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●既に実害…《「汚染水放出は危険・問題派」…汚染水放出そのものがすでに中国や韓国など海外による輸入規制など経済的実害を生んでいる》

2023年08月28日 00時00分43秒 | Weblog

※ 「3.11から12 「避難中」なのに「原発回帰」(週刊金曜日 1411号、2023年02月10日) ↑]


(2023年08月26日[土])
飯田哲也さんの一連のつぶやきが凄く印象に残った:

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https://twitter.com/iidatetsunari/status/1694536445132964172

IIDA Tetsunari 飯田哲也@iidatetsunari

処理水/汚染水問題の構図

■全体構図
・完全に二極化してそれぞれがエコーチェンバーに入って、双方を「非科学的」と見做している
・日本政府が丸ごと一方のエコーチェンバーに入っている。

以下、双方のエコーチェンバーを私見と独断で対比してみる。
・「処理水放出は安全で問題ない派」を「処理水派」(処)と呼ぶ。
・「汚染水放出は危険・問題派」を「汚染水派」(汚)と呼ぶ。

午前11:25 2023年8月24日
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https://twitter.com/iidatetsunari/status/1694536450451341715

■主要論点と双方の食い違い

(1)廃炉に必要?
(処)福島第一原発の「廃炉」には避けて通れない
(汚) 「廃炉」の定義もない。地下水流入や水冷却を脱することが先決


(評価)
どう見ても「汚染水派」の批判が妥当

午前11:25 2023年8月24日
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https://twitter.com/iidatetsunari/status/1694536451780936001

(2)代替案
(処)他にスペースもなく、放水が最も低コスト
(汚)すでに放出案は風評被害対策評価を考慮すると高コスト。水蒸気放出、コンクリート化、巨大タンク化など多くの代替案がある

(評価)
これも「汚染水派」の提案が妥当かつ合理的

午前11:25 2023年8月24日
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https://twitter.com/iidatetsunari/status/1694536453425074536

(3)安全論
(処)トリチウムは安全、濃度も告示限度以下に抑えている
・IAEAも安全と評価している
(汚)トリチウム以外の多種多様な放射性物質核分裂生成物(約200種)が含まれており、多くは計測すらされていない
・トリチウムも有機結合型トリチウムは生物濃縮を起こす可能性がある
・告示限度は敷地境界1mSv/年以下に過ぎないが、こうした一般環境への放出には、長期かつ集団被曝の確率的な影響を考えて少なくとも100倍の安全裕度が必要
・IAEAは日本政府と東電の出したデータと評価を承認しただけ、そもそも原子力推進機関で、チェルノブイリ事故後にも被害を大きく過小評価した前科がある。
・人類が過去半世紀以上の公害、オゾン層破壊、気候変動などを引き起こす中で学んだ予防原則に立てば、未知・不可知のリスクを恐れるべき

(評価)
これも「汚染水派」の批判が真っ当で人類の叡智を踏まえている

午前11:25 2023年8月24日
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https://twitter.com/iidatetsunari/status/1694536455555793048

(4)他もやっている
(処)中国、韓国の原発からもトリチウムは大量に出ている
(汚)原発から必然的に出るトリチウムと、メルトダウンデブリの核汚染水とは根本的に違う

・排水口から「出てしまう」トリチウムと、いったん地上で保管している「核汚染水」をわざわざ放出する行為は、意味合いが全く違う
・再処理工場の排水は、トリチウム以外の汚染も懸念されるが、そもそも破綻した核燃料サイクルも再処理工場も止めることがベスト

(評価)
これも「汚染水派」の批判が真っ当

午前11:25 2023年8月24日
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https://twitter.com/iidatetsunari/status/1694536457061609916

(5)呼称
(処)処理済みであり「処理水」と呼ぶことが妥当
・汚染水と呼ぶと風評被害を招く
(汚)処理しても、なお汚染しており、正しく呼ぶことが重要
風評被害以前に実害リスクも考慮すべき
・国がメディアに「処理水」と呼ばせる言論ファシズムの気配がある
・海外メディアは汚染水(Radioactive contaminated water) と呼んでいる

(評価)
これも「汚染水派」の主張が真っ当

午前11:25 2023年8月24日
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https://twitter.com/iidatetsunari/status/1694536458491838923

(6)風評被害
(処)汚染水と呼んだり被曝リスクの主張は風評被害を招く
(汚)「風評被害」という言葉でリスクの問題定義を封じ込めることは実害リスクの隠蔽に繋がる
・汚染水放出そのものがすでに中国や韓国など海外による輸入規制など経済的実害を生んでいる

(評価)
これも「汚染水派」の主張が真っ当

午前11:25 2023年8月24日
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 キシダメ首相や西村経産相、東京電力はとうとう〝汚染水〟の海洋放出をやってしまいました…、取り返しのつかないことを。汚染水の海洋投棄が廃炉完了に向けての第一歩的な説明、無批判な報道…デタラメ過ぎやしませんか。デブリの取り出しの目途は全く立たず、どこで、どう管理するのか、いつまでに行うのかのスケジュールさえ不明。廃炉の定義さえ示せない。東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も3基で計約880トン》…廃炉終了の定義も無く、デブリの持って行き場所も? いや、デブリの取り出しや廃炉終了までのスケジュールが全く見通せないのだ。〝汚染水〟の海洋投棄で廃炉作業の何が進むのか?

   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない

 #zutto_uso_datta斉藤和義さん「ずっとウソだった」。「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束もウソだった。福島の漁師に会うこともしない。「聞かない力」を発揮。
 中国が、福島産どころか、日本の全ての水産物の輸入を停止…キシダメ首相らは「想定外」だったそうです。諸外国にも広がる可能性大。あまりにアホウ。これもある意味、風評被害どころか実害ではないのですか。大々々々損害。
 「賠償ではなく、漁業をしたいだけ」…福島県漁連は《関係者》ではないのか? ―――「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束ウソだったのね? 祝島の皆さん、「お金はいらない、この海の恵みを受けて暮らしたい」。

   『●すぐさま廃炉作業に着手を!
   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の
     議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●核燃料デブリに触れた汚染水をALPS処理した〝汚染水〟の海洋
     放出に断固反対する…〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行である
   『●(デモクラシータイムス/原発耕論)《汚染水海洋放出は無責任の極み!》
      …希釈しても汚染物質は減らない、〝汚染水〟の海洋放出に断固反対
   『●そんな核燃料デブリに触れた水を処理した〝汚染水〟…そんなものを海に
      捨てた例はどこにもない、〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行
   『●ドイツは《脱原発を完了》: 彼我の差を感じて情けなくなる…何処まで
      愚かな国なのだろうか。そして、いま、原子炉圧力容器が崩落の危機…
   『●長周新聞【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める
      政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】
   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●「賠償ではなく、漁業をしたいだけ」…福島県漁連は《関係者》では
     ないのか? ―――「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」?
   『●#zutto_uso_datta、斉藤和義さん「#ずっとウソだった」。そして、「関係
     者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束もウソだった

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●長周新聞【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】

2023年08月22日 00時00分43秒 | Weblog

[※ 「3.11から12 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(20230804[])
風評どころか実害を生じさせる〝汚染水〟の海洋放出に断固反対する。キシダメ首相らのやろうとしていることのどこが、一体「科学的」なのか? まずは、デブリに水が触れないようにしてはどうなのか。〝汚染水〟を日々増やしつつ、タンクを置く土地が足りないなどと嘯くことは、愚か者のやることだ。東電が持つあらゆる土地を使い、東電が責任をもって保管すべき。〝汚染水〟の海洋放出が風評被害でおさまる保証はどこにあるのか? 汚染水の放出からX年後にどう責任をとるつもりか? 捨てて、拡散させてしまってからでは遅い。いくら希釈しても汚染物質の質量は減らない。
 1グラムの核燃料デブリさえも取り出せない。どうやって取り出し、どこに持って行くのかも示せない。スケジュールさえも。そんなデブリに触れた水を処理した〝汚染水〟。世界中、そんなものを海に捨てた例はどこにもない。〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行。核発電推進団体の《国際原子力機関IAEA)の「お墨付き」を得て岸田文雄首相が判断する》(琉球新報)…国際社会からの非難が出ても、IAEAは責任を取る気など全くないが、キシダメ氏はX年後にどう責任を取るつもりか? キシダメ氏の頭の中を覗いてみたいよ、全く。

   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない

 そもそも脱原発の約束はどこにいったのかね? 《2015年に政府と東電がした「関係者の理解なしに(処理水の)いかなる処分もしない」という約束》は? 武藤類子んは《住宅などの避難者支援が打ち切られ国や福島県が避難者を切り捨てる方向が明確になってきていると指摘。政府方針である汚染水を処理した水の海洋放出を「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない、という漁連との約束を反故(ほご)にしたプロセスは、民主主義に反すると批判した》(東京新聞)。
 全漁連福島県漁連も絶対に認めてはいけない。「海は誰のものか?」 東電や政府、自公お維議員のものなのか?

   『●『松下竜一未刊行著作集4/環境権の過程』読了(5/8)
    《国民はすべて健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」
     (憲法二十五条)を有し、「幸福を追求する権利は尊重される」
     (憲法十三条)のであってみれば、それを充足するための
     よりよい環境に住む権利は基本的人権であり、それはだれからも
     侵害されない―――〈環境権〉とは、端的にいえばこのような法理であり、
     まこと私たちしろうとに理解されやすく、共感は濃い。/もっといえば、
     海の問題でこの法律はきわ立って来る。従来、海を埋め立てるには
     当該海域の漁業者が漁業権放棄をすませれば全手続きは完了した。
     背後地住民に海への権利はなく、一片の発言も認められない。だが
     〈環境権〉は、海に対する住民の権利を鋭く主張する。なぜなら、
     海は万人共有のものであり環境の主要因子だからである》

   『●海は誰のもの? ~繰り返される過ち~
   『●上関町長選での非常に残念な結果
   『●「「アイドル」を守れ!」 『週刊金曜日』
      (2014年6月6日、994号)についてのつぶやき
    「取材班【漁業補償に5年間で約36億円か 政府、「辺野古
     移設強行へ】、「民意を無視する新基地建設の強硬は、
     新たな「島ぐるみ闘争」への始まりになる」。松下竜一さんは
     「海は誰のものか?」を問うた。そして、今、沖縄と各地の原発問題で」

   『●「岩礁破砕許可」というルールを曲げてでも辺野古破壊…
            ルール無用の無「法治国家」デンデン王国の実態
   『●「菅官房長官は徹底抗戦の姿勢を崩さない 
     翁長知事を念頭に、「わが国は法治国家だ」と牽制」だって!?
   『●「環境権」を「お試し壊憲」に悪用しつつ、
      一方で、畏敬の念も無く、何の躊躇もなく「海を殺す」人達の愚
    「松下竜一さんらの提起した「海は誰のものか?」「環境権」。いまや
     「環境権」は、アベ様ら自公の「お試し壊憲に悪用されようとしており、
     その一方で《海を殺す》愚行。「海」はアベ様やその取り巻き連中の
     ものなのか?、番犬様・米軍のものなのなのか? 畏敬の念も無く、
     何の躊躇もなく《海を殺す》人達。《悲痛な海の声》は聞こえないらしい。
     あまりに愚か」

 長周新聞の記事【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/27254)。《東京電力の福島第一原発の炉心溶融(メルトダウン)事故から12年が経つが、溶け落ちた核燃料デブリは今なお冷却し続けなければ再臨界する危険性をはらんでおり、事故の終息はいまだ見通せていない。ここで持ち上がっているのが、核燃料デブリを冷却するために注入した水や、流入する地下水が直接核燃料デブリに接することで発生する放射能汚染水の処理問題だ。東電はこれまで福島第一原発の敷地内のタンクに放射能汚染水を貯め続けてきたが、タンクの建設に限界があるという理由で2014年に当時の菅政府が「海洋放出」を決定した。この政府の一方的な海洋放出決定は国内の漁業者をはじめ、近隣諸国を先頭に国際的にも激しい反発を呼んだが、最近岸田首相は「春から夏までに海洋放出に着手する計画に変更はない」と改めて表明して、一段と国内外の反発の世論は高まっている。放射能汚染水の海洋放出のなにが問題なのか、海洋放出以外に処理方法はないのかなどについて専門家の意見も踏まえて再度考えてみたい》。

   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の
     議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●核燃料デブリに触れた汚染水をALPS処理した〝汚染水〟の海洋
     放出に断固反対する…〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行である
   『●(デモクラシータイムス/原発耕論)《汚染水海洋放出は無責任の極み!》
      …希釈しても汚染物質は減らない、〝汚染水〟の海洋放出に断固反対
   『●そんな核燃料デブリに触れた水を処理した〝汚染水〟…そんなものを海に
      捨てた例はどこにもない、〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行

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https://www.chosyu-journal.jp/shakai/27254

汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害
社会 2023年8月1日

 東京電力の福島第一原発の炉心溶融(メルトダウン)事故から12年が経つが、溶け落ちた核燃料デブリは今なお冷却し続けなければ再臨界する危険性をはらんでおり、事故の終息はいまだ見通せていない。ここで持ち上がっているのが、核燃料デブリを冷却するために注入した水や、流入する地下水が直接核燃料デブリに接することで発生する放射能汚染水の処理問題だ。東電はこれまで福島第一原発の敷地内のタンクに放射能汚染水を貯め続けてきたが、タンクの建設に限界があるという理由で2014年に当時の菅政府が「海洋放出」を決定した。この菅政府の一方的な海洋放出決定は国内の漁業者をはじめ、近隣諸国を先頭に国際的にも激しい反発を呼んだが、最近岸田首相は「春から夏までに海洋放出に着手する計画に変更はない」と改めて表明して、一段と国内外の反発の世論は高まっている。放射能汚染水の海洋放出のなにが問題なのか、海洋放出以外に処理方法はないのかなどについて専門家の意見も踏まえて再度考えてみたい。

     (福島原発敷地内に貯まり続けている汚染水タンク)

 岸田政府は7月4日、国際原子力機関(IAEA)から、東京電力の海洋放出計画は「国際的な安全基準に合致」しており、海洋放出で放射線が人や環境に与える影響は「無視できるほどごくわずか」との包括報告書を受けとり、これを錦の御旗に国内の漁業者や近隣諸国に海洋放出を認めさせようと奔走している。

 7月14日には西村経済産業相が全国漁業協同組合連合会(全漁連)を訪れ坂本雅信会長と会談し、海洋放出への理解を求めた。西村経産相はIAEAの包括報告書の内容を説明したが、坂本会長は政府が夏ごろの開始をめざす汚染水の海洋放出について改めて反対の立場を表明した。坂本会長は「われわれの唯一の望みは漁業を安心して継続したいということだ。科学的な安全と社会的な安心は違う。安心を得ないかぎり反対の立場を崩すわけにはいかない」とのべた。

 会談には福島県をはじめ青森、岩手、宮城、茨城各県の漁業団体幹部も同席した。

 西村経産相は11日にも福島県漁連に対して海洋放出への理解を求めたが、野崎哲会長は改めて反対を表明した。政府と東電は2015年に福島県漁連に対して「関係者の理解なしには(汚染水の)いかなる処分もしない」と約束している。

 福島県の漁業者をはじめ周辺各県の漁業者は東日本大震災と福島原発事故災害からの復興のために筆舌に尽くし難い努力をし、やっと震災前の漁業操業をおこなえる灯りが見えるところまできた。そこに放射能汚染水の海洋放出が持ち上がり、これまでの努力を水の泡にしかねない災いとしてふりかかっている

 香港政府は7月12日、日本政府が福島第一原発の放射能汚染水を海洋放出した場合、日本国内10都県を産地とする水産物の輸入を禁止すると発表した。東京、福島、千葉、栃木、茨城、群馬、宮城、新潟、長野、埼玉の各都県が対象となっている。生鮮、冷凍、冷蔵、乾燥またはその他の方法で保存されたすべての水産物と海水由来の塩、海藻を禁輸するとしている。

 香港に続いてマカオの食品安全行政を管轄する市政署も14日、日本が海洋放出を開始した場合、輸入申請モラトリアム(事実上の禁輸措置)の対象を現行の福島県に加えて9つの最高リスク地区(千葉、栃木、茨城、群馬、宮城、新潟、長野、埼玉、東京の各都県)の野菜、果物、牛乳・乳製品、水産・水産加工品、食肉類・食肉加工品に拡大すると発表した。さらに他の地域から輸入される生鮮食品についても放射線検査証明の添付を必須とし、検査・検疫をパスすることを要件化する可能性も排除しないとした。

 中国政府はIAEAの包括報告書について「日本国内外の反対の強い声を抑えられるものではない」とし、「最新の世論調査では韓国では国民の8割以上が賛成していない。太平洋島しょ国やフィリピン、インドネシア、南アフリカ、ペルーなどの専門家や国民も抗議の声を上げている。福島の放射能汚染水海洋放出は世界の重大な公共の利益にかかわるもので、あいまいにすることは許されず、間違いは許されない。中国は日本が科学を尊重し、事実を尊重し、IAEAの報告を海洋放出の“後ろ盾”とすることなく、国際的道義的義務と国際法の義務を忠実に果たし、海洋放出計画を停止し、責任ある方法で放射能汚染水を処理するよう促す」と表明している。

 また、中国外務省は七日、松野官房長官が「中国と韓国の原発はトリチウムの濃度が比較的高い液体を海洋に放出している」と発言していることについての見解を以下の要旨で明らかにした。

 「日本は福島原発事故の汚染水世界各地の原発の正常運転による排水を一緒に論じている。これは概念のすり替えで、世論をミスリードするものだ福島原発事故の溶解した原子炉の炉心に接触した放射能汚染水と、正常に運転されている原発の炉心に直接接触していない排水本質的に異なる発生源が異なり、含まれる放射性核種が異なり、処理の難度が異なり、根本的に比較できない。とくにIAEAは日本の浄化設備の有効性と長期的信頼性を評価しておらず今後30年間、すべての放射能汚染水が処理基準をクリアすることを保証することはできない。日本が原発の正常運転による排水を持ち出し、海洋放出の誤った決定を“白”としようとするのは、科学の看板を掲げて国際社会をミスリードするものだ」としている。

 さらにIAEAの包括報告書について「IAEAが慌ただしく発表した報告は評価作業に参加したすべての各国専門家の意見を十分に反映しておらず、関係の結論には極限性と一面性があり、国際社会の懸念を解決していない。日本が今回の報告を海洋放出の“通行証”とせず、計画強行を停止し、責任ある方法で放射能汚染水を処理するよう促す」とコメントしている。

 中国政府は7月11~14日にかけて開催されたASEAN外相会議やASEAN地域フォーラムの場でも日本の汚染水海洋放出を批判し、国際会議の場でとりあげるよう促した。

 韓国でもこの間、漁業者をはじめ国民的な海洋放出反対の世論と行動が盛り上がってきていた。尹政府はそうした国民世論に対抗し、IAEA報告書に理解を示し、日本の海洋放出を容認する態度をとった。韓国で7月11~13日に全国で18歳以上を対象におこなった世論調査では、尹大統領の支持率は32%で前の週の支持率38%から6%も下落した。理由としては「福島原発汚染水放出問題」と「外交」がそれぞれ14%でもっとも多かった。支持率の下落幅はとくに福島原発汚染水の海洋放出の直接的な影響を受ける層で大きく、釜山、蔚山、慶尚南道では11㌽も下落した。

 海洋生物学者であるハワイ大学のロバート・H・リッチモンド教授は、日本政府の放射能汚染水海洋放出計画を詳細に審査した結果、同計画の安全性に疑問があると判断したと表明し、IAEAが7月4日に発表した包括報告書を認めない考えを明らかにした。

 同教授は太平洋島しょフォーラムの委嘱を受けた科学者で、福島第一原発にも足を運び、東電や日本政府、IAEAとの会議にも参加した経験を踏まえ、「日本が手配した会談の多くは政治家や政策立案者のものだった」とし、「海洋放出計画では科学は脇に置かれているようだ」とのべている。IAEAの報告書については「これは政治とカネにもとづいた決定であり、日本のこの計画はいくつかの原則に反しているだけでなく、IAEAの基準にも違反している」との見解を示している。


国際条約違反の行為 ロンドン条約など

     (原発汚染水の海洋放出に抗議する海上デモ(韓国、2021年))

 福島原発の汚染水の海洋放出が国内ばかりではなく、国際的な問題として広がっているのは海が一つだからだ。

 6月8日は「世界海洋デー」だが、昨年の「世界海洋デー」にあたって中国の報道機関は「海洋は地球上の生命の揺りかごであり、全人類がともに守るべきものである。しかし、海洋生態を公然と破壊する者たちがいる。2021年4月、日本は福島原子力発電所の原発汚染水を海洋に放出すると発表した。日本国内や国際社会から疑問や反対の声が絶えないなか、東京電力は来春から長期間かけて原発汚染水を太平洋に放出する計画だ」「専門家は原発汚染水は海洋生物を汚染するとともに、魚類の回遊を通じて海洋全体に拡散され、世界の海洋環境の安全、国際公衆衛生システム、周辺諸国の人々の基本的利益を著しく損なうと指摘する。ドイツの科学機関は、日本の発表したスピードで原発汚染水を放出した場合、57日足らずで太平洋の半分が汚染されると推算する」と報道した。

 海は一つであり、全人類にとっての宝であるところから、「海の憲法」とも呼ばれる「国連海洋法条約」があり、日本も批准している。この条約は「いずれの国も、あらゆる発生源からの海洋環境の汚染を防止し、軽減し及び規制するため、利用することができる実行可能な最善の手段を用い(中略)すべての必要な措置をとる(後略)」(194条1)とし、国家が海洋環境を保護することを義務づけている。

 とくに「毒性又は有害な物質(特に持続性のもの)の陸にある発生源からの放出」を規制し、海洋環境を汚染しないよう諸国に義務づけている。これに照らして見れば、放射性物質を含む汚染水の海洋放出は国連海洋条約に違反する行為であることは明らかだ。

 また、廃棄物その他の物の投棄による「海洋汚染の防止」に関する国際条約としては「ロンドン条約」があり、日本も批准している。1993年の改正であらゆる放射性廃棄物の海洋投棄が全面禁止され、その後放射性排水も対象となった

 2011年の福島第一原発事故によって海が放射能で汚染されることについて、ロンドン条約の会議では加盟国から懸念の声があいついだ。

 日本政府は1993年3月30日の閣議決定で「1993年度原子力開発利用基本計画」の「低レベル放射性廃棄物の海洋投棄については、関係国の懸念を無視しておこなわない」とした。また、1993年11月2日の原子力委員会決定では「わが国としては今後、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として海洋投棄を選択肢としない」としている。

 福島原発の汚染水の海洋放出はロンドン条約をはじめこうした閣議決定や原子力委員会決定にも明らかに違反している。

 ところが、2020年に原子力委員会は「低レベル廃棄物は固体廃棄物や固化した廃棄物を海洋に投棄して処分することを指す」とし、「液体である福島第一原発のトリチウム汚染水の海洋放出は海洋投棄には該当しない」との詭弁を弄している。

 ロンドン条約では「海洋投棄が禁止される“廃棄物その他の物”とは、あらゆる種類、形状又は性状の物質をいう」と定義し、「廃棄物その他の物の投棄(その形態及び状態のいかんを問わない)を禁止する」と明記している。固体以外の液体なら除外されるという理解そのものがロンドン条約違反となっている。

 また、2019年には英ロンドンの国際海事機関(IMO)本部で開催されたロンドン条約およびロンドン議定書の締約国会議で、初めて福島第一原発の汚染水の海洋放出問題が正式議題にのぼった。

 締約国会議に出席した中国とチリの代表団が原発汚染水の海洋放出の可能性に懸念を表明した。ガーナ出身の議長は、今後も引き続き議論するとし、日本に情報公開を求めた。

 日本が実際に汚染水を放出したときには、締約国会議で正式に問題提起し、これがロンドン条約およびロンドン議定書に違反すると判断されれば強制力を持つ決議案を提出することもできる。

 それまで日本政府は汚染水の海洋放出問題は、海洋投棄について定めたロンドン条約およびロンドン議定書ではなく、IAEAで話し合う問題だとの立場を主張してきた。それは違反が明らかなロンドン条約を基準にした論議の場ではなく日本やアメリカ政府の影響力が及ぶIAEAを舞台とした論議に絞りたいという思惑が透けている


デブリに接した汚染水 高濃度に汚染

 では、汚染水はどこから生まれ、どういった問題を含んでいるのか。

 2011年の福島第一原発事故では1~3号機はメルトダウン事故を起こした。すべての電源を喪失して冷却機能が失われ、炉心の温度が異常に上昇し、核燃料の大部分が溶融し、圧力容器の底に溜まったメルトダウン、さらには高温により圧力容器の底が溶かされて燃料が容器の底を突きぬけたメルトスルー(溶融貫通)に至ったともいわれる。溶け落ちた核燃料は核燃料デブリ状態となっているが、冷却水を注入して冷却し続けないとふたたび重大事故になりかねない危険な状態が続いている。福島原発事故はいまだに終息していないし、終息の見通しも立っていないのが現実だ

 溶け落ちた核燃料を冷却するために当初は1日400㌧の冷却水を注入し、それに地下水などの流入も加わり汚染水の発生は1日500㌧にのぼっていた。12年経過した今日も、冷却水を循環型にしたことによる減少があるものの、汚染水の発生は1日当り100㌧に達している。それらは直接核燃料デブリに接触した水であり、高度の放射能汚染水だ

 東電は、この汚染水を汲み上げ、多核種除去設備=ALPS(アルプス)に送り、薬液による沈殿処理や活性炭などの吸着素材により放射性物質をとり除くとしている。東電の発表では、ただ放射性物質のトリチウムだけはとり除けないとし、そのままタンクに溜められてきた。これを海水で薄めてトリチウムの濃度を国の基準の40分の1となる1㍑当り1500ベクレル未満まで下げ、地下の入口から海底トンネルを通って沖合い1㌔の地点で放出するという計画だ。

 だが、東電の発表とは裏腹にタンクに溜まった汚染水の7割はトリチウム以外の62の放射線核種の濃度が全体として濃度基準をこえ、最大で1万9909倍になっていることがメディアのスクープで明らかになった。残存している核種のおもなものは、ストロンチウム90、セシウム137、セシウム134、コバルト60、アンチモン125、ルテニウム90、ヨウ素129などだ。

 東電がそれまでALPS小委員会に提出していた資料では、トリチウム以外の核種はALPSにより除去できているとのデータのみを示していた。その後東電もトリチウム以外の放射性物質を含んだ原発汚染水がタンクに貯蔵されていることを認めざるをえなくなった。こうした放射線核種が残存しているのは、汚染水が溶け落ちた核燃料デブリに直接接触したものであるためで、正常運転の原発から排出される温排水などと同等には論じられない

 東電や政府は「ALPSで処理したトリチウム水は安全で、水とほとんどかわらず、しかもさらに希釈して海洋放出するから問題はないあるとすれば風評被害だけだと宣伝している。

 だが、政府のALPS小委員会の報告書では、トリチウムは「他の放射性物質と比較して健康への影響は低い放射性物質」だが、「影響が出る被ばく形態は内部被ばくであることを認めているわずかであっても内部被ばくは生物に蓄積され、食物連鎖のなかで濃縮されていくわずかであってもトリチウムが海藻に付着し、魚介類に摂取されれば、体内に蓄積され、何十年もの長期にわたって食物連鎖のなかで濃縮されていく

 また、トリチウムが人体を構成する水素と置き換わったときには、近隣の細胞に影響を与え、DNAを構成する水素と置き換わった場合はDNAが破損する影響が起きる。

 トリチウムは水素の同位体で、三重水素とも呼ばれ、化学的性質は普通の水素と同一だが、β線を放出する放射性物質だ。半減期は12・3年である。

 トリチウム水の分子構造は水とほとんど変わらないため、人体にそれほど重大な影響は及ぼさないと政府はいうが、分子生物学者はむしろそれは逆だと指摘する。人の体重の約61%は水が占めている。人体はトリチウムを水と区別できず、容易に体内の組織にとり込みやすい。トリチウムを体内にとり込むと、体内では主要な化合物であるタンパク質、糖、脂肪などの有機物にも結合し、有機結合型トリチウム(OBT)となり、トリチウム水とは異なる影響を人体に与える。長いものでは15年間も体内にとどまり、その間、人体を内部被曝にさらし続ける場合がある。

 トリチウムが染色体異常を起こすことや、母乳を通じて子どもに残留することが動物実験で報告されている。動物実験ではトリチウムの被曝にあった動物の子孫の卵巣に腫瘍が発生する確率が五倍増加し、精巣萎縮や卵巣の縮みなどの生殖器の異常が観察されている。日本の放射性物質の海洋放出の基準は1㍑当り6万ベクレルで、これはICRP(国際放射線防護委員会)の勧告に則ったものだ。しかし分子生物学者らは、ICRP勧告はトリチウムのOBTとしての作用を明らかに過小評価していると指摘している。

 東電や政府はトリチウムを海水で希釈するので安全だといっているが、どの程度希釈するかよりも放出する総量が問題だが、海洋放出するトリチウムの総量については示していない。

 政府と東電の計画では福島第一原発の廃炉完成予定が2041~51年としているが、現実には事故から12年たっても核燃料デブリがどこにあるかも、どのような方法でとり出すのかもわかっておらず、廃炉の見通しはまったく立っていない状況だ。核燃料デブリのとり出しが完了するまで冷却水を注入して冷やし続けなければならず、これからも際限なく汚染水は溜まり続ける。こうしたなかで海洋放出が一旦開始されれば、延々と放出が続けられることになり、総量も確定できない

 一旦放出した放射性物質は回収できず、何世紀にもわたって環境を汚染し続ける。世界的な規模での人体や生態系への影響は計り知れず、漁業や農業への長期的な風評被害も深刻だ。


他にもある可能な技術 トリチウム分離も

 汚染水の処理は海洋放出以外にはないのか。

 ALPS小委員会は、技術的に可能な5つの処分方法を検討している。①地層注入=186・5億円以上、②海洋放出=34億円、③水蒸気放出=349億円、④水素放出=1000億円、⑤地下埋設=2431億円となっており、これを受けて2021年4月に菅政府がもっとも安くて済む海洋放出を決定した。

 この決定に対して中国は「海洋放出がもっとも低コストに抑えられるからだ。日本のやり方は非常に無責任かつ利己的なものだ。自国の財政難を口実に利用して、災いを近隣諸国に押しつけるような手法をとってはならない。これは国際社会の支持するルールではない」と反発した。

 「国連海洋法条約」では、「いずれの国も、あらゆる発生源からの海洋環境の汚染を防止し、軽減し及び規制するため、利用することができる実行可能な最善の手段を用い、かつ、自国の能力に応じ、単独で又は適当なときには共同して、この条約に適合するすべての必要な措置をとるもの」とある。陸上保管という実行可能な最善の手段」があるにもかかわらず、海洋放出するということは、海洋環境保護の観点に反しており、認められないとの国際世論が高まった。

 また、実際にトリチウム分離の成功例も出てきた。近畿大学工学部の井原教授、近畿大学原子力研究所、東洋アルミニウム株式会社および近大発のベンチャー企業・株式会社ア・アトムテクノル近大らの研究チームは2018年に、放射性物質を含んだ汚染水から放射性物質の一つであるトリチウムを含む「トリチウム水」を分離・回収する方法と装置を開発したと発表した。

 研究で中心的な役割を担ってきた井原特別研究員は「さらなる研究のため」として政府系の補助金を申請したが、通らなかった。また、実用化に向け、大量のトリチウムを扱ったさいにどんな課題が生じるのか試験する必要があり、東電に第一原発の敷地内で試験がおこなえないか打診したが東電は協力を拒否した。

 当時の梶山経産相は「近畿大の研究技術は承知している」「まだ実験室レベルでの研究」と突き放し、この2カ月後に海洋放出を処理方針とした。

 このほかトリチウム分離技術はアメリカなどでもおこなわれている。技術的に難しいとはいえ、民間や海外で新技術への挑戦が続き、成功例も出ているにもかかわらず、政府や東電は検討もせず、コストの安い「海洋放出ありき」で突き進んでいる。重大事故を引き起こした責任の重さからみてもあるまじき対応だ。

 福島第一原発の重大事故を引き起こした責任は東電と政府にあり、被災者への補償、生活の復興に尽力することは当然だ。ところが、被災者の生活や生業の復興も道半ばにある現段階で、今度は大量の放射能汚染水の海洋放出を強行し、新たな放射能被害を押しつけようとしている。しかも、世界の海に与える影響は二の次で、汚染水をかかえる東電の事情を第一にし、「コストがかからないことだけを基準にした無謀な計画だ。このような海洋放出計画が国際社会からも激しい反発を受けるのは当然のことだ。東電と政府は、重大事故を引き起こした反省に立つならば、現代の科学技術の成果に真摯に学び、環境中に放射能を放出しないやり方での汚染水処理を真剣に追求する責任がある。
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●《通常の原発からも海洋放出しているから安全なのではなく、人体にとって危険なトリチウムを排出する通常の原発稼働も止めることが必要》

2023年08月13日 00時00分48秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年07月27日[木])
核燃料デブリに触れた水を処理した〝汚染水〟。世界中、そんなものを海に捨てた例はどこにもない。〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行。
 風評被害ではなく、実害を生じるのではないか。(長周新聞)《カナダでは、重水炉というトリチウムを多く出すタイプの原子炉が稼働後しばらくして住民のあいだで健康被害の増加が問題にされた。調査の結果原発周辺都市では小児白血病や新生児死亡率が増加し、ダウン症候群が80%も増加した。またイギリスのセラフィールド再処理工場周辺地域の子どもたちの小児白血病増加に関して、サダンプト大学の教授は原因核種としてトリチウムとプルトニウムの関与を報告している》(長周新聞)。〝汚染水〟を放出しても影響がないというのは、一体どの辺が「科学的な証拠」があるのかね? 単に、《科学的な安全性より「安さ」を選択したのだ》。(長周新聞)《麻生副総理は「あの水を飲んでも何ということはない」》…麻生家の庭に散水し、水道水として使ってもらえばいい。《科学的》に安全なんでしょ?
 風評どころか実害を生じさせる〝汚染水〟の海洋放出に断固反対する。まずは、デブリに水が触れないようにしてはどうなのか。〝汚染水〟を日々増やしつつ、タンクを置く土地が足りないなど、愚か者のやることだ。そもそも、東電はたくさんの土地を持っているでしょうが。そこに置けばいい。

   『●ドイツは《脱原発を完了》: 彼我の差を感じて情けなくなる…何処まで
      愚かな国なのだろうか。そして、いま、原子炉圧力容器が崩落の危機…

 2年ほど前、2021年4月22日の長周新聞の記事【トリチウム水の危険性 通常排水にない11核種も 「飲んでも何ということはない」水か?】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/20833)によると、《トリチウムは通常の原発からも海洋放出しているから安全なのではなく、人体にとって危険なトリチウムを排出する通常の原発稼働も止めることが必要だ東電と政府は史上最悪の福島原発事故を引き起こし、周辺住民に耐えがたい犠牲を強いた反省に立ち、真実をウソで覆い隠すのではなく、真摯な対応をすることが求められている》。

   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の
     議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●核燃料デブリに触れた汚染水をALPS処理した〝汚染水〟の海洋
     放出に断固反対する…〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行である
   『●(デモクラシータイムス/原発耕論)《汚染水海洋放出は無責任の極み!》
      …希釈しても汚染物質は減らない、〝汚染水〟の海洋放出に断固反対
   『●そんな核燃料デブリに触れた水を処理した〝汚染水〟…そんなものを海
     に捨てた例はどこにもない、〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行

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https://www.chosyu-journal.jp/shakai/20833

トリチウム水の危険性 通常排水にない11核種も 「飲んでも何ということはない」水か?
社会 2021年4月22日

 菅政府は13日に福島第一原発の炉心溶融(メルトダウン)事故で溶けた核燃料デブリを冷却した後に溜まり続ける放射能汚染水の海洋放出を決めたが、その閣議後の会見で麻生副総理は「あの水を飲んでも何ということはない」と発言した。国内の漁業者を先頭に国内外で汚染水の海洋放出に抗議や反発が広がっている。トリチウム水ははたして飲んでも何ということはないほど安全なのか。

 福島第一原発の敷地内のタンクに溜まり続けているのは、2011年の東日本大震災での地震や津波によって全電源を喪失した福島第一原発1~3号機(4号機は定期点検で停止中)で溶け落ちた核燃料を冷却し続けている汚染水だ。また、流入した地下水が核燃料デブリに触れて汚染水となっている。現在では1日に140㌧が発生しているとされている。

 政府や東京電力はこの汚染水を多核種除去設備ALPS)で処理しており、海洋放出される処理水にはトリチウム以外は含まれていないので安全だとしている。また、トリチウムは海外の原発、国内の原発でも海洋放出しているので安全だといっている。

 だが、通常運転している原発から放出される排水とメルトダウンを起こした福島原発から放出されるALPS処理水はまったく性質が異なる。ALPS処理で除去できないのはトリチウムだけではない。セシウム137やセシウム135、ストロンチウム90、ヨウ素131やヨウ素129など12の核種は除去できていない。ALPSでも処理できない核種のうち、11核種は通常の原発排水には含まれない核種だ。それは、通常の原発では燃料棒は被膜管に覆われ、冷却水が直接燃料棒に触れることはない。だが、福島第一原発では、溶け落ちて固まったむき出しの核燃料デブリに直接触れた放射能汚染水が発生しており、危険性は通常の原発排水どころではない。2018年にはALPSで処理したにもかかわらずセシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素131などトリチウム以外の放射性核種が検出限界値をこえて発見された。

 「多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会」では処分方法として最終的に五つの方法を提示した。その処分方法別の費用は34億~3976億円の幅があったが、結局もっとも安い費用で済む海洋放出(費用34億円)に決定した。科学的な安全性より「安さ」を選択したのだ

 同小委員会の資料では「トリチウムは自然界にも存在し、全国の原発で40年以上排出されている健康への影響は確認されていない」と安全性を強調している。だが、世界各地の原発や核処理施設の周辺地域では事故が起きなくても稼働させるだけで周辺住民や子どもたちを中心に健康被害が報告されており、その原因の一つとしてトリチウムがあげられている。トリチウムは水素の同位体で、三重水素とも呼ばれ化学的性質は普通の水素と同一だが、β線を放出する放射性物質だ。半減期は12・3年。トリチウムは天然にも宇宙線と大気の反応によりごく微量に存在し、雨水やその他の天然水の中にも入っていたが、戦後の核実験や原発稼働によって自然界のトリチウム量は急増した。

 トリチウム水の分子構造は水とほとんど変わらないため、人体にそれほど重大な影響は及ぼさないと政府はいうが、分子生物学者はむしろそれは逆だと指摘する。

 人の体重の約61%は水が占めている。トリチウムは水とほとんど変わらない分子構造をしているため、人体はトリチウムを水と区別できず容易に体内の組織にとり込みやすい。トリチウムを体内にとり込むと、体内では主要な化合物であるタンパク質、糖、脂肪などの有機物にも結合し、有機結合型トリチウム(OBT)となり、トリチウム水とは異なる影響を人体に与える。長いものでは15年間も体内にとどまり、その間、人体を内部被曝にさらし続ける場合がある。

 トリチウムが染色体異常を起こすことや、母乳を通じて子どもに残留することが動物実験で報告されている。動物実験ではトリチウムの被曝にあった動物の子孫の卵巣に腫瘍が発生する確率が5倍増加し、精巣萎縮や卵巣の縮みなどの生殖器の異常が観察されている。日本の放射性物質の海洋放出の基準は1㍑当り6万ベクレルで、これはICRP(国際放射線防護委員会)の勧告に則ったものだ。しかし、分子生物学者らはICRP勧告はトリチウムのOBTとしての作用を明らかに過小評価していると指摘している。

 内部被曝による人体への影響はアメリカのマンハッタン計画以来、軍事機密とされ隠ぺいされ続けてきた。トリチウムがほとんど無害とされてきた根拠はICRPの線量係数の設定によるものであり、政治的意図によるものだ

 政府の有識者会議はトリチウムの生体への影響としてマウスやラットで発がん性や催奇形性が確認されたデータの存在を認めながら、ヒトに対する疫学的データが存在しないことを理由に、トリチウムが人体に影響を及ぼすことを裏付けるエビデンスはないと主張し、海洋放出を正当化している。しかし実際にはトリチウムの人体への影響はこれまでもくり返し指摘されてきた。

 ドイツでは1992年と1998年の二度、原発周辺のがんと白血病の増加を調査した。その結果原発周辺5㌔㍍以内の5歳以下の子どもに明らかに影響があり、白血病の相対危険度が5㌔㍍以遠に比べて2・19、ほかの固形がん発病の相対危険度は1・61と報告された。

 カナダでは、重水炉というトリチウムを多く出すタイプの原子炉が稼働後しばらくして住民のあいだで健康被害の増加が問題にされた。調査の結果原発周辺都市では小児白血病や新生児死亡率が増加し、ダウン症候群が80%も増加した。またイギリスのセラフィールド再処理工場周辺地域の子どもたちの小児白血病増加に関して、サダンプト大学の教授は原因核種としてトリチウムとプルトニウムの関与を報告している。

 日本国内でもトリチウム放出量が多い加圧水型原発周辺で白血病やがんでの死亡率が高いとの調査結果も出ている

 またノーベル物理学者の小柴昌俊氏とマックスウェル賞受賞者の長谷川晃氏が2003年に連名で、「良識ある専門知識を持つ物理学者として、トリチウムを燃料とする核融合は極めて危険で、中止してほしい」との「嘆願書」を当時の小泉純一郎総理大臣あてに提出している。そのなかで、トリチウムはわずか1㍉㌘で致死量になり、約2㌔㌘で200万人の殺傷能力があると訴えている。

 トリチウムは通常の原発からも海洋放出しているから安全なのではなく、人体にとって危険なトリチウムを排出する通常の原発稼働も止めることが必要だ東電と政府は史上最悪の福島原発事故を引き起こし、周辺住民に耐えがたい犠牲を強いた反省に立ち、真実をウソで覆い隠すのではなく、真摯な対応をすることが求められている。
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