継続できるよう、政府が全責任を持って対応する」と強調するが、順調に進んでも三十年に及ぶ大事業。誰が、どう責任を取り続けるというのだろうか。》
 同紙の【<コラム 筆洗>ある日、ひどく衰弱した男性が病院に担ぎこまれてきた。がんが…】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/271932?rct=hissen)。《…結局、漁業関係者の理解は得られなかった。こうした中での放出は世間の「疑い」を強めはしないか心配になる▼問題をなかったことにする意の「水に流す」。風評対策、モニタリング、中国などの反発など放出後に対応すべき課題は山積みで放出しても「水に流す」とはならない。しかも、何十年かかるか。》

 原水のトリチウム以外の物質の濃度は? それぞれの放射性物質の総量は? それにしても、まずは、デブリに水が触れないようにしてはどうなのか。〝汚染水〟を日々増やしつつ、タンクを置く土地が足りないなどと嘯くことは、愚か者のやることだ。東電が持つあらゆる土地を使い、東電が責任をもって保管すべき。〝汚染水〟の海洋放出が風評被害でおさまる保証はどこにあるのか? 汚染水の放出からX年後にどう責任をとるつもりか? 捨てて、拡散させてしまってからでは遅い。いくら希釈しても汚染物質の質量は減らない。
 東京新聞の【【速報】処理水の海洋放出を開始 東京電力福島第1原発(2023年8月24日 13時05分)】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/272106)。《政府と東京電力は24日、福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)にたまる汚染水を浄化処理した後の水の海洋放出を始めた。漁業関係者が反対する中、政府は「一定の理解を得られた」として放出に踏み切った。事故から12年5カ月余がたち、処理水の保管タンクの限界という危機は避けられることになった。しかし、汚染水の発生を止める具体策はなく放出の長期化は必至だ。東電はこの日、処理水と海水を混ぜて放出する水の放射能濃度の測定結果を発表。浄化設備で取り除けない放射性物質トリチウムの濃度は、政府方針で定めた排水基準(1リットル当たり1500ベクレル)を下回った。測定結果を受け、東電は処理水の放出作業を開始。作業では、放出前の水が一時的にたまった水槽に海水を注入し、あふれさせて隣にある立て坑に水を移す。立て坑は地下トンネルとつながっており、あふれた水はトンネルを通じて沖合約1キロの海底から放出される》。

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https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202308230000099.html

コラム
政界地獄耳
2023年8月23日7時52分
処理水「責任を持つ」と約束したけれど…その時にはもう責任者などいない

★国と東京電力は14年には原子炉建屋に流れ込む前の地下水を、15年には原子炉建屋周辺からくみ上げて浄化した地下水を県漁連の了解を得て海に放出した。この時漁連は「漁業者、国民の理解を得られない処理水の海洋放出は絶対に行わないこと」を要望。国と東京電力は「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と約束した。この夏前から自らを将来の首相候補と名乗る経産相・西村康稔が頻繁に福島の各漁連を回るが、補償金をちらつかせる説得になった。だが実際はここでの漁業をあきらめるか否かの選択を迫られ、未来を失う話だったはずだ。6月30日、相馬市の相馬双葉漁協でも同漁協組合長・今野智光は「安全と安心とでは全然違う」とはねつけた。

★首相は21日、日本の漁業者団体・全漁連(全国漁業協同組合連合会)会長・坂本雅信を官邸に呼びつけ会談。「漁業者の皆様が安心してなりわいを継続できるように、必要な対策を取り続けることを、たとえ今後、数十年の長期にわたろうとも、全責任を持って対応することをお約束いたします」と言うも、その時にはもういない首相や大臣、担当する官僚に“責任者”はいない国の約束など空手形だということは福島の人たちだけでなく、国民は知っている。坂本は「漁業者・国民の理解を得られない、ALPS処理水の海洋放出に反対であるということは、いささかも変わりはありません。科学的な安全と社会的な安心は異なるものであって、科学的に安全だからといって風評被害がなくなるわけではない」と毅然と応じた。西村の“無能さ”はとがめられず、見切り発車の放水閣議決定となった。

★首相は、処理水を保管するタンクが林立し、廃炉を着実に進めるために必要なスペースがなくなっているとして「廃炉の前提となる処理水の処分は避けて通ることはできない」と言うが、彼らの生活の糧と未来が奪われる話だ。冒頭のように県漁連が言質を取り、国と東電に先手を打つもほごにされた。坂本は会談後、この約束について「破られてはいないが果たされてもいない」とした。国のやり口として、後味の悪い結果を残したツケは大きい。(K)※敬称略
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/271966?rct=editorial

<社説>処理水放出 「全責任」を持てるのか
2023年8月23日 08時20分

 東京電力福島第一原発にたまり続ける「処理水」が、海に流される。「風評被害」を恐れる漁業者に対し、岸田文雄首相は「漁業が継続できるよう、政府が全責任を持って対応する」と強調するが、順調に進んでも三十年に及ぶ大事業。誰が、どう責任を取り続けるというのだろうか

 福島第一原発では、事故で溶け落ちた核燃料を冷やすため、大量の冷却水をかけている。そこへ地下水や雨水が加わって、「汚染水」が毎日約九十トンずつ出続けている。その「汚染水」から多核種除去設備(ALPS)で大半の放射性物質を取り除いたものが「処理水」だ。

 原発構内には千基を超える「処理水」のタンクが林立し、廃炉作業の妨げになるとして、政府はおととし、濃度を国の基準値未満に薄めた上で、海底トンネルで沖合一キロの海に流す方針を決めた。

 ALPSを用いても、放射性物質はわずかに残り、三十年間放出し続ければ膨大な量になる。風評被害を恐れる漁業者の不安はぬぐえていない。

 政府と東電は八年前、福島県漁業協同組合連合会との間で「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わないとの約束を交わした。全国漁業協同組合連合会の坂本雅信会長=写真右端=は二十一日、首相=同左端=と面談し、「海洋放出に反対であることには、いささかも変わりない」とした上で「科学的な安全と社会的な安心は異なるもので、科学的に安全だからと言って風評被害がなくなるものではない」と強い懸念を表明した。

 約束を反故(ほご)にしての放出開始。いくら首相が「責任を持つ」と繰り返しても、にわかに信じられるものではないだろう。海洋放出の実施については、まだまだ説明と検討が必要だということだ。

 これほどの難題を抱えつつ、あたかも別問題であるかのように、政府が「原発復権」に舵(かじ)を切るのも全く筋が通らない

 日本の水産物輸出先一位の中国は先月から税関検査を強化。七月の輸入量は前の月に比べ、三割以上減少した。拙速な放出開始は将来にさらなる禍根を残す
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/271932?rct=hissen

<コラム 筆洗>ある日、ひどく衰弱した男性が病院に担ぎこまれてきた。がんが…
2023年8月23日 07時17分

 ある日、ひどく衰弱した男性が病院に担ぎこまれてきた。がんが疑われたが、検査では異常がない。一九三〇年代の米国での話だそうだ▼家族によると男性は口論になった「呪医」からこう言われた。「今、呪いをかけた。おまえは死ぬ」。これを男性が真に受けたらしい。医師が一芝居打ち、呪いを解くと男性は回復したというから、思い込みとは恐ろしい▼この話もなかなか消えない「疑い」との長期戦になるのだろう。東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出である。政府は関係閣僚会議で二十四日にも放出することを決定した▼放射性物質は基準値以下、国際原子力機関(IAEA)のお墨付きもある。政府が処理水は安全という科学的根拠をいかに力説しようとも「本当に大丈夫か」の疑いの雲は晴れまい。この疑いが福島の魚に対する風評という冷たい雨を降らせるのだろう▼長期の検討を経て、海洋放出の方針が決まったのが二年前。政府が一定の時間をかけて理解を求めてきたことは認めるとしても結局、漁業関係者の理解は得られなかった。こうした中での放出は世間の「疑い」を強めはしないか心配になる▼問題をなかったことにする意の「水に流す」。風評対策、モニタリング、中国などの反発など放出後に対応すべき課題は山積みで放出しても「水に流す」とはならない。しかも、何十年かかるか
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●核燃料デブリに触れた汚染水をALPS処理した〝汚染水〟の海洋放出に断固反対する…〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行である

2022年07月24日 00時00分01秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(2022年07月03日[日])
断固、汚染水の放出に反対する。風評被害でおさまる保証はどこにあるのか? 汚染水の放出からX年後にどう責任をとるつもりか? 捨てて、拡散させてしまってからでは遅い。

   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の
     議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)

 小野沢健太記者による、東京新聞の記事【処理水放出「断固反対」全漁連の新会長 経産省で面談に応じたのは…大臣ではなく定年退職した参与】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/186025)によると、《坂本氏は面談後、報道各社の取材に応じ「11年前の事故時、私自身も千葉県で大変な風評被害に遭った。自分の経験から(海洋放出を)容認することはできない」と明言》。

 以前引用した沖縄タイムスの【社説[福島原発事故11年]廃炉の道筋見えぬまま】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/923228)によると、《政府はトリチウムを含んだ水は国内外の原発で放出されており、影響は確認されていないとする。ただ、事故で溶けた炉心の冷却に使った水を放出した例は過去になく、長期にわたる放出への不安や懸念は消えない》。

 政府曰く《…影響は確認されていない》って、イギリスのセラフィールドラ・アーグではどうなんですかね? 《影響は確認されていない》なんて言いきれるのですか?
 そもそも、通常運転している核発電所からのトリチウムと東京電力核発電人災の処理水という名の汚染水中のトリチウム (など) を同列に論じていいのですか?

 デモクラシータイムスの【【原発耕論 No15】汚染水海洋放出は無責任の極み!】(https://www.youtube.com/watch?v=rUt5pk1oGJ8)も、とても勉強になりました。海洋放出以外の選択肢が示されています。



 さて、東京電力核発電人災、膨大な核燃料《デブリの総量も3基で計約880トン》。さっさとデブリを元通りに原子炉の中に戻して見せてよ、核抑止幻想の「お花畑」《火事場ドロボー》の皆さん、核発電「麻薬」中毒の皆さん。
 (東京新聞社説)《2号機内のデブリは推定約二百トン三基で計八百八十トンと推計されています。今後約三十年、一日あたり八十キロずつ取り出さなければなりません実現可能な数字でしょうか。》《原子力資料情報室伴英幸共同代表は「四十年廃炉は無理百年、二百年という長いスパンで考えるべきだと思う例えば『石棺方式』といいますか、建屋を丸ごとコンクリートで封じ込め、冷却し、放射線が減衰するのを待ちながら技術開発を進めていくという道筋も考えられる」と、別の選択肢を示します》。
 小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です。国と東電がいう「廃炉」とは、燃料デブリを格納容器から取り出し、専用の容器に封入し、福島県外に搬出するということです。…つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能です。…国と東電は、それくらい長期にわたる闘いをしているんだと覚悟しなければいけませんそのためにも、一刻も早く福島県に「廃炉は不可能」と説明し、謝罪するべきです》。

   『●台湾有事を煽り《ロシアのウクライナ侵攻のような軍事衝突にまで
     エスカレートさせてはならない…外交による対話を強めなければならない》
   『●誰が壊憲を望んでいる? COVID19禍のドサクサ、ロシア侵略の
     火事場ドロボー1号、2号、3号…らによる壊憲など許されるはずもない
   『●《思考力あるならば殺し合わずに済む方法…、政治力を持って開戦に
     至らない道を見つける事だ。ところがその政治家本人が核武装を…
   『●《当事者でない他の国が声をあげ、国際世論をつくり出すことが、理不尽
       な状況の抑止につながるというのは、国際社会の常識ではないか》!
   『●経済産業省資源エネルギー庁「復興のあと押しはまず知ることから」?
       「復興のあと押しはまず〝原状回復してみせる〟ことから」です
   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。
      政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》
   『●《やっぱりここさ帰りたい。親が開拓して受け継いだ土地。次の世代に
      残してやりたい。汚したら、きれいにして返すのが当然じゃないか》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●《政府は過去に原発が武力攻撃を受けた際の被害予測を報告書に
     まとめていたからだ。しかも、その被害予測は凄まじい内容だった…》
   『●《【原発耕論…】福島事故で被ばくしたこどもたちに、不安なく過ごせる
         未来を!(311子ども甲状腺がん裁判)》(デモクラシータイムス)
   『●《政府機関の地震予測「長期評価」に基づく試算から原発への大津波の
      到来は予見できた…対策の先送りを許した国…国に重大な法的責任》
   『●《武藤類子さん…が講演し、今も続く過酷な被害を訴えた。ロシアに
     よるウクライナの原発攻撃にも触れ「胸がふさがれる思い」と語った》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/186025

処理水放出「断固反対」全漁連の新会長 経産省で面談に応じたのは…大臣ではなく定年退職した参与
2022年6月27日 17時35分

     (決議文を経済産業省の松永明参与(右)に手渡す
      全漁連の坂本雅信会長=27日、東京・霞が関の経産省で)

 全国漁業協同組合連合会(全漁連)の坂本雅信会長は27日、会長就任後に初めて経済産業省を訪れ、東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水を浄化処理後も放射性物質トリチウムが主に残る水の海洋放出について「断固反対」との特別決議文を松永明参与に手渡した。

 坂本氏は千葉県漁連の会長で、23日の総会で全漁連会長に就任したばかり。一方、応対した松永氏は元特許庁長官で内閣府や資源エネルギー庁で原発事故後の復興に関わってきたが、今年3月末に定年退職して非常勤の参与になった。

 経産省によると、萩生田光一大臣のスケジュール調整が間に合わず、大臣との面談が実現しなかった。面談直後、萩生田氏の予定を示す省内のモニターには「会議」と記されていた。

 坂本氏は面談で「会長が代わろうとも、反対であることに変わりはない」と話し、政府が予算化した風評被害対策などの基金とは別に、漁船の燃料費支援など漁業の継続に向けた基金を創設するよう求めた。

 松永氏は「実効性のある具体策を示すよう全省あげて取り組む」と述べた。

 坂本氏は面談後、報道各社の取材に応じ「11年前の事故時、私自身も千葉県で大変な風評被害に遭った。自分の経験から(海洋放出を容認することはできない」と明言。萩生田氏と面談できなかったことについては「当然、できるだけ早く大臣に会って直接思いを伝えたい」と話した。(小野沢健太


福島第一原発の処理水 1~3号機の原子炉に注入した冷却水が事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)に触れ、建屋に流入した地下水や雨水と混ざって発生する汚染水を、多核種除去設備(ALPS)で浄化処理した水。取り除けない放射性物質トリチウムが国の排出基準を上回る濃度で残る。政府は2021年4月、23年春をめどに処理水を海洋放出する方針を決定。東電は、大量の海水でトリチウム濃度を排出基準の40分の1未満に薄めて海へ流す計画を進めている。

【関連記事】保管タンク満杯は「2023年秋ごろ」 福島第一原発の処理水 東電が試算見直しも23年春の放出開始は変えず
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●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。…廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化

2022年03月20日 00時00分40秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


 (2022年03月13日[日])
沖縄タイムスの【社説[福島原発事故11年]廃炉の道筋見えぬまま】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/923228)。

 《政府はトリチウムを含んだ水は国内外の原発で放出されており、影響は確認されていないとする。ただ、事故で溶けた炉心の冷却に使った水を放出した例は過去になく、長期にわたる放出への不安や懸念は消えない》。

   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》

 《…影響は確認されていない》って、イギリスのセラフィールドラ・アーグではどうなんですかね? 《影響は確認されていない》なんて言いきれるのですか?
 そもそも、通常運転している核発電所からのトリチウムと東京電力核発電人災の処理水という名の汚染水中のトリチウム (など) を同列に論じていいのですか?

 デモクラシータイムスの【【原発耕論 No15】汚染水海洋放出は無責任の極み!】(https://www.youtube.com/watch?v=rUt5pk1oGJ8)も、とても勉強になりました。海洋放出以外の選択肢が示されています。






西谷文和の路上のラジオ Vol.82 小出裕章さん「チュルノブイリ占拠、ザポリージャ原発爆撃についての緊急提言」/ 矢野宏さん「在版ラジオ局のある報道番組打ち切りから考えるメディアの劣化」】
 (https://www.radiostreet.net/radio/1082/

 【西谷文和の路上のラジオ Vol.82 小出裕章さん「チュルノブイリ占拠、ザポリージャ原発爆撃についての緊急提言」/ 矢野宏さん「在版ラジオ局のある報道番組打ち切りから考えるメディアの劣化」】(https://www.radiostreet.net/radio/1082/)によると、《まず前半は、元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんにお電話をつなぎます。ロシアのウクライナ侵攻に伴う大きなリスクのひとつに、核の問題がありますが、チェルノブイリ原発は、真っ先にロシア軍の統制下になり、ウクライナのザポリージャ原発が、ロシア軍の攻撃を受けました。また、この番組収録後にはなりますが、その他の核関連施設にも爆撃がありました。世界中を脅威にさらしながら、ロシア軍が核施設を狙う理由とは一体何なのか? またこの戦争に乗じて、日本でも核兵器による抑止力、ことさらに同盟国との核共有などの議論が沸騰してきています。憲法九条により非戦平和を貫くはずの日本が、非核三原則すら反故にしてしまいそうなこの雲行きを、生涯を通して反戦、反核、反原発を訴える原子力専門の科学者・小出裕章さんはどう見ておられるのでしょうか? じっくりとお話を伺います》。

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https://twitter.com/k_scale/status/1059091357438865409

ケイ@地球🐾@k_scale

#小出裕章 さんは毎月3日の午後、 #松本駅 前に立っている。地味な活動を続ける姿に実直さを感じた。

午後11:33  2018年11月4日
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 さて、東京電力核発電人災、膨大な核燃料《デブリの総量も3基で計約880トン》。さっさとデブリを元通りに原子炉の中に戻して見せてよ、核抑止幻想の「お花畑」《火事場ドロボー》の皆さん、核発電「麻薬」中毒の皆さん。
 (東京新聞社説)《2号機内のデブリは推定約二百トン三基で計八百八十トンと推計されています。今後約三十年、一日あたり八十キロずつ取り出さなければなりません実現可能な数字でしょうか。》《原子力資料情報室伴英幸共同代表は「四十年廃炉は無理百年、二百年という長いスパンで考えるべきだと思う例えば『石棺方式』といいますか、建屋を丸ごとコンクリートで封じ込め、冷却し、放射線が減衰するのを待ちながら技術開発を進めていくという道筋も考えられる」と、別の選択肢を示します》。
 小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です。国と東電がいう「廃炉」とは、燃料デブリを格納容器から取り出し、専用の容器に封入し、福島県外に搬出するということです。…つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能です。…国と東電は、それくらい長期にわたる闘いをしているんだと覚悟しなければいけませんそのためにも、一刻も早く福島県に「廃炉は不可能」と説明し、謝罪するべきです》。

   『●台湾有事を煽り《ロシアのウクライナ侵攻のような軍事衝突にまで
     エスカレートさせてはならない…外交による対話を強めなければならない》
   『●誰が壊憲を望んでいる? COVID19禍のドサクサ、ロシア侵略の
     火事場ドロボー1号、2号、3号…らによる壊憲など許されるはずもない
   『●《思考力あるならば殺し合わずに済む方法…、政治力を持って開戦に
     至らない道を見つける事だ。ところがその政治家本人が核武装を…
   『●《当事者でない他の国が声をあげ、国際世論をつくり出すことが、理不尽
       な状況の抑止につながるというのは、国際社会の常識ではないか》!
   『●経済産業省資源エネルギー庁「復興のあと押しはまず知ることから」?
       「復興のあと押しはまず〝原状回復してみせる〟ことから」です
   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。
      政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》
   『●《やっぱりここさ帰りたい。親が開拓して受け継いだ土地。次の世代に
      残してやりたい。汚したら、きれいにして返すのが当然じゃないか》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●《政府は過去に原発が武力攻撃を受けた際の被害予測を報告書に
     まとめていたからだ。しかも、その被害予測は凄まじい内容だった…》
   『●《【原発耕論…】福島事故で被ばくしたこどもたちに、不安なく過ごせる
         未来を!(311子ども甲状腺がん裁判)》(デモクラシータイムス)
   『●《政府機関の地震予測「長期評価」に基づく試算から原発への大津波の
      到来は予見できた…対策の先送りを許した国…国に重大な法的責任》
   『●《武藤類子さん…が講演し、今も続く過酷な被害を訴えた。ロシアに
     よるウクライナの原発攻撃にも触れ「胸がふさがれる思い」と語った》

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/923228

社説[福島原発事故11年]廃炉の道筋見えぬまま
2022年3月10日 07:13

 東日本大震災から、あすで11年を迎える。マグニチュード(M)9・0の巨大地震と高さ10メートル超の津波は、1万8千人以上の死者・行方不明者を出しただけでなく、原発の「安全神話」も崩壊させた

 東京電力福島第1原発の事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)を冷やす注水などで、汚染水が1日に約150トン発生している。

 トリチウム以外の放射性物質を取り除いた処理水を約千基のタンクにためているが、貯蔵量が約95%に達し来春には満杯になるとして、政府と東電は海洋への放出を始める予定だ。

 地元は納得していない。周辺海域で取れる水産物が「汚染されている」との風評被害を懸念し、漁業者を中心に反発しているのだ。

 政府と東電は2015年以降、「関係者の理解なしに、いかなる処分もしないと繰り返してきた。それなのに昨年4月、地元の同意をおろそかにしたまま唐突に放出を決めた。漁業者が「約束違反ではないか」と批判するのは当然だ。

 政府は処理水を大量の海水で薄めて基準値以下にした上で、約1キロの海底トンネルを通して沖合に放出するとしている。6月ごろからトンネルを掘る工事を始める見通しだ。

 政府はトリチウムを含んだ水は国内外の原発で放出されており、影響は確認されていないとする。ただ、事故で溶けた炉心の冷却に使った水を放出した例は過去になく、長期にわたる放出への不安や懸念は消えない

■    ■

 日本世論調査会が1~2月に実施した世論調査では、海洋放出に「賛成」が32%。「反対」は35%で、そのうち最も多かったのは「環境汚染や健康被害につながると思うから」だった。廃炉作業や復興への関心が「低くなった」の回答も49%あった。

 地元の福島民報社と福島テレビが共同の世論調査で、海洋放出に国内外の理解が広がっているか尋ねると「全く広がっていない」が15・4%。「あまり広がっていない」の37・1%を合わせると過半数に達した。福島県民は国民の不安や無関心を懸念している。

 政府は風評対策として、水産物を買い取る基金の創設に300億円を計上している。ただ、地元の理解を得ぬまま「放出ありき」で、対策とスケジュールを決めるのは乱暴過ぎる。処理水の貯蔵タンクを増やす余地を検討した上で、理解と信頼を得る丁寧な説明が求められる。

■    ■

 廃炉作業も困難を極める。福島第1原発の原子炉建屋にはデブリが手付かずで残っており、どこにどれだけの量があるかさえ判明していない

 取り出さないと建屋の解体が進まないが、強い放射線を出す。ロボットを遠隔操作して作業する方針だが、本当に取り出せるのか。事故から11年たっても、見通しは立っていない

 ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。40年とされる廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスクを突き付けている
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●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない

2022年03月13日 00時00分40秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(20220311[])
AERAの二つの記事  (野村昌二記者)【福島第一原発「廃炉」の現場ルポ デブリ取り出し、容器の劣化…廃炉を阻む難題】(https://dot.asahi.com/aera/2022030400021.html)と、
【福島第一原発「デブリ取り出しは不可能」と専門家 廃炉できないなら「『石棺』で封じ込めるしかない」】(https://dot.asahi.com/aera/2022030400025.html)。 

 《未曽有の原発事故から11年。廃炉に向けた作業は続くが、見えてくるのは、 過酷な現実だ。そもそも廃炉は可能なのか。福島第一原発でみた実情は。》
 《東京電力福島第一原発事故からまもなく11年。国と東電は30~40年後の廃炉完了を目指すロードマップに基づき、作業を進めている。だが、相次ぐトラブルから廃炉作業の計画は大幅に遅れている。廃炉は本当に可能なのか。AERA 2022年3月7日号は、小出裕章・元京大原子炉実験所助教に聞いた》。

 《火事場ドロボー》1号=アベ様、《火事場ドロボー》2号=松井一郎元大阪「ト」知事、《火事場ドロボー》3号=橋下徹元・初代大阪「ト」知事…。ウクライナ侵略を利用・便乗して、壊憲して戦争できる国へ、敵基地攻撃へ、核保有へ。そういうのを《火事場ドロボー》と言います。

   『●台湾有事を煽り《ロシアのウクライナ侵攻のような軍事衝突にまで
     エスカレートさせてはならない…外交による対話を強めなければならない》
   『●誰が壊憲を望んでいる? COVID19禍のドサクサ、ロシア侵略の
     火事場ドロボー1号、2号、3号…らによる壊憲など許されるはずもない
   『●《思考力あるならば殺し合わずに済む方法…、政治力を持って開戦に
     至らない道を見つける事だ。ところがその政治家本人が核武装を…
   『●《当事者でない他の国が声をあげ、国際世論をつくり出すことが、理不尽
       な状況の抑止につながるというのは、国際社会の常識ではないか》!

 《火事場ドロボー》達は、プーチン氏がウクライナの核発電所を〝人質〟にし、〝盾〟にしようがお構いなし。チェルノブイリの石棺までも…。核兵器の使用をちらつかせようがお構いなし。それでもなんでも核発電を続けたいという愚かな《火事場ドロボー》連中。コミに至っては、ドサクサ紛れに、核発電所再稼働を政府に進言している。ならば、《原発回帰》の前に、福島を、さっさと「原状回復」して見せてくれよ。ロシアのウクライナへの侵略の教訓は、核抑止が幻想で、通常兵器による攻撃でニッポンの核発電所自体が潜在的な核兵器自爆を意味することじゃないのかね。ニッポンは非核三原則堅持へと向かうべきなのに、《火事場ドロボー》の連中ときたら、一体どっちが核抑止幻想の「お花畑」なんだよ。

   『●《廃炉の時代》、そして、核燃料サイクルという閉じない「環」
              …未来無き核発電に邁進するアベ様独裁政権
   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
      3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》

 東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も3基で計約880トン》。さっさとデブリを元通りに原子炉の中に戻して見せてよ、核抑止幻想の「お花畑」《火事場ドロボー》の皆さん、核発電「麻薬」中毒の皆さん。
 小川慎一記者による、1年前の東京新聞の記事【廃炉の道は長く、険しく 写真で振り返る福島第一原発事故10年】によると、《東京電力福島第一原発事故では、世界最悪レベルとなった事故の収束作業は依然終わりが見えない。メルトダウン(炉心溶融)した1~3号機の原子炉に残る溶け落ちた核燃料(デブリ)を、技術的に取り切れるのかすら不明だ。汚染水対策も解決に至らず、政府と東電は「廃炉」を目指すも、その姿を示せないでいる。東電が公開している事故現場の写真から、10年を振り返る…この10年、廃炉工程が計画通りに進んできたことはほとんどない》。それから1年、状況は全く変化なし。

   『●「復興五輪」!? 原状回復してから言ってくれ…片山夏子記者【「原発
     事故前の故郷に戻して」 浪江町・津島訴訟の原告団長が語った決意】
   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を
     見てみたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?
   『●富岡町の「白地地区」に自宅がある避難民の方「…国も東電も避難者を
      
ばかにし、うんと軽く見ている」…さっさと《原状回復》してみせよ
   『●《弁護団長の井戸謙一弁護士は「6人のように被ばくが原因とみられる

       甲状腺がんで苦しむ人たちの希望となる裁判にしたい」と述べた》
   『●経済産業省資源エネルギー庁「復興のあと押しはまず知ることから」?
       「復興のあと押しはまず〝原状回復してみせる〟ことから」です
   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。
      政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》
   『●《やっぱりここさ帰りたい。親が開拓して受け継いだ土地。次の世代に
      残してやりたい。汚したら、きれいにして返すのが当然じゃないか》

 東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も3基で計約880トン》…廃炉の定義も無く、デブリの持って行き場所も?
 東京新聞の【<社説>3・11から11年 廃炉への道のり はるか】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/164984?rct=editorial)によると、《東京電力による福島第一原発廃炉への「中長期ロードマップ(工程表)」では、当時の政府が事故の「収束」を宣言した二〇一一年十二月から遅くとも四十年で、すべての工程を終えることになっています。事故発生から十一年、東電が廃炉作業の最難関と位置付ける燃料デブリの試験的な取り出しを、ようやく年内に、2号機から始めることになりました。デブリとは、溶け落ちた核燃料が炉内のがれきと混ざり合い、冷えて固まったもののこと。濃度の高い放射性物質の塊です》。

 (東京新聞社説)《2号機内のデブリは推定約二百トン三基で計八百八十トンと推計されています。今後約三十年、一日あたり八十キロずつ取り出さなければなりません実現可能な数字でしょうか。》《原子力資料情報室伴英幸共同代表は「四十年廃炉は無理百年、二百年という長いスパンで考えるべきだと思う例えば『石棺方式』といいますか、建屋を丸ごとコンクリートで封じ込め、冷却し、放射線が減衰するのを待ちながら技術開発を進めていくという道筋も考えられる」と、別の選択肢を示します》。
 小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です。国と東電がいう「廃炉」とは、燃料デブリを格納容器から取り出し、専用の容器に封入し、福島県外に搬出するということです。…つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能です。…国と東電は、それくらい長期にわたる闘いをしているんだと覚悟しなければいけませんそのためにも、一刻も早く福島県に「廃炉は不可能」と説明し、謝罪するべきです》。

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https://dot.asahi.com/aera/2022030400021.html

福島第一原発「廃炉」の現場ルポ デブリ取り出し、容器の劣化…廃炉を阻む難題
2022/03/06 08:00
野村昌二

     (東京電力福島第一原発の敷地内には処理水をためる
      タンクがひしめき、その向こうに左から1~4号機が
      見える(photo 代表撮影))

 未曽有の原発事故から11年。廃炉に向けた作業は続くが、見えてくるのは、 過酷な現実だ。そもそも廃炉は可能なのか。福島第一原発でみた実情は。AERA 2022年3月7日号から。

     (【写真】高線量の汚泥を入れる容器「HIC」はこちら)

*  *  *

 ひしゃげたままの鉄骨が、すさまじい爆発の威力を物語る。

 東京電力福島第一原発。今年1月下旬、記者が敷地内の高台に立つと、100メートル先に、事故を起こした1~4号機の原子炉建屋が見えた。

「昨年2月末に3号機の使用済み燃料の取り出しを終えることができました」

 東京電力ホールディングスの松尾桂介・廃炉コミュニケーションセンター副所長がこう答えた。この1年で最も進展した廃炉作業が、それだという。

 世界を震撼(しんかん)させた事故から間もなく11年。1~3号機は炉心溶融(メルトダウン)を起こし、1、3、4号機の原子炉建屋は水素爆発で壊れ、大量の放射性物質が大気中に放出された

 国と東電は「30~40年後の廃炉完了」とするロードマップ(工程表)に基づき、作業を進めている。事故直後は「野戦病院のようだった」(東電幹部)という現場も、その面影は薄れた。かつては全域で防護服と顔全体を覆う全面マスクを必要としたが、除染が進み、今は96%のエリアでマスクも要らない。作業は一応の進展は見せているが、底知れぬ難題がいくつも待ち受けている


■現場はトラブルだらけ

 最大の難題は、東電が「廃炉の本丸」と位置づける1~3号機で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し。総量は推計880トン。高い放射線量に阻まれて人は立ち入ることができない。これまでわかっているのは一部は動かせる程度だ

 今年1月中旬、デブリの取り出しでトラブルが発生した。この日、新開発した調査用の水中ロボットを1号機の原子炉格納容器内に投入する予定だった。だが、放射線量のデータが正確に表示されないなどトラブルが発生し、作業が中断したのだ。

 初日からトラブルに見舞われたことについて、松尾副所長は、こう語るしかなかった。

「原因を究明しています」

 作業は2月上旬、約1カ月遅れで開始された。原因は、現場で使っている装置の電源から発生するノイズだったという。

 トラブルはデブリの取り出しだけではない。

 福島第一原発では今も1日約140トンの汚染水が発生している。これを大半の放射性物質を取り除く多核種除去設備「ALPS(アルプス)」に通すが、副産物として「スラリー」と呼ばれる高線量の汚泥が出る。それを「HICヒック)」というポリエチレン製の高性能容器に入れて敷地内の一時保管施設に保管しているが、昨年、スラリーからの放射線の影響で寿命を迎えているHICがあることがわかったのだ。

     (高線量の汚泥(スラリー)を入れる容器「HIC」。
      直径約1.5メートル、高さ約1.8メートル(photo 代表撮影))


■想定外に劣化が進む

 東電はHICの寿命は2025年7月以降になると見ていた。だが原子力規制委員会は昨年6月、HICの底にたまった汚泥の放射線量が高いため劣化が速く進み、すでに31基が寿命に達し、2年以内にさらに56基が寿命を迎えると試算した。

 これを受けて東電は、昨年8月から新しい容器への移し替えを始めた。しかし設備トラブルも重なり、1基の詰め替えに1カ月以上かかった。

 HICの数は3379基(21年12月9日時点)にものぼる。仮に詰め替えができたとしても、スラリーを最終的にどこで、どのような方法で処分するかは白紙の状態だ。その間にも、容器は次々と寿命を迎えていく。

 松尾副所長は、

「今後どういうチェックが必要かとか、どういう手順がいるかということをしっかりまとめて展開していくという流れになってくるかと思います」

 と述べるにとどまった。

 処理水の海洋放出に向けた準備も進んでいない。

 敷地内をバスで移動すると、無数のタンク群が現れる。処理水を入れた貯蔵タンクだ。1061基(計約137万トン)あり、すでに95%が埋まっている(今年2月10日時点)。これが23年春ごろには満杯となる。増設したくても「もう土地がない」(東電)のが実情だ。


■海洋放出の行方も不明

 そうした状況のなか、昨年4月に菅義偉政権(当時)が、漁業者の反対を押し切る形で処理水を23年春ごろに海洋放出する方針を決めた。今後掘削する予定の海底トンネルを通して、沖合約1キロで放出するという。

 それも、設備工事の手続きが遅れている。

 本来なら昨夏に予定していた規制委への申請は、風評被害を心配する地元との調整が難航。計画書を提出できたのが昨年暮れになった。そこから書類審査に6カ月、トンネル工事に10カ月近くかかるとされる。審査に通っても、地元の理解を得るのは難しい

 理解が得られなかった場合の対応について、東電は明言を避ける。この日、松尾副所長は言った。「スケジュール通りにやっていきたい」

 東電は、いまだに計画通り廃炉が完了すると考えているのだろうか。楽観的と言わざるを得ない目標の前に、廃炉の姿が霞(かす)んで見えた。(編集部・野村昌二

※AERA 2022年3月7日号
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https://dot.asahi.com/aera/2022030400025.html

福島第一原発「デブリ取り出しは不可能」と専門家 廃炉できないなら「『石棺』で封じ込めるしかない」
2022/03/07 10:00

     (こいで・ひろあき/1949年生まれ。原発の危険性を
      世に問い続け、2015年に定年退職。著書に
      『原発事故は終わっていない』(毎日新聞出版)など
      (photo 高橋勝視))

 東京電力福島第一原発事故からまもなく11年。国と東電は30~40年後の廃炉完了を目指すロードマップに基づき、作業を進めている。だが、相次ぐトラブルから廃炉作業の計画は大幅に遅れている。廃炉は本当に可能なのか。AERA 2022年3月7日号は、小出裕章・元京大原子炉実験所助教に聞いた。

     (【ロードマップ】使用済燃料の取り出し開始~廃止措置
      終了までの道のりはこちら)

*  *  *

 国と東電が策定したロードマップは「幻想」です。

 国と東電がいう「廃炉」とは、燃料デブリを格納容器から取り出し、専用の容器に封入し、福島県外に搬出するということです

 当初、国と東電は、デブリは圧力容器直下の「ペデスタル」と呼ばれるコンクリート製の台座に、饅頭(まんじゅう)のような塊になって堆積(たいせき)していると期待していました。そうすれば、格納容器と圧力容器のふたを開け、上方向からつかみ出すことができます。

 しかし、デブリはペデスタルの外部に流れ出て飛び散っていることが分かりました。デブリを上部から取り出すことができないことが分かったのです。

 そこで国と東電はロードマップを書き換え、格納容器の土手っぱらに穴を開け横方向に取り出すと言い出しました。しかしそんなことをすれば遮蔽(しゃへい)のための水も使えず、作業員の被曝(ひばく)が膨大になってしまいます。それどころか、穴を開けた方向にあるデブリは取り出せたとしても、格納容器の反対側にあるデブリはペデスタルの壁が邪魔になり、見ることも取り出すこともできません。

 つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能です

 東電は「国内外の技術や英知を活用すれば廃炉はロードマップ通りに達成できる」などと繰り返し言っているようです。本気で考えているとすれば、相当なバカだと思います。ロードマップは彼らの願望の上に書かれたもので、その願望はすでに崩れています

 廃炉できなければどうすればいいか。できうることは、1986年のチェルノブイリ原発事故の時に実施したように、原子炉建屋全体をコンクリート製の構造物「石棺で封じ込めるしかありません

 人間に対して脅威となる放射性物質のセシウム137とストロンチウム90の半減期は、それぞれ30年と28年です。100年待てば放射能は10分の1に、200年待てば100分の1に減ってくれます。

 100年か200年か経てば、その間に、ロボット技術や放射線の遮蔽技術の開発も進むはずです。そして、いつかの時点でデブリを取り出すこと以外ないと思います。

 国と東電は、それくらい長期にわたる闘いをしているんだと覚悟しなければいけません

 そのためにも、一刻も早く福島県に「廃炉は不可能」と説明し、謝罪するべきです。悲しいことですが、事実を直視しなければ前に進めません。

※AERA 2022年3月7日号
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/164984?rct=editorial

<社説>3・11から11年 廃炉への道のり はるか
2022年3月11日 07時43分

 東京電力による福島第一原発廃炉への「中長期ロードマップ(工程表)」では、当時の政府が事故の「収束」を宣言した二〇一一年十二月から遅くとも四十年で、すべての工程を終えることになっています。

 事故発生から十一年、東電が廃炉作業の最難関と位置付ける燃料デブリの試験的な取り出しを、ようやく年内に、2号機から始めることになりました。

 デブリとは、溶け落ちた核燃料が炉内のがれきと混ざり合い、冷えて固まったもののこと濃度の高い放射性物質の塊です

 メルトダウン(炉心溶融)が起きた三基=写真=のうち、水素爆発を免れ、これまでの調査で炉内の状況が比較的明らかになっているのが2号機です。

 とはいえ、人が近づけば一時間で死に至るという強い放射線が飛び交う中、遠隔操作のロボットに頼るしかない“手探り”の作業であることに変わりはありません。


◆デブリは除去できるか

 複数の事故原発の廃炉、解体は史上例がなく、必要な機材も破壊の状況に合わせてゼロから設計、製作しなければなりません。

 爆発で建屋が崩れ落ちた1号機、建屋は健全な2号機、上部が吹き飛んだ3号機、状態はそれぞれに異なります。

 2号機の試験作業には、全長二十二メートル、重さ四・六トンという英国製のロボットアームを用います。

 本来、昨年中に始める予定だったのですが、コロナ禍で製造や輸送がままならず、一年遅れになりました。今は国内の施設で性能試験および操作の訓練中。原子炉側面に開けた穴に“腕”を差し入れ、わずか数グラムの粉末真空容器に採取して、その性状を確かめます。

 2号機内のデブリは推定約二百トン三基で計八百八十トンと推計されています。今後約三十年、一日あたり八十キロずつ取り出さなければなりません実現可能な数字でしょうか

 このようにデブリの取り出し一つとっても、気の遠くなるような険しい道のりです。たとえ工程表通りに廃炉を完了することができたとしても、莫大(ばくだい)な費用がかかります。

 ロシアによるウクライナの原発に対する攻撃が世界を震撼(しんかん)させる中、とてつもなく危険で、お金がかかる原発という施設のやっかいさ、原発を持つことの恐ろしさについて、あらためて考えずにはいられません。

 原発事故の収束費用は約二十二兆円、このうち東電負担の廃炉費用は八兆円と見積もられてはいるものの、取り出したデブリや解体で生じる廃棄物の処分費用などは、含まれません

 実際いくらかかるのか。東電に尋ねると、「何をもって『廃炉』とするのか、その最終形が決まっておらず、明確にお答えするのは難しい」との回答でした。

 通常は、運転を終了した原発を解体、撤去し、廃棄物を処理して更地にするまでが廃炉です。

 ところが東電の工程表をよく見ると、「使用済み燃料の取り出し開始まで」を第一期、「デブリの取り出し開始まで」を第二期としてはいるものの、それ以降、「廃止措置(廃炉)完了まで」の第三期に関しては、作業開始から「三十〜四十年後」と期限が切られているだけで、具体的に何をするかが書かれていない十一年たってなお、何をすべきか、いくらかかるか、決められずにいるのです

 福島と同じ「レベル7」の爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発について、ウクライナ議会は事故発生から十二年後の一九九八年に「チェルノブイリ廃炉法」を制定し、「デブリを取り出して敷地を環境上安全な状態にする」と廃炉のゴールを定めた上で、工期を約百年としています


◆40年は無理、100年スパン

 東電の工程表を現在の技術レベルに照らして見る限り、今後三十年足らずのうちに、跡地や地域を「安全な状態」にできるとは思えません。

 原子力資料情報室伴英幸共同代表は「四十年廃炉は無理百年、二百年という長いスパンで考えるべきだと思う例えば『石棺方式』といいますか、建屋を丸ごとコンクリートで封じ込め、冷却し、放射線が減衰するのを待ちながら技術開発を進めていくという道筋も考えられる」と、別の選択肢を示します。

 地域、ひいては、この国の未来にかかわる問題です。いずれにしても、工程表を書き換えなければならなくなるのは確かでしょう。
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コメント
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●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見てみたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?

2021年08月20日 00時00分57秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(2021年07月18日[日])
マガジン9のコラム【言葉の海へ 第170回:原発の今(鈴木耕)】(https://maga9.jp/210630-5/)。

 《処理汚染水海洋放出決定 …しかし、それらは安全基準以下に海水で薄めてから「海へ流す」ので環境汚染にはならないと東電も政府も言う。何度もぼくは書いたり話したりしているが、こんなおかしな話もない。「海水で薄めて海へ流す」? 海の水を海水という。海から採取した水で薄めて海へ還す。普通のリクツとはとても思えん! これをマジな顔で議論している政府や東電、そして御用学者や官僚たち。正気なのだろうか?

 反核発電に、高度な工学的知識は不要である。

   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
           超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
       北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の
     《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから


 1兆3700億円!? デブリの一欠片をほんの少し摘み上げてバカ騒ぎ…デブリがどんな状態で何トンあるのかも不明、どこで隔離・管理するのかも不明、かつ、《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》。後藤さんらは持ち出せないし、持ち出すべきではない、という主張。いわゆる石棺方式で、その場で隔離・管理すべきだ、と。
 デモクラシータイムスの【【原発耕論 No16】福島第一のデブリ取出しを断念せよ 20210701】(https://www.youtube.com/watch?v=gN4sTsNn0vQ)によると:
《デモクラシータイムス 
 希望的観測のデブリ取り出し計画
 不透明な計画に、増え続ける汚染水と撤去費用
 仮にデブリを取り出せても、資材等と絡み合った核廃棄物の処理方法や
 管理場所すら何も決まっていない

 デブリ取り出しの難しさ、空冷化による管理を筒井さんが解説
 なし崩しの原子力政策はもういらない

 ゲスト:筒井哲郎(プラント技術者の会)
     後藤政志(元東芝 原発設計技術者)
     菅波完(高木仁三郎市民科学基金 事務局長)
 司会:鈴木 耕(デモクラシータイムス)
 収録は、2021年7月1日》


https://www.youtube.com/watch?v=gN4sTsNn0vQ

   『●《廃炉の時代》、そして、核燃料サイクルという閉じない「環」
              …未来無き核発電に邁進するアベ様独裁政権
   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
      3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
   『●自公お維や寄生委、東京電力の皆さん、《どんな状態が“福島第一の
     廃炉完了”》の定義なの? 《ゴールわからず走り続ける「廃炉」》?

 《ゴールわからず走り続ける「廃炉」》。
 同じ週のマガジン9の記事【福島第一原発の「廃炉」を考える――廃炉制度研究会レポート 第2回:「事故炉廃炉」と住民参画――スリーマイルではどう決めたか⑴――①「処理水」処分決定プロセスの日米比較】(https://maga9.jp/210630-4/)によると、《作家の尾松亮さんは、法規制や政策決定プロセスなどをテーマに、東京電力福島第一原発を含む世界中の原発の廃炉について調査しています。その尾松さんが、ジャーナリストや研究者らと立ち上げた「廃炉制度研究会」の第2回オンライン報告会が5月31日に実施されました。意思決定プロセスにおける民主性の担保という観点から、福島第一原発とアメリカのスリーマイル島原発の事故後対応を比較する尾松さんのお話の内容を、2回にわけて紹介します。1回目は、処理水処分決定にいたるまでの意思決定プロセスの違いについてのお話をまとめました。(田上了子)》。

   『●「国際的に一番厳しい基準を設けている」し、
      そして「原状回復」したのならば、「そこ」に住んでみては?
   『●東京電力原発人災、支援の幕引き:
     「区域外避難」者も含めて「“棄民”政策だというそしりは免れない」
   『●今村雅弘復興相、「本人の責任」
     「裁判でも何でもやればいい」と…「死の町」にした者こそ糾弾されるべき
   『●今村雅弘復興相「問題は激高よりも「自主避難は自己責任」発言」
                …ココで「自己責任」論に出くわすとは…
    「それにしてもこんなところで「自己責任」論が出てくるとは、
     唖然としました。《誰が好き好んで自主避難などするだろうか》!」

   『●東京電力原発人災、支援の幕引き: 
      「区域外避難」者も含めて「“棄民”政策だというそしりは免れない」
   『●東京電力に核発電所を再稼働させる資格はあるのか?
           無条件で即時に全ての廃炉作業に入るべき
   『●アベ様による「棄民」政策をも追認…東電旧経営陣の
     刑事裁判で永渕健一裁判長は「無罪」という「政治判断」を下した
   『●やはり核発電は「金のなる巨大木」だった…
     高浜「原発マネー」が八木誠会長ら関西電力経営陣個人に見事に《還流》
   『●東電旧経営陣に無罪判決…《誰も事故の責任を取らなければ
        企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》
   『●東京電力核発電人災、決して自主避難者の《自己責任》ではない
           …「原発事故がなければ福島を出た人は誰もいない」
    「《住宅無償提供打ち切りで、避難を続けるか、福島に帰るか選択に
     迫られた。家賃の支払いをめぐり被告となる人たちも出ている》…
     何という無慈悲。自主避難者を《被告》にする? デタラメ」

   『●《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!
     10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》
   『●武藤類子さん《本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく
      違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》

 さらに、〝自主避難者〟という区別・差別…区域外避難者に、どこまでこの国は冷酷なの?
 これもマガジン9のコラム【一枝通信 第7回:「原発避難者住宅追い出し裁判」傍聴記 「『戻る権利』があるように『戻らない権利もあって然るべき」(渡辺一枝)】(https://maga9.jp/210623-1/)。《5月14日、福島地方裁判所で開廷された「原発避難者住宅追い出し裁判」の傍聴に行ってきました。2011年3月11日の東日本大震災と原発事故によって、多くの人が居住地を離れて避難しました。避難者は災害救助法によって避難先で仮の住居を得ましたが、自然災害と違って原発事故による被害は、災害救助法では救済しきれない問題が多々あります被害も長期に亘ります。それなのに、福島県はたった6年で住宅支援を打ち切り、行き場がなくそのまま居住する人に対しては2倍の家賃を請求、更に裁判に訴えてまで追い出そうとしています県民を守ろうとしないばかりか、逆にいたぶっているのです。どうぞ、この裁判にご注目を。》
 東京電力や政府、福島県は、なぜ「原状回復」してくれないんですか? 10年も経ちましたけど? 「原状回復」してくれれば、区域外避難者のみなさんも喜んで古里、故郷にお戻りになるはずです。なぜ「原状回復」しないのですか? 《「知っている町はどこかに行ってしまいました。返してください!10年前を!」。故郷をめちゃくちゃにされたことへの怒りは深かった》。

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https://maga9.jp/210630-5/

言葉の海へ
第170回:原発の今鈴木耕
By 鈴木耕 2021年6月30日

ぼくの「原発ファイル」

 コロナとオリンピックに頭を汚染されて、しばらくこのコラムでも「原発」に触れていなかった。むろん、原発を忘れていたわけじゃない。ぼくの切り抜き「原発ファイル」は、もう47冊目に入っている。

 新聞記事を主体に、週刊誌月刊誌などの雑誌記事、ネット情報のプリントアウト、官報からのデータや、信頼できる筋から入手した文書など、その時々の情報をピックアップして集めているものだ。今も毎朝、新聞4紙(朝日、毎日、東京、沖縄タイムス=電子配信)を読んで、目についたものは切り抜きプリントアウトする。

 原発のほかに、沖縄や憲法、その他の重要な記事は「沖縄・憲法・その他」というファイルを作っていて、こちらはもう62冊目になっている。

 自分でも、これらはかなり貴重な資料集だと思っている。なにしろ、2011年3月から始めたファイルだから、最初のころの紙面はもう茶色く褪せている。そう、あれから10年以上も過ぎたんだな。

 今めくってみると、例えば「原子力安全・保安院の人員構成」「原子力安全委員会役員名簿」「原子力発電所の災害評価」「東京電力本店会議録」「放射能を正しく理解するために・文部科学省パンフ」「第23回原子力安全委員会速記録」などなど、どこから入手したかも憶えていないものも目につく。あの頃、福島事故から1年ほど、ぼくが必死になって集めていたものだ。だから第1冊目は、こんなに分厚い。

 ファイルが47冊ということは、1年に4冊以上のファイルを作成しているということだ。その時々の、ぼくの関心のありようが伝わってくる。

 ぼくの本棚は雑多な本で溢れ返っているが、いずれぼくが死んだら、これらの本はあっさりと処分されるだろう。どう処分してもいいよ、とカミさんには伝えてある(ま、ぼくのほうがカミさんより先に逝くのは確かだと思うから)。

 しかし、このファイルだけはどこかに寄付したいなあ。きっと、それなりの資料的な価値はあると思うのだ。

 昔話はさておき、最近、まるで「コロナ禍」をチャンスとばかり、原発ムラの妖怪たちの動きが激しい。みんなの目がコロナやオリンピックに向いているのを勿怪(もっけ)の幸い、不審な動きが激しさを増している。

 目についたものを順不同でピックアップしてみよう。


処理汚染水海洋放出決定

 これは菅政権の原発に対する考え方を、そのまんま表したような決定である。

 汚染水は溜まりにたまって、貯蔵タンクは2023年には満杯になるとされる。もはや貯蔵しておくのが限界だとして、海へ流すというのだ。

 ALPSという放射性物質除去装置で、多くの放射性物質は取り除かれているという。だが、放射性物質であるトリチウムは除去できないし、他も完全処理には程遠く、多くの放射性物質の取り残しがあるとされる。しかし、それらは安全基準以下に海水で薄めてから「海へ流す」ので環境汚染にはならないと東電も政府も言う。

 何度もぼくは書いたり話したりしているが、こんなおかしな話もない。「海水で薄めて海へ流す」? 海の水を海水という。海から採取した水で薄めて海へ還す。普通のリクツとはとても思えん! これをマジな顔で議論している政府や東電、そして御用学者や官僚たち。正気なのだろうか?

 むろん、地元のみならず科学者や漁業関係者からは絶対反対の声が上がっている。さらには、国連の独立特別報告者(3名)が「放出は太平洋地域の何百万もの命や暮らしに大きな影響を与えかねない」として深い遺憾の意を表明している(4月15日)。国際的にも強い批判を浴びているのだ。


事故処理費の試算21.5兆円

 福島第一原発事故処理費は、2016年時の試算では21.5兆円になったという。費用の内訳は、廃炉=8兆円、賠償=7.9兆円、除染=4兆円、汚染土等保管費=1.6兆円。これは2016年の試算だ。政府による試算は、年が経つたびにどんどん増えていく。多分、もうじき政府が「もっと増えました」と言いだすに決まっている。

 例えば、沖縄辺野古米軍基地の建設費用は、当初(2013年)の防衛省計画では2310億円とされていた。だが沖縄県による現時点での試算では2兆5千億円ほぼ10倍に増え、工期も13年以上かかるとされている。それだって無理だとぼくは思うけれど。

 原発事故処理費はまだまだ増えるだろうし、期間も100年単位になるのは必至だ。それでもなお、原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を見てみたい。多分、連中はオレの生きているうちには終わらないし、死んだ後のことなど知らねえよ。それまでは税金でいい目を見せてもらうぜとせせら笑っているのだろう。


自民原発推進派の動き

 国の基本的なエネルギー政策をまとめる「エネルギー基本計画」は、この夏に改定される予定。それに影響を及ぼそうとして自民党内に「最新型原子力リプレース推進議員連盟」なる組織が動きを活発化させている。

 要するに、「脱炭素社会(カーボンニュートラル)の実現」という菅首相の空疎なスローガンに乗っかって、「原発は脱炭素だから、新増設や建て替え(リプレース)を推進する」というヘリクツ集団である。稲田朋美会長に安倍晋三最高顧問という布陣の、政治的思惑だらけの組織だ。他に「電力安定供給推進議連(細田博之会長)」という議連も原発推進の動きを活発化させている。これらの「議連」というのは、それなりのスローガンは掲げるが、結局は、派閥絡みの利権集団なのだ。

 最近突然旗揚げした「『自由で開かれたインド太平洋』推進議連」というわけの分からない議連は二階俊博会長だが、安倍晋三と伊吹文明の両氏を最高顧問に祭り上げて発足。もはやこうなると、不仲を噂される二階と安倍のパフォーマンス。まるで抗争中のヤクザの組同士の手打ち式だ。でもまあ、そんなのはほっとけばいい。

 だが、「女性初の首相」を狙うという稲田朋美が動き出し、後ろ盾に安倍がつくとなると「原発推進議連」はかなり胡散臭いし、危険な臭いがするのだ。


原発事故の真相

 旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原発事故から、今年の4月26日で丸35年が過ぎた。その事故に関する機密文書の一部をウクライナ保安庁(情報組織)が公開した。ソ連の情報機関の国家保安委員会(KGB)などの報告書だ。

 同原発は事故前からトラブルが相次ぎ、かなり危険視されていたが住民に知られることを恐れて、すべて隠蔽されていたという。事故後も隠蔽が続き、放出された放射性物質の量や構成、被害者や傷病者、死者などの詳細は隠されたままだった。今回公開されたのは、残念ながら、そのほんの一部に過ぎないけれど。

 原発に関しては、どこの国もやることは同じだ。最近、中国広東省台山原発1号機で放射能漏れ事故があったのではないかとの報道があり、事実、かなりの放射性ガスが放出されていたことが判明した。だが建設に携わったフランス電力は、例によって「多少のガス漏れはあったが環境に影響はない」とコメントしただけだった。

 日本列島は最近、やたらと地震が多い。その度に原発会社は「原発に影響はありません」と発表する。だが今年の2月13日の震度6の地震では、福島第一原発では格納容器内のデブリ冷却水の水位低下が起きていた。しかも、ここでは地震計が壊れたまま放置されていたことも判明。東電の体質は事故後も変わっていない

 電力会社の「原発に支障はない。環境に影響はない」を信じちゃいけない


40年超老朽原発、再稼働

 もう腹立たしいのも通り越して、バカ野郎!と叫びたい。

 あの「40年ルール」ってのは、いったい誰が何のために作ったのだ!

 40年間も運転し続ければ、脆性劣化と呼ばれる金属疲労が起きて危険性が増す、というのは2011年3月の福島第一原発事故の大爆発以前から、ずっと言われてきたことではなかったか。そのために、何度も過酷事故(シビアアクシデント)の瀬戸際まで行ったことがあったではないか。

 美浜原発3号機(関西電力、福井県)では、2004年8月9日に配管破断という大事故を起こし、11名が被災、うち5名が死亡している。その美浜3号機がこの6月23日に再稼働したのだ。もう一度事故を起こさないと懲りないのか!

 関西電力は、福島事故以前は発電量の約5割を7基の原発に頼っていた。しかし関電の原発は老朽化が進み、2025年には5基が40年超となる。だから是が非でも再稼働したいのだ。電源のシフトチェンジを怠ってきたツケを、原発再稼働で補おうというのだから虫が良すぎる。というより、いったいこの10年間、何をやって来たのだ!

 こんな原発に、新規制基準適合というお墨付きを与える「原子力規制委員会」にも、ぼくは不信感いっぱいである。なお、この美浜3号機再稼働に関しては、住民たちが「運転差し止め仮処分」を大阪地裁に申し立てている。地裁では勝つ可能性もあるが、日本の司法は、上級審になるにしたがって「政権忖度判決」に堕ちていく


福島第二原発、廃炉開始

 東京電力は、福島第二原発(4基)の廃炉作業を開始した。廃炉終了までには44年間かかると見積もっているという。これで、第一(6基)と併せて、東電は全10基の廃炉作業を同時並行で行うことになる。

 だが、燃料デブリ(溶融核燃料等の融合物)は致死に至る放射能を帯びており、近づくことさえできず状況すら把握できていない。第一原発は廃炉工程さえ作れない状況にあり、それと同時並行の第二廃炉など、絵に描いた餅以上だ44年どころか、100年後の日本をも汚し続けているだろう

 しかも、取り出した放射性廃棄物の行き先は決められないままだ

 よく「原発はトイレなきマンション」と譬えられるが、この強烈な「排泄物」を、東電(すべての電力会社や自民党政府)は、いったいどうしようというのだろうか。再稼働など、デブリや使用済み核燃料の廃棄処分が終わってから言え

 なお、伊方3号機(愛媛)はこの10月に再稼働、また島根2号機には規制委が新規制基準適合を与えた。もはや、原発は規制を失ったかに見える


核燃料再処理工場の闇

 みなさん、核燃料再処理工場って知っていますか? そして、この事業にいったいいくらの金が注ぎ込まれているか知っていますか?

 青森県六ケ所村にある日本原燃の「六ケ所再処理工場」のこと。要するに、使用済み核燃料を各電力会社がここへ持ち込んでガラス固化体にして処理するという触れ込みで、1993年に建設が開始された。だが、固化体は何度試みても成功しない。したがって、工場そのものも完工には程遠い。

 これまで28年間で、すでに25回も稼働延期が繰り返され、費用も当初は7600億円だったものが、いまや総事業費14兆4千億円に膨れ上がっているなんと20倍だぜ。こんなデタラメな会社が存続しているのがニッポンだ。一般の会社ならとっくに倒産、社長らは責任取って腹切りものだろう。しかも、これで収まるという可能性はほぼゼロだ。これもまた、あの辺野古基地と同じ構造である。

 また、使用済み核燃料を加工してMOX燃料(抽出プルトニウムとウランの混合燃料)にする工場の総事業費も2兆4千億円と増え続けている。まるで金をドブに捨てるようなものだが、それでも止めようとしない。いったいどこからそんな金が出てくるのか。

 とにかく、最初は低い見積もりで、完成するかどうかわからないものに予算をつける。それが何度も延期を繰り返し、工期も費用も膨大にかさんでいく日本政府や官僚の、これがやり口なのだ。一度決めたことは何があっても引き返さない。誰も責任を取らない。そのうち、立案者や実行者たちは消えていく

 日本的無責任体系の典型的な例がここにある。そう、東京オリンピックの惨状を見ていれば、これが「ニッポン病」だということがよく分かる。


その他の諸問題

 とりあえずここまで書き進めてきたが、まだ原発に関する問題は山積みだ。

 例えば、事故による障害、白血病やその他の癌の発生、原発作業員の労災の問題、子どもたちの甲状腺検査縮小への批判、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の報告書、避難者たちへの補償の問題、同じく住宅補助の打ち切り、再生エネルギー問題、九州電力による出力制御、風評被害……などなど、触れなければならない問題は限りがない。

 しかし、今回はここまでにしておこう。原発問題となると、ぼくの文はどうしても長くなってしまうのだ。

 とくに、原発事故による放射性物質の拡散の影響、それによる疾病の増大、小児甲状腺癌の発生と検査体制の問題については、とても数十行の文章では意を尽くせない。それについては稿を改めようと思う。


鈴木耕 すずき こう: 1945年、秋田県生まれ。早稲田大学文学部文芸科卒業後、集英社に入社。「月刊明星」「月刊PLAYBOY」を経て、「週刊プレイボーイ」「集英社文庫」「イミダス」などの編集長。1999年「集英社新書」の創刊に参加、新書編集部長を最後に退社、フリー編集者・ライターに。著書に『スクール・クライシス 少年Xたちの反乱』(角川文庫)、『目覚めたら、戦争』(コモンズ)、『沖縄へ 歩く、訊く、創る』(リベルタ出版)、『反原発日記 原子炉に、風よ吹くな雨よ降るな 2011年3月11日〜5月11日』(マガジン9 ブックレット)、『原発から見えたこの国のかたち』(リベルタ出版)、最新刊に『私説 集英社放浪記』(河出書房新社)など。マガジン9では「言葉の海へ」を連載中。ツイッター@kou_1970でも日々発信中。
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●自公お維や寄生委、東京電力の皆さん、《どんな状態が“福島第一の廃炉完了”》の定義なの? 《ゴールわからず走り続ける「廃炉」》?

2021年06月19日 00時00分40秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(2021年06月12日[土])
マガジン9の記事【こちら編集部/福島第一原発にも「廃炉法」を――廃炉制度研究会 第1回オンライン研究報告会(田上了子)】(https://maga9.jp/210602-5/)。

 《作家の尾松亮さんは、東日本大震災と福島第一原発事故以降、チェルノブイリ原発事故後の現地政府の対応などを研究してきました。近年は、世界の原発の廃炉事例の調査・研究にも力を注いでいます。2018年にジャーナリストや研究者らと共同で「廃炉制度研究会」を立ち上げ、21年4月26日、第1回「オンライン研究報告会」が開催されました。「福島第一原発にも『廃炉法』を─TMI、チェルノブイリに学ぶ『事故炉廃炉』の法的定義─」と題された報告会での、尾松さんのお話の内容を紹介します。…しかし、どんな状態が“福島第一の廃炉完了”にあたるのかは決まっていませんにも拘わらず、遅くとも2051年までに作業を終了させるという期限だけが決められています》。

   『●《廃炉の時代》、そして、核燃料サイクルという閉じない「環」
              …未来無き核発電に邁進するアベ様独裁政権
   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
      3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》

 《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》《ゴールわからず走り続ける「廃炉」》――― 自公お維や寄生委、東京電力の皆さん、その定義を教えて下さい? 《そもそも「福島第一原発の廃炉完了」とはどういう状態かが定められていない》。定義も無く、どうして、完了の期間を決めれるの? 《51年になった時点で、原発がどんな状態であれ、東電や政府が作業を放棄する可能性があることです。完了要件が定められていない以上、東電や政府には、作業継続の法的義務がありません》。廃炉作業のスペース確保という名の、〝汚染水〟の海洋放出という愚行。なにが〝風評被害〟だ。実害が出ます。
 そもそも、(地球上の誰にもできる訳がないのですが)「原状回復」することも出来ないくせに、核発電所再稼働なんてやっている場合なのか? それでも、ニッポンでは核発電「麻薬」中毒者は核発電所を再稼働したいそうだ、正気じゃぁないね。

 そんなに再稼働したけりゃぁ、まず、東電や国は、早く「原状回復」して見せてくれ。
 以下二つの記事を再度引用。
 AERAの記事【ゴールわからず走り続ける「廃炉」 法的義務なく…現状のまま“終了宣言”も】(https://dot.asahi.com/aera/2021030900015.html)によると、《未曽有の原発事故から10年。今も続く廃炉の現場は、課題山積。しかも東電は、「廃炉終了の定義を明確にしないまま廃炉を進める。残された年月は20~30年。》
 日刊ゲンダイの記事【注目の人 直撃インタビュー/福島原発「30~40年で廃炉完了」に根拠なし 1F廃炉の先研究会代表が喝破】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/286323)によると、《■松岡俊二(早大大学院アジア太平洋研究科・1F廃炉の先研究会代表)… ――最近になって2、3号機の原子炉格納容器の上ぶたに、2京(兆の1万倍)~4京ベクレルもの放射性セシウムが付着していることも判明しました》《現状では、ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそうです》。

 (リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた“最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」だというのに、のほほんと《とにかく嘘とインチキだらけのひどいシロモノ》を吐き続けている醜悪な図。

   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」

 利権漁りカースーオジサンも、「脱炭素」「地球温暖化対策」を言い訳に、核発電に回帰。

   『●「狂ったゴジラ」「老朽原発」「寿命核発電所」…40年超核発電所の
         稼働という「麻薬」に手を出す核発電「麻薬」中毒者らの暴走

 《日本という国の変わらぬ悪しき体質》。
 【西谷文和「路上のラジオ」 Vol.29 コロナ禍と原発 ~この国の悪しき体質から抜け出し、持続可能な社会を目指すには?~】(https://www.radiostreet.net/radio/499/)によると、《2020/07/10 ゲスト:小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所) 全世界で新型コロナウイルスが蔓延し、誰もが暮らしの先行きが全く見えない中、これまでの価値観は、短い間に次々と崩れていきます。今こそ私たちが考えておくべきことは一体何なのか?その答えを求めて、今回の「路上のラジオ」は長野県松本市に、小出裕章さんを訪ねました。もうすぐ東日本大震災による東京電力福島第一原発事故から10年。コロナ禍においても、原発事故と全く同じ構造の中で、私たちの命は危険にさらされ続けていますこの緊急事態にあっても、欲にまみれた為政者とそれを取り巻く大企業とメディアが、私たち生活者の苦難を横目に利権獲得に暇がないようにも見えます。そこで今回は、3.11以前からずっと日本の原子力政策に警鐘を鳴らし続けて来た小出裕章さんに、諸外国を含む原子力開発の歴史を紐解く中で、日本という国の変わらぬ悪しき体質を検証していただきました。そして番組最後には、退官後は松本に移住してできるだけ自然エネルギーを使いながら暮らし農業を通して土に親しむ小出さんに、過酷な未来をも乗り切ることができでそうな快適な暮らし方の提案をにいただきました。気づきと希望の60分、どうぞごゆっくりお楽しみください》



西谷文和「路上のラジオ」 Vol.29 コロナ禍と原発 ~この国の悪しき体質から抜け出し、持続可能な社会を目指すには?~】
 (https://www.radiostreet.net/radio/499/

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https://maga9.jp/210602-5/

こちら編集部
福島第一原発にも「廃炉法」を――廃炉制度研究会 第1回オンライン研究報告会(田上了子)
By マガジン9編集部 2021年6月2日

     (福島第一原発3号機原子炉建屋前
      (出典:東京電力ホールディングス))

 作家の尾松亮さんは、東日本大震災と福島第一原発事故以降、チェルノブイリ原発事故後の現地政府の対応などを研究してきました。近年は、世界の原発の廃炉事例の調査・研究にも力を注いでいます。2018年にジャーナリストや研究者らと共同で「廃炉制度研究会」を立ち上げ、21年4月26日、第1回「オンライン研究報告会」が開催されました。「福島第一原発にも『廃炉法』を─TMI、チェルノブイリに学ぶ『事故炉廃炉』の法的定義─」と題された報告会での、尾松さんのお話の内容を紹介します。(田上了子)

***


“廃炉”を法で縛ることの大切さ

 最初に、福島第一原発の現状についてお話ししましょう。現在、東京電力が定めた「廃炉に向けたロードマップ」に沿って、使用済核燃料取り出しなどの「廃止措置にむけた作業」が行われています。このロードマップの目標は、野田首相(当時)が事故の収束宣言を出した2011年12月から30~40年後(2041~2051年)までに工程を終了させることです。

 しかし、どんな状態が“福島第一の廃炉完了”にあたるのかは決まっていませんにも拘わらず、遅くとも2051年までに作業を終了させるという期限だけが決められています。51年までに作業を終了させるため、来年にはデブリ(原子格納容器の底に溶け落ちて固まった核燃料)の取り出し開始が予定されています。そして、デブリ取り出しに必要な施設を敷地内につくるために、タンクに貯蔵している処理水を海洋放出して、スペースを確保しようとしているのです。

 なぜこんなことが起きるのでしょうか。事故後、福島第一原発は原子炉等規制法に基づき、災害時の応急措置を講じた後も特別な管理が必要な「特定原子力施設」と位置付けられました。ところが現在の日本には、「特定原子力施設」の廃炉の完了要件を定めた法律がありません。現在、福島第一原発で行われている作業は、原子炉等規制法を根拠とする保安・防護措置であり、法的には「原子炉の廃止措置」ではないのです。

 今年4月、菅首相は「廃炉を前に進めるために」汚染水の海洋放出を決定したと発表しました。しかし、そもそも「福島第一原発の廃炉完了」とはどういう状態かが定められていないのですから、首相の発言は筋が通りません。日本の法律家は、こうした矛盾を指摘すべきです。

 廃炉の完了要件や、そのプロセスを定めた法制度がないことの問題点は、大きく2つあります。1つは、51年になった時点で、原発がどんな状態であれ、東電や政府が作業を放棄する可能性があることです。完了要件が定められていない以上、東電や政府には、作業継続の法的義務がありません。現状の制度では、国民が作業放棄の法的責任を問うことも難しいでしょう。2つめの問題点は、廃炉プロセスが法で縛られていないために、作業員にたいへんな被ばくを強いる工程が採用されるかもしれないことです。環境汚染への影響も、十分考慮されない可能性があります。


極端な二者択一論から脱するために

 では、深刻な事故を起こした原発の廃炉に関して、他国ではどのような法的規定が適用されているのでしょうか。

 チェルノブイリでは、原発事故から12年後の1998年、ウクライナ議会で「チェルノブイリ廃炉法(通称)」が成立しました。この法律によって、廃炉の完了要件は「デブリを取り出して敷地を環境上安全な状態にする」ことと定められました。作業の実施は国営事業者に、予算措置は国に義務付けられています。2008年には、廃炉の工程や年数などを詳細に定めた「チェルノブイリ廃炉プログラム法(通称)」が成立。この法律の前文には、工程全体には約100年を要すると明記され、デブリの取り出し開始は、「プログラム法」の成立時点から30~50年後を見込むという目安が示されています。国や事業者が作業を急ごうとしても、法律を改正しない限り認められません。

 よく、「チェルノブイリは石棺で原発を封じ込めてしまい、デブリ取り出しは断念した」といわれますが、それは誤解です。2016年に石棺の上から設置された新シェルターは、「廃炉法」で「崩壊した4号炉から核燃料を含む物質(訳注:デブリ)を取り出すための設備」と定義されています。事故から35年が経った現在も、シェルター内部ではクレーンの試験運転などが続けられ、デブリ取り出しの準備が進められているのです。

 アメリカ・スリーマイル島原発事故の場合はどうでしょうか。スリーマイル島では、事故から11年後の1990年には、デブリの取り出しが完了しました。しかし、すぐには原子炉解体に着手せず、取り出したデブリを敷地外に搬出した後で、1993年に、NRC(アメリカ合衆国原子力規制員会)が原子炉を無期限に監視貯蔵するためのライセンス変更を行いました。事故から42年経った現在に至るまで監視貯蔵は続けられ、原子炉解体は未着手のまま作業員の被ばく量を低減させるため、解体を先延ばしにしているのです。

 現在、廃炉工程に入るための計画が審議されていますが、実は、スリーマイル島原発の廃炉作業について定めた特別な法律はありません。ただし、NRC規則によって、スリーマイル島原発の廃炉の完了要件は、アメリカの通常原発と同様の基準が適用されます。そのため、スリーマイル島原発の運営事業者は、原子炉施設の解体や敷地の更地化を達成した上で、空間線量0.25ミリシーベルト/年といった基準をクリアする法的責任を負っています。

 廃炉に関する他国の法規制や立法プロセスは、日本ではこれまで、あまり紹介されてきませんでした。日本で展開される廃炉についての議論は、技術的な困難さに焦点をあてたものが多く、その結果、国民は、極端な二者択一論に陥っているように感じます。一方の人は、「デブリ取り出しは技術的なハードルが高すぎるから、石棺方式を採用した方がよい」と主張し、もう一方の人は「石棺方式なんてとんでもない。とにかく早期にデブリ取り出しに着手しなければ」と主張する。本当はこの両極端の間に、いくつもの選択肢があるはずです。

 チェルノブイリは、新シェルターで原子炉を覆って周辺住民や環境の安全を確保しながら、時間をかけてデブリ取り出しの準備をしています。スリーマイルは、原子炉の線量が十分に下がるのを待ってから廃炉に着手することにしています。いずれも、議会での審議や市民を交えた議論を経て成立した法的規定に則って、廃炉に向けた作業や手続きを進めているのです。

 日本にも、廃炉の完了要件や、国や事業者への達成義務、さらには廃炉プロセスにおけるルールを定めた法的規制が必要なはずです。廃炉法制がないことによる課題を多くの人と共有し、廃炉法制成立に向けた議論を活発化させていきたいと思います。


尾松亮(おまつ りょう) 1978年生まれ。東京大学大学院人文社会研究科修士課程修了。文部科学省派遣留学生として、モスクワ大学文学部大学院に留学。その後、民間シンクタンクでロシア・北東アジアのエネルギー問題を中心に調査。2018年以降、民間の専門家・ジャーナリストによる「廃炉制度研究会」を主宰。『科学』(岩波書店)、『政経東北』、『聖教新聞』で「廃炉と社会制度」をテーマに連載中。編著に『原発「廃炉」地域ハンドブック』(東洋書店新社 2021年)。
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●海洋放出という愚行に《X年後》を恐れる…《取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》

2021年04月23日 00時00分17秒 | Weblog

[※↑ 双葉町での聖火リレーに際しての大沼勇治さん(報道特集 2021年03月27日[土])]


(2021年04月11日[日])
片山夏子保坂千裕の両記者による、東京新聞の記事【「政府は押し切るのか」原発汚染処理水の海洋放出に福島の漁業関係者が憤慨】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/96490)。

 《東京電力福島第一原発で保管が続く汚染水を浄化処理した後の処理水を巡り、菅義偉首相は7日夜、近く処分方法の方針を決めると明言した。政府が念頭に置く海洋放出処分となれば、漁業関係者への打撃は必至で、福島県や隣接する茨城県からは強い反対の声が上がった。(片山夏子)》。

   『●《子どもたちに、原発が安全なエネルギーと思ってほしくない。同じ
      過ちを繰り返さないため、声を上げられなかった人たちの分まで…》

 東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである簡単には水に流せぬ》。
 正に《簡単には水に流せぬ》し、流してはいけない。愚行。アベ様曰く《アンダーコントロール》なんでしょ? 元・最低の官房長官=現首相も「汚染水の『影響』は完全にブロック」と仰っているのでしょ? では、東電と国の方で、そのまま制御し続けてください。それを公約に、金(カネ)色の五つの輪を東京に招致したのですから、復興五輪と嘯いて。いまさら〝処理〟水を、なんで《海洋放出》《海に放出》する必要があるの? ブログ主は実害が出ると思いますが、風評だと仰るのなら、東京湾や(お維もお望みのようですから)大阪湾に放流すればいい。自民党や公明党の本部にでも降り掛けてみたら? ブログ主は《X年後》を恐れます。
 利権漁りカースーオジサンは、4月13日にも、それを決める模様だ。愚かすぎるし、世界中の顰蹙を買うことになる。

   『●東京電力原発人災、
     今頃公開されたわずかな捏造・改竄映像からでも分かったこと
   『●東京電力原発人災、汚染水問題は続く
    「しかし、海に放出を検討なんて、無責任にもほどがある。
     今も地下水を汚染し続けていると思うけれども、「ほとんどの種類の
     放射性物質を法定濃度未満になるまで除去」するなんて本当にできる
     のかどうか眉唾であり、それを海に放出するなんて許されるのか?」

   『●トリチウム、使用済み吸着剤の処理・処分、…
         再稼働や輸出なんてやっている場合か?
   『●屁理屈にもなっていない…
     菅義偉官房長官「汚染水の『影響』は完全にブロック」
   『●「暴走するゾウ、ゴジラを解き放とうという「愚」」な
           東電をどのように「信頼」すればよいのか?
    《原子力規制委員会は二〇一七年以降に海洋へ放出すべきだとして
     いるが、全国漁業協同組合連合会(全漁連)は反発を強めている。
     水産関係者にとっては死活問題だけに、当然だ。
     米スリーマイル島原発事故の際にも、約六千トンのトリチウム汚染水が
     残された。米原子力規制委は、河川への放出など九通りの選択肢を
     地元住民に提示した。そうして選ばれたのが、ボイラーで少しずつ
     大気中に蒸発させるという方法で、処理には十年をかけた。福島とは
     量が違う。廃炉は早く進めたい。
     しかし、トップダウンで決めるべきではない》

   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
     3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
    《汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ水の扱いも
     異なる。TMIでは近くの川への放出が検討されたが、下流域の住民が
     反発。91年から93年に約9000トンを蒸発させ大気中に放出処分
     した。一方、第一原発では貯蔵量が既に100万トンを超えて増え続け、
     政府が海洋放出などの処分方法を検討しているが、結論は出ていない》

   『●《安倍晋三首相は…「まったく問題はない。
     汚染水の影響は、港湾内で完全にブロックされている」と強調した》
    《交代直前に、薄めに薄めた“希釈した”表現で次の内閣に宿題を
     言い放った環境相・原田義昭の発言の重みと衝撃をどうとらえるかは
     内閣の大きなテーマとなる。 ★それは10日の閣議後の記者会見で、
     東京電力福島第1原発から出る放射性物質を含んだ汚染水
     「思い切って(海に)放出して希釈するしか方法がない」という発言だ。
     「海に放出する」となれば、ストロンチウムなどの放射性物質の
     基準値を超えた汚染水を海に垂れ流すことになり、
     「アンダーコントロール」発言を世界が蒸し返すだろう。ことに
     韓国や中国などは強い反応を示す可能性があり、新環境大臣となる
     小泉進次郎の発言が極めて重要となる》

   『●むき出しの「言論弾圧政党」は《人材の宝庫》…
     《この内閣の水準の低さ…自民党は…国民の気持ちを第一に考えな》い
    《経産の決定を環境相として真っ向から挑んでいくのが仕事ではないのか
     政治家としても閣僚としても2人の発言は憲政史上まれに見るお粗末さだ
     閣僚の発言は官房長官や首相の責任でもあることを付記しておく》

   『●三浦英之記者の質問「今でも『アンダーコントロール』だとお考えで
     しょうか」? アベ様のお答え「…その中で正確な発信をした…」!?
    《元東京都小金井市長の佐藤和雄事務局長は会見で「国が進める
     核燃料サイクルは、既に破綻している」と述べた。佐藤事務局長らは、
     運転開始から四十年を超えた原発は再稼働するべきではないとも指摘。
     東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ
     水を、海洋放出の方が確実に処理できると強調した提言案を
     政府小委員会が一月に大筋で了承したことを受け、
     放出せずに長期保管するよう求めた

   『●東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性
     物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》
   『●東京電力核発電人災から10年経って、この有様…アンダーコントロール
        どころか人災は継続中、しかも、まだ核発電を続けたいという…
   『●武藤類子さん《本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく
     違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/96490

「政府は押し切るのか」原発汚染処理水の海洋放出に福島の漁業関係者が憤慨
2021年4月8日 06時00分

 東京電力福島第一原発で保管が続く汚染水を浄化処理した後の処理水を巡り、菅義偉首相は7日夜、近く処分方法の方針を決めると明言した。政府が念頭に置く海洋放出処分となれば、漁業関係者への打撃は必至で、福島県や隣接する茨城県からは強い反対の声が上がった。(片山夏子

【関連記事】原発汚染処理水の海洋放出へ最終調整 地元の理解得られぬまま

 福島県北部の新地町の漁師小野春雄さん(69)は「全国漁業協同組合連合会(全漁連)も福島県漁連も絶対反対という中、政府は押し切るのか。原発事故の被害を受けた地元や漁業者への説明も足りない。十分に声も聞かず、話し合いもせず決めるのか」と憤慨した。

 2011年3月の原発事故後、福島の漁業は窮地に陥った。漁獲量を制限した試験操業は8年9カ月続き、今年3月に終了。4月からは本格操業に向けて、水揚げ量を増やすことになったばかり。小野さんは「我慢を重ねようやくだとほっとしたのに、風評被害の具体策も示されていない。われわれには死活問題。今このタイミングで流せば、後継者のなり手もいなくなり福島の漁業は衰退する」。

 相馬原釜魚市場買受人協同組合長の佐藤喜成さん(68)は「今でも福島県の魚は価格が低い。10年たっても年収は半分にも満たない。風評被害は絶対に起きる。補償するなら漁業者だけでなく、仲買人や小売業者の補償もすべきだ」と訴えた。「流せば生きている間、そして息子の代もずっと影響を受ける。これだけ反対の声が上がっているのに、国は一方的に強引に流すというのか」

 市民団体「これ以上海を汚すな!市民会議」の三春町の大河原さきさん(69)は、福島の多くの市町村が海洋放出に反対か慎重な判断を求めていることに言及。「県民の意見を聞く場を求めたが、ほとんど開かれなかった。影響は福島だけではなく、全国的な議論をすべきだ民意を無視して、強行して決めるのは許されない」とくぎを刺した。


◆茨城県内からも「絶対に困る」

 福島県境に近い大津漁協(茨城県北茨城市)の60代漁師は、菅首相が全漁連の岸宏会長との面会で海洋放出への理解をあらためて求めたことについて「絶対に困る」と語気を強めた。

 「震災から10年たった今でも、大津の魚は(県内でも南に位置する)大洗や久慈より安い」と嘆き、海洋放出が決まった場合の補償に対する不安も訴えた。

 別の50代漁師も「死ぬまで漁師をするつもりだった。せっかく魚が売れるようになったのに、また10年前のように騒ぎになってしまう」と風評被害の再燃を懸念した。(保坂千裕)
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●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》

2021年03月28日 00時00分57秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


/ (2021年03月14日[日])
小川慎一記者による、東京新聞の記事【廃炉の道は長く、険しく 写真で振り返る福島第一原発事故10年】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/90659)と、
伊勢崎馨氏による、リテラの記事【東電に原発事故の反省なし! 柏崎原発でID不正使用による中央制御室進入事件が発生も4カ月間隠蔽 原子力規制庁も共犯か】(https://lite-ra.com/2021/03/post-5820.html)。
リテラの記事【安倍晋三が「震災復興は私の五輪招致スピーチに沿って進んできた」と妄言! ならば今年も言う 福島原発事故の最大の戦犯はお前だ】(https://lite-ra.com/2021/03/post-5821.html)。

 《東京電力福島第一原発事故では、世界最悪レベルとなった事故の収束作業は依然終わりが見えない。メルトダウン(炉心溶融)した1~3号機の原子炉に残る溶け落ちた核燃料(デブリ)を、技術的に取り切れるのかすら不明だ。汚染水対策も解決に至らず、政府と東電は「廃炉」を目指すも、その姿を示せないでいる。東電が公開している事故現場の写真から、10年を振り返る…この10年、廃炉工程が計画通りに進んできたことはほとんどない》。
 《11日に10年という節目を迎えるが、このタイミングで、あらためて原発の危険性を痛感させられる事故や事件が立てつづけに発生している。…だが、東電の無反省ぶりがはっきり浮き彫りになった件がもうひとつある。それは、新潟県の柏崎刈羽原発で起こった「ID不正使用問題だろう》。
 《ところが、その最大の戦犯は何の反省もないようだ。前首相だった安倍晋三が先日、震災10年を語るという体で時事通信のインタビューに登場したのだが、これがとにかく嘘とインチキだらけのひどいシロモノだったのだ》。

   『●《廃炉の時代》、そして、核燃料サイクルという閉じない「環」
              …未来無き核発電に邁進するアベ様独裁政権
   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
      3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま

 (地球上の誰にもできる訳がないのですが)「原状回復」することも出来ないくせに、核発電所再稼働なんてやっている場合なのか? それでも、ニッポンでは核発電「麻薬」中毒者は核発電所を再稼働したいそうだ、正気じゃぁないね。

 そんなに再稼働したけりゃぁ、まず、東電や国は、早く「原状回復」して見せてくれ。
 AERAの記事【ゴールわからず走り続ける「廃炉」 法的義務なく…現状のまま“終了宣言”も】(https://dot.asahi.com/aera/2021030900015.html)によると、《未曽有の原発事故から10年。今も続く廃炉の現場は、課題山積。しかも東電は、「廃炉終了の定義を明確にしないまま廃炉を進める。残された年月は20~30年。》
 日刊ゲンダイの記事【注目の人 直撃インタビュー/福島原発「30~40年で廃炉完了」に根拠なし 1F廃炉の先研究会代表が喝破】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/286323)によると、《――最近になって2、3号機の原子炉格納容器の上ぶたに、2京(兆の1万倍)~4京ベクレルもの放射性セシウムが付着していることも判明しました》《現状では、ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそうです》。

 (リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた“最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」だというのに、のほほんと《とにかく嘘とインチキだらけのひどいシロモノ》を吐き続けている醜悪な図。

   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/90659

廃炉の道は長く、険しく 写真で振り返る福島第一原発事故10
2021年3月10日 14時00分

 東京電力福島第一原発事故では、世界最悪レベルとなった事故の収束作業は依然終わりが見えない。メルトダウン(炉心溶融)した1~3号機の原子炉に残る溶け落ちた核燃料(デブリ)を、技術的に取り切れるのかすら不明だ。汚染水対策も解決に至らず、政府と東電は「廃炉」を目指すも、その姿を示せないでいる。東電が公開している事故現場の写真から、10年を振り返る(小川慎一、写真は断りがない限り東電提供)


2011311日 地震、津波、そしてメルトダウン

[3月15日に起きた4号機建屋の水素爆発直後の様子。手前の3号機建屋は前日に水素爆発で大破(2011年)]

 3月11日午後2時46分、宮城県三陸沖を震源としたマグニチュード(M)9の地震が起きた。高さ約15メートルの大津波が襲来し、4号機タービン建屋を点検していた男性社員二人が亡くなった。1、3号機原子炉建屋の水素爆発で15人が負傷。4号機原子炉建屋も水素爆発で激しく損傷した。

[緊急対策室に集まる事故収束にあたる東電社員や作業員たち(2011年)]

 原子炉へ注入を続けた冷却水はデブリに触れて汚染水となり、建屋地下へたまった。そして、海へ漏れ出す。東電は当初、汚染水を減らせるとしていたが、建屋への地下水流入で増え続ける。仮設ホースは雑草や凍結で損傷し、汚染水が漏れた。見通しの甘さが露呈した。

[事故直後は消防車が原子炉や使用済み核燃料プールに注水して、危機をしのいだ(2011年)]


2012年 増える汚染水とタンク 綱渡りの対応

[3号機タービン建屋内に張り巡らされた仮設ホース。建屋地下にたまる汚染水の移送では水漏れが相次いだ(2012年)]

 増え続ける汚染水を保管するために、東電は構内にタンクの建設を進めた。しかし、「足りる」と最小限にとどめたことが、後に災いする。


2013年 「アンダーコントロール」安倍首相発言のプレッシャー

ボルト締め型タンクから汚染水漏れが相次いだ(2013年)]

 現場は、汚染水対策に翻弄された。3月にはほとんどの放射性物質を除去できる多核種除去設備(ALPS)の試験運用が始まった。放射能リスクを減らせるようになったが、浄化処理前の汚染水漏れが相次ぐ。4月には地下貯水池から推定120トンが地中に漏れ、8月には急ピッチで造ったボルト締め型タンクから300トンが漏れた。そんな中、東京五輪招致で安倍晋三首相(当時)が「(汚染水の影響は)アンダーコントロールと世界に向けて発言。疲弊する作業員らへのプレッシャーが強まった。


2014年 続いた作業事故 工程ありきのしわ寄せ

[廃棄物貯蔵庫の基礎杭の補修作業にあたっていた作業員が死亡する事故があった(2014年)]

 作業事故が相次いだ。3月、廃棄物の保管建屋の基礎部分を工事中、土砂が崩れ作業員が亡くなり、初の死亡事故となった。11月にはタンクから鋼材が落下し、3人が重軽傷。被ばく線量がかさみベテラン作業員が現場から離れたことと、東電の工程ありきのしわ寄せが浮き彫りとなった。12月、4号機使用済み核燃料プールから核燃料1535体の搬出が終了。作業は1年以上かかった。


2015年 大型休憩所で温かい食事ができるように

[温かい料理が食べられる食堂が入った大型休憩所の運用が始まった(2015年)]

 死亡事故が続いた。1月にタンクから落下した男性が、8月には大型バキュームカーの事故で男性が亡くなった。疲弊する現場の救いは、大型休憩所の運用開始。大熊町の給食センターから温かい食事が運ばれるようになった。汚染水を巡っては2月、排水溝から海へ汚染水を垂れ流していたことが発覚。東電は前年春に気付いていたが、公表も対策もしていなかった。


2016年 「氷の壁」汚染水対策の切り札にならず

[台風の影響による大雨で海側の地下水の水位が、地表と同じ高さまで上昇。仮設ポンプやバキュームカーを増やしてくみ上げ、あふれるのを抑えた(2016年)]

 東電と政府は汚染水対策の切り札として、1~4号機建屋周囲の地中を凍らせて地下水の流入を防ぐ、凍土遮水壁の凍結を始めた。凍結完了まで2年半かかったものの、完全に水を食い止める効果はなかった。大雨で海側の地下水が井戸からあふれそうになるなど、綱渡りの対応を迫られた。


2017年 見え始めた原子炉内 ヘリポート運用開始

[ヘリポートの運用が始まり、ドクターヘリによる救急搬送の訓練。従来は12キロ離れた福島第二原発など構外から搬送していた(2017年)]

 原子炉内の状況を画像で知ることができた。2号機では、カメラ付きのパイプを格納容器に入れた調査が成功し、デブリと構造物が交じった堆積物を初確認。3号機は水中ロボットで、圧力容器下部でデブリとみられる黒い堆積物を確認した。政府と東電は、1、2号機プールの核燃料搬出開始を20年度から23年度に変更。計画は19年末に再び見直され、開始時期はさらに遅れることになる。


2018年 でこぼこに堆積したデブリ 突き付けられた難題

[メルトダウンした2号機原子炉圧力容器直下の映像。足場が脱落し、上部には制御棒の駆動装置が確認できた(国際廃炉研究開発機構提供、2018年)]

 2号機の炉内調査が進み、デブリが格納容器底部にでこぼこに堆積していることを確認。3号機では格納容器底部にデブリと鋼材のがれきが積み重なっていることが分かり、取り出しの難しさを突き付けた。また、汚染水を浄化処理した後の水の大半に、法令の排出基準を超える濃度の放射性物質が残っていることが判明。政府と東電は、処理水を海へ放出処分する検討を進めるものの、漁業者らから反対意見が続出した。


◆2019年 損傷した1、2号機排気塔の解体 地震リスク軽減

[1、2号機排気筒の頂部は専用装置と一緒にクレーンで地上に下ろされた(2019年)]

 3号機使用済み核燃料プールからの核燃料取り出しが4月に開始。14年末にも始めるとしていた計画は高線量がハードルとなった上、機器の不具合が設置前から相次ぎ、予定は大幅にずれ込んだ。8月には、本紙報道で複数の破断や損傷が判明していた1、2号機排気筒(高さ120メートル)を半分に解体する作業が始まった。頂部から専用装置で輪切りにする作業は、トラブルが続出。切断装置が動かず、作業員が筒頂部に上がって切断する事態にも。20年5月1日に作業を終え、倒壊リスクが減った。


◆2020年 タービン建屋地下階の汚染水ほぼなくなる

[水素爆発の影響で大穴が開いた3号機タービン建屋の屋根に大きなカバーが設置された(2020年)]

 1~4号機タービン建屋の地下階にたまっていた汚染水がほぼなくなり、床が見えるようになった。当初は津波で浸水し、原子炉建屋からの汚染水流入も続いた。地下水の流入を防ぐため、山側の井戸のくみ上げを増やし、建屋内で常設の排水ポンプも稼働。雨が入り込まないよう、水素爆発の影響で大穴が開いていた3号機タービン建屋の屋根にもカバーが設置され、汚染水の発生抑制につながった。ただ、原子炉建屋にたまる汚染水をどう抜き取るかは決まっていない。

[水素爆発の影響で3号機タービン建屋の屋根には大きな穴が開いた(上空から無人航空機で2011年3月20日撮影)]


◆2021年 新型コロナ禍 3号機プールからの核燃料搬出終わる

[3号機使用済み核燃料プールからつり上げられる核燃料。周囲には小さながれきが多く見える(2021年2月)]

 3号機使用済み核燃料プールからの核燃料566体の搬出が、2月28日に終わった。1~6号機のうち2基のプールから核燃料がなくなった。1、2号機のプールでは、24年度以降に核燃料搬出を始める予定だが、現場は高線量のままで計画通り進むかは不透明だ。2号機で予定されていたデブリ採取は、新型コロナの感染拡大で機器開発が遅れ、22年以降に延期した。この10年、廃炉工程が計画通りに進んできたことはほとんどない
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https://lite-ra.com/2021/03/post-5820.html

東電に原発事故の反省なし! 柏崎原発でID不正使用による中央制御室進入事件が発生も4カ月間隠蔽 原子力規制庁も共犯か
2021.03.10 10:09

     (東京電力グループ公式サイトより)

 メルトダウンを起こし、原子炉建屋が爆発するという東京電力福島第一原発の未曾有の事故から明日11日に10年という節目を迎えるが、このタイミングで、あらためて原発の危険性を痛感させられる事故や事件が立てつづけに発生している。

 本サイトでも報じたように(https://lite-ra.com/2021/02/post-5806.html)、2月13日に福島県沖で発生した地震では、福島第一原発の3号機に設置されていた地震計2台の故障を確認しながら東電は半年以上も放置し、それによって地震のデータが取れていないことが地震発生から約1週間後の同月22日に発覚。さらに、処理水や浄化途中の汚染水が入ったタンクの位置にずれが生じていたことや、1号機と3号機の格納容器で水位が低下し、1号機では圧力低下が起きていることも地震後から1週間近い18・19日になって発表された。

 4日におこなわれた会見によると、1号機では格納容器内の水位が1メートルほど下がっており、これ以上水位が下がると監視ができない恐れがあるため注水量を増やすと発表されたが、地震計の故障を半年以上も放置していたことをはじめ、東電の杜撰さは度を越している

 だが、東電の無反省ぶりがはっきり浮き彫りになった件がもうひとつある。それは、新潟県の柏崎刈羽原発で起こった「ID不正使用問題だろう。

 事件が発生したのは、昨年9月20日。東電の社員が自分のIDカードを見つけられず、更衣室にある同僚のロッカーからIDカードを持ち出した。当然ながら本人認証が出来ずにエラーが出たというが、〈東電の担当者は上司に相談もせず、元の持ち主の認証情報を社員の情報に書き換えることを勝手に許可〉(朝日新聞2月16日付)。そうした結果、他人のIDカードを持ち出した社員は中央制御室に入室したのだ。

 言わずもがな、中央制御室は原発の運転をコントロールする重要施設。そのような場所で不正IDによる進入事件が起きるとは、これがテロリストだったらどうなっていたのか。しかも、柏崎刈羽原発では昨年2月にも偽造免許証を使用して協力企業の作業員が原発構内に入るという事件も起きていたのに、である。


■東電の報告書に唖然! ID不正の原因は〈警備員の社員への忖度〉〈核物質防護の重要性への理解不足〉

 しかし、もっと酷いのは、東電がこの問題を約4カ月も“隠蔽”したことだ

 このID不正問題は今年1月23日に読売新聞が朝刊でスクープしたのだが、それを受けて同日に東電はようやくこの事実を公表。読売のスクープが出るまで地元住民をはじめとして公式にはひた隠しにしていたのだ。

 それだけではない。東電は1月13日に柏崎刈羽原発7号機の安全対策工事が完了したと報告していたが、読売の記事によってID不正使用問題が明るみに出てから4日後の27日には一部で工事が未完了であることを発表。その後もさらに3件の工事未完了が相次いで発覚するという事態となった。もしID不正が発覚してなければ、一連の工事未完了の問題も隠されていたのではないかと疑わざるを得ないだろう。

 だが、さらに絶句することに、本日10日に東電は原子力規制委員会にこの問題の報告をおこなったが、東電が原因として挙げたのは、なんと〈警報が出たのに所員を通過させるなど、警備員の社員への忖度〉〈核物質防護の重要性への理解不足〉などというシロモノだった。

 核物質を扱う企業が、しかも福島であのような事故を引き起こしておきながら、いまも「重要性への理解不足」などと言っていることにも閉口せざるを得ないが、前述したように東電の担当者が認証情報の書き換えまでおこなっていたことも判明しているのに「警備員の社員への忖度」を原因に挙げるというのは、警備会社への責任転嫁ではないか。

 このように、福島第一原発事故の反省が東電にまるでないことは明々白々であり、再稼働などもってのほかであることははっきりとしているが、このID不正使用問題は、東電のみならず国の責任も問われるべきものだ

 というのも、東電はID不正使用がおこなわれた翌日である9月21日に原子力規制委員会の事務局である原子力規制庁に報告をおこなったというのだが、原子力規制委の更田豊志委員長によると、この問題について事務局から報告を受けたのは、読売新聞が東電と事務局に取材をおこなった今年1月19日つまり、規制庁は読売が取材に動くまで、東電と一緒になって規制委に事実の隠蔽を図っていたのである。


■ID不正隠しの目的は柏崎刈羽原発の再稼働 事件の2日後、原子力規制委が再稼働に向けた定例会で「適格性」了承

 なぜ、規制庁は規制委にこの重大な問題を隠したのか。それは原発の再稼働への影響を与えないためだったとしか考えられない

 じつは、ID不正使用が起こって2日後の9月23日には、柏崎刈羽原発の再稼働に向けた審査をおこなう規制委の定例会が開かれ、そこで東電に原発を再び動かす「適格性」を了承10月30日に保安規定を認可し、国による審査が終了したのだ。

 もし、ID不正使用による中央制御室進入問題が規制委に報告がなされていれば、「適格性」を了承していたかは疑わしい。実際、2月10日におこなわれた定例会見で更田委員長は、規制委の委員の一部から「(適格性認定の)判断を全く左右しなかったかというと、そんなことはない」という意見があがっていることを明かしている。

 規制委は福島第一原発事故をきっかけにして2012年に環境省の下に設立された独立規制機関だが、この一件における規制庁の対応をひとつとっても、チェック機関として機能しているとは言えない。情報隠蔽と杜撰極まりない対応を繰り返している東電に原発を動かす資格がないことは論を俟たないが、規制庁の「再稼働」ありきの姿勢も大きな問題なのだ。

 しかも、今後の最大の問題は菅義偉首相だ。菅首相はカーボンニュートラル実現を盾にして「原子力政策を進める」と明言し、昨年12月25日に公表された政府の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、〈安全最優先での再稼働を進めるとともに、安全性に優れた次世代炉の開発を行っていくことが必要〉と明記。再稼働どころか、原発の新設まで目論んでいるのだ

 原発の再稼働と新設が「国策」となりつづけるかぎり、東電の無責任な体制は温存され、安全のためのチェック機関は骨抜きにされていくことになる。一体いつになれば、この国は10年前の事故の反省をおこなうのだろうか。

伊勢崎馨
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https://lite-ra.com/2021/03/post-5821.html

安倍晋三が「震災復興は私の五輪招致スピーチに沿って進んできた」と妄言! ならば今年も言う 福島原発事故の最大の戦犯はお前だ
2021.03.11 12:02

     (首相官邸HPより(2013/9/7))

 東日本大震災から10年。しかし、この間の被災地軽視・棄民政策によって、復興は当初の見込みより大幅に遅れ、いまも4万人以上が避難生活をしいられている

 ところが、その最大の戦犯は何の反省もないようだ。前首相だった安倍晋三が先日、震災10年を語るという体で時事通信のインタビューに登場したのだが、これがとにかく嘘とインチキだらけのひどいシロモノだったのだ。

 まず、呆れたのが復興について聞かれたときの答えだ。安倍氏はなんと「縦割りを排し、現場主義を徹底した」「高台移転や災害公営住宅など住まいの整備、帰還困難区域を除く地域の避難指示解除、道路や鉄道などの交通インフラ復旧は進んだ。製造品の出荷額や観光客数も震災前より増え、一定の役割を果たせたと思う」などと胸を張ったのである

 福島原発事故の影響について「アンダーコントロール嘘をつき東京五輪を誘致、工事原価の急騰や人手不足を招き、被災地の復旧工事を大幅に遅れさせた張本人が何を言っているのか。「避難指示解除」にしても実態は被災者切り捨てであり、一部地域を除いた避難指示解除から約4年が経った現在、福島県飯舘村に戻った村民は2割にも満たない。同じく富岡町1割に満たない状態だ。それを「一定の役割は果たせた」とは

 いや、それどころではない。前述のように被災地の復興を妨げる大きな原因になり、そしていま、コロナ禍での開催を国民から懸念されている東京五輪について、安倍はこんなことをいいはっていた。

「IOC総会で行った東京招致へのスピーチで、『復興した姿を皆さんに見ていただく五輪にしたい』と話し、その趣旨に沿う形で復興は進んできた復興五輪であると同時に、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして開催できれば、五輪の歴史に残る大会となる」

 ここまでくると、もはや妄想のレベル。国会でも「桜を見る会」問題だけで100回以上の虚偽答弁を平気で繰り返してきただけのことはある。しかも、安倍は自分の失政は事実を捻じ曲げてフタをする一方で、震災発生当時をふりかえって、当時の民主党政権をこう批判した。

「民主党は政権運営に十分慣れておらず、菅直人首相は原子力緊急事態宣言を直ちに出すべきだったのに遅れた。現場の要望を聞くネットワークもなく、行政を動かす能力に欠けていたと言わざるを得ない」

 当時の首相・菅直人や民主党政権の対応にも問題があったことは事実だが、原子力緊急事態宣言が出されたのは、地震から約2時間後の3月11日16時36分。宣言が遅れたなどというのは、デマまがいの言いがかりではないか。だいたいコロナであれだけ後手対応を繰り返し、西日本豪雨のときには宴会を開いていたお前にそれを言う資格があるのか、という話だろう。

 しかも、原発事故対応を云々する前に、安倍晋三はその福島第一原発事故じたいを引き起こした最大の“戦犯”なのだ

 言っておくが、これは歴代自民党政権が昔から原発政策を推進してきたとか、そういう抽象的なレベルの話ではない。もっと具体的かつ直接的なものだ。

 実は、第一次安倍政権だった2006年、すでに国会で福島原発事故と同じ事態が起きる可能性が指摘されていた。にもかかわらず、ときの総理大臣だった安倍晋三は、「日本の原発でそういう事態は考えられないとして一切の対策を拒否していたのである。

 しかも、東日本大震災後、安倍は、原発事故の責任を当時の菅直人首相と民主党政権に押し付け、真実を追及するメディアを「捏造だ!」と恫喝自身の重大責任を隠蔽してきた。そして、無反省に原発再稼働や原発輸出という流れをつくりだした。

 本サイトでは3月11日を迎えるたびに、安倍晋三前首相こそが原発事故の“戦犯”であること、そして、その責任を隠すためメディアを黙らせてきたことを記事にしてきた。今年もまたあらためて、その事実をお伝えしたい。

(編集部)
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 ⇨ 『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
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●東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》

2020年11月01日 00時00分09秒 | Weblog


東京新聞のコラム【筆洗/店先に不思議な看板が出ていた。「どんな水でも、ご用意いたし…】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/62616?rct=hissen)。

 《▼漁業関係者が納得できる風評被害対策をまずは具体的に示すべきだろう。取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである簡単には水に流せぬ》。

 正に《簡単には水に流せぬ》。アベ様曰く《アンダーコントロール》なんでしょ? 元・最低の官房長官も「汚染水の『影響』は完全にブロック」と仰っているのでしょ? では、東電と国の方で、そのまま制御し続けてください。それを公約に、金(カネ)色の五つの輪を東京に招致したのですから、復興五輪と嘯いて。いまさら〝処理〟水を、なんで海洋放出》《海に放出する必要があるの? ブログ主は実害が出ると思いますが、風評だと仰るのなら、東京湾や(お維もお望みのようですから)大阪湾に放流すればいい。ブログ主は《X年後》を恐れます。

   『●東京電力原発人災、
     今頃公開されたわずかな捏造・改竄映像からでも分かったこと
   『●東京電力原発人災、汚染水問題は続く
    「しかし、海に放出を検討なんて、無責任にもほどがある。
     今も地下水を汚染し続けていると思うけれども、「ほとんどの種類の
     放射性物質を法定濃度未満になるまで除去」するなんて本当にできる
     のかどうか眉唾であり、それを海に放出するなんて許されるのか?」

   『●トリチウム、使用済み吸着剤の処理・処分、…
         再稼働や輸出なんてやっている場合か?
   『●屁理屈にもなっていない…
     菅義偉官房長官「汚染水の『影響』は完全にブロック」
   『●「暴走するゾウ、ゴジラを解き放とうという「愚」」な
           東電をどのように「信頼」すればよいのか?
    《原子力規制委員会は二〇一七年以降に海洋へ放出すべきだとして
     いるが、全国漁業協同組合連合会(全漁連)は反発を強めている。
     水産関係者にとっては死活問題だけに、当然だ。
     米スリーマイル島原発事故の際にも、約六千トンのトリチウム汚染水が
     残された。米原子力規制委は、河川への放出など九通りの選択肢を
     地元住民に提示した。そうして選ばれたのが、ボイラーで少しずつ
     大気中に蒸発させるという方法で、処理には十年をかけた。福島とは
     量が違う。廃炉は早く進めたい。
     しかし、トップダウンで決めるべきではない》

   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
     3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
    《汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ水の扱いも
     異なる。TMIでは近くの川への放出が検討されたが、下流域の住民が
     反発。91年から93年に約9000トンを蒸発させ大気中に放出処分
     した。一方、第一原発では貯蔵量が既に100万トンを超えて増え続け、
     政府が海洋放出などの処分方法を検討しているが、結論は出ていない》

   『●《安倍晋三首相は…「まったく問題はない。
     汚染水の影響は、港湾内で完全にブロックされている」と強調した》
    《交代直前に、薄めに薄めた“希釈した”表現で次の内閣に宿題を
     言い放った環境相・原田義昭の発言の重みと衝撃をどうとらえるかは
     内閣の大きなテーマとなる。 ★それは10日の閣議後の記者会見で、
     東京電力福島第1原発から出る放射性物質を含んだ汚染水
     「思い切って(海に)放出して希釈するしか方法がない」という発言だ。
     「海に放出する」となれば、ストロンチウムなどの放射性物質の
     基準値を超えた汚染水を海に垂れ流すことになり、
     「アンダーコントロール」発言を世界が蒸し返すだろう。ことに
     韓国や中国などは強い反応を示す可能性があり、新環境大臣となる
     小泉進次郎の発言が極めて重要となる》

   『●むき出しの「言論弾圧政党」は《人材の宝庫》…
     《この内閣の水準の低さ…自民党は…国民の気持ちを第一に考えな》い
    《経産の決定を環境相として真っ向から挑んでいくのが仕事ではないのか
     政治家としても閣僚としても2人の発言は憲政史上まれに見るお粗末さだ
     閣僚の発言は官房長官や首相の責任でもあることを付記しておく》

   『●三浦英之記者の質問「今でも『アンダーコントロール』だとお考えで
     しょうか」? アベ様のお答え「…その中で正確な発信をした…」!?
    《元東京都小金井市長の佐藤和雄事務局長は会見で「国が進める
     核燃料サイクルは、既に破綻している」と述べた。佐藤事務局長らは、
     運転開始から四十年を超えた原発は再稼働するべきではないとも指摘。
     東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ
     水を、海洋放出の方が確実に処理できると強調した提言案を
     政府小委員会が一月に大筋で了承したことを受け、
     放出せずに長期保管するよう求めた

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/62616?rct=hissen

筆洗
店先に不思議な看板が出ていた。「どんな水でも、ご用意いたし…
2020年10月18日 07時31分

 店先に不思議な看板が出ていた。「どんな水でも、ご用意いたします」−。それを見た男がこんな注文をする。「丸い水をくれ」▼店主は一杯の水を差し出す。「なにゆえ、これが丸い水なのか」「へえ、角(すみ)切って(澄みきって)おります」▼江戸時代のあまり出来の良くないシャレだが、そのニュースの水が誰も角を立てぬ「丸い水」であればとため息をつく。東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質を含んだ処理水である。政府は近く、処理水を海に放出する方針を決定する▼原子炉への注水などで発生した処理水は今なお一日平均百四十トン増えているという。タンクで保管してきたが、それも限界が迫っている。やむなく処理水を三十年程度かけて海に流したいという▼地元の漁業関係者は反対している。当然である。処理水からはトリチウム以外のほとんどの放射性物質を除去する。除去できぬトリチウムについては海水で薄めて、国の排出基準の四十分の一程度にする。そう言われても、「丸い水」でない以上、風評被害は間違いなく出る。原発事故から九年。少しずつ立ち直りつつあった地元の漁業には再びの大打撃になりかねない海洋放出である▼漁業関係者が納得できる風評被害対策をまずは具体的に示すべきだろう。取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである簡単には水に流せぬ
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コメント
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●東電核発電人災から9年: 金(カネ)色の五つの輪《オリンピック聖火リレーを前に「福島はオリンピックどごでねぇ」》

2020年03月11日 00時00分57秒 | Weblog


東京新聞のコラム【筆洗】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2020012302000130.html)。
レイバーネットの記事【「今日は一番言いにくい話をします」/双葉町避難者・鵜沼久江さん現実を語る】(http://www.labornetjp.org/news/2020/0119shasin)。

 《この区切りの付け方はどうなのか。政府はこれまで主催してきた東日本大震災追悼式を発生から十年となる来年二一年までとする方針を発表した▼国が財源を保証している復興・創生期間が二一年三月で終了することを受けての判断だろう。政府にとって震災後十年というのはなるほど、キリの良い数字なのかもしれぬ。されど、その判断が被災地にはどう映るかが心配である。見放され、もはやあの震災は過去のものだと通告されているような気にさせられぬか》。
 《周囲には、双葉町民だということを一切明かさず生きている人もいる。そうすれば職場でも学校でいじめられることがないからだ。鵜沼さんは双葉町民であることを隠さず、テレビや新聞の取材にも応じてきた。いじめやオリンピックへの言及もしたがカットされ、だからこそこういう上映会が貴重なのだと、忙しい農作業の合間をぬって駆けつけてくれた》。

   『●お見舞い申し上げます・・・
   『●あの3・11原発人災から1年: 松下竜一さん「暗闇の思想」を想う
   『●3.11東京原発人災から2年が過ぎて
   『●「福島原発事故の今」
        『週刊金曜日』(2014年3月7日号、982号)について

   『●3.11東京電力原発人災から4年:
      虚しき「地球にやさしいエネルギー原子力 人にやさしい大熊町」
   『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
        政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」
   『●東電核発電人災から6年: 4つの「生」+「命」「活」「業」「態」…
                        どれか一つでも原状回復できたか?
   『●東電核発電人災から7年: 「村の生活は百年余りにわたり、
                 人生そのもの」…「やっぱりここにいたいべ」
   『●東電核発電人災から8年: 《11日の夜9時すぎには、
           東電の社員も家族もだれ一人双葉町に残って…》

 まず、ᴍᴄちょろ@chorho_speakingさんのこのつぶやき(https://twitter.com/chorho_speaking/status/1232479588938207232)に貼られている映像(するめのよっちゃんver.2 沖縄は日本だ さん)をご覧ください。【【原発】菅総理に住民から怒りの声 福島の避難所(11/04/21)】(ANN news)(https://www.youtube.com/watch?v=FuXW2pq014I)。ブログ主は、涙が出て止まらなかった。

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https://twitter.com/chorho_speaking/status/1232479588938207232

ᴍᴄちょろ@chorho_speaking

2011年のテレビって、こんなでしたよ。

フリーダムです


するめのよっちゃんver.2 沖縄は日本だ さんによる
午前10:36 2020年2月26日
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 アベ様はこれまで何をやってきたのか? アベ様口癖の「悪夢のような旧民主党政権」…あらゆる意味で、悪夢のような最悪な政権はもはや明白です。

 何一つ解決せずに…《政府はこれまで主催してきた東日本大震災追悼式を発生から十年となる来年二一年までとする方針を発表》。東電・政府・原子力「寄生」委員会等は双葉町を「原状回復」してみせてよ!

   『●《失われた古里》、失われた《本来は恵みをもたらす田畑の土》…
                 原状回復して見せたのか? 誰か責任は?

 石井宏昌記者による、東京新聞の記事【原発事故で自主避難の丹治さん「福島の復興はまだ先」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/202002/CK2020021202000144.html)によると、《東日本大震災から来月十一日で丸九年となるのを前に、高崎市で十一日、被災地への理解を深めようと市民団体主催の学習会があった。東京電力福島第一原発事故で福島県から群馬県に自主避難した丹治杉江さん(63)が苦悩する避難者や原発事故被災地の現状を報告。「東京五輪を機に政府は原発事故が終わったかのように強調するが、原発立地地域の復興はまだ先福島の現状を知ってほしい」と訴えた。(石井宏昌)》。

   『●カネ色の五つの輪: 「巨大なビジネスなのにボランティアは
             タダ働きっておかしいと思うのは、私だけ?」
   『●「アンダーコントロール」な訳がない…そもそもウソにウソを
       重ねて、金(カネ)色の五つの輪をニッポン誘致しておいて

 金(カネ)色の五つの輪、いったい、なにが復興五輪か?
 阿部岳さんによる、沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]聖火は「聖」なのか】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/541537)。《▼東京五輪のリレーは今月始まる。ここに来て、組織委員会が変なことを言い始めた。沿道から撮影した動画はSNSに投稿してはいけない、見つけたら削除を要請するという。ナチス時代にはなかった放映権ビジネスで、放送局に配慮した ▼しかし、競技会場と違って天下の公道は貸し切りではないし、入場の約束事もない。民間団体である組織委が通行人に指図する根拠は不明だ ▼大会の機運を高めるリレーも、商業主義が行き過ぎればスポンサー企業のためだけのイベントになる。ただでさえスポンサー枠で走者が決まり、発着点に営業所が選ばれている…▼出発点になる福島県には原発災害が終わったことにされる警戒感もある。日本でなぜか「聖火」と呼ばれるあの火は、外国語では単に「五輪の火」。過剰にありがたがっていると、大事なことを見落としそうだ。(阿部岳)》。

 東京新聞の記事【原電が断層データ書き換え 敦賀2号審査、規制委が批判】(https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020020701002648.html)によると、《原子力規制委員会は7日、原子炉建屋直下に活断層があると指摘されている日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の審査会合で、原電が提示した地質データに不適切な書き換えがあると指摘した。審査の根幹に関わる問題だとしてこの日の会合を打ち切った。問題となったのは原電が2012年に実施した掘削調査の記録。従来の資料では「未固結粘土状部」と記載していたが、7日の資料は「固結粘土状部」に変わっていた。会合で規制委は「元のデータの書き換えは絶対にやってはいけない。倫理上の問題だ」と批判。原電は、別の方法で詳細に観察した結果を踏まえ記載を修正したなどと弁解、陳謝した》。
 あ~ぁ、核発電「麻薬」中毒な皆さんはやることなすことがデタラメ…何が「世界一厳しい」安全基準か!  「推進」な「寄生」委員会にさへ指摘される始末…。

   『●四十年廃炉ルール無視、特例中の特例のはずが…日本原電は
               東海第二原発の再稼働をしたいらしい…

 日刊ゲンダイの記事【“復興五輪”強調に怒り 福島県民「内閣支持率30%」の衝撃】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/268223)によると、《安倍内閣を「支持する」は、前回の昨年9月調査から11・1ポイントも下落し、30・3%。逆に「支持しない」は、13・6ポイント増え、53・9%になり、支持と不支持が大逆転したのだ》。
 《700人から回答を得た》…まだ3割はアベ様の内閣を支持! 正気?

 レイバーネットの記事【共同声明 : オリンピック聖火リレーを前に「福島はオリンピックどごでねぇ」】(http://www.labornetjp.org/news/2020/0225hasegawa)によると、《2020東京オリンピックへ向けての聖火リレーが始まろうとしています。しかし、未曽有の原発被害の渦中にある私たちは、「オリンピックどころではない!」と言わざるを得ません。原発事故の被害者がどれだけ「復興五輪」を歓迎しているでしょうか。忘れもしません。2013年9月、ブエノスアイレスでの招致演説で安倍晋三首相はこう言ったのです。状況は、アンダーコントロール」「汚染水の影響は、港湾内の0.3平方キロの範囲内で完全にブロック」「健康問題については、今までも、現在も、将来も全く問題ありません」と。あれから6年。いま、私たちの目の前にある現実は、どうでしょう。メルトダウンした核燃料は所在すらつかめていません。壊れたままの原子炉建屋には毎日百数十tの地下水が流れ込み、ALPS処理汚染水は溜まり続け、漁民や住民の意思を無視して海洋への放出が画策されています。(共同声明より)》
 な~にが「復興五輪」だ!

   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も3基で
      計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?

 東京新聞の記事【女川原発2号機 正式適合 再稼働「地元同意」焦点に】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202002/CK2020022702000154.html)によると、《原子力規制委員会は二十六日に定例会合を開き、東北電力が再稼働を目指す女川(おながわ)原発2号機(宮城県女川町、石巻市)が、新規制基準を満たしているとする「審査書」を決定した。これで審査に正式適合した。適合は九原発十六基目となる。女川原発は東日本大震災の震源に最も近い原発で、地震と津波で大きな被害を受けた。被災原発の適合は日本原子力発電の東海第二原発(茨城県)に続き二基目。再稼働は安全対策工事が完了する二〇二〇年度以降の見込み。今後は地元同意手続きが焦点となる。規制委の更田豊志委員長は記者会見で「震災の影響をきちんと確認した上で、(適合を判断した」と強調。審査結果を地元に説明する機会があれば、専門用語などを使わずに分かりやすく伝えられるよう準備する意向を示した。宮城県知事、女川町長、石巻市長はいずれも「議会の意見を聞いて判断する」などと述べ、再稼働への賛否を明らかにしなかった》。
 「地元」首長、こんなことを許していいのか? 3.11東電核発電人災を忘れたのか?

   『●JOC臨界事故で何が起きたでしょうか?…《人が制御できない
          なんて恐ろしい。政府は…本当のことを言っていない》

 東京新聞の記事【<東日本大震災9年>双葉町 一部避難指示解除 駅周辺 帰還困難区域で初】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202003/CK2020030402000162.html)によると、《政府は四日、東京電力福島第一原発事故で福島県双葉町の全域に出ている避難指示を、駅周辺の帰還困難区域など一部で解除した。第一原発が立地する同町は避難指示が出た十一市町村で唯一、全域避難が続いていた。事故以来約九年ぶりに人の出入りが自由になり、復興は一歩前進した》。
 東電や政府は「原状回復」して見せたのですか? 何《歩前進》しないといけないのですか?

 桜を見る会には予算をつけて詐欺師までも招待し、政府の追悼式は止める。どんな神経か?

   『●東京電力核発電人災下の福島でも荒稼ぎしたゲス・ヒトデナシな
               詐欺師・ジャパンライフの片棒を担ぐ議員達
   『●斎藤貴男さん【ジャパンライフと政界、マスコミ、警察の結託…
       腐った構造】《腐り切った構造は世代を超えて受け継がれ…》
   『●「桜を見る会」税金接待…《稲田氏や萩生田氏、世耕氏
     といった安倍首相の側近議員たちも…招待し、もてなしていた》
   『●「桜を見る会」税金接待というアベ様模倣犯・世耕弘成経産相
         …関西電力〝濁流〟問題でも《関電受注企業から献金》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2020012302000130.html

【コラム】
筆洗
2020年1月23日

 <二千年終(おわ)る閂(かんぬき)真一文字>は俳人桂信子さんの句で二〇〇〇(平成十二)年末の作である。一九一四(大正三)年生まれで当時八十五歳。若くして夫を失い、戦争中も一人で生き抜いてこられた方である。阪神淡路大震災も経験した▼「二千年」とは桂さんにとって、そうした苦しさもあった過去そのものなのだろう。そこに区切りのかんぬきをかけ、前を向いていく。そんな決意が句にこもる▼強さやすがすがしさを感じるが、この区切りの付け方はどうなのか。政府はこれまで主催してきた東日本大震災追悼式を発生から十年となる来年二一年までとする方針を発表した▼国が財源を保証している復興・創生期間が二一年三月で終了することを受けての判断だろう。政府にとって震災後十年というのはなるほど、キリの良い数字なのかもしれぬ。されど、その判断が被災地にはどう映るかが心配である。見放され、もはやあの震災は過去のものだと通告されているような気にさせられぬか▼復興や再生が終わったとは決して言えまい。原発の問題も残る。なによりも、十年が経過しようが、被災地には癒えることのない悲しみがある。キリ、区切り、節目。そんなものは政府や被災地以外の言い分であって区切りの付けられぬ心の痛みが今なお続いている▼<震災十年終る閂真一文字>か。そのかんぬきをかける音は冷たい。
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http://www.labornetjp.org/news/2020/0119shasin

「今日は一番言いにくい話をします」/双葉町避難者・鵜沼久江さん現実を語る

「今日は一番言いにくい話をします」〜双葉町避難者・鵜沼久江さん現実を語る
堀切さとみ(『原発の町を追われて』制作者)

 1月19日、東京・高円寺のフリースペース「グレイン」で、『原発の町を追われて』上映会とトークが行われた。30人があつまり、双葉町から埼玉県加須市で避難生活をしている鵜沼久江さん(写真下)の話に聞き入った。

 「今日は一番言いにくい話をします。お金の話です」と鵜沼さん。「避難者は賠償金もらって、いい思いして」と言われているがとんでもない。われわれ双葉町民には『生活再建のためのお金』として一律100万円渡されました。世間ではもらったお金だと思われているみたいですが、借りてるだけそれも強制的な貸付なんですよ」。

 双葉町民には精神的慰謝料として、一人あたり一ヵ月10万円が振り込まれていた時期がある。このことがマスコミで報道されるや、避難者に対する世間の目は、同情からやっかみに変わった。避難先の小中学校で子どもたちはいじめにあい、働きに出た大人たちは「双葉の人間が来たから仕事がなくなった」と責められた。「だからといって、ひと月10万で生活なんてできません。私は避難先で必死になって野菜を作って売って来ましたが、『賠償金いっぱいもらってるのに、なんで働く必要があるんだ』と言われてきました。8年たった今もですよ」と鵜沼さんはいう。

 双葉町は、福島第一原発事故で今も全町避難を余儀なくされている唯一の町だ。この三月、ついに双葉駅を中心に、一部避難指示が解除される。それに伴い、東京五輪の聖火ランナーが双葉町を走ることも決まった(1月21日朝日新聞)。双葉駅はかつては止まらなかった特急が、止まる駅になるのだという。

 「福島第一原発は今も危険な状態にあります。昨年夏に一時帰宅した時、排気塔の撤去作業をしていたためか、付近の放射線量が上がりました。でも町民には何の説明もありません」。避難するのも避難解除するのも、上から勝手に決められてきた。復興再生計画もそうだ。津波で家が流された海沿いの地域は「水田再生ゾーン」になっている。そこに土地をもつ人は「こんなところでコメなんて作りたくない」という。それを見越して町は、福島県外の農業法人にコメ作りを委託している。国や県が決めたことに逆えば大変なことになるから、町長も町会議員も何も言わない。国が安全だといえば日本中が納得し、帰らないのがわがままと言われる。「だったら総理大臣が家族をつれて住んでみてよそうすれば本当に安全なんだって、国民に伝わるから」と鵜沼さんは笑う。

 会場から「どうなることが復興だと思いますか?」と質問が出た。「双葉町に帰って、農業したいんだという人がいる。じゃあ、あんたの息子は引き継いで農業やるのかって聞くと『俺の息子は帰らねえ』っていう。それじゃあ、何のために双葉で農業やるのか。次世代に引き継げない、あと十年やそこらの自分の満足のために帰るなんて。そのための除染費用を、東電が出すならいい。でもそうじゃなくて、皆さんの税金でしょ? 無駄に使わないでほしい」。

 「双葉町は地図からなくなるんじゃない?」。加須市に避難した当初からそう思っていたと鵜沼さんは言う。周囲には、双葉町民だということを一切明かさず生きている人もいる。そうすれば職場でも学校でいじめられることがないからだ。鵜沼さんは双葉町民であることを隠さず、テレビや新聞の取材にも応じてきた。いじめやオリンピックへの言及もしたがカットされ、だからこそこういう上映会が貴重なのだと、忙しい農作業の合間をぬって駆けつけてくれた。

 親戚や孫からは「もうテレビには出ないで」と言われるが怯まない。現実を話し続けること、それ以外に双葉町を存続させる手立てはないと、鵜沼さんは思っている。「お金をもらったからって黙り込んじゃダメ。やましいことでも何でもない」。双葉町民へのメッセージだ。

2020-01-22 16:02:25
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●《「特定重大事故等対処施設」…新規制基準で設置が義務付けられ、完成期限》もあったはずなのに稼働中?

2019年05月06日 00時00分14秒 | Weblog


東京新聞の記事【対テロ未完の原発停止 規制委、期限延長認めず 5原発10基】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201904/CK2019042402000261.html)。

 《原発に航空機を衝突させるなどのテロ行為が発生した場合に、遠隔操作で原子炉の冷却を続ける設備などを備えるテロ対策施設特定重大事故等対処施設」(特重施設)について、原子力規制委員会は二十四日の定例会合で、電力会社に対し、「原発本体の工事計画の認可から五年」の完成期限の延長を認めないことを決めた。再稼働済みの九州電力川内原発1号機(鹿児島県)は来年三月に期限を迎え、その時点で運転中でも施設が完成していなければ運転停止となる》。

 原子力「寄生」委員会がこのまま突っ張るとは思えない…だって、今、欠陥のママで核発電所が稼働してるんですもの。《新規制基準で設置が義務付けられ、完成期限》もあったのに稼働させてるんでしょ? 《関西、四国、九州の電力三社が再稼働済みを含む五原発十基で施設の完成が遅れる見通しを示し、延期を認めるよう要請》? どこまで図々しいのか?

   『●「日本一細長い佐田岬半島の付け根に位置する伊方原発は、
                周辺住民にとって、“日本一避難しにくい原発”」

 しかも、(避難のしようなど無いのだけれども)避難計画さえ定かでないものを稼働させている。欠陥品が今も稼働中。また、「コアキャッチャー」などメルトダウン対策は? 世界一安全と嘯く《新規制基準》が聞いて呆れる。さらに、四十年廃炉ルール無視、特例中の特例のはずが…日本原電は東海第二原発の再稼働をしたいらしい…正気じゃぁ、ない。

   『●《ニコニコ》の山下俊一《先生も小児の甲状腺被ばくは
         深刻なレベルに達する可能性があるとの見解です》

   『●《県がこのまま原発を進めれば地域破壊がさらに進み、
          住民を苦しめ続ける。権力がそこまでしていいのか》
   『●《失われた古里》、失われた《本来は恵みをもたらす田畑の土》 
                …原状回復して見せたのか? 誰か責任は?
   『●四十年廃炉ルール無視、特例中の特例のはずが…
        日本原電は東海第二原発の再稼働をしたいらしい…
   『●東電核発電人災から8年: 《11日の夜9時すぎには、
           東電の社員も家族もだれ一人双葉町に残って…》
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
        “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」

   『●武藤類子さん《沖縄で闘っている人の言葉…
       「国を相手にケンカしたって勝てない。でも、おれはやるんだ」》

   『●「原子力ムラの言いなり」原子力「寄生」委員会の
       救い様の無さと、アベ様の「危険な丸投げ・無責任体制」
   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も3基で 
         計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
   『●《廃炉の時代》、そして、核燃料サイクルという閉じない「環」
              …未来無き核発電に邁進するアベ様独裁政権

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201904/CK2019042402000261.html

対テロ未完の原発停止 規制委、期限延長認めず 5原発10基
2019年4月24日 夕刊

 原発に航空機を衝突させるなどのテロ行為が発生した場合に、遠隔操作で原子炉の冷却を続ける設備などを備えるテロ対策施設特定重大事故等対処施設」(特重施設)について、原子力規制委員会は二十四日の定例会合で、電力会社に対し、「原発本体の工事計画の認可から五年」の完成期限の延長を認めないことを決めた。再稼働済みの九州電力川内原発1号機(鹿児島県)は来年三月に期限を迎え、その時点で運転中でも施設が完成していなければ運転停止となる。

 関西、四国、九州の電力三社が再稼働済みを含む五原発十基で施設の完成が遅れる見通しを示し、延期を認めるよう要請していた。五原発十基では、川内1号機に続き、同2号機は来年五月、関電高浜3号機(福井県)は同八月に順次期限となり、十基以外の他の原発も期限時点で施設が未完であれば運転停止となる。

 特重施設は東京電力福島第一原発事故を踏まえた原発の新規制基準で設置が義務付けられ、完成期限もあるが、三社は十七日の規制委との意見交換で一~三年ほど期限を超過する見通しを明らかにした。大規模な土木工事が必要となったことなどが理由という。

 二十四日の会合で、委員は「自然災害などで工事が遅れたのではない」などと指摘し、期限延長の必要性はないと決めた。

 その上で、期限を越えた場合は、原発の新規制基準に適合しない状態に陥るため、原子炉を利用できないとする見解を五人の委員でまとめた。更田豊志(ふけたとよし)委員長は「(期限超過で)基準不適合状態になった時の、原子力施設の運用を見過ごすことはできない」と述べた。

 特重施設は当初、二〇一三年の新基準施行から一律五年で設置する必要があった。その後、審査の長期化を踏まえ、規制委が原発本体の工事計画認可から五年に変更した経緯がある。

 <特定重大事故等対処施設>意図的な航空機衝突などのテロ攻撃を受け原子炉が大規模に破壊された場合でも、遠隔操作で冷却を維持し、放射性物質の大量放出を防ぐための施設。緊急時制御室や予備の電源、冷却ポンプなどを備える。原子炉建屋との同時被災を避けるため100メートル以上離すよう定められているが、施設の詳細は秘密事項で、原子力規制委員会の審査も非公開。原発本体の審査適合判断後、詳細設計が認可されてから5年以内に設置する必要がある。
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