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Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●壊憲法案・戦争法案に反対!: 多くの市民、幅広い世代がその本質を理解し、大反対している

2015年09月11日 00時00分48秒 | Weblog


東京新聞のコラム【【私説・論説室から】憲法は日本人だけのものか】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2015090702000133.html)。
日刊ゲンダイの記事【投稿でSEALDs励ます 加藤敦美さん「若者たちに希望感じる」】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163352)。

 「人垣の中に民族差別に反対する市民団体「のりこえねっと」の共同代表、辛淑玉さんの姿があった。両手で掲げた大きなカードにはこう書かれていた。「日本は、私の故郷です。在日として、人殺し法案に反対します!」……言うまでもない。憲法は、多くの権利を在日外国人にも保障する。日本人だけの宝ではない。日本に生きるすべての人のためにある」。

   『●壊憲: 国内問題ではなくて、もはや国際問題
    「ジャン・ユンカーマン監督は「日本国憲法、特に憲法9条は
     国際的に日本の平和に対する姿勢の現れとして見られている。
     だから日本の憲法改正論議は国内問題ではなく、国際的な問題だ」
     と話す。その先駆けとなった日本が平和条項を改正すれば、
     それは日本の国際的な信用を損ねるのみならず、
     日本に倣って平和憲法を作った国々にも大きな落胆をもたらすだろう。
     ユンカーマン氏は、今日の日本の政治家たちにその視点が
     欠けていることに大きな危惧を抱くという」

 見落とされがちな、もっと広い意味での「国内問題」に気付かされる。同時に、「国際問題」でもある。
 そして、差別主義者歴史修正主義者暴力主義者と壊憲論者の微妙な重なり具合幅の狭さ「壊憲」界の世間の狭さ

   『●『「非国民」のすすめ』読了(3/6)
   『●『石原慎太郎よ、退場せよ!』読了(1/3)
   『●〝腰ぬけ〟で結構、害悪老人よりは!!
   『●「言論の自由」と、「言論の暴力」をも超える行為
   『●ヘイトスピーチ、自らの言論の自由を狭めている
   『●「NHKと安倍自民党」
       『週刊金曜日』(2014年2月14日号、979号)について

   『●一国の首相が歴史修正主義者なんて恥ずかしいし、
                 羞恥心の無さと自覚の無さという救いの無さ

   『●首相からして歴史修正主義者な国の文科大臣の「食言」
   『●「ヘイトの深層」 『週刊金曜日』
      (2014年8月29日号、1005号)についてのつぶやき

   『●石坂啓さん「道徳心とか愛国心とかが
      コドモたちにとって安全かどうか、なぜ疑ってかからない」

   『●「道徳」を説く文科相がソレってOKなの? 
       「道徳心とか愛国心とかがコドモたちにとって安全」??
   『●「薄っぺらで反知性的なタカ派」的・
       独善的首相戦後七十年談話など、全く不要

   『●《空疎な小皇帝》石原慎太郎元東京「ト」知事が受章:
                差別主義者の胸にワッペンはお似合いだ

   『●『坑道の記憶~炭坑絵師・山本作兵衛~』:
       「歴史はあらゆる側面から語られる必要がある」

   『●麻生太郎派閥の親バカならぬ、親分バカ:
              子分が子分なら、親分も親分

   『●芸術家との意見交換を通じて「心を打つ『政策芸術』を立案し、
                   実行する知恵と力を習得・・・だそうです

 壊憲論者の幅の狭さに対して、「憲法学者、弁護士、退職裁判官、そして、元最高裁長官。あとは、現役裁判官の勇気だけ。この一連のクーデター行為によるトンデモな壊憲。……、今後、様々な裁判が提起されると思う。そこで現役の裁判官がどう判断するのか、特に最高裁」。
 この幅の広さは世代についても言える。「元予科練の加藤敦美さん(86)が朝日新聞に寄せた投稿だ。「学生デモ 特攻の無念重ね涙」(7月23日付)の一文はネットを通じて拡散し、国民的な話題に」。
 壊憲反対は幅広い世代にもわたっている……「世代を超えた連帯が安倍政権を追い詰めている」。幅広い世代がその本質を理解し、大反対している。

   『●「最高裁は、一切の…が憲法に適合するかしないか
       を決定する権限を有する終審裁判所」…が壊憲認定?

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2015090702000133.html

私説・論説室から
憲法は日本人だけのものか
2015年9月7日

 「戦争のできる国へと憲法を変質させる安保関連法案の廃案を求め、群衆が国会前を埋め尽くした八月三十日。人垣の中に民族差別に反対する市民団体「のりこえねっと」の共同代表、辛淑玉さんの姿があった。両手で掲げた大きなカードにはこう書かれていた。

 「日本は、私の故郷です。在日として、人殺し法案に反対します!

 在日コリアンらを標的に「殺せ!」「日本からたたき出せ!」と口汚く攻撃する人と闘うことと、安保法案に反対することの根っこは同じだと辛さんは言う。日本が戦争に加われば、女や子ども、高齢者・障害者ら戦力にならない人々とともに、在日コリアンら外国人は真っ先に邪魔もの扱いされるだろう。「互いを殺し尽くすまでやるのが戦争。私たちは祖国からも日本からも殺される」。辛さんの言葉を思い出す。不戦を誓った憲法には在日の人々の生存もかかっているのだ。

 法案に反対する著名人のスピーチに気になる表現を感じたことがある。その人は「私たち日本人の中に憲法がある」と言った。だが在日の友人はつぶやく。デモで「日本人」とか「国民」という言葉を聞くと怖くなる、と。

 敏感な友人は、何げない言葉にもナショナリズムの芽を感じたのだろう。言うまでもない。憲法は、多くの権利を在日外国人にも保障する。日本人だけの宝ではない日本に生きるすべての人のためにある。 (佐藤直子
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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163352

投稿でSEALDs励ます 加藤敦美さん「若者たちに希望感じる」

     (加藤敦美氏は現在京都市在住(C)日刊ゲンダイ)

 12万人が国会周辺を埋め尽くした安保法制反対の8・30国民大運動。それを主導したのは学生団体SEALDs(シールズ)だが、彼らの活動を励ましたのが、元予科練の加藤敦美さん(86)が朝日新聞に寄せた投稿だ。「学生デモ 特攻の無念重ね涙」(7月23日付)の一文はネットを通じて拡散し、国民的な話題になった。その後、シールズ中心メンバーの奥田愛基さんとの対談も実現している。



――安保法案に反対するシールズを見て、「オーイ、今こそ俺たちは生き返ったぞ」と寄せた投稿は、国会前集会で奥田さんが涙ながらに全文を朗読していました。彼らは国会前デモに来る前、加藤さんの文章を読むそうですよ。

 衆院で安保法制が強行採決をされた直後、彼らの写真が新聞に載っていました。それを見て、涙があふれ出てきた。「俺たちはこんなふうに生きたかった」という思いが込み上げてきたのです。なぜ予科練で特攻を目指していた私が、若い人たちの姿を見て泣いたのか。それは、何かのルサンチマン(恨み)だったと思います。「あんなふうに(反対運動をして)生きたかったな」という思いが心の底にたまり続けていたのでしょう。



 現在、86歳の加藤さんは1928年に関東州の大連で生まれた。祖父も父も南満州鉄道の社員で、16歳の時に予科練(海軍飛行予科練習生)に合格して本土に渡った。



 予科練では「海軍通信学校」(山口県防府市)に入り、モールス信号を受信する訓練を受けました。九州の基地から出撃した特攻隊機が敵艦突入の際に発する信号音を聞き取っていたのです。周波数を合わせると、「ピーーー」という音が聞こえたのですが、ふっと消えた。しばらくして、また「ピーーー」と鳴って、ふっと消える。その時に班長が「今のは特攻機が突っ込んでいった時の音だ」と私に告げました。聞こえなくなった時が死の瞬間だったのです。

 最初は「ああ、そうか」と思っただけでした。音しか聞こえず、特攻機が突っ込んでいく映像を見ていないので、何の感情もイメージも湧かなかった。でも、パイロットが電鍵を押しっぱなしにしないと、電波は出ない。特攻隊員は死ぬ瞬間まで「絆」「つながり」を断たれないようにしていた。それで「最後まで俺たちを見捨てるな!」という魂の叫びに聞こえるようになりました。国も靖国神社も天皇も関係はない。「ただ誰かとつながっていたい」というのが特攻隊員の本当の思いだったに違いないと。



■「武藤議員の主張を聞いて『またか…』と」

 シールズの千葉泰真さんも7月31日、都内の集会で加藤さんの投稿を読み上げ、「僕は国会前に立つ時、いつも、かつての戦争に短い生涯を散らした先人たちが近くにいて『頑張れ』と背中を押していてくれるような気がする」と話し、こう訴えた。「敗戦によって悲しみの底に投げ出された日本人だから持てる『二度と戦争をしない』と誓った不戦の感性を(安倍政権が)軽薄に投げ捨てるということは、あの悲惨な戦争で犠牲になったあまたの先人たちに対し、あまりに冒涜的なのではないでしょうか」



 武藤貴也衆院議員(滋賀4区)はシールズの主張を「利己的」と批判しましたが、「また来たか」と思いました。私は満州で生まれ育ちましたが、小学生の時から「自分のことを主に考えるやつは利己主義だ、非国民」と散々言われました。同じことを武藤議員が言いだした。「国のためにおまえらの命をよこせ。嫌とは言わせないぞ」という意味としか取れませんでした

 当時は「死ぬことは美しいこと」と賛美され、「天皇陛下のために死ぬ。死んでも靖国神社に行って神になれる」と教えられました。そして日中戦争が長引くにつれて、ピカピカだった装備はボロボロになっていき、「このままでは満州での居場所がなくなる」と思い詰め、せき立てられるように予科練に志願し、合格しました。それでも満州を離れる時、本音では「(入隊を)誰か止めにきてくれないのか!」「助けてくれ!」と願っていました。「天皇のために死ぬ」と考えても、恐怖で体の震えが止まらなかったのです。

 予科練でも死ぬことしか教えられませんでした。上官にこん棒でぶん殴られ、怒鳴られたりして、消耗品のように扱われた百田尚樹著『永遠の0』のような美化された世界ではない。実際、練習生隊長からは「天皇や国のためなんかのキレイ事ではないお前たちは消耗品だ命令されたら死ねばいいのだ!」と言われました。そして先輩や同輩たちは特攻で死んでいった。人間魚雷「回天」で亡くなった仲間もいた。でも本当は「自分たちは生きたかった。死にたくなかった」と思います。もっと言えば、「愛されたかった。愛したかった」。

 それで、朝日新聞の投稿には「人生には心からの笑いがあり、友情と恋があふれ咲いていることすら知らず、五体爆裂し、肉片となって恨み死にした」と書きつづったのです。愛し愛される機会が奪われていた海軍生活の中で、それでも仲間たちは「愛してくれ。俺も愛したい」「誰かとつながっていたい」と思いながら、「ピーーー」という音を残して亡くなっていったのです。



 加藤さんはアルバムを開いて、予科練時代の写真を見せてくれた。当時は17歳。約70年前に撮影されたものだった。ちょうど70年間、日本は憲法9条を守って戦争をしてこなかった。同じく中心メンバーの本間信和さんは7月24日、国会前集会でこう訴えた。「70年前の戦争で、どれほど悲惨だったのかを学んだんですよ」「俺たちは30年後、『この国は100年戦争をしなかった』と言いたいんだよ!」「これから長い夏がやって来ますけれども、絶対、あいつ(安倍首相)を引きずり降ろすぞ!」



 若者たちの反対運動を見ると、希望を感じます。と同時に、涙が出てくるのです。若者たちの運動と広がりは、集合的無意識の結集体のようなものかも知れません。思いもよらない形で、平和を望む人々の思いが一定方向に動いているのではないか。私のうかがい知らないところで、朝日新聞の投書が広がっているのは、そのためかもしれません。



■「安倍首相に憲法を壊す権利はない」

 「安保法制=アメリカの傭兵になる」と考えています。安保法制が成立した途端、戦争が起こせるようになります。一番怖いのは「国家安全保障会議」で、メンバーは安倍首相と官房長官ら4人だけでしょう。彼らが真珠湾攻撃満州事変のようなことを企んでも、特定秘密保護法があるから誰も知ることができないナチスドイツのような軍事国家の完成です。そして、いったん鉄砲をぶっ放してしまうと、国民の心はガラリと変わってしまうかも知れません。

 でも、いまや憲法9条は日本のアイデンティティーですから、逆に安倍政権が総崩れになるかもしれません。「安倍路線に対抗できる力を持っているのは憲法9条ではないか」と思ったりもします。そして「憲法を守れ」と訴えるシールズの運動が世代や地域を超えて広がっています。戦争をしないシールズの路線か、戦争法案をゴリ押しする安倍路線が激突しているともいえます。若者たちの運動を見ると、憲法9条そのものが話しているような気さえします。

 憲法9条はもはや日本だけのものではなく、世界の宝のような存在です。戦火に見舞われている中東の人たちも「憲法9条、平和憲法のある日本はうらやましい」「自分たちも憲法9条があったらいい」と言っています。だからこそ、日本国憲法を壊す権利は誰にもありません。ましてや、安倍首相にはないと思っているのです。



 8月22日、奥田さんは京都市内の加藤さんを訪ねた。「加藤さんは、僕らが投稿を読み上げていることを知っていました。『戦争体験者の押し付けではなく、戦争体験を全く知らない君たちが戦争反対を言いだした。勝手にやり始めて本当にありがとう』と涙ながらに言っていました」。世代を超えた連帯が安倍政権を追い詰めている
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●戦争屋による憲法違反の「集団的自衛権」閣議決定・・・「やめろと言わないのは“許した”のと同意」

2014年07月04日 00時00分33秒 | Weblog


nikkan-gendai.comの記事【「集団的自衛権」1日閣議決定 国民は黙って見過ごすのか?】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/151476)。
東京新聞の記事【9条破棄に等しい暴挙 集団的自衛権容認】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014070202000140.html)と、
コラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2014070202000102.html)。

 「やめろと言わないのは“許した”のと同意・・・・・・この日程も安倍首相の外遊優先。豪州に出発する前の4日までに決めてしまおうというハラで、こんな乱暴な発想で平和憲法のもとで徹してきた「専守防衛」の看板を外すなんてムチャクチャ。憲法学界の重鎮は「国民は恥辱を受けたままでいいのか」と怒りの声を上げている・・・・・・」。
 「政府がきのう閣議決定した「集団的自衛権の行使」容認は、海外での武力の行使を禁じた憲法九条を破棄するに等しい憲政史上に汚点を残す暴挙だ。再登板後の安倍晋三首相は、安全保障政策の抜本的な転換を進めてきた。政府の憲法解釈を変更する今回の閣議決定は一つの到達点なのだろう。特に、国会の「ねじれ」状態解消後の動きは速かった」。
 アベ様の暴挙。憲法違反が明確なのに、とんでもない自公政権。
 これでも目覚めない国民ならお終い。マスコミも、東京新聞や日刊ゲンダイ以外、「ねじれ」解消と浮かれていたわけで、それに乗せられた自公議員や翼賛野党議員へ投票した人達のあまりに重いツケだ。

   『●他人を「非戦闘地域」や戦場に行かせるのならば・・・、
          平和憲法を放棄し、壊憲するのならば・・・
   『●彼・彼女らに投票した人達は何も感じないのだろうか?



 「▼「明日戦争がはじまる」という詩を人に教えられた。<まいにち満員電車に乗って/人を人とも思わなくなった/インターネットの掲示板のカキコミで/心を心とも思わなくなった/虐待死や自殺のひんぱつに/命を命と思わなくなった/じゅんびはばっちりだ/戦争を戦争と思わなくなるためにいよいよ明日戦争がはじまる>▼宮尾節子さんという詩人が書いた」・・・・・・ニーメラーの「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき」を思い出した。

   『●小出裕章さん、核=原子力は「違憲」という視点
   『●『メメント』読了

    「マルティン・ニーメラーの詩
       「First they came for the Communists」。
        「First they came for・・・so I did not speak out. 
         ・・・so I did not speak out. ・・・so I did not speak out.
         And when they came for me,
        there was no one left to speak out for me
.」」

   『●Nuclear:「核」と「原子力」の使い分け
    「講演のなかで、ホロコーストをまぬがれ強制収容所から生還した
       マルチン・ニーメラー牧師の「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき
       という詩を引用をしてます:

       ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は自分が多少不安だったが、
       共産主義者でなかったから何もしなかった。

        ナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、
        社会主義者ではなかったから何もしなかった。

       学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。私はずっと不安だったが、
        まだ何もしなかった。

        ナチ党はついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した
        ― しかし、それは遅すぎた。」

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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/151476

「集団的自衛権」1日閣議決定 国民は黙って見過ごすのか?
2014年6月30日

   (「熱議」とはほど遠い/(C)日刊ゲンダイ)

やめろと言わないのは“許した”のと同意

 安倍政権が1日、集団的自衛権の行使を認める閣議決定を強行する意向を固めた。菅官房長官が会見で明らかにした。この日程も安倍首相の外遊優先。豪州に出発する前の4日までに決めてしまおうというハラで、こんな乱暴な発想で平和憲法のもとで徹してきた「専守防衛の看板を外すなんてムチャクチャ。憲法学界の重鎮は「国民は恥辱を受けたままでいいのか」と怒りの声を上げている――。


戦争屋手品”にはめられ恥辱を受けたままでいいのか

   「メンバーの中では議論が熟してきた」

 27日に行われた与党協議の後、自民党の高村副総裁がヌケヌケとこう言った。これまでに行った与党協議の回数はわずか10回。それも1回が2、3時間程度のもの。しかも、この数週間で論点はあちこちに飛び、収拾がつかない状態だった。

 これには専門家の間からも、「手品を見せられているようだ」と戸惑いの声が出ている。憲法学者・小林節氏(慶大名誉教授)はこう言う。

   「本来は、集団的自衛権の議論だったはずが、いつの間にか、
    『集団的』も『個別的』も区別できていない15事例の検討に移り、
    それが終了していない段階で、自衛権行使の新3要件の議論に
    なった。さらにそれも決着しないうちに、国連軍や多国籍軍の戦争にも
    参加させろという集団安全保障の話にすり替わった。あまりに論点が
    コロコロ変わるので、多くの国民には理解できなかったはず。うっかり
    していると、専門家である我々でさえ、これが憲法議論であったことさえ
    忘れるほどでした」

 論点のすり替えは、与党協議に正義がないためだ。安倍首相は、他国の戦争で母と子が逃げ遅れ、アメリカの艦船に助けられた場合……といった机上の空論を持ち出して議論を混乱させたばかりか、新3要件では、集団的自衛権を否定した1972年の政府見解をねじ曲げた

 公明党も、国民の生命、自由に「明白な危険がある場合」は集団的自衛権を発動、つまり“戦争をしていいと追認したが、何が明白な危険であるかは時の政権の考え方次第だ。逆にどの場合に行使が認められないかについては、何ひとつ具体例を出さない。そもそも国民の生命に「明白な危険」があるなら、現行の個別的自衛権で十分である。

 30日、小林節氏も名を連ねる「国民安保法制懇」が、「集団的自衛権行使は立憲主義の否定である」という緊急声明を発表する。

   「今さら解釈変更に反対しても遅いという人もいますが、追いはぎや
    強盗に遭っているのに声を上げないのは、“許した”のと同意になります。
    黙って見過ごすのと、声を上げたけど、張り倒されてとられちゃった
    というのでは、やっぱり意味が違う。多勢に無勢で、恥辱を受けて
    押し切られたという状況をつくる。そうすることで歯止めにもなるし、
    解釈改憲論者たちは言い訳を始め、ボロを出すのです」(小林節氏)

 1日の閣議決定で「戦争できる国」へ一気に加速する。国民は恥辱を受けても最後まで嫌だと抵抗すべきなのだ。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014070202000140.html

【社説】
9条破棄に等しい暴挙 集団的自衛権容認
2014年7月2日

 政府がきのう閣議決定した「集団的自衛権の行使」容認は、海外での武力の行使を禁じた憲法九条を破棄するに等しい憲政史上に汚点を残す暴挙だ。

 再登板後の安倍晋三首相は、安全保障政策の抜本的な転換を進めてきた。政府の憲法解釈を変更する今回の閣議決定は一つの到達点なのだろう。

 特に、国会の「ねじれ」状態解消後の動きは速かった。

 昨年暮れには、外交・安保に関する首相官邸の司令塔機能を強化する国家安全保障会議を設置し、特定秘密保護法も成立させた。外交・安保の基本方針を示す国家安全保障戦略も初めて策定した。


◆軍事的な役割を拡大

 今年に入って、原則禁じてきた武器輸出を一転拡大する新しい三原則を決定。今回の閣議決定を経て、年内には「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)も見直され、自衛隊と米軍の新しい役割分担に合意する段取りだ。

 安倍内閣は安保政策見直しの背景に、中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発などアジア・太平洋地域の情勢変化を挙げる。

 しかし、それ以上に、憲法改正を目標に掲げ、「強い日本」を目指す首相の意向が強く働いていることは否定できない。

 安保政策見直しは、いずれも自衛隊の軍事的役割と活動領域の拡大につながっている。

 その先にあるのは、憲法九条の下、必要最小限度の実力しか持たず、通常の「軍隊」とは違うとされてきた自衛隊の「国軍」化であり、違憲とされてきた「海外での武力の行使」の拡大だろう。

 一連の動きは、いずれ実現を目指す憲法改正を先取りし、自衛隊活動に厳しい制限を課してきた九条を骨抜きにするものだ。このことが見過ごされてはならない。


◆現実感が乏しい議論

 安保政策見直しが、日本の平和と安全を守り、国民の命や暮らしを守るために必要不可欠なら、国民の「理解」も進んだはずだが、そうなっていないのが現実だ。

 共同通信社が六月下旬に実施した全国電話世論調査では「集団的自衛権の行使」容認への反対は55・4%と半数を超えている。無視し得ない数字である。

 政府・与党内の議論が大詰めになっても国民の胸にすとんと落ちないのは、議論自体に現実感が乏しかったからではないか。

 象徴的なのは、政府が集団的自衛権の行使などが必要な例として挙げた十五事例である。

 首相がきのうの記者会見で重ねて例示した、紛争地から避難する邦人を輸送する米艦艇の防護は、当初から現実離れした極端な例と指摘され、米国に向かう弾道ミサイルは迎撃しようにも、撃ち落とす能力がそもそもない。

 自民、公明両党だけの「密室」協議では、こうした事例の現実性は結局、問われず、「海外での武力の行使」を認める「解釈改憲」の技法だけが話し合われた。

 政府の憲法解釈を変える「結論ありき」であり、与党協議も十五事例も、そのための舞台装置や小道具にすぎなかったのだ。

 政府自身が憲法違反としてきた集団的自衛権の行使や、海外での武力の行使を一転して認めることは、先の大戦の反省に立った専守防衛政策の抜本的な見直しだ。

 正規の改正手続きを経て、国民に判断を委ねるのならまだしも、一内閣の解釈変更で行われたことは、憲法によって権力を縛る立憲主義の否定にほかならない。

 繰り返し指摘してきた通りではあるが、それを阻止できなかったことには、忸怩(じくじ)たる思いがある。

 ただ、安倍内閣による安保政策見直しの動きが、外交・防衛問題をわたしたち国民自身の問題としてとらえる機会になったことは、前向きに受け止めたい。

 終戦から七十年近くがたって、戦争経験世代は少数派になった。戦争の悲惨さや教訓を受け継ぐのは、容易な作業ではない。

 その中で例えば、首相官邸前をはじめ全国で多くの人たちが集団的自衛権の行使容認に抗議し、若い人たちの参加も少なくない。

 抗議活動に直接は参加しなくても、戦争や日本の進むべき道について深く考えることが、政権の暴走を防ぎ、わたしたち自身の命や暮らしを守ることになる。


国会は気概を見せよ

 自衛隊が実際に海外で武力が行使できるようになるには法整備が必要だ。早ければ秋に召集予定の臨時国会に法案が提出される。

 そのときこそ国権の最高機関たる国会の出番である。政府に唯々諾々と従うだけの国会なら存在意義はない。与党、野党にかかわらず、国会無視の「解釈改憲」には抵抗する気概を見せてほしい

 その議員を選ぶのは、わたしたち有権者自身である。閣議決定を機に、あらためて確認したい。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2014070202000102.html

【コラム】
筆洗
2014年7月2日

 その日、日本はどんな顔をしていたか。国が何を決めたか、誰が批判したか。事実は刻まれる。半面、空気、匂い、「顔つき」は消えていく▼「ぜいたくは素敵(すてき)だ」。第二次世界大戦中、こんな落書きがあった。一九四〇(昭和十五)年、国民精神総動員中央連盟が発表したスローガンの「贅沢(ぜいたく)は敵だ」に「素」を加えた▼「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」の立て札。しばしば誰かが「工」の文字を黒く塗った。「夫が足らぬ」▼上っ面な「歴史」からにゅっとはみ出る心の澱(おり)。叫び。臭み。それもとどめおくべき記憶であろう。一日、集団的自衛権の行使を認めることが閣議決定された。この日の澱を残したい▼「明日戦争がはじまる」という詩を人に教えられた。

  <まいにち満員電車に乗って/
        人を人とも思わなくなった/
    インターネットの掲示板のカキコミで/
        心を心とも思わなくなった/
    虐待死や自殺のひんぱつに/
        命を命と思わなくなった
    じゅんびはばっちりだ/
        戦争を戦争と思わなくなるために/
    いよいよ明日戦争がはじまる>

▼宮尾節子さんという詩人が書いた。最近公開されネットで広まったと聞く市井の詩。戦争のじゅんびなぞ真っ平だが、昨日の気持ちはあの落書きのようにこの市井の詩に残るかもしれぬ。「人、心、命」が軽く扱われる状況への悲しみと怖(おそ)れ。その歪(ゆが)んだ表情こそ昨日の日本の顔である。
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●西山太吉さん: 「特定秘密保護法制の実施機関にメディアが入っている」非民主国

2014年05月27日 00時00分03秒 | Weblog


東京新聞の記事【ツワネ原則関わった米元高官 秘密保護法を批判】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014050902000133.html)。
田中龍作ジャーナル』の二つの記事【元米政府高官 「秘密保護法なくても安全保障交渉に支障ない」】(http://tanakaryusaku.jp/2014/05/0009308)と、
【沖縄密約、因縁の日米2人が語る「秘密保護法」】(http://tanakaryusaku.jp/2014/05/0009315)。
最後に、nikkanーgendai.comの記事【米NSC大物が「安倍首相のウソ」明言 解釈改憲はデタラメ】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/150186)。

   『●「『平成の治安維持法』をつくった総理」の
          非常に危険な思い入れ、それに手を貸す責任


 世界の潮流と逆行する「『平成の治安維持法』をつくった総理」アベ様・・・・・・「国家が秘密にする情報の明確化などを求めた、安全保障と知る権利に関する国際ルール「ツワネ原則」・・・・・・「日本政府はきちんとした手続きを踏んでおらず、急いで成立させた。民主社会であるべき協議をしていない」と政府の姿勢を批判」、「米国の安全保障の生き証人であり、日米交渉の舞台裏を知り抜いた人物である。特定秘密保護法の国会上程にあたって安倍首相や政権幹部はことごとく「日米の安全保障、特に防衛機密の漏えいを防ぐために欠かせない」と説明してきた。だがハルペリン氏の話を聞く限りでは、それは全くウソだった」。

 「西山氏「特定秘密保護法制の実施機関にメディアが入っている。そんな国が世界のどこにあるか?」 ハルペリン氏「ない」」・・・・・・この国の異常さといううよりも、アベ様はじめ自公議員、翼賛野党議員、そして、それが分かっていて、あるいは、無関心に彼・彼女らに投票してしまった人々の異常さ。

   『●ジャーナリズムの矜持無きこんな「公共」放送なんて要らない!
   『●原発再稼働・もんじゅ推進を
        無批判に放送できる公正中立な公共放送「アベ様のNHK」
   『●確信犯? ノー天気? 猛毒法に、
      座長・渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長は断言「・・・賛成だ」
   『●「治安維持法」を止めるために:
        「アベ様のNHK」などマスメディアだけに任せてはおれない


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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014050902000133.html

ツワネ原則関わった米元高官 秘密保護法を批判
2014年5月9日 朝刊

 国家が秘密にする情報の明確化などを求めた、安全保障と知る権利に関する国際ルール「ツワネ原則」の策定に深く関与したモートン・ハルペリン氏(75)が八日、国会内で講演した=写真、伊藤遼撮影。昨年十二月に成立した特定秘密保護法について「日本政府はきちんとした手続きを踏んでおらず、急いで成立させた。民主社会であるべき協議をしていない」と政府の姿勢を批判した。

 ハルペリン氏は外交政策や核戦略論などが専門の政治学者で、米国家安全保障会議(NSC)の元メンバー。ニクソン政権時代に沖縄返還時の核密約にも関わり、クリントン政権時代には大統領特別顧問を務めた。昨年公開されたツワネ原則の策定にも主要な役割を果たした。ハルペリン氏は、米国などでは秘密法の制定や改定に二、三年費やしたことを説明。秘密保護法が民間人に刑事罰を科し、政府の不正を秘密にしてはならないという要件や内部告発者の保護などが明確でない欠点を指摘した。

 ツワネ原則が国際的に認知されていない、との日本政府の主張については「世界の民主的な国で実行されているものを踏まえた」と反論。「秘密を守る法律がないことを根拠に、米政府が日本との協議や情報共有に及び腰になると決めた事実はない」と疑問を呈した。
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http://tanakaryusaku.jp/2014/05/0009308

田中龍作ジャーナル
元米政府高官 「秘密保護法なくても安全保障交渉に支障ない」
2014年5月8日 19:57 

    (ハルペリン氏は民主党、共和党両政権で安全保障交渉に
     携わってきた。眼光は76歳とは思えないほど鋭い。=8日、
     衆院会館 写真:筆者=)

 日弁連などの招きで来日した元米政府高官がきょう、衆院会館で「特定秘密保護法」の危うさについて語った。

 モートン・ハルペリン氏(1938年生まれ)は、ジョンソン政権で国防次官補代理、ニクソン政権とクリントン政権で国家安全保障会議のメンバーを務め、ニクソン政権時には「沖縄核密約・返還交渉」にあたった。

 米国の安全保障の生き証人であり、日米交渉の舞台裏を知り抜いた人物である。

 特定秘密保護法の国会上程にあたって安倍首相や政権幹部はことごとく「日米の安全保障、特に防衛機密の漏えいを防ぐために欠かせない」と説明してきた。だがハルペリン氏の話を聞く限りでは、それは全くウソだった。

 ハルペリン氏の証言は冒頭から強烈だった。「特定秘密保護法制定にあたって日本政府に米国政府から大きな圧力があったと理解している」としながらも「事実として言えることは、秘密保護法がなくても最もセンシティブな安全保障交渉に支障はなかった。現政権と日本との協議でもそうだ」。

 「私はジョンソン政権から今に至るまで、長い間アメリカ政府側担当者として、またアメリカ政府のアドバイザーとして日米関係に関与してきた。日本の秘密保護に関する強い法律がないために協議ができないということは、一度たりとも誰の口からも聞いたことはない」。ハルペリン氏は畳みかけた。

 「(核交渉でさえ)この新しい法律(秘密保護法)は必要ない」とまで言った。実際に核密約の交渉にあたったハルペリン氏の指摘は説得力があった。

    (衆院会館での講演は「特定秘密保護法」に反対する超党派の
     国会議員が主催した。=写真:筆者=)

 特定秘密保護法で懸念されているのが「知る権利」の侵害だ。国家機密をスッパ抜いたジャーナリストが罪に問われることになる。ハルペリン氏は次のように警鐘を鳴らす―

   「一番問題だと思われるのは、ジャーナリストが政府から情報を
    得て公開(記事に)することに刑事罰を与えることだ。ツワネ原則(※)は
    市民が国家安全保障に関する情報を漏らした時に刑事責任を
    問うてはならないと明確にしている。アメリカでもNATO諸国(同盟国)の
    多くでも国家安全保障に関する情報を漏洩したからと言って
    刑事罰を問うようなことは設けていない」。

 国家機密を暴いたジャーナリストが罪に問われない、とは本当だろうか? 質疑応答の時間が設けられたため、筆者は「メキシコの麻薬戦争」に関する調査報道をしていたフリージャーナリストが2012年9月、FBIに拘束されたことをハルペリン氏に質問した。

 ハルペリン氏は「事実を知らないのでコメントできない」と答えた。一介のフリージャーナリストの身柄拘束なんぞはベタ記事にさえならないため、氏も知らないのだろうか。

 特定秘密保護法には「取材報道の自由」が書き添えられた。ただし報道機関とは記者クラブメディア(大新聞、大放送局、大通信社)のことである。権力とお友達の取材報道活動の自由は保証されるが、権力のコントロールが効かないフリーランスが特定秘密に触れた場合は罪に問われる、ということだ。

 安全保障を知り尽くしたハルペリン氏もそれは知らなかったようだ。

 ◇

(※)ツワネ原則

「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」。国家安全保障上の国家秘密に関する法津制定と国民の知る権利の保護の両立をはかるための国際的な指針。2013年南アフリカのツワネで採択された。
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http://tanakaryusaku.jp/2014/05/0009315

沖縄密約、因縁の日米2人が語る「秘密保護法」
2014年5月11日 00:19

    (西山氏「特定秘密保護法制の実施機関にメディアが
     入っている。そんな国が世界のどこにあるか?
     ハルペリン氏「ない」 =10日夜、弁護士会館 写真:筆者=)

 沖縄返還(1972年)に絡んで日米両政府の間で交わされた密約をスッパ抜き逮捕された記者(※)と返還交渉に携わった元米政府高官が10日、初めて対面した。

 元毎日新聞の西山太吉記者とジョンソン、ニクソン政権で安全保障を担当したモートン・ハルペリン氏。霞が関の弁護士会館で顔を合わせた二人は照れ臭そうに席を並べた。特定秘密保護法の さきがけ となる事件から40年余りが経っていた。

田中:かつてスッパ抜いた方として密約の担当者にお会いしたお気持ちはいかがですか?

西山:喜ばしいことですよ。とにかく彼はどうしても一回お会いしたい人だったから。それができたから、今日は本当に喜ばしい日ですよ。人生にとって。

田中:(西山さんは)密約によって人生を犠牲にしたといえるが、どう思いますか?

ハルペリン:Very Sad. 大変嘆かわしい

田中:彼に会ってどうですか?

ハルペリン:大変うれしいです。

田中:西山氏の事件は特定秘密保護法のオリジナル版のようなものです。彼は法を犯したが、それによって密約が明らかになり国民は喜んだが?

ハルペリン:彼は法を犯すべきではなかった。(ハルペリン氏の真意は、法律に不備があるということではないだろうか。幾度も「ジャーナリストに特定秘密保護法を適用してはならない」と述べていることからもわかる。)

   (「安倍政権独特の歴史認識がある。集団的自衛権、
    武器輸出・・・権力が集中する時、必ず秘密を独占したがる」。
    西山氏は現政権の危険性を厳しく指摘した。=写真:筆者=)

 沖縄返還にあたって米国は核を撤去し、軍用地の原状回復費用を負担するとされていた。しかし実際は日米両政府の間で「沖縄米軍基地への核再持ち込み」「米国が負担する400万ドルは、日本政府が肩代わりする」という“合意”がなされていたのである。これが沖縄返還密約だ。

 「核抜き・本土並み返還」は、佐藤栄作首相(当時)が政治家としての集大成をかけた粉飾だったのである。実態は真逆だった。国民の血税が使われ、沖縄の基地は核(再)持ち込みのまま固定化することになったのだ。

 パネルディスカッションで司会者から「沖縄返還交渉で密約は必要だったか?」と問われた西山氏は次のように答えた―

   「核密約は非核三原則を自らの手で引き裂くものだから、
    密約が成立する。財政上の密約は、なぜ国民に言えなかったか?
    綺麗に「無償返還だ」と美化して、あらゆる戦略をとった。
    これは国民を愚弄すること。外交交渉のプロセスは隠しても、
    結論は国民に言うべきだ。民主主義のイロハのイでしょう。
    密約なんて必要じゃなかったと思う」。

 同じ趣旨を質問されたハルペリン氏は「(密約は)開示すべきだった。敵国からの反撃というより国民からの反感が怖かったから日本政府は開示しなかった」と答えた。

 パネルディスカッションの冒頭、西山氏は「(日本に)秘密保護法がないとアメリカが困るということはない」と言い切った。ハルペリン氏も8日、衆院会館で行った講演でまったく同じことを話している。

 外務省アメリカ局長(当時)が「密約の存在」を認め、米公文書館で「密約文書」が見つかり、故佐藤栄作氏の家族も「密約文書」を公開している。2010年、岡田克也外相は「密約はあった」とする調査結果を公表している。

 それでも「密約はない」と言い張る自民党政権が、無理やりに成立させたのが「特定秘密保護法」だ。国民に知られると都合の悪いものは、厳罰で縛って知らせないようにする。

 国民の利益に適うことであっても為政者には不利益なのである。故佐藤栄作が安倍首相の大叔父というのも因縁か。

  ◇

外務省の女性事務官から機密情報を引き出した西山氏は、国家公務員法違反(教唆)の罪で逮捕、起訴される。1978年に最高裁で有罪が確定した。
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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/150186

米NSC大物が「安倍首相のウソ」明言 解釈改憲はデタラメ
2014年5月15日 

米は集団的自衛権の行使を望んでいないゾ

■解釈改憲はかくもデタラメ

 先日、アメリカの国家安全保障会議(NSC)の元メンバーで、外交専門家のモートン・ハルペリン氏が来日し、複数の国会議員や識者と懇談した。

 ハルペリン氏といえば、エール大で博士号を取得、国務省政策企画本部長などを務め、現在、外交問題評議会上級フェローという大物だ。そのハルペリン氏の口から飛び出したのが、安倍の「ウソ」なのである。

 意見交換会をセットしたひとり、柳澤協二元内閣官房副長官補にハルペリン氏を呼んだ趣旨と発言内容を語ってもらった。

 ハルペリン氏を呼んだのは集団的自衛権についてアメリカの識者から生の声を聞くことが目的です。安倍政権や解釈改憲容認派は『集団的自衛権行使容認をやらないと日米同盟が揺らぐ』みたいな言い方をするが、果たして、それは本当なのか。それを彼に聞いてみたかったのです。

 意見交換会には与党も含めて、複数の国会議員が参加しました。ズバリ、「集団的自衛権行使容認をアメリカが求めているのか」という質問が出ました。それに対してハルペリン氏の答えは明確でした。

 「秘密保護法よりも優先度は高いだろうが、最も優先度が高いのは貿易だ」「集団的自衛権にそれほどプライオリティーはない」と明言し、こんな例え話をしたのです。

   「夜中にオバマ大統領に電話をして、『(日本は米国のために)
    何が必要か』といきなり聞いてみればいい。その時にどんな答えが
    返ってくるのか。『1に貿易(TPP)、2に貿易、3に貿易だ』と言うだろう」

 日本が米国のために「集団的自衛権を行使できるようにします」と言えば、そりゃ、米国は「歓迎します」とは言うでしょう。米国にとって、迷惑な話ではないからです。しかし、それは米国が望む優先事項ではない。

 先日の日米共同声明で米国は「日本が集団的自衛権行使を検討することを歓迎する」とは言いました。でも、オバマ大統領は同時に『中国とは平和的に問題を解決するのが重要だし、あまり挑発的な言葉を使ったり、挑発的な行動を取るべきではない』とクギを刺した。


政府の言い分を信じちゃいけない

 私はハルペリン氏に「石破幹事長はアメリカに行って『アンザス条約(1951年に締結された米、豪、ニュージーランドの安全保障条約)のような多国間の同盟をつくっていきたい』という趣旨のことを述べた。そういうことをアメリカは考えているのか」と聞きました。

 ハルペリン氏は「マルチ(多国間)の同盟をつくるということは、それだけフリーハンドを失ってしまうことになるので、米国は望んでいない」と否定した。安倍政権がもくろむ中国包囲網のようなことをすれば、米国の利益を損なう。それが米国の考え方なのです。

 米国が日本の集団的自衛権の行使について、積極的に後押ししないのは理由があります。米国は日本の核武装や歴史認識について、かなり心配しているのです。ハルペリン氏も

   「(日本が)核開発はしない」というメッセージを出した上で、
    「北東アジアの非核地帯化というマルチ(多国籍間)の条約を
    作るべきだ。その方が日本の安全に役立つ」「安倍政権の
    歴史認識についても『昔の日本になるのではないか』と不安に
    思うアメリカ人がいる」「集団的自衛権の前に核軍縮や
    歴史認識問題を片付ける必要がある」と強調していました。
    改めて、「それが集団的自衛権行使容認の前提条件なのか」

と聞くと、「そうだ」と言う。

 「アメリカで安倍政権に危惧している人はいますか」という質問も出ました。この答えも「イエス」でした。なぜ、集団的自衛権がいま必要なのか。米国にもさまざまな意見、見方があるのです。政府側の言い分を100%うのみにするのではなく、幅広い検証と深化した議論が必要です。
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●「セブン‐イレブン〝鈴木帝国〟の落日」 『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号)について

2014年02月04日 00時00分47秒 | Weblog


週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号)について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge。

 今週のブログ主のお薦めは、矢崎泰久さん【発言2014】、「・・脱原発なら誰でもいいのか恥知らずな軽率な行動に思えてならない」。全く同感。そして、横田一さん【投票率を上げよう! 山本太郎が活動を開始】、「「準決勝」「決勝戦」

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■①『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 今週も表紙が刺激的、「セブン-イレブン〝鈴木帝国〟の落日」「奴隷の契約書」「近隣への出店」「発注の強要」「反セブンに踏絵」「捨てる商品にも料金」、そして「告発リポート/妻はなぜ自殺したのか 脱サラオーナーが陥る〝コンビニ地獄〟」

■②『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 【東京都知事選、終盤へ向けて闘い熾烈 三つどもえ、投票率がカギか】。横田一さん【投票率を上げよう! 山本太郎が活動を開始】、「「準決勝」「決勝戦」。都民じゃないが、大前提の上で、さらに・・・決勝戦に進むべき候補者http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/eb6f5b48605f2d6df539290d1e636ef5

■③『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 満田夏花氏【原発輸出で不明確な〝調査費用〟 日本原電に36億円余の税金】、ベトナムに約25億円、加えて「トルコの原発建設調査も」11億円。『●国際的な「恥の上塗り」な恥さらし行為: 「安倍政権 「復興予算」を「原発輸出」に流用」』(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/513844afc60e1d5422eaec61207792af

■④『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 尾崎孝史氏【名護市の民意無視する安倍政権 辺野古埋め立て広告】、「稲嶺進氏が大勝し、「基地はNO」との民意が明確に示された沖縄・名護市長選」。民意を無視して暴走する安倍自公政権を許してはいけない(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/fa4f1b36ec9d09183b008c6bb2a40681

■⑤『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 落合恵子さん【風速計/これからも】、「名護市市長選・・・南相馬市の市長選とこのところの選挙結果は歓迎したい・・・それぞれが迷いに迷って、心がねじ切れそうになりながらした選択を大事にしたいと心から願う。結果がどうあろうとも、「わたしたち」の闘いはこれからも続くのだから

■⑦『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 伊田浩之氏【計算がずれ始めた安倍晋三政権のNHK支配計画】、「籾井勝人会長発言の衝撃」「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」「あまりにも常識はずれ」。「「番組改変が政治的圧力によって行われた」間違いのない事実」にも関連?(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/885a5e91e40d48dddecbaef287440bee

■⑧『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / まさのあつこ氏【南スーダンPKOでの韓国軍への弾薬譲渡 官僚主導で名ばかりの国家安全保障会議】、「その重大な試金石となる事案で・・」「議論をつくさない会議」「福島瑞穂参議院議員・・資料請求・・「議事録は作成しておりません」」。積極平和主義?(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/a67e3a42d79f822ec49e6946dbde3e93

■⑨『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 高橋哲哉氏【未だ過去を克服できない現実が問われている 「安倍靖国参拝」で世界の孤児になった日本】、「世界が気付いた日本の異様」。産経系のようなマスコミの「異様」と、そんな政治家を選べる有権者の「異様」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/cc4e571fe8c3a2c5d50742ae0de4f0c7

■⑩『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 【谷村智康の経済私考/被災地の、ではなく、被災者の生活の再興を 10年後、「防潮堤だけが残った」とならぬために】、「・・というふうに発想の枠組みを変え・・面倒は避けたいので、「進まない被災地の復旧」とお茶を濁した周年記事が今年も並ぶのだ」

■⑪『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 渡辺仁氏【妻はなぜ自殺したのか】、「セブン-イレブン。その裏では・・自殺や家庭崩壊が絶えず、・・セブン商法をただす裁判包囲網・・「鈴木敏文商法」の何が問題か・・」。古川琢也さんら『セブン-イレブンの正体』(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/7e309ae417490bc5365050e446161ce6

■⑫『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 「奴隷の契約書/フランチャイズ契約」「近隣への出店/ドミナント」「発注の強要/押しつけ在庫」「反セブンに踏絵/契約更新」「捨てる商品にも料金/ロスチャージ」。渡辺仁(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/s/%C5%CF%CA%D5%BF%CE)氏【いまだ加盟店の利益よりも本部の発注を優先】

■⑬『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 小室等さん【なまくらのれん24】、「『ユージン・スミス写真集1934-1975』・・・高田渡・・・からもらったものだ。・・・マグナム・フォトの正会員でもあった・・妻、アイリーン・美緒子とともに数年間水俣に滞在・・会社側に雇われた暴力団員に暴行を受ける事件があり、・・」

■⑭『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 小室等さん【なまくらのれん24】、「ユージンも・・・脊椎を折られ片目失明の重傷を負う・・・『ライフ』六月二日号に発表し大反響を得る。・・・石牟礼道子さん、アイリーンさんの反原発活動の話へと続くのだが・・」。(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/38594e150ec4ede3e002213f40603528

■⑮『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 矢崎泰久さん【発言2014】、「なんとなく気味の悪い都知事選・・・どうもスッキリしない。・・・猪瀬直樹そっくりさんのような・・・、次いで安倍復古政権の代弁者として・・・名乗り出てびっくり魂消(たまげ)た。隠居したはずの・・・が小泉純一郎に推されて出馬する・・・」

■⑯『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 矢崎泰久さん【発言2014】、「・・・に及んでは、気味悪さを通り越して背筋か寒くなった。・・・奇妙なのは雪崩を打って有名人、文化人たちが細川支持に名乗りを上げたことである。脱原発なら誰でもいいのか。恥知らずな軽率な行動に思えてならない

■⑰『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 矢崎泰久さん【発言2014】、「・・・支援者や支持政党に右往左往するのではなく、候補者ひとりひとりをじっくり精査するべき・・・猪瀬辞職を生かすことでしか、日本も東京も私たちも蘇る道は他にない」。私は、「分断工作」に騙されてはいけない、と思う(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/eb6f5b48605f2d6df539290d1e636ef5

■⑱『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 北原みのり氏【メディア仕分け人vol.84】、「福島みずほさんを中心に「戦争反対! 女性大集合」と言う集会・・・「事件」が起きたのは・・・女に厳しい保守論客として名高い、長谷川三千子氏だった。・・・」

■⑲『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 北原みのり氏【メディア仕分け人vol.84】、「・・「NHK経営委員が『安倍首相の応援をしている』と言うのは聞き捨てならないですね」と声をあげると、「・・マスコミのイメージと私が知る安倍晋三は違う・・」と語り、会場はブーイングと失笑の渦に」

■⑳『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 北原みのり氏【メディア仕分け人vol.84】、「福島みずほさんは「私たちはイメージで安倍さんを批判しているのではない。政策の批判をしている」と反論した。・・これ以上負けたくない、と、長谷川氏のにたにた笑いを見て、そう思った」

■(21)『週刊金曜日』(2014年1月31日号、977号) / 岩本太郎氏【都知事選をめぐる解禁後初のネット戦と地上戦の「泥仕合」】、「「小泉さんが本当に脱原発なら宇都宮さんを応援すればよかった・・」と参加者の声も」「「マスコミ内で・・汚職報道を禁止する圧力・・」との当該文書が写真入りで出回った・・」
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●「(積極)平和主義」「不戦の誓い」が聞いて呆れる、「死の商人主義」「外交破壊主義」

2014年01月09日 00時00分54秒 | Weblog


asahi.comの記事【弾薬譲渡、異なる説明 日本「緊急の要請」/韓国「予備のため」 南スーダンPKO】(http://www.asahi.com/articles/DA2S10897244.html?ref=com_top_pickup)と、
【韓国国防省「平和維持活動でよくある協力」 弾薬譲渡】(http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312240095.html)。
東京新聞の記事【解釈変更、説明なし 南スーダンPKO銃弾提供】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013122502000122.html)と、
社説【PKO弾薬提供 文民統制を危うくする】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013122502000154.html)。
asahi.comの三つの記事【弾薬提供「武器禁輸三原則を形骸化」 吉田・社民党首】(http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312240448.html)と、
【自衛隊の弾薬提供「危険な一歩」 共産・市田氏】(http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312240446.html)、
【首相「不戦の誓いをした」 参拝後、記者団への発言詳細】(http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312260370.html)。

 産経系新聞のアホみたいな批判ではなく、こういうことこそ韓国(軍)を批判すべきだ。「死の商人主義」「外交破壊主義」を手助けする愚な要請である。

   『●原発推進国同士が手を携えて原発輸出、
             さらに「死の商人」へ: どうやら「恥」という概念は無いらしい

 壊憲に向けて、既成事実で外堀をどんどんと埋めている。「積極平和主義」とは「死の商人主義」「外交破壊主義」。「数十万人単位の市民がテロリスト」なのか、それとも自公議員が戦争屋なのか?

   『●「数十万人単位のテロリスト」のいる
             「そんな国の与党の首脳」が隠蔽法の本音をポロリ

 「公明党幹部」はアリバイ作りに必死だ! 「それにしても、「第三自民党公明党の議員の自民党議員化は目を覆うばかりだ。「平和」を願っているらしい「学会さんらの心情や如何に」?

   『●「『平成の治安維持法』をつくった総理」の非常に危険な思い入れ、
                                      それに手を貸す責任


 最後の記事、「不戦の誓い」をしに靖国神社に参拝するって・・・・・・マンガだろうか何かの冗談だろうか? 「日本人だけではなくて、諸外国の人々も含めて、全ての戦場で倒れた人々・・・・・・全ての戦争において命を落とされた人々」の慰霊を靖国神社でやるのは支離滅裂ではないのか? その人々たちがそれを望んでいるのか? 

 橋下氏(『橋下氏、首相の参拝を擁護 「見送りやめたのは合理的」
               (http://www.asahi.com/articles/ASF0OSK201312260046.html?ref=com_top6_2nd):
    「外交上の配慮で参拝を見送るのはもうやめよう、と判断したことは非常に
     合理的だ」
   と理解を示した。その上で
    「首相はずっと配慮し続けてきたが、吹っ切れたところもあるのでは」
   と擁護・・・・・・さらに
    「今のこの状況では、靖国参拝は外交上の配慮をする領域の問題ではなくなった」
   と指摘。

 そして、河村氏(『河村市長「戦死は最高の美徳」 後に「訂正してもいい」
                        (http://www.asahi.com/articles/ASF0NGY201312260005.html):
    「現職総理だから行かないかん。祖国のために命を落とすのは最高の美徳の
     一つ」
   と語った。戦争の肯定とも受け取れる発言で、河村氏は同日夕、
    「戦争は最悪の悲劇だ。『美徳』はちょっと文学的な表現。訂正してもいい」
   と釈明・・・・・・
    「祖国のために命を落とした軍人に頭を下げるのは世界の常識。
     やっちゃいけないと(外国が)言うのは内政干渉だ」
   と述べ、首相の靖国参拝を擁護。

 両氏が賛意を示すのだから、靖国神社参拝の意味が分かろうというもの。それに、お二人が安倍首相を本件で非難することこそ全くあり得ない話でしょう。弁護士先生が、本件を「合理的」なんて論評するのも、全くお笑いである。

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http://www.asahi.com/articles/DA2S10897244.html?ref=com_top_pickup

弾薬譲渡、異なる説明 日本「緊急の要請」/韓国「予備のため」 南スーダンPKO
2013年12月25日05時00分

 安倍内閣が南スーダンの国連平和維持活動(PKO)で弾薬1万発を韓国軍に無償譲渡したことをめぐり、日韓双方の言い分が微妙に食い違いを見せている。「緊急事態」を強調して初の弾薬供与に踏み切った日本政府に対し、韓国側は「予備のため」との見解だ。

 「万が一の事態を憂慮した予備分だ」。国連南スーダン派遣・・・・・・
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http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312240095.html

韓国国防省「平和維持活動でよくある協力」 弾薬譲渡
2013年12月24日13時02分

【ソウル=貝瀬秋彦】韓国国防省報道官は24日の記者会見で、国連南スーダン派遣団(UNMISS)で活動する韓国軍が自衛隊から弾薬の譲渡を受けたことについて、「平和維持活動をする中で、現地で必要な物品をお互いに協力して補充することはよくある。どの国とも行うことができる」と述べ、冷え込んでいる日韓関係とは無関係との認識を示した。

 一方、24日付の韓国紙・東亜日報は、安倍政権が掲げる「積極的平和主義の正当化を、韓国が手助けする形にもなったと指摘した。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013122502000122.html

解釈変更、説明なし 南スーダンPKO銃弾提供
2013年12月25日 朝刊

 南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に参加中の自衛隊が韓国軍に銃弾一万発を譲渡したことに関して、関係閣僚は二十四日、「緊急時の人道的な観点で行った」と強調した。ただ、政府が「武器弾薬は提供しない」としてきた解釈を変更したことには、明確な説明はなし。政府が譲渡の理由とする「緊急性」も韓国側の説明で揺らいでいる。 (後藤孝好)

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十四日の記者会見で「人道性、緊急性の必要性が極めて高いことを考え、武器輸出三原則によることなく、譲渡した」と説明。岸田文雄外相も「人道的見地、緊急性を考えて判断した」と強調した。

 政府はこれまで、PKO協力法二五条に基づく物資協力を、武器や関連技術の海外提供を禁じた武器輸出三原則に従って実施。PKOの物資協力には「武器弾薬は含まれない」と解釈してきた。

 一九九八年には、自由党の佐藤茂樹衆院議員(現公明党)が国会で「『武器弾薬の物資協力は、あり得ない』と、条文に書かなくても大丈夫か」とわざわざ質問。政府側は「万が一つにもない」と明快に答弁していた。

 過去の国会答弁とのズレについて、小野寺五典(いつのり)防衛相は「なし崩し的という評価ではなく、人道的、緊急的な対応と理解いただきたい」と釈明。他の関係閣僚も、必要性を繰り返したが、従来の解釈との整合性をどう取るかの言及はなかった。

 安倍晋三首相は来年、集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈の変更を目指している。今回の銃弾の提供で、過去の国会答弁や政府解釈を容易に変える安倍政権の姿勢が鮮明となった。

 銃弾の提供は一部の閣僚が外交安保政策を密室で議論する国家安全保障会議(NSC)で即決された。十分な説明のないまま、国民の見えないところで、重要政策が転換される恐れが現実になったといえる。

 公明党幹部は「『緊急性』と『人道性』の二言は、思考停止を招く。一番危険だ」と政府を批判した。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013122502000154.html

【社説】
PKO弾薬提供 文民統制を危うくする
2013年12月25日

 自衛隊による韓国PKO部隊への弾薬提供は国会での議論を全く経ていない。国連の要請があり、緊急性、人道性が高いとはいえ、武器輸出三原則をなし崩しにし、文民統制を危うくしかねない

 国連平和維持活動(PKO)協力法に基づき、日本の自衛隊が他国軍に弾薬を提供するのは初めてだ。同法は、必要なときには閣議決定で「物資」の提供ができると定めてはいるが、今回の弾薬提供が日本政府にとって想定外だったことは否めない。

 政府はこれまで、国際機関から武器弾薬の供与を要請されることは想定されず物資の中に武器弾薬は含まれない、仮に国連事務総長から武器弾薬提供の要請があっても「断る」としてきた。

 武器輸出を原則禁じる武器輸出三原則の縛りがあるためだ。

 PKOを通じた平和構築、人道支援協力は「平和国家」日本の望ましい国際貢献の姿ではある。

 しかし、これまで国会で提供しないと約束していた弾薬を、国会審議も経ず、政府が一方的に提供を決めることが許されるのか。

 専守防衛などとともに、戦後日本の「国のかたち」である武器輸出三原則を骨抜きにし、国会による文民統制(シビリアンコントロール)を形骸化するものだ。

 安倍内閣が先週決定した国家安全保障戦略には、武器輸出三原則の見直しが盛り込まれた。今回の弾薬提供を機に、武器輸出、提供を一気に拡大しようとする思惑があるのなら見過ごせない。

 殺傷や破壊に使われる恐れのある武器弾薬の輸出、提供を厳に慎む理念は堅持すべきである。

 安倍晋三首相らは、文民である首相、閣僚による国家安全保障会議(NSC)の決定こそ、文民統制と考えているのだろう。

 それは文民統制の一部を成すが全部ではない。国会によるコントロールこそが文民統制の中核だ。

 国会審議を経ず、議事録作成の義務すらない同会議を経るだけで安全保障政策を変えてしまうことは、日本の将来に禍根を残す。

 そもそも南スーダンは自衛隊派遣を継続できる治安状況なのか、弾薬一万発を提供する余裕があるのなら、いったい全部で何発持ち出したのか、緊急性が高いというが弾薬提供に本当に妥当性があるのか、疑問は尽きない。

 これらは国会で明らかにされなければならない。来年の通常国会を待たずに、速やかに閉会中審査を行うべきだ。文民統制を国会に「取り戻す」必要がある。
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http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312240448.html

弾薬提供武器禁輸三原則を形骸化」 吉田・社民党首
2013年12月25日00時07分

■吉田忠智・社民党党首

 いったい、どういう手続きで日本の自衛隊に弾薬1万発の提供の話が来て、どのような判断で決まったのか、本当のことがまったく分からない。文民統制の観点からも非常に問題が大きい。NSC(国家安全保障会議)が設置されて、すぐにこんな話が出てくる。懸念されたことが早速表れた。武器輸出禁止三原則がなし崩し的に形骸化されるのではないかと強く危惧する。
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http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312240446.html

自衛隊の弾薬提供危険な一歩」 共産・市田氏
2013年12月24日23時57分

■市田忠義・共産党書記局長

 日本の自衛隊が、武器・弾薬を外国の軍隊に提供するというのは歴史上初めてのことだ。(1991年の)PKO国会の時、「物資のなかには武器・弾薬は含まれない」「国際機関からの要請があっても断る」というのが政府の正式な答弁だった。それを、国会にもかけず、閣議決定だけで、政府の判断で勝手に武器輸出三原則を踏みにじる。安倍政権は「積極的平和主義」という名の下に、海外で戦争できる国づくりへの危険な一歩を踏み出した。許されない。

 91年当時、村岡官房長官は「国際機関から要望を受けても、物資の中に武器・弾薬は含まれないというのが政府解釈だから、絶対に出しませんとまで言っていた。そういう答弁が非常に軽くあしらわれる。政府答弁というのはもっと重いものだ。

 安倍政権の国会答弁は、まったく担保にならないことを実際の行動で示した。秘密保護法で、安倍首相は、一般の国民は罰せられないとか、報道の自由は著しく不当な方法でない限り制限されない、とか色々言ってきたが、その答弁はへの突っ張りにもならないということを実際の姿で示したのではないか。(党本部で記者団に)
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http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312260370.html

首相「不戦の誓いをした」 参拝後、記者団への発言詳細
2013年12月26日18時18分

   (靖国神社参拝を終え、記者の質問に答える安倍晋三首相
           =26日午前11時53分、東京・九段北、代表撮影


 安倍晋三首相が26午前の靖国参拝後、記者団に語った内容は次の通り。

 ――就任後初の参拝。どのような思いで参拝しましたか。

「本日、靖国神社に参拝した。日本のために尊い命を犠牲にされたご英霊に対し、尊崇の念を表し、そして御霊安かれ、なれと手を合わせて参りました。そして、同時に、靖国神社の境内にあります、鎮霊社にもお参りして参りました。鎮霊社には、靖国神社にまつられていない全ての戦場に倒れた人々、日本人だけではなくて、諸外国の人々も含めて、全ての戦場で倒れた人々の慰霊のためのお社であります。その鎮霊社にお参りをしました。全ての戦争において命を落とされた人々のために手を合わせ、ご冥福をお祈りし、そして、二度と再び戦争の惨禍によって人々の苦しむことのない時代を作る決意を込めて、不戦の誓いをいたしました」

・・・・・・・・・。
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●「『平成の治安維持法』を作った総理」の「時代錯誤の富国強兵」

2013年12月21日 00時00分27秒 | Weblog


asahi.comの記事【(どうする?秘密法)時代錯誤の富国強兵 浜矩子さん】(http://www.asahi.com/articles/TKY201312090669.html)。

 「経済政策のアベノミクスが「富国」を、今回の特定秘密保護法や、国家安全保障会議(日本版NSC)が「強兵」を担い、明治時代の「富国強兵」を目指しているように見えます。この両輪で事実上の憲法改正を狙い、大日本帝国を取り戻そうとしているかのようです」・・・・・・恐ろしいことです。「『平成の治安維持法』を作った総理」ですからね、その強く・危険な思い入れは「戦争の出来る国」にしたい、ということのようだ。

   ●「『平成の治安維持法』をつくった総理」の非常に危険な思い入れ、
                                        それに手を貸す責任

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http://www.asahi.com/articles/TKY201312090669.html

(どうする?秘密法)時代錯誤の富国強兵 浜矩子さん
2013年12月10日02時39分

 ■浜矩子・同志社大院教授

 安倍政権は、経済政策のアベノミクスが「富国」を、今回の特定秘密保護法や、国家安全保障会議(日本版NSC)が「強兵」を担い、明治時代の「富国強兵」を目指しているように見えます。この両輪で事実上の憲法改正を狙い、大日本帝国を取り戻そうとしているかのようです

 特定秘密保護法は、何が秘密なのかが分かりません。それだけに、企業はこれから、政府の顔色をうかがい、原発輸出や資源確保など「富国強兵」にかなうことに突き進む可能性があります。

 政権は「デフレからの脱却」を掲げています。しかし、その内実は人々のためというよりも、全体の成長を重視するものです。国民のためではなく国家のため。それがアベノミクスです。成長のためなら、と働く人たちの解雇規制を緩めようとしています。国家重視のなかで、福祉などの市民活動にはお金が回らなくなるかもしれません

 安倍政権と距離を置こうという雰囲気も感じます。2月のオバマ米大統領との首脳会談では晩餐(ばんさん)会がありませんでした。中韓とは無用な緊張が高まっており、日本が国際的に孤立する恐れもあります。

 今回、実に危険でおぞましい発想が法律になり、市民が大規模な抗議行動を起こしました。今後も抗議の手紙を出すなどして怒りを粘り強く示していくべきだと思います。

     ◇

 特定秘密法が成立したが、反対する市民の声はなおも広がっている。今後どうすべきか。各界の人たちの意見を引き続き紹介していく。
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●秘密隠蔽法: 「もっと絶望した方がいい」・・・「絶望」させられたのは自公・翼賛野党非支持者ばかり

2013年12月11日 00時00分10秒 | Weblog


NPJで知りました『知る×つながる=動き出す カナロコ 神奈川発コミュニティーサイト』に出ていた記事【特定秘密保護法案を問う(13):映画監督・作家の森達也さん、集団化加速する日本、もっと絶望した方がいい】(http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1312060007/)。

 森達也さんは特定秘密保護法案が可決されなくても、既に「国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要」とのご意見だ。もう十分に騙され、(非)特定秘密隠蔽法案が成立するかどうかに関係なく、市民やマスコミ、ジャーナリズムが十分に飼いならされてしまっているといったところか?

   『●森達也さん『国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要』
   
     「でもアメリカは復元する。ジャーナリズムと国民の知る権利への意識
      あるからだ。日本は復元しない。行ったら行きっぱなしなのだ。
       そんな国で秘密保護法がもうすぐ成立する。どんな状態になるのだろう。
      機密を理由にやりたい放題とてもとても楽しみだ

 このインタビュー記事も同様な趣旨だと思う。「もっと絶望した方がいい」、と。
 でも、先週末の衆院通過を受けて、(読売系や産経系を除く)マスコミやブロック紙・地方紙が大騒ぎするほど、「自公の政治家や翼賛野党の議員」に投票した人達は「騙され(つづけ)ることの責任」については反省するどころか、その自覚すら無いようである。昨日、以下をつぶやいた: 

   「■サンデーモーニング『風を読む』で、「秘密保護法が必要」
    「参院を通過して良かった」等街の声に唖然。自公や翼賛野党議員に
    投票している有権者には「騙された」といった感覚は無く「投票して良かった」
    といったところのようだ。救い難いお目出度さ
    (http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/28f2776c14d6c2da79a0c4220d510a79 …)」

 どうやら、「自公の政治家や翼賛野党の議員」非投票者・非支持者だけが「絶望し」ているらしい・・・。とほほ、な状況である。

   『●「『平成の治安維持法』をつくった総理」の
                  非常に危険な思い入れ、それに手を貸す責任

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http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1312060007/

特定秘密保護法案を問う(13):映画監督・作家の森達也さん、集団化加速する日本、もっと絶望した方がいい
2013年12月6日

 国民の知る権利を侵す特定秘密保護法案。この法案はどこから来て、われわれをどこへ連れていこうとしているのか。1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件を時代の転換点と見定め、不安や恐怖にあおられて結束を強める社会、「集団の熱狂」の危険性を唱え続ける映画監督・作家の森達也さんに聞いた。


 -法案反対を訴えてきたのに、自身のホームページで「実のところ意識のどこかで、もう通しちゃえば? 半ば本気でそう思っている自分がいる」と書いた。

 「シニカルすぎるかなと思うけれど、2割くらいは本音です」


 -その真意は。

 「絶対に通してはいけないと思っています。でも、日本人はもっと絶望した方がいい。ドイツは改憲の際に国民投票を必要としない。理由をドイツ人に聞くと、『自分たちを信頼していないからだ』と。かつて世界でもっとも民主的といわれたワイマール憲法を掲げながら、ナチスを選択してしまった。彼らは自分たちに絶望し、その力量を見限ったわけです


 -集団の熱狂が判断を誤らせた。それは日本も同じだったはずです。

 「でも、僕らは戦後一度も絶望していない。その背景には優越思想がある。アジアではナンバーワン、中国や朝鮮とは違う。そういう意識があったからこそ、戦後復興も高度経済成長もあった。しかし、いまやGDP(国内総生産)は中国に抜かれ、抜き返すことはないでしょう。国土も資源の豊富さも全然違うんだから当然。でもいまも差別意識が残っているから認めることができない。その軋(きし)みが、在日コリアンの排斥を主張するヘイトスピーチ(憎悪表現)などに表れていると思います」


 -優越意識をほとんどの人が自覚していない。
 
 「そうですね。そしてそれは、米国の仲間になりたい気持ちの裏返しでもある。なぜ安倍首相がここまでして秘密保護法や国家安全保障会議(日本版NSC)をつくり、改憲を目指すか。米側の意向だからです」

 「もちろん米国には秘密保護法のような法律がありますが、常に情報を隠そうとする政府と情報開示を求める国民とのせめぎ合いがある。第3代大統領のジェファーソンは『新聞のない政府と、政府のない新聞のどちらかを選べと言われたら、私は迷わず後者を選ぶ』と言った。つまり、権力の腐敗や暴走を阻止するにはメディアが必要なんだと。合衆国憲法の修正条項には第1条に信教・言論、出版、集会の自由が定められている。知る権利は米国にとってもっとも大事なことなんです。米国並みの情報管理をと言うが、日米では前提がまったく違う」


 -日本では法案の危険性にピンときていない人が多いように感じる。

 「学生を見てもそうですが、関心が低い。よく耳にするのは『メディアが騒ぐのは、既得権益が脅かされるからだ』という意見。確かに既得権益です。だけど、メディアがどういう存在か。単なる株式会社じゃない。国民の生活、営みを守る存在でもある。そういう意識がないのだと実感しました」

 「さらに日本人はルールを作ってもらい、規制された方が楽だという意識をもともと持っていると思う。同調圧力が働き、集団の意見に従おうとする。持論ですが、オウム真理教による一連の事件以降、日本の『集団化』は加速した。当然、はみ出すものは異端として激しくバッシングされる。弱みを見つけた瞬間に群がって『炎上』する」


 -危機感があおられ、「集団化」が加速する。

 「イラク戦争のときに日本が米国を支持したのは北朝鮮の存在が怖かったから。中国も含め、常に“外敵”がいる、と。東日本大震災も不安をもたらし、集団化を強めることになった。人々は強いリーダーが欲しくなり、それを自民党に期待した」


 -メディアが果たした役割も大きかった。

 「責任はメディアにもある。テレビを見たり新聞を読んだりして市民は考えるので、メディアがどう反応し、主張するかは重要です。いまになって秘密保護法の反対キャンペーンをしているが、じゃあ『ねじれ解消』は何だったの。『ねじれ解消』という言葉を使う時点で安倍政権の政策を支持したということ。アベノミクスも持ち上げた。こうなることは分かっていたはずです。疑問を持っていた記者はたくさんいたかもしれない。だけど読者や視聴者に受けるかという客商売の論理で判断され、あらがいも見えない。社会全体の流れに合わせてしまう」


 -ヒステリックになり、判断を間違える集団の危険性をずっと訴えてきた。

 「正直疲れた。同じことを何度も言って、自分でも飽きてきた。ただここで『一抜けた』は言えないし、言いたくない。いまが正念場だから。この法案が通ったら国が大きく変わるでしょう。大きな一歩を踏み出す。集団的自衛権の行使の容認、改憲へのカウントダウンが始まる。今回法案の成立を回避できたとしても、メディアを含め国民がこのままでは、すぐ同じことになる」


 -どん底まで落ちなければ分からないでしょうか。

 「落ちても分からないかもしれない。落ちるところまで落ち、気付いたとしてももう、はい上がれない。それも十分あり得る。危険な意見だと自分でも分かっています。でもね、ここで僕が秘密の範囲が不明瞭とか第三者機関が必要とか言ったところで、ほとんど意味をなさないからね。正論過ぎて」

 「『通しちゃえば』なんて言いたくないけど、言いたくもなりますよ





 インタビューから2日後の5日、特定秘密保護法案は参院特別委員会で強行採決され、成立にまた一歩近づいた。




 もり・たつや 映画監督、作家。1956年、広島県生まれ。代表作にオウム真理教信者を追ったドキュメンタリー映画「A」(98年)、「A2」(2001年)。近著に「『自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか』と叫ぶ人に訊きたい」。明治大学特任教授。57歳。
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●「数十万人単位のテロリスト」のいる「そんな国の与党の首脳」が隠蔽法の本音をポロリ

2013年12月04日 00時00分16秒 | Weblog


東京新聞の二つの記事【「殺傷目的以外でもテロ」 拡大解釈に現実味】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013120202000113.html、【修正4党 公約になし 秘密保護法案 国民審判経ず成立へ猛進】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013120202000111.html)と、コラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013120202000117.html)。『田中龍作ジャーナル』の記事【石破発言に日弁連反発 「市民活動も取り締まりの対象となる」】(http://tanakaryusaku.jp/2013/12/0008306)。

 「数十万人単位のテロリスト」のいる「そんな国の与党の首脳」が特定秘密隠蔽法の本質について本音をポロリ。

 公約(TPP)していても平気で破る、公約していない重要法案をごり押しする、福島の声は踏みにじる、大声で抗議すれば「テロ」と罵る。選挙に通れば、沖縄選出議員を脅して、約束を撤回させる。子供にさえSLAPPを仕掛ける。誰も望んでいないのに、平和憲法を壊憲する。原発を廃炉にするどころか、再稼働・原発輸出を企む・・・・・・。一体自公議員や翼賛野党に投票してしまった人たちは、「騙されることの責任」をどうとるつもりだろう。もしかすると、その責任の自覚すらないのだろうか?

   『●子供にもSLAPPする国:
      三上智恵監督・映画『標的の村 ~国に訴えられた沖縄・高江の住民たち~』
   『●SLAPPと原発、沖縄
   『●『標的の村』三上智恵さんインタビュー
   『●「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」、騙す阿呆に、騙される阿呆
   『●政治家の耳には市民の反対の声は届かず: 特定秘密隠蔽法案が衆院通過
   『●どこに「民主主義」「世論の共感」?、
           特定秘密隠蔽法: 反対・廃案の声は届かないらしい

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013120202000113.html

「殺傷目的以外でもテロ」 拡大解釈に現実味
2013年12月2日 朝刊

 国民の「知る権利」を侵害する恐れがある特定秘密保護法案をめぐり、自民党の石破茂幹事長がブログで、市民団体らのデモ活動をテロとみなした。憲法が定める「表現の自由」に基づく市民の政治への訴えを犯罪と同一視する言葉が政権中枢から出たことで、法案が成立すれば国民の権利が抑圧されるとの懸念は現実味を増した。 (政治部取材班)

 石破氏は、安倍晋三首相を支える自民党ナンバー2の幹事長で、影響力は絶大だ。一日になって、デモを「テロ」と例えたブログの表現は撤回を表明したものの、抗議活動を危険視する姿勢までは改めなかった

 法案では「テロ防止に関する情報」も特定秘密の対象としている。漏えいをめぐっては、漏らした公務員だけでなく、そそのかしたり扇動したりした市民も厳罰対象となる。

 法案の「テロ」の解釈について、森雅子内閣府特命担当相ら政府側は「人を殺傷し物を破壊するための活動」と説明している。

 だが、条文の解釈によっては、人を殺傷する目的がなくても「政治上その他の主義主張に基づき、国家もしくは他人に強要する活動がテロとみなされる、と指摘する専門家は少なくない。石破氏の主張もこの解釈と同じで、テロの定義が拡大する恐れがある。

 森氏は法案について国会審議だけを担当しており、成立後の役割は決まっていない。法案成立後、政権の意向で森氏の説明が覆る可能性がないとは言い切れない。

 石破氏は講演で「周りの人が恐怖を感じるような音で訴えること」を批判した。「恐怖を感じた」という不明確な基準で、デモがテロ扱いされる解釈にもつながる

 石破氏は、自分たちに向けられた平和的な方法による主張を「テロ」と切り捨てた。法案が成立すれば、原発反対のデモを含め市民の訴えを、政権が「テロ」とみなして監視し、取り締まりをしかねない。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013120202000111.html

修正4党 公約になし 秘密保護法案 国民審判経ず成立へ猛進
2013年12月2日 朝刊

 国民の「知る権利」を侵害する恐れのある特定秘密保護法案。参院で審議中の修正案をまとめた自民、公明、日本維新の会、みんなの党の四党は昨年末の衆院選と今年七月の参院選で、いずれも法案成立を公約に掲げていない。重要法案にもかかわらず、有権者の審判は経ていない。十分な国会審議をせず、成立だけを急ぐ姿勢に正当性はない。 (関口克己)

 自民党は二つの国政選挙の公約に、外交・安全保障政策を協議する日本版「国家安全保障会議(NSC)」の設置は明記したものの、安倍政権がNSCと一体と位置付ける秘密保護法案は盛り込まなかった。

 自民党が公約に合わせて発表した総合政策集には「情報保全・公開に関する法整備」と抽象的な表現はあるが、秘密保護法案という言葉はなく、具体的に何をしようとしているのか分からない。そもそも、自民党は総合政策集が公約なのかどうか曖昧にしている。

 選挙戦でも、安倍晋三首相をはじめ党幹部が秘密保護法案に言及することはほとんどなく、そのため争点にならなかった。参院選後の秋になって、唐突に法案を提出したことから、選挙を有利に進めようと、世論の反発を招きかねない法案を意図的に隠したとの見方もできる。

 法案に賛成する公明党に至っては、秘密保護法案だけでなく、NSCの設置も公約していない。選挙で有権者に説明しなかった法案の成立を急いでいることについて、説得力のある説明はない。

 与党と法案の修正で合意したみんなと維新のうち、維新も公約に秘密保護法案を入れていない。

 みんなは「政府全体の情報収集能力、情報漏えい防止策を強化」と、秘密保護法案に近い公約を掲げた。ただ、強化策が新しい法律をつくるのか、既存の法律の運用を厳しくするのかすら分からず、秘密保護法案をイメージすることは難しい。

 十月十五日に始まった今国会でも安倍首相は開会時の所信表明演説で秘密保護法案に触れなかった。直後の各党代表質問でも「検討を進めている」と述べただけで、今国会での成立どころか、提出さえ明言しなかった。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013120202000117.html

【コラム】
筆洗
2013年12月2日

 安倍晋三首相が子どもの時、六〇年安保闘争デモをまねして「アンポハンタイ、アンポハンタイ」とふざけていたら父親の安倍晋太郎さんは、「サンセイといいなさい」とたしなめたが、祖父の当時の岸信介首相は「それをニコニコしながら愉快そうにみているだけだった」という。安倍首相の『新しい国へ』にある▼岸さんにそんな余裕があったかどうかはともかく、特定秘密保護法案の反対デモを「ニコニコ」とは見られない政治家がいる▼自民党の石破茂幹事長はブログでデモについて「絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない」と書いた。デモもテロも同じ。ガンジー、キング牧師もびっくりしているだろう▼殺人や破壊行為によるテロと「表現の自由」による市民の主張であるデモを同じに扱うのならば、この国に少なく見積もっても数十万人単位のテロリストと「本質的に変わらぬ」人がいるということか。石破さんはそんな国の与党の首脳ということになる▼「糞(くそ)も味噌(みそ)も一緒」とはこのことで、国会周辺のシュプレヒコールに石破さんも冷静さを失ったのか、国民の声を敵視してしまっている▼ブログを続けてみよう。「己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう」。そっくり自民党に言い返せるその通り、共感は呼ばない
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http://tanakaryusaku.jp/2013/12/0008306

石破発言に日弁連反発 「市民活動も取り締まりの対象となる
2013年12月1日 18:04

     【秘密保護法の危険性を訴える日弁連の弁護士たち。
       =1日、午後 新宿西口 写真:田中龍作=】

 国会周辺で市民たちが連日、「秘密保護法反対」のシュプレヒコールをあげている。自民党の石破茂幹事長が自らのブログでそれを「テロと本質的に変わらない」と述べたことが国民の反発を呼んでいる。

 日弁連は新宿西口できょう、「秘密保護法案」に反対する街頭宣伝を行い、「石破発言」を糾弾した。小田急デパート前の歩道は約1,000人の聴衆で一杯になった。

 日弁連「秘密保全法制対策本部」の海渡雄一弁護士が石破発言の本質を指摘した―「大変なことです。私たちの市民活動も取り締まりの対象となるということを示しています

 「我々はテロリストではありません。正当なことを言っているだけです」と話すのは佐野善房・日弁連副会長だ。

 山岸憲司会長は「大きな声を出してデモをしなければならないところまで市民を追い込んだのは、あなた(石破)たちではありませんか」と訴えた。

 弁護士たちの街頭演説を聞くため埼玉から足を運んだ男性(会社員・50代)は怒りを隠せない―「国民を殺人者呼ばわりするのは許せない。石破幹事長や安倍首相が秘密保護法案に寄せる真意が見えた」。男性は奥歯を噛みしめるようにして語った。 

     【道行く人に「秘密保護法反対」のチラシを配る弁護士。=写真:諏訪都=】

《文・田中龍作 / 諏訪都》
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●政治家の耳には市民の反対の声は届かず: 特定秘密隠蔽法案が衆院通過

2013年12月01日 00時00分11秒 | Weblog


東京新聞の一連の社説【特定秘密保護法案(1) 自由に壁が築かれる】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013111802000144.html)、
【特定秘密保護法案(2) 情報は国民のものだ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013111902000124.html)、
【特定秘密保護法案(3) 崖っぷちの「知る権利」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112002000162.html)、
【特定秘密保護法案(4) 捜査が暴走し始める】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112102000145.html)、
【特定秘密保護法案(5) 新しい権力が誕生する】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112202000145.html)。

   『●「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」、騙す阿呆に、騙される阿呆
   『●東京電力原発人災「被ばくに関する正確な情報が
           伝えられなかった・・・身近で必要な情報が一層隠される」
   『●西山太吉さん密約事件が示すもの:
          「一人歩きし、拡大解釈され、時の権力によって必ず乱用される」
   『●西山太吉さんが喝破、「うそをつく人たちが作ろうとしている危険な法案」
   『●「「人間が近づけば即死──」特定秘密保護法が隠そうとする、
                         福島第一原発4号機の“不都合な真実”」
   『●特定秘密保護法案: 「うそをつく人たちが作」る猛毒を
                     「いい内容に仕上がっている」認識とは!?
   『●「世紀の大悪法 特定秘密保護法案」 『週刊金曜日』(11月15日、968号)についてのつぶやき
   『●「「秘密」は秘密」: 「国家の秘密はときに悲劇を生」んでいた時代に逆戻り
   『●特定秘密保護法案「改悪」協議: 
           沖縄密約事件時どころか、戦前の「治安維持法の再来」
   『●「秘密保護法案は廃案に」 『週刊金曜日』(11月22日、969号)についてのつぶやき
   『●騙されることの責任、再び: 特定秘密保護法案を
              仲良く協議する翼賛与党・翼賛野党議員に投票した人々

 馬耳東風。馬さんや鹿さん議員の耳には、これだけの市民の反対の声は届かないようです。とうとう、一部の皆様が白紙委任してしまった自公議員、さらに与党もどきの翼賛野党議員との改「悪」作業という猿芝居、デキレースの挙句に、衆院を通過してしまいました。何とか心ある参議院の皆さんに頑張ってほしいのですが、状況は厳しい・・・・・・。

 今思うと、山本議員のお手紙「事変」猪瀬「ト」知事の賄賂事件はこの特定秘密「隠蔽」法案を「隠蔽」するための騒ぎだったのではないか?、とさえ思えてきます。それにしても、福島「TM タウンミーティング」で、自民党推薦者も含めて全員がこの隠蔽法案に反対の声を上げたにもかかわらず、全くの無視とは!、一体どんな神経なのでしょうね? 自公議員、さらに与党もどきの翼賛野党議員に投票した方々に、是非、お気持ちを聞きたいものです。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013111802000144.html

【社説】
特定秘密保護法案(1) 自由に壁が築かれる
2013年11月18日

 特定秘密保護法案は「戦争をしない国」から「戦争ができる国」に進める歯車の役目さえ果たす。
 日本版NSC(国家安全保障会議)を設ける法案とセットで提案されているうえ、その先には国家安全保障基本法案が見えているからだ。自民党の法案概要では、憲法九条を改正しなくとも、集団的自衛権の行使ができる魔法のような法案だ。
 同党幹部は米中央情報局(CIA)のような諜報(ちょうほう)機関を新設することも公言している。この文脈が示すのは、軍事や治安分野への傾斜度を格段に高めることだ。秘密保護法案をめぐる国会の議論は、この大きな視野が欠けている。
 政府は米国から情報をもらうために秘密保護法が必要だと説明する。だが、他国の軍隊や治安機関から情報を得るには、相互主義が基本である。「ギブ・アンド・テーク」が鉄則とされる。
 「秘密保護」という表面の言葉に惑わされず、裏面の「ギブ」にも注意を払うべきだ。米国に提供されうる重要情報である。現状は不明だが、その収集活動にあたるのは防衛・公安当局などだ。
 対象は中国や北朝鮮、イスラム系など在留外国人の動向にとどまらないはずだ。米軍基地の反対運動や反原発運動など、幅広い市民活動に対しても監視が強まるだろう。これを正当化し、本格化させるのが裏面の目的といえよう。
 そもそも、法案の前提にされる「日本はスパイ天国だ」という指摘は本当だろうか。安倍晋三首相が「過去十五年間で情報漏えい事件を五件把握している」と答弁したのが、正直な現状ではないか。現行法でも十分に対処できるうえ、立法事実も存在しない。
 もし、この法案が成立すれば、蛇口を閉じるように、行政機関からの情報量が大幅に減る心配がある。何が「特定秘密」かも明らかでないため、公務員側はジャーナリストの取材にたじろぐ。一般情報さえ口にしにくい空気が役所内部に醸成されよう。
 個人情報保護法ができたとき、さまざまな名簿が忽然(こつぜん)と消えた。それ以上の萎縮効果が広がるだろう。民主主義社会は自由な情報に基づいて築かれている。厳罰法制は、知る権利や報道の自由などに鎖をつけるに等しい。
 行政機関の情報漏えいならば、内部の情報保全を徹底すれば済む。社会全体に投網をかける必要はない。情報統制色を帯びる法案を成立させてはならない。 (論説委員・桐山桂一
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013111902000124.html

【社説】
特定秘密保護法案(2) 情報は国民のものだ
2013年11月19日

 「迷ったら、公務員は情報を開示することが原則だ」

 米国のオバマ大統領は一期目の就任初日に、こんな趣旨のメモを記した。軍事大国で、元CIA(米中央情報局)職員スノーデン氏が告発したように、通信情報を広範に収集している国だ。
 だが、基本的に情報はオープンという伝統を持つ自由と民主主義の大国である。情報公開を促す「情報自由法」を持つ。国家機密でも解除は十年未満に設定され、二十五年たつと「自動解除」原則がある。五十年、七十五年の例外的なケースもあるが、行政機関がずっと秘密を持ち続けることの方が困難な制度をつくっている。
 機密の指定段階でも大統領令で、行政機関の「長」はフリーハンドで行えず、常に「説明しなさい」という状態に置かれる。疑念があれば、行政内部で異議申し立てが奨励される。外部の委員会に審査請求できる仕組みもある。
 ここで機密解除された裁決は二〇一〇年度で68%にのぼる。秘密の範囲が無限定になると、民主主義が危機に陥ってしまう。同年には過剰な機密指定を削減する法律もつくったほどだ。
 秘密保護法案は秘密の指定や保管、解除、処罰に大きな欠陥を抱えている。海外メディアの特派員でつくる「日本外国特派員協会」が「報道の自由および民主主義の根本を脅かす悪法だ」と声明を出したのも、うなずける。
 そもそも行政情報は国民のものである。国民主権原理が常に働いているからだ。外交上の秘密であっても、必要最小限のみを指定すべきであり、秘密保持期間も本来は一時的でなければならない。その外交政策が後に適切であったかどうかの検証も必要である。

   「国政に関する情報が基本的に国民に開かれていることが原則である。
    (中略)なんでも秘密だというのでは、自由の原則が崩れてしまう」

 一九八〇年代にスパイ防止法案が論議されたとき、谷垣禎一法相は月刊誌にこう書いた。「刑罰で秘密を守ろうという場合は、よくよく絞りをかけておかないと、人の活動をいたずらに萎縮させることになりかねない」とも記した。まっとうな意見だ。
 現在、谷垣氏は「当時と状況が違う」と語るが、「自由の原則」は不変のはずだ。民主主義の根幹を揺るがす法案には、外国特派員とともに「悪法」と呼びたい。 (論説委員・桐山桂一)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112002000162.html

【社説】
特定秘密保護法案(3) 崖っぷちの「知る権利」
2013年11月20日

 国民の「知る権利」と安全保障は、いわば綱引きのような関係である。政府は「秘密にしたい」と言い、国民は「情報を公開してほしい」と願う。調整をどのように図ったらいいのか。

   「あらゆる人は、公的機関が保持する情報にアクセスする権利を
    有しており、その権利を制限する正当性を証明するのは、政府の責務である

 今年六月にできた「ツワネ原則」はそう定めた。安全保障と情報に対する権利の国際原則である。世界七十カ国余りの専門家約五百人で作成した。兵器開発や軍隊の作戦など、限られた範囲での情報制限は認めているが、政府に証明を負わせる点は重要だ。
 秘密指定を行政機関の「長」に委ねる特定秘密保護法案と出発点が決定的に異なる。さらにツワネ原則は国際人権法に反する情報など、「何を秘密にしてはならないか」を明確にしている。どこまで秘密に覆われるか不明な日本の法案とは、まるで正反対である。
 国家の公衆監視も規制し、裁判所で秘密が公開され、審理できる保障も定めている。ことごとく考え方が逆方向なのだ。国連や米州機構、欧州安保協力機構などのメンバーが加わった最先端の原則から、わざわざ踏み外す法案をなぜ政府はつくるのか。
 秘密に対する日本の官僚のおそまつさを示す一例を挙げよう。二〇〇六年と〇八年に当時の「原子力安全・保安院」の審議官クラスらが渡米した。原発への航空機衝突や火災などの場合について、対処法の説明を受けた。
 だが、米国側から「秘密だ」と注意された。そのため、保安院側は原子力安全委員会にも、電力会社にも伝えなかった。原発の過酷事故に関する重要情報をせっかく米国から提供されていたのに、全く生かせなかったわけだ。
 秘密情報であっても、関係機関内で共有され、活用されなくては何の意味もない。重罰で秘匿化をより強める法案は実用的でないうえ、官僚をさらに束縛する。
 逆に官僚は公文書の公開には無関心すぎる。一一年度に保存期間が満了した行政文書のファイル約二百三十万件のうち、廃棄された割合は実に92・5%にものぼる。国立公文書館に移管されたファイルは、たったの0・7%にすぎない。
 このうえ秘密の密封度を高める法案とは何事か。国民の「知る権利」は崖っぷちに立っている。 (論説委員・桐山桂一)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112102000145.html

【社説】
特定秘密保護法案(4) 捜査が暴走し始める
2013年11月21日

 普通に生活する町のクリーニング業者が、まさかスパイであるはずがない。でも、米軍の機密情報を入手したとして起訴され、有罪判決を受けるという、信じ難い出来事が過去にあった。
 米海軍の横須賀基地(神奈川)に所属する軍艦の乗組員を相手に商売をしていただけだ。クリーニング店の支配人は、営業上の必要から、基地に勤務する軍人を料理店でもてなしたりした。そして、基地に出入りする軍艦の入港予定日や時間などを記したペーパーをもらっていた。
 これが米海軍の機密にあたるとされた。「不当な方法で、探知し、または収集した」とし、一九五七年に横浜地裁は、懲役八月執行猶予二年の判決を出したのだ。罪名は日米地位協定に伴う刑事特別法違反である。
 安全保障条約に基づく法律で、機密漏えいばかりでなく、探知も陰謀、教唆、扇動も処罰する。最高刑は懲役十年である。陰謀は共謀と同じだ。骨格が今回の法案とそっくりなのだ。もてなしも「不当な方法」と認定された。
 特定秘密保護法案は防衛や外交、特定有害活動やテロリズムの防止-の四つの分野を対象にしている。しかも、「その他の活動」や「その他の重要な情報」など、「その他」の言葉が、三十六回も散乱する。いかなる解釈もできるよう、官僚が意図して曖昧に書いているのではないだろうか。
 社会の幅広い場面で法律が適用される懸念は大きい。しかも、何が秘密であるかも秘密にされる。必然的に、どこまで処罰の範囲が広がっているのか、国民には全く手掛かりがつかめない。
 民間人が秘密に近づく事前行為さえ処罰する。「話し合い」は共謀であり、「呼び掛け」は扇動となる。近代刑法は犯罪の実行を要するのに、その前段階で取り締まることが可能なのだ。
 刑事裁判の場合も、秘密は公開されないはずだ。「外形立証」という、秘密指定の理由や手続きなどの審理だけで、「実質的に秘密に値する」と認める手法だ。
 被告人は内容を知らないまま罪に問われる。無実の証明は困難になるだろう。「裁判の適正手続きを侵害する」などと、刑事法学者らも反対の声をあげている。
 捜査当局は新たな“武器”を得るのに等しく、どんな運用をするかもわからない。歯止めのない法律は、やがて暴走し始める。 (論説委員・桐山桂一)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112202000145.html

【社説】
特定秘密保護法案(5) 新しい権力が誕生する
2013年11月22日

 いわゆる「沖縄密約」は、典型的な秘密外交である。一九七二年に元毎日新聞記者が極秘電信文書を入手し、一端が明らかになった。沖縄返還協定で米軍用地復元補償費四百万ドルを日本側が肩代わりしていた情報である。
 実際には氷山の一角にすぎず、日米間の協定額三億二千万ドルのほかに、「秘密枠」があり、一億八千七百万ドルを日本側が上乗せしていた。多額なカネは密約であるがゆえに、国会の承認を得ずに米国側に支払われた。
 密約外交は議会制民主主義を完全に無視したわけだ。つまり沖縄密約とは、違法秘密だといえる。同種の情報を封殺できるのが、特定秘密保護法案である。
 何が特定秘密かわからない状態では、違法秘密も疑似秘密も判別できない。疑似秘密とは二〇一〇年の「尖閣ビデオ」事件のようなケースだ。実質的な秘密でなくとも、官僚が恣意(しい)的に「秘密」とワッペンを貼るだけで、ブラックボックス化が可能になる。
 これらの重要情報を扱うのが、防衛省や外務省、警察庁などである。これらの官僚は、首相官邸と一体化し、新しい権力構造をつくりあげるだろう。戦前の日本が旧内務省と旧陸海軍を中心に動いてきた構図と二重写しである。
 戦後日本は経済成長路線を走り、豊かで平和な社会を築き上げてきた。これまでとは異質な官僚制となろう。「軍と治安」が幅を利かせる統治機構である。
 自民党幹部が「知る権利が国家や国民の安全に優先する考え方は間違いだ」と発言したように、安全保障を最優先に据えているのだ。だが、政権や官僚組織が暴走しない確約がどこにあるのか。沖縄密約のように、権力は秘密裏に違法行為さえできる。
 それをチェックするのに、ジャーナリズムも一翼を担っている。国民の「知る権利」が大事なのは、国家の暴走を食い止めるためなのだ。ドイツでは雑誌社が捜査当局の家宅捜索を受けたことを契機に、昨年三月、「報道の自由強化法」ができた。ジャーナリストは漏えい罪の対象外となったほどだ。
 ヨーロッパ人権裁判所の判例を眺めると、今や既存のメディアと同様に、一般市民やNGOも国家が隠す情報を収集する権利があると考えられている。
 新しい権力が生まれるなら、それを監視する強靱(きょうじん)な「知る権利」が構築されねばならない。 (論説委員・桐山桂一)=おわり
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●特定秘密保護法案「改悪」協議: 沖縄密約事件時どころか、戦前の「治安維持法の再来」

2013年11月23日 00時00分33秒 | Weblog


asahi.comの記事【(新ポリティカにっぽん)「秘密国家」に挑む記者魂】(http://www.asahi.com/articles/TKY201311190242.html?ref=comtop_fbox_d1と東京新聞の記事【秘密保護法案 横浜事件遺族ら反対声明 「治安維持法の再来」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013112002000248.html)。

 「沖縄密約」で未だにシラを切り続ける自民党議員・日本国政府。西山太吉さんが喝破するように「ウソをつく人達」が、いま、悪法=猛毒の特定秘密保護法案を作成し、「沖縄密約」事件時どころか、戦前の「治安維持法の再来」を狙っているようだ。「「横浜事件」で、治安維持法違反容疑で逮捕された被害者の遺族や支援者」は、当然だけれども、反対声明を出した。
 与党もどきの野党であるみんなの党や日本維新の会は、廃案しか道はないはずであるのに、協議に応じ、しかも、「修正」協議で「正しく」修正するどころか、改悪する始末である。橋下徹元大阪“ト”知事は「仕方ない」と他人事で、「改悪」協議が猿芝居・デキレースであったことを示唆している。両「与党もどきの野党」は、さっさと「自公」党と合体して、すっきり国民に見えやすい形にすべきだ。
 安倍政権になって何もかも無茶苦茶が通り、最悪だと思っていた小泉純一郎政権を下回る悪辣ぶりである。愚痴っても仕方がないのだが、自公議員や与党もどきの野党議員に投票してしまった人たちは、一体どうこの「責任」をとるのだろうか?

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http://www.asahi.com/articles/TKY201311190242.html?ref=comtop_fbox_d1

(新ポリティカにっぽん)「秘密国家」に挑む記者魂
2013年11月19日19時10分

 臨時国会は、戦後日本の危うい曲がり角になりそうである。むろん、それは国家安全保障会議の設立と特定秘密保護法案の行方にかかっている。

 小泉純一郎元首相が「原発ゼロ」を改めてぶちあげた日本記者クラブで、先週末、西山太吉さんの会見があった。沖縄返還密約事件で山崎豊子さんの描く小説「運命の人」となった彼がこの秘密保護法案をどう見るか、それを聞いてみたかった。


■沖縄密約 シラを切り続ける無責任さ

 「日本はもともと秘密体質なんだ。そのうえに秘密保護法をつくるだなんて、どんな秘密国家をつくろうというのかね

 1972年の沖縄返還の裏に、米国が負担すべき土地原状回復費用を日本が肩代わりする密約があったことを暴いた西山さんの話は具体的である。

 2000年、アメリカは日本との沖縄返還交渉の外交文書を一挙に公開した。そこには西山さんがつかんだ密約が明らかにされていた。ふつうはそれで日本政府も兜(かぶと)を脱ぐだろう。ところが違った。外務省は密約の当時のアメリカ局長吉野文六氏を呼んで「密約は一切ないと言ってくれと口止めをした。吉野さんはOKした。外務省はあわてて日本側の資料を焼却した。1200トンに及ぶ量だった、と西山さんは語った。

・・・・・・。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013112002000248.html

秘密保護法案 横浜事件遺族ら反対声明 「治安維持法の再来
2013年11月20日 夕刊

 戦時下最大の言論弾圧事件とされる「横浜事件」で、治安維持法違反容疑で逮捕された被害者の遺族や支援者でつくる「横浜事件を語り、伝える会」が、特定秘密保護法案に反対する声明を出した。秘密の範囲があいまいな点が、拡大解釈で言論を封じていった歴史に重なるためだ。「本質は治安維持法の再来。断じて許せない」と訴えている。 (橋本誠)

 「亡くなった元被告たちが生きていたら黙っていないと思った」。終戦直後の一九四五年九月に有罪判決を受けた故小野康人さんの長女、斎藤信子さん(64)=横浜市=が声明に込めた思いを語る。

 雑誌「改造」の編集者だった小野さんは、共産主義を啓蒙(けいもう)する論文に関与し、共産党再建の謀議をしたとして逮捕された。戦後の口述書には「『(プロレタリア作家の)小林多喜二がどうして死んだか知っているか』と絶叫しながら、約一時間にわたって袋だたきに」などと拷問の様子が記されている。

 二〇〇八年の再審開始決定で、横浜地裁は「共産主義的啓蒙論文といえるか疑問」「(会合は)慰労会そのもの」と断定。斎藤さんは「父は事実が全くないのに逮捕された。特定秘密保護法案も、条文の『その他』という言葉など拡大解釈の抜け道が多く、恣意(しい)的に逮捕できるようになるのでは」と廃案を求める。

 被害者が最初に再審請求したのは一九八六年。前年の八五年、中曽根康弘政権が、特定秘密保護法案と似た趣旨の国家秘密法案(スパイ防止法案)を国会に上程していた。

 再審請求は、治安維持法の「目的遂行ノ為(タメ)ニスル行為」という条文の拡大解釈で、普通の出版活動まで処罰されていった歴史を再現させないためだった。

 今回の声明では、特定秘密保護法案も「行政機関の長」が秘密指定する点で、治安維持法のような無限の拡大解釈を招くと警告する。

 言論人として再審を支えた出版社「高文研」前代表の梅田正己(まさき)さん(77)は「八五年と同じ危機感を覚える。現在行われている修正協議は枝葉の問題で、意味がない」と話している。

 横浜事件 神奈川県警察部特高課(当時)による言論弾圧事件。「改造」の論文が共産主義を宣伝し、著者の社会評論家が開いた宴会が共産党再結成の準備会だったなどとして、1942~45年、雑誌編集者や新聞記者ら60人以上が逮捕された。拷問で4人が獄死、1人が保釈直後に死亡。3、4次請求で再審が行われたが、有罪か無罪か判断せずに審理を打ち切る免訴判決が2009年までに確定した。横浜地裁は10年2月、「実体判断が可能だったならば、無罪の判決を受けたであろうことは明らか」と元被告5人の遺族への刑事補償を決定した。
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●森達也さん『国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要』

2013年11月15日 00時00分44秒 | Weblog


『森達也リアル共同幻想論』の記事【【第70回】国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要】(http://diamond.jp/articles/-/43483)。

 「「うそをつく人たち」にとって都合の「いい内容」」の特定秘密保護法案森達也さんは「国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要」、と仰っています。なぜなら、

    「川口順子外務大臣は「事実関係として密約はない」と発言し、
     福田康夫官房長官が「密約は一切ない」と記者の質問に答え、
     次の官房長官である安倍晋三はまったくそうした密約はなかった」と
     記者会見で主張した。つまり国民に嘘をつき続けた。そしてそれが明らかに
     なった。政治家としては致命的な失態だ。でもこの国では、なぜかこれが
     問題視されない。西山と女性事務官が国家から起訴された裁判においても、
     起訴理由は「国家機密の漏洩行為」であるのに、自民党は機密などない
     と主張し続けた。機密がないのなら、2人はなぜ起訴されて有罪と
     されたのだろう。子どもにだってこの矛盾はわかる。でもメディアは
     それ以上の追及をしなかった。なぜなら国民が関心を示さないからだ。
     国民の多くはこのとき、知る権利や政府の背信行為の究明よりも
     週刊新潮や女性誌などが報道する2人の不倫行為を叩くことに
     夢中になっていた

そういう国やマスコミの性質、国民性だからでしょうか。森さんは、最後に「そんな国で秘密保護法がもうすぐ成立する。どんな状態になるのだろう。機密を理由にやりたい放題。とてもとても楽しみだ」・・・・・・。

   『●特定秘密保護法案: 「うそをつく人たちが作」る猛毒を
                     「いい内容に仕上がっている」認識とは!?

    「「一般の市民はどの情報を聞き出したり漏らしたりしたことが違反に当たるかを
     知らされないまま逮捕、起訴され、裁判でも何が秘密かが明らかにならないまま、
     有罪判決を受ける恐れが現実のものとな」り、「それ招く萎縮効果は絶大」で、
     「このままでは濫用の暴走が避けられない」ような猛毒が、「いい内容」だ
     そうです。それは、「うそをつく人たち」にとって都合の「いい内容」でしょう」。

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http://diamond.jp/articles/-/43483

森達也リアル共同幻想論
【第70回】 2013年10月28日

国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要



映画『フェアゲーム』が暴くもの

 2010年に公開されたアメリカ映画『フェア・ゲーム』は、CIAで諜報活動に従事していた女性工作員ヴァレリー・プレイムの回顧録をベースにしている。つまり実話。ペンシルベニア州立大学を卒業後にCIAにスカウトされたプレイムは、CIAが作った架空の会社の社員として、主に大量破壊兵器の調査などの任務を行っていた。夫であるジョゼフ・ウィルソンは元外交官で、イラク大使代理、国家安全保障会議(NSC)のアフリカ担当部長などを歴任している。
 2001年、イラクがアフリカのニジェールからウランを秘密裏に輸入したとする「ニジェール疑惑」が浮上した。しかし証拠はほとんどない。アメリカ政府から調査を命じられたウィルソンはニジェールに飛び、綿密な調査を重ねたうえで、疑惑を完全に否定する報告書を作成した。しかしブッシュ政権はこの報告書を握り潰した。同時期に妻であるプレイムはイラクの科学者たちに秘密裏に接触し、やはり大量破壊兵器など存在しないと確信するが、CIAのこのレポートも結局は政権から黙殺される。
 最終的に2003年1月28日の一般教書演説でブッシュは、ニジェールからウランを輸入したことなどを根拠として語りながら、イラクが核開発を行っていると主張した。こうしてイラク侵攻は開始され、苦悩したウィルソンは同年7月6日付けのニューヨーク・タイムズに、イラクの核開発についての情報が歪曲されていると寄稿して国民に訴えた。しかしこの1週間後、ブッシュ政権は「政府を告発したウィルソンの妻はCIAエージェントである」とメディアにリークし、ウィルソンが現在の任務に就いていることは不適切だと報じさせた。明らかな報復だ。
 ……まだ観ていない人のために、これ以上は書かないほうがいいだろう。この映画が企画された段階で、米軍はまだイラクに駐留していた。でもハリウッドの映画製作者たちはそんなことに頓着しない。当たり前のように映画を作る。しかも肩肘は張っていない。だって徹底してエンターテインメントなのだ。ところが登場人物はすべて実名だ。主人公の2人だけではなく、ブッシュもラムズフェルドチェイニーもすべて実名で登場する。
 イラク戦争の映画は他にも『グリーンゾーン』や『リダクテッド』、『華氏911』、『ハートロッカー』などたくさんある。そのほとんどはブッシュ政権への批判を前提にしている。批判性をしっかりと前面に打ち出しながら、娯楽映画として完成させている。
 試写会場で『フェア・ゲーム』を観ながら、僕はもう一つのアメリカ映画を思い出していた。



http://diamond.jp/articles/-/43483?page=2


アメリカほど自己中心的で傲慢な国はないけれど……

 1976年に作られた『大統領の陰謀』は、ワシントン・ポスト社会部の記者であるボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインが主人公だ。
 実際に2人がスクープした「ウオーターゲート事件」(ニクソン政権による非合法な盗聴工作)をテーマに描いたこの映画も、登場人物はすべて実名だ。ウッドワードとバーンスタインは、この前年にベトナム戦争の極秘報告書である「ペンタゴン・ペーパーズ」の全文コピーをニューヨーク・タイムズに渡したダニエル・エルズバーグや、これを受け取って記事にしたニール・シーハンと共に、今もアメリカでは国家的な英雄だ(ただしここに名前を挙げた全員が事件当時には、政府から「国旗に泥を塗った」とか「国家の敵」などと糾弾されている)。
 アメリカ人が大好きなフレーズ「God Bless America」が示すように、アメリカほど自己中心的で傲慢な国はない。しかも腕力は世界一だ。だから力に任せて物事を解決しようとする。独善的な正義に酔いやすい。とにかく欠点だらけの国だ。
 でも情報公開とジャーナリズムの精神においては、アメリカは世界でもトップクラスの国だ。ここだけは信頼できる。
 だからこそアメリカのメディアは、徹底して政府の不正や背信行為を追及する。結果として自浄作用が強い。行きすぎることは確かに多いが、イラク戦争が示すように、行きっぱなしになることはほとんどない。メディアも自分たちの過ちを認め、何をどう間違えたかを徹底して検証し、さらに提示する。さらには(ここが一番すごいのだけど)、これを娯楽にしてしまう。国民レベルで共有する。アメリカの先住民虐殺の歴史とイラク侵攻を併せながらメタファーにして海兵隊を徹底的に批判する『アバター』を観たときは、その娯楽性とメッセージの融合の見事さに圧倒された。


沖縄密約事件の西山記者は英雄になるどころか日本中から批判された

 翻って日本はどうか。政府による情報の隠ぺいと国民への背信行為として真先に思いつくのは、1971年(ペンタゴン・ペーパーズがスクープされた年だ)に起きた沖縄密約事件だ。でもこのとき、メディアは当時の佐藤栄作政権への追及を途中でやめた。だから密約はないものとされてきた。ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズの記者たちは英雄となったけれど、密約を暴いた毎日新聞の西山太吉記者は日本中から批判されながら退職し、さらに国家公務員法違反(機密漏えい教唆)で有罪とされた
 これを題材にした映画作品はない。ただし小説はある。山崎豊子が2009年に発表した『運命の人』。実名は登場しない西山太吉は弓成亮太とされている。毎日新聞社は毎朝新聞社。内閣総理大臣である佐藤栄作は佐橋栄作。福田赳夫大蔵大臣は福出武夫。後に総理大臣になる田中角栄は田淵角造。大平正芳は小平正良



http://diamond.jp/articles/-/43483?page=3

 名前を引用しながら力が抜ける。まるでダジャレのレベルだ。ただし小説版『運命の人』については、発表時はまだ密約の存在を政府が認めていなかったから、実名を回避することはある程度は仕方がない。でもその後に民主党政権が密約の存在を認めてから、『運命の人』をベースにしたドラマをTBSが放送した。もしも僕がこの作品の演出を任されたのならば、まずは山崎豊子に実名に変えてよいかと交渉する。山崎が首を縦に振らないのなら、ノンフィクションとして書かれた密約─外務省機密漏洩事件澤地久枝)をベースにすればよい。それこそ脚本家の腕のみせどころだ。百歩譲って個人の名前が無理だとしても、弓成が所属していた毎朝新聞社は毎日新聞社に戻す。他にも週刊ジャーナル(実際は朝日ジャーナル)や週刊潮流(週刊新潮)や読日新聞(書くのもうんざりだけれど読売新聞)など、実名を隠すことでほとんど漫画になってしまっているでも結局TBSは、この名前のままドラマを制作した
 日本では1982年に公開されたアメリカ映画『アトミック・カフェ(The Atomic Cafe)』は、冷戦期にアメリカ国内で放送されたニュース映像や政府提供の広報番組、軍が兵士の教育や啓蒙用に制作したフィルム、当時のドラマやラジオ音声などにより構成されている。作品のために撮り下ろした素材は一切ない。つまりアーカイブ・ドキュメンタリーだ。
 放射能で被曝するかもしれないからサングラスは必需品。念のため傷には絆創膏を貼っておきましょう。ピカッと光ったらさっと机の下に隠れる。アメリカ良いとこ一度はおいで。共産圏に水爆を落としてすっきりさわやか!


なぜ日本ではこんな映画が制作できないのか

 ……この時代に制作された映像を眺めながら、いかに当時のアメリカが核兵器や放射能に対して無知であったかを実感する。国民だけではない。政治家も軍の上層部も、核兵器を規格外の爆弾くらいにしか捉えていなかった。つまり概念だ。だからこそアメリカでは、戦争を終わらせるためには広島・長崎への原爆投下は正当だったと主張する人が、今も一定数いる。おそらくそのほとんどは、この時代に教育を受けた世代だろう。
 とても重要な映画だ。でもこの映画は日本では制作できない。断言することは嫌いだけど、これは断言できる。なぜなら政府や防衛省が映画への映像提供を許可しない。
 アメリカは違う。使用目的が何であれ、国民の税金で制作されたものであれば最終的には国民に帰属するとの意識が明確にある(当たり前だ)。だから隠さない。沖縄密約問題の際にも、2000年にアメリカ公文書館は密約を裏付ける文書を公開したが、その後も日本政府は「密約は存在しない」と言い続けた。その2年後に今度はアメリカ国家安全保障会議(NSCが、「日本政府がアメリカに対して、密約問題については公にならないように同一歩調をとることを要求してきている」と記述された文書を公開したが、その後も日本政府の姿勢は変わらなかった。具体的に書けば、川口順子外務大臣は「事実関係として密約はない」と発言し、福田康夫官房長官が「密約は一切ない」と記者の質問に答え、次の官房長官である安倍晋三は「まったくそうした密約はなかった」と記者会見で主張した



http://diamond.jp/articles/-/43483?page=4

 つまり国民に嘘をつき続けた。そしてそれが明らかになった。政治家としては致命的な失態だ。でもこの国では、なぜかこれが問題視されない。西山と女性事務官が国家から起訴された裁判においても、起訴理由は「国家機密の漏洩行為」であるのに、自民党は機密などないと主張し続けた機密がないのなら、2人はなぜ起訴されて有罪とされたのだろう。子どもにだってこの矛盾はわかる。でもメディアはそれ以上の追及をしなかったなぜなら国民が関心を示さないからだ。国民の多くはこのとき、知る権利や政府の背信行為の究明よりも、週刊新潮や女性誌などが報道する2人の不倫行為を叩くことに夢中になっていた
 その後に密約の存在を認めた民主党は大きく失墜し、ずっと国民を欺き続けた自民党は今や飛ぶ鳥を落とす勢いだ。
 だから思う。この国では秘密保護法など制定してはならないというか必要ないそんな法制度などなくても、いくらでも秘密は作れる。暴かれることもめったにない
 最初に秘密(機密)保護法という言葉を発した政治家は、西山事件で一時は追い詰められた佐藤栄作。国会で社会党議員が西山からリークされた情報に沿って質問し、毎日新聞が密約の存在をスクープして他紙もこれを追いかけかけたとき、参議院予算委員会で佐藤栄作首相は、「国家の秘密はあるのであり、機密保護法制定はぜひ必要だ。この事件の関連でいうのではないが、かねての持論である」と主張した。
 これを受ける形で秘密保護法の議論は自民党内において続けられ、何度かの試行錯誤を経て1985年には衆議院に議員立法として法案が提出されている。しかしこのときは、日本社会党・公明党・民社党・日本共産党・社会民主連合など当時の野党が強硬に反対し、法案は通常国会の閉会に伴って廃案となっている。
 でもそんな野党はもうほとんどいないメディアが大好きな言葉である「ねじれ」も解消された(これで法案はさくさく通る。でもならば、何のための二院制なのだろう)。有事の際には沖縄に核兵器を持ち込むことを認める密約文書をアメリカと交わしていた佐藤栄作は、表向きの非核三原則を理由にノーベル平和賞を授与された。その佐藤の宿願である秘密保護法が、やっとこの秋に成立する。


http://diamond.jp/articles/-/43483?page=5


密約の存在には触れないまま判決は出された

 密約のもう片方の当事者であるアメリカでは、前述したように密約の存在を示す文書は既に機密解除され、アメリカ国立公文書記録管理局にて公文書として閲覧可能であるが、自民党政権は2010年まで文書の存在を否定し続けて来た。2005年4月に西山は「密約の存在を知りながら違法に起訴された」として国家賠償請求訴訟を提起したが、2007年3月に東京地方裁判所は密約の存在にはまったく触れないまま、「損害賠償請求の20年の除斥期間を過ぎ、請求の権利がない」として訴えを棄却した。原告側は「2000年の米公文書公開で初めて密約が立証されて提訴可能になったのだから、それ以前の除斥期間で請求権消滅は不当」として控訴したが、高裁も密約の有無については触れないまま一審判決を支持して控訴を棄却した。さらに2008年9月、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は原告の上告を棄却し、一審・二審の判決が確定した。つまり司法が行政の都合と思惑を忖度している。司法権の独立などどこにもない。
 ペンタゴン・ペーパーズやウオーターゲート事件のときにアメリカ政府は記事差し止めを求めて提訴したが、最終的に司法は「政府は説明責任を果たしていない」としてこれを却下した。今さらではあるけれど、まったく同じ時期に起きた2つの事件の扱われかたは、何かの間違いじゃないかと思いたくなるほどに違う。


*   *   *


 今回は秘密保護法を考えるうえで、安倍政権が参考にしているというアメリカ国家安全保障会議(NSC)を保持するアメリカと日本を比較してみた。もう一度書くが、アメリカは問題だらけの国だ。粗野で臆病なのに自信過剰で腕力ばかりが強い。でもジャーナリズムと言論の自由と情報公開については筋を通す。最後の一線は絶対に譲らない。
 ポスト911が典型だが、アメリカも日本と同様に集団化しやすい国だ(ただしその理由とメカニズムは日本とまったく違う)。でもアメリカは復元する。ジャーナリズムと国民の知る権利への意識があるからだ。日本は復元しない。行ったら行きっぱなしなのだ。
 そんな国で秘密保護法がもうすぐ成立する。どんな状態になるのだろう。機密を理由にやりたい放題。とてもとても楽しみだ。
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●「解雇特区」、事実上見送りだそうだが・・・・・・

2013年11月08日 00時00分19秒 | Weblog


琉球新報の社説【経団連賃上げ要請 「合成の誤謬」を改めよう2013年10月12日】(http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-213707-storytopic-11.html、東京新聞の記事【首相 所信表明 復興・暮らし 具体策なく 国民の「なぜ」に応えず】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013101502000059.html)。gendai.netの記事二つ、【秘密審議でどんどん決まる 「クビ切り特区法案」の薄汚い手口】(http://gendai.net/articles/view/news/145283と【安倍首相 国会答弁でもう大ウソ】(http://gendai.net/articles/view/news/145319)。asahi.comの記事【解雇特区、事実上見送り 政府内も対立、二転三転】(http://www.asahi.com/business/update/1019/TKY201310180570.html?ref=com_top6)。

 普通の労働者や市民は眼中になし。

   『●「60万人雇用増の正体」: アベ(ホ)ノミクスの現実
   『●ウソとカネで五輪誘致: 「福島漁業者ら批判 「あきれた」「違和感」」

 今に始まったことではないけれどね。「バカなのか 無知なのか 詐欺師なのか…これを聞いてぶっ飛んだのが連合だ。そんな事実はないからだ・・賃上げとベースアップの区別がついていないんじゃないか」・・・・・・」。
 なんとか、「事実上見送り」だそうだが、どうなることやら。

   『●竹中平蔵氏が「解雇特区」構想をぶち上げる!!
   『●格差社会へまっしぐら: まだまだ労働者イジメは続く・・・・・・
   『●「露骨な企業優遇、労働者いじめ」 『週刊金曜日』(10月11日、963号)についてのつぶやき

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http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-213707-storytopic-11.html

社説
経団連賃上げ要請 「合成の誤謬」を改めよう
2013年10月12日

 米倉弘昌経団連会長が政府の賃上げ要請に応じ、「積極的かつタイムリーに対応」する方針を示した。デフレ脱却には賃上げが鍵を握る。方針を現実化できるか、米倉会長の指導力が問われよう。
 米倉氏は従来、賃上げに消極的な発言を繰り返してきた。政府の法人税減税方針で「外堀」が埋まり、賃上げへ積極姿勢を打ち出さざるを得なかったとみられる。
 ただ、発言が具体的に何を指すのかははっきりしない。単なる一時的な賞与増では景気回復が軌道に乗ると思えない。賃金水準自体を上げるベースアップ(ベア)など月例賃金底上げが実現するかが焦点となろう。
 経済学に「合成の誤謬(ごびゅう)」という言葉がある。個人や個別の企業の行動が合理的だとしても、社会全体でみると不都合が生じることを指す人件費削減はその典型例だ。個別の企業にとっては競争力を高めるが、社会全体では個人消費を減退させ、景気低迷、デフレを招く。過去十数年、とりわけ小泉構造改革後10年の日本経済はまさにその「誤謬」を続けてきた。
 日本の民間企業労働者の一人当たり賃金は1997年を100として2009年に88にまで落ち込んだ。英国160、米国156、仏137と先進国が軒並み上がる中、日本だけが低下したのだ。
 その結果、先進国中日本だけが長期にわたり物価が下落した。賃金下落-家計収入減-消費不振-企業の値下げ競争-物価下落-賃金のさらなる引き下げ、というデフレ・スパイラルに陥ったのは日本だけだったのだ。
 しかもこの10年、労働分配率は下がり、企業は内部留保を続けてきた。98-08年の10年で保有正味資産は国全体で261兆円下がり、家計も188兆円減少したが、法人は165兆円も増えた。企業だけが富を蓄積する一方、国全体はデフレに苦しんできたと言える。
 その失敗に学ぶなら、今こそ流れを転じるべきだろう。労働者への報酬切り下げが経済停滞を生むという「合成の誤謬」を脱し、賃上げで内需拡大、消費喚起を図るべきだ
 賃上げだけでなく雇用の質の改善も急務だろう。構造改革で正規雇用を非正規に置き換える流れが膨らんだ結果、家計収入減だけでなく社会不安増大も招き、消費を抑制したのではないか。労働法の精神の原点に立ち返り、雇用不安を取り除く法制にすべきだ
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013101502000059.html

首相 所信表明 復興・暮らし 具体策なく 国民の「なぜ」に応えず
2013年10月15日 夕刊

 安倍晋三首相は十五日午後、衆参両院の本会議で所信表明演説を行う。首相はデフレ脱却に向け、企業優先の成長戦略の実行へ決意を示す。しかし、政権の「看板」である成長戦略をどのように雇用の拡大に結びつけ暮らしの向上につなげていくか、具体的な施策は示さない。東日本大震災の復興の加速も宣言するが、安倍政権の経済政策によって復興が遅れている現実がある。また政府・与党が今国会に提出・成立を目指し、国民の「知る権利」を制限する恐れがある特定秘密保護法案には触れない。=所信表明要旨<2>面

 首相は演説で「デフレからの脱却はいまだ道半ば」と指摘し、成長戦略の柱として企業を支援する姿勢を鮮明する。

 具体的には、東京五輪開催決定で日本への投資が増えることを見込み企業対象の規制を大幅に緩和する「国家戦略特区」を創設する意義を強調。企業に設備投資などを促す「産業競争力強化法案」の早期成立を念頭に、今後三年間を「集中投資促進期間」とし、税制、予算、金融、規制制度改革などあらゆる施策を総動員して、企業を支援すると表明する。

 その上で「(成長戦略の)目指すところは若者・女性をはじめ、頑張る人たちの雇用を拡大し、収入を増やすことにほかならない」と述べるが、企業支援策とは対照的に、雇用対策の具体策は示さない。

 東日本大震災の復興対策についても「(二十九万人の避難生活を送っている人が)一日も早くふるさとに戻って頂けるよう、除染やインフラ復旧を加速する」と強調するが、安倍政権が経済政策として全国で公共事業を増加させたことによって、被災地で資材や作業員を調達しにくくなり、影響が出ている。

 日本版「国家安全保障会議(NSC)」について「官邸における外交・安全保障政策の司令塔機能を強化する」と、創設に向けた関連法案の今国会での成立に意欲を示すが、関連法案と同時成立を目指す特定秘密保護法案については言及しない。


企業優先の成長戦略

<解説> 安倍晋三首相は所信表明演説で「決める政治」をキーワードに、環太平洋連携協定(TPP)交渉の年内妥結や来年四月の消費税増税に向けた決意を表明する。しかし、首相の持論を羅列するだけで、国民が抱く疑問や不安には応えない。

 首相は演説でTPP交渉について「年内妥結に向けて、攻めるべきは攻め、守るべきは守る」と強調する。

 しかし、政府・自民党は関税を撤廃させない「聖域」としたコメなど重要五項目の中で、関税撤廃できる品目があるかどうか検討を始めている。「聖域」を守るとしてきた公約は転換されたのだ

 それでも、首相は演説で「守るべきは守る」と従来の主張を繰り返すだけ。これまで他国とどんな交渉をし、なぜ公約を転換したのか、食料自給率や「食の安全」はどう守るのか、国民が知りたいことは語らない。

 消費税増税を決断したことについても「社会保障制度を次世代に安定的に引き渡していく」と訴える。

 しかし、増税に合わせて経済対策の実施を決めたことで、増収分の約八兆円のうち、五兆円は結果的に経済対策に充てられることになる。すべて年金や医療の社会保障制度に使って、財源を安定させ、将来への不安を拭うという消費税増税の目的は変質している。どう次世代に引き継いでいこうというのか。

 東京電力福島第一原発の汚染水問題でも「対策を全力でやり抜く。東電任せにすることなく国が前面に立って責任を果たす」というが、現実は作業員が汚染水を浴び被曝(ひばく)するなど、トラブルは後を絶たない。決意だけで、具体策を示さなければ国民は安心できない。(城島建治)
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http://gendai.net/articles/view/news/145283

秘密審議でどんどん決まる 「クビ切り特区法案」の薄汚い手口
2013年10月16日 掲載

 臨時国会が始まったが、秘密保護法と同じくらい重要なのが「国家戦略特区関連法案」だ。所信表明演説で、安倍首相は「日本は世界で一番、企業が活躍しやすい国を目指します」「世界最先端のビジネス都市を生み出すため、国家戦略特区制度を創設します」と宣言した。これで企業誘致が進み、景気が上向くかのような言い方だったが、この法案の目玉になるのは雇用の規制緩和、いわゆる「解雇特区」だ。こんな法案を自動通過させたら、サラリーマンに明日はない。

 「解雇特区」の怖さは、TPPと同じで、法案の中身が見えないことだ。特区では(1)解雇規制を緩和し、(2)解雇ルールを契約書面で明確にする。(3)それによって、「優秀な人材を集めやすくする」などと言われているが、内閣官房の国家戦略担当がシャカリキになっている一方で、厚生労働省が抵抗しているため、細部は詰められていない。民主党が事務方に60項目もの質問書を送付、担当者を呼んで質問攻めにしていたが、それでも、ノラリクラリとかわしてしまう。これじゃあ、議論も何もない。

 「解雇特区については有識者のワーキンググループが話し合っていますが、いつ会議が開かれ、どういう議論がされたかも非公開。会議には労働者の代表が入っていなくて、国際ルールにも反しています。しかも、具体的な解雇の基準、細かいガイドラインは法案成立後に決める方針で、よく分からない。こんなやり方は前代未聞です」(衆院議員・山井和則氏=民主党)

 それでも安倍内閣は今週末にも戦略特区法案に「解雇規制緩和」を盛り込むかどうかを最終決定。そうなれば、関連法案を11月上旬に閣議決定し、臨時国会に提出する段取りだ。


労働者の権利を「岩盤規制」と目の敵

 決め方も問題ならば、法案の中身も見過ごせない。最大の問題は法の下の平等だ。この特区だけはクビにできる、などという“差別”があり得るのか、ということだ。

   「世界を見回しても、解雇しやすい特区なんて聞いたことがありません。
    クビ切り法案は当初、規制改革案に盛り込むつもりだった。しかし、
    世論の反対で潰された。そこで、今度は特区だけでやろうということに
    なったんです。でも特区だけで解雇を認めれば、法の下の平等に反する。
    つまり、特区を風穴にして、やがて、全国で解雇規制を緩和するつもり
    なのでしょう」(山井和則氏)

 労働契約法16条には正当で合理的理由がなければ解雇できないと書かれている。労働者の基本的人権だ。絶対に譲れない一線なのに、安倍や菅官房長官らはそれを「岩盤規制」と呼んでいる。人権を規制呼ばわりされたらたまらない。
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http://gendai.net/articles/view/news/145319

安倍首相 国会答弁でもう大ウソ
2013年10月18日 掲載

バカなのか 無知なのか 詐欺師なのか…

<アベノミクス破綻ゴマカす>

 安倍首相が臨時国会でもう、大ウソだ。16日の代表者質問で、民主党の海江田代表がアベノミクスの核心、賃上げの実効性について尋ねたところ、安倍は自信満々でこう答えたのである。

   「賃金の状況については、夏季のボーナスは3年ぶりの増加となり、また、
    今年の春闘について、連合の集計結果によると、ベースアップを行う企業の
    割合が5年ぶりに2桁になりました」

 さて、これを聞いてぶっ飛んだのが連合だ。そんな事実はないからだ。連合の広報担当者が言う。

   「私どもが出している集計は2013年7月1日時点での春闘の結果をまとめた
    もので、妥結済み組合5576組合のうち、賃金改善を獲得したのは584組合、
    10%強であったという数字です。賃金改善は一時金などが含まれていて、
    ベースアップではありません。ベースアップした組合が2桁になったという
    資料は出していません

 安倍は一時金も含めた賃金上昇をちゃっかり、「ベースアップ」にしたのである
 言うまでもなく、物価上昇2%を掲げているアベノミクスは、賃金が上がらなければ、単なる不況加速策にしかならない。そのため、安倍は経団連など企業トップに事あるごとに「賃上げ」を迫ってきた。で、しぶしぶ、一部企業が一時金、ボーナスで応えたのだが、もちろん、ベースアップはしていない。アベノミクスなんて、一時的なバブルに過ぎないことは彼らが一番、よく知っているからだ。それなのに、国会答弁では「ベースアップ」にしてしまう安倍のズルさ、いい加減さ。いや、ひょっとしたら、「賃上げとベースアップの区別がついていないんじゃないか」(民主党の山井和則衆院議員)なんて声も上がっていた。経済オンチのオツムではあり得るだけに怖くなる。

   「安倍首相がどういうつもりで言ったのか分かりませんが、極度のゴマカシ
    詐欺的答弁だと思いますね。企業は半永久的な人件費増につながる
    “ベースアップ”に応じるわけがないのです。なぜなら、消費増税する
    からです。成長戦略に中身がなく、それどころか、首切りを加速させるような
    メニューが検討されているからです。安倍首相がいくらアベノミクスの成果を
    強調しても、経営者マインドは冷え込んでいる。それに一時的な賃上げに
    したって、応じたのはたった10%で、90%は違う。大手企業の組合が
    集まっている連合でさえ、こういう状況なんです。アベノミクスの破綻は
    明らかだと思います」(経済アナリスト・菊池英博氏)

 詐欺師なのか、バカなのか、安倍の二枚舌は許し難い
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http://www.asahi.com/business/update/1019/TKY201310180570.html?ref=com_top6

2013年10月19日5時48分
解雇特区、事実上見送り 政府内も対立、二転三転

 【山本知弘、清井聡】安倍政権が成長戦略の柱の一つとする「国家戦略特区」の規制緩和メニューが18日、決まった。焦点の「解雇ルールの明確化」は緩和色が大きく後退。解雇トラブルの事例をまとめた「雇用契約の指針」を政府がつくり、企業に助言する案に落ち着いた。政府内の意見対立もあって特区案は二転三転。当初の「解雇特区」は事実上、見送りになった。

トピックス「解雇特区」

 「特区全体の評価は90点。雇用は82、83点と思っている」。18日夕に会見した特区ワーキンググループ(WG)の八田達夫座長(阪大招聘(しょうへい)教授)は焦点の雇用で合格点をつけた。とはいえ、日本経済再生本部(本部長・安倍晋三首相)が決めた雇用の特区案は、当初のWG案から大きく変わった。

 当初案は(1)解雇ルール(2)労働時間法制(3)有期雇用制度の3点を見直し対象とした。外国企業の誘致などに「不便な規制」を外すためで、安倍首相も「実現に向けて検討を」と指示した。

 しかし、田村憲久・厚生労働相が「憲法上、特区内外で労働規制に差をつけられない」と慎重姿勢を崩さなかった。WGは作業の遅れから(2)の労働時間を特区構想から外した。

 焦点の「解雇ルールの明確化」も変わった。当初案では、特区で定めた指針に合えば、労使の契約が裁判官の判断を縛ることにしていた。だが結局、政府が判例をもとにした「雇用契約の指針」をつくり、個別契約が指針に沿うかを助言することで決着した。

 一方、有期契約は全国規模で見直しを始める。5年超で無期転換権が発生するのを延長。例えば、2020年の東京五輪のプロジェクトに向け、通算で5年超雇われた人でも権利が発生しない。企業は雇い止めができない無期転換への警戒感も強いからだ。

 5年ルールは今年4月に始まったばかりだが、厚労省が特区内外でルールに差はつけられないとするなか、全国一律での見直し案が浮上。厚労省幹部は「ギリギリの選択だった」と振り返った。
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●『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209)についてのつぶやき

2013年11月07日 00時00分42秒 | Weblog


自然と人間』(2013年11月号、Vol.209)の最新号について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge

 ブログ主のお薦め記事は、志葉玲氏【止まらない福島第一原発の汚染水漏れ】。

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■①『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 森達也さん【第92回つぶやくニッポンの街角 誰が誰に何を言ってんの?】、「適応能力の高さ・・でもこの国は突出して高い。だからこそ失敗も大きい。そんな歴史を繰り返す。つまり過去に学ばない。時おり思う。この国は世界の反面教師となる定めなのかもしれないと」

■②『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 前田哲男さん【日本版NSC国家安全保障会議と秘密保全法 集団的自衛権行使への“プログラム法”】、「安倍首相が「積極的平和主義」を語る」「「9条の縛り」から離脱」「集団的自衛権行使の“露払い法案”」「密接にかかわる戦争準備と情報統制」「統制社会の下で国民生活は息づまる」。西山太吉さんが喝破(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/b2db1d90312dd74e39c7492159840a78

■③『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 村田くみ氏【「年金だけでは生活が出来ない!」 高齢者の叫びを聞け】、「年金生活者を直撃する年金カット」「所得格差を示すジニ係数が過去最大に」。冷たい国(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/9c78acf8a563c3202beed3147d12cf78

■④『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 志葉玲氏【止まらない福島第一原発の汚染水漏れ】、「漁民のことを考えていない!」「現場の声が伝わらない」、小出裕章さん「汚染水はアンコントロール」。世界に公約・・(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/060c22aa9939913740ad6aaaa7acd5df

■⑤『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 安田節子氏【TPPの現段階と食品の安全】、「ホゴにされる安倍自民党公約」「米国のTPP交渉官はモンサント出身者」。「ウソはつく。TPP交渉参加。ブレる。」、そしてあのモンサントとは!(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/9aa9a37ce141e31cb36346e06c01b27b

■⑥『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 橋本淳司氏【海外の地下水を枯渇させる日本人の食卓】、「生態系と共生した水マネジメントが必要」「田んぼで食糧生産し生態系を保全する」。そして、原子力との共存は無理(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/b4f689c5708ac4157ad72c84f4cb7dec

■⑦『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 古川琢也さん【ブラック企業に対峙する 社会がしていくべきこと】、「「ブラック企業包囲網」は狭まっていない」「・・ここで労組が存在感を発揮できないようだと絶望的な未来しか描けない」。言い訳(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/1a6dc6e6616bc6f3c2eb908e0a89627e

   (※「ブラックについては『●「露骨な企業優遇、労働者いじめ」 『週刊金曜日』
      (10月11日、963号)についてのつぶやき』」を)

■⑧『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 【大谷昭宏の言いたい放題/特定秘密保護法案が成立したら、政府の腐敗・不正が覆い隠され、戦争への道が拓かれる!】、「意地でも秘密暴露して国家に吠え面を」。ウソツキによる法案(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/b2db1d90312dd74e39c7492159840a78

■⑨『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / 秋山豊寛氏【京都竹やぶ日記第23回/「日米原子力協定」を神格化する愚劣】、「問題は日本人の意志なのです」。核と人類は共存し得ない(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/45b62d73c320b3389c1c5d51b1dd2342

■⑩『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / books【『隠して核武装する日本』槌田敦・・井上澄夫山崎久隆・・+核開発に反対する会著/橋下勝え(影書房)】、【『日本は過去とどう向き合ってきたのか』山田朗著(高文研)】、【『げんばくとげんぱつ』増山麗奈文・絵(子どもの未来社)】

■⑪『自然と人間』(2013年11月号、Vol.209) / books【チェルノブイリ救援カレンダー2014『チェルノブイリ・福島 命は宝』撮影広河隆一】。広河さん(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/166146cd879a9411ca5bc308da52abf1
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●ユルユルの原発ゼロ目標さへ、しかも、閣議決定さへも出来ないムダ内閣

2012年09月24日 00時00分13秒 | Weblog


消費税増税についてのヒッドイ政府広報についてのgendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/138721)。東京新聞の民主党街頭演説へのヤジの記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012092002000101.html)と脱原発閣議決定見送りについての社説・記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012092002000111.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2012092202000098.html)。

 経済を破壊し、原発を推進したのは自民党。そりゃそうだ。でも、それ以上に輪をかけて消費税増税という悪政、さらに、2011年3月11日の東京電力原発人災後のこの期に及んでもまだ原発推進、原発輸出。「2030年代までに原発ゼロを目指す」というユルユルな目標レベルのことさへ閣議決定できず、しかも、その裏にアメリカがいただの、経団連米倉弘昌会長が喜んでいるだの、噴飯ものの話ばかり。

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http://gendai.net/articles/view/syakai/138721

ふざけるな!「消費税増税」を絶賛する2億円「政府広報」
2012年9月15日 掲載

何が「将来に希望が持てる」だ
<視聴者の感情を逆撫で>

 テレビCMを見て、思わず「ふざけるな!」と口にした視聴者も相当数いるに違いない。野田内閣が、税金を使ってとんでもないCMを流している。かなりの頻度で放送されているから、目にした国民も多いはずだ。

 テレビCMは、「社会保障と税の一体改革」を大々的にPRするもの。9月10日から16日まで、民放各局で1日10回近く流されている。もちろん、すべて税金である。
「CMは、いわゆる『政府広報』です。平日は、朝6~8時、昼12~14時、夜18~25時の時間帯に放送しています。土日は、朝6時30分~夜25時の間に、テレビ局の都合のいい時に流す約束になっています。ただ、日本テレビには放送を断られた。9月9日には、全国紙と地方紙あわせて70紙にも広告を出しています」(内閣府)
 ふざけているのは、CMの中身だ。
 まず、若い母親と赤ちゃんが登場し、母親が〈社会保障と税の一体改革って、子育ても支えてくれるんですね〉とうれしそうに語る。
 次に、若者とおばあちゃんが出てきて、〈ばあちゃんたちも、僕たちも、支えてくれるんだね、一体改革って〉と感激。
 さらに、パート風の女性が、〈ヘェー、私らでも将来、希望が持てるじゃない〉と声を弾ませる。
 最後に〈はじまっています。社会保障と税の一体改革〉というナレーションで締めくくるというシロモノだ。

 しかし、ここまで国民をバカにしたCMもないのじゃないか。消費税増税が強行されて、〈ヘェー、私らでも将来、希望が持てるじゃない〉と思っている国民が、どこにいるというのか。
〈はじまっています。社会保障と税の一体改革〉と胸を張っているが、社会保障はすべて先送りされている。よくぞ、〈はじまっています〉などと平気で嘘をつけたものだ。
 しかも、こんなCMに2億円も使っているのだ。すべて国民の税金である
 野田内閣は、昨年末にも、消費増税の必要性を訴えるために、3億円もの税金を使って、新聞70紙に「政府広報」を出している。財源がない、と言いながら、いったい消費税増税のPRのために、いくら税金を浪費すれば気が済むのか。

   「2億円も税金を使って『社会保障と税の一体改革』を政府広報するのは、
    自信がない裏返しです。良いことをやっていれば、
    いまさらPRする必要はない。しかし、このCMは逆効果ですよ。
    テレビを見た視聴者は、例外なく『なにを言っているんだ!』と怒ったはず。
    CMを引き受けたテレビ局も見識を疑われますよ。これでは、
    年間40億円の“政府広報予算”が目当てで消費税増税を
    バックアップしたとみられても仕方ありません」(政治評論家・山口朝雄氏)

 こんな国民をナメた政権は、即刻、潰さないとダメだ。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012092002000101.html

原発ゼロはうそつき」 「増税ひとすじ」 民主演説に聴衆ヤジ
2012年9月20日 朝刊

 民主党代表選の各候補は十九日、JR新宿駅前で初の街頭演説を行った。代表選で唯一の街頭演説。原発ゼロを後退させる閣議決定の日と重なったこともあり、聴衆からは激しいヤジが飛んだ
 街頭演説には、沖縄訪問のため欠席した原口一博元総務相を除く三人が参加。野田佳彦首相は原発に関し「過去に原子力行政を推進したのは、どこの政権か。自公政権ではないか」と自民、公明両党を攻撃。二〇三〇年代に原発ゼロを目指すことを盛り込んだエネルギー・環境戦略に触れ「政府として原発ゼロ社会を目指すと決めた」と理解を求めた。
 だが、聴衆は「うそつき民主党」「増税ひとすじ」といったプラカードを掲げ「帰れ」などと怒号を飛ばした。最もきついヤジを浴びた首相の演説中は「原発ゼロコールが続いた鹿野道彦前農相と赤松広隆元農相も「民主党は原発ゼロを目指すと決めた」と強調したが「だったら閣議決定しろ」という声も上がった。
 民主党は当初、現職の首相を抱える警備の問題を理由に街頭演説を予定していなかった。しかし、自民党総裁選が全国十九カ所で街頭演説を行う日程のため、党内から「政権与党も国民と触れ合うべきだ」との批判が噴出。急きょ実施を決めた。 (清水俊介)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012092002000111.html

【社説】
閣議決定見送り 脱原発の後退許されぬ
2012年9月20日

 政府が「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定を見送った。二〇三〇年代の原発稼働ゼロという目標すら後退しかねない。脱原発に本気で取り組む意気込みが野田佳彦首相にあるのか、疑わしい
 首相に原発稼働ゼロを実現する強い決意があるのなら、こんな結末にはならなかったはずだ
 政府は先週「三〇年代の原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」という戦略を決定した。
 ところが閣議決定したのは、この戦略を「踏まえて、関係自治体や国際社会などと責任ある議論を行い、国民の理解を得つつ、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」ことだ。この場合「踏まえる」には「参考にする」程度の意味しかない。
 原子力関連施設のある関係自治体や、日本と原子力協定を結んで核燃料を供給する国際社会と議論し、原発推進を望む経済界を含む国民の理解を得つつ、柔軟性を持って見直すのは、原発稼働ゼロを阻止する言い訳にも聞こえる。
 藤村修官房長官は、実際に三〇年代に原発稼働ゼロを実現するかどうかは「総合資源エネルギー調査会が決める」と述べた。この調査会は原発推進の役目を担ってきた経済産業相の諮問機関である。
 そこに最終判断を委ねるのは、原発稼働の継続を端(はな)から容認しているようなものではないか。
 首相は民主党代表選の記者会見で「一時的な感情ではなく、原発に依存しない社会を目指すという強い覚悟が(国民に)出てきている。政府もそれを受け止め、覚悟を決めた対応をしなくてはならない」と述べた。
 そもそも国民の多くが求めていたのは三〇年までの原発稼働ゼロ実現である。それを最大で十年間も猶予する甘い目標を定め、それすら閣議決定できずに「覚悟を決めた対応」とは聞いてあきれる
 できもせず、やる気もないのに選挙目当てで一時的に国民の歓心を買うことを言い、結局、欺くようなことが許されるはずはない。
 きのう発足した原子力規制委員会田中俊一委員長ら五人の委員人事でも首相は必要な国会での同意を得ず、規制委設置法の例外規定に基づいて任命した。
 「原子力ムラ出身者」の起用に民主党内でも反発が広がり、党の分裂回避を優先させたのだろう。
 あまりにも姑息(こそく)、党利優先で、国会軽視も甚だしいこんな内閣には、もはや国民の生命と財産を守る役目を担う資格はない
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2012092202000098.html

原発ゼロ「変更余地残せ」 閣議決定回避 米が要求
2012年9月22日 朝刊

 野田内閣が「二〇三〇年代に原発稼働ゼロ」を目指す戦略の閣議決定の是非を判断する直前、米政府側が閣議決定を見送るよう要求していたことが二十一日、政府内部への取材で分かった。米高官は日本側による事前説明の場で「法律にしたり、閣議決定して政策をしばり、見直せなくなることを懸念する」と述べ、将来の内閣を含めて日本が原発稼働ゼロの戦略を変える余地を残すよう求めていた。
 政府は「革新的エネルギー・環境(エネ環)戦略」の決定が大詰めを迎えた九月初め以降、在米日本大使館や、訪米した大串博志内閣府政務官、長島昭久首相補佐官らが戦略の内容説明を米側に繰り返した。
 十四日の会談で、米高官の国家安全保障会議(NSC)のフロマン補佐官はエネ環戦略を閣議決定することを「懸念する」と表明。この時点では、大串氏は「エネ戦略は閣議決定したい」と説明したという。
 さらに米側は「二〇三〇年代」という期限を設けた目標も問題視した。米民主党政権に強い影響力があるシンクタンク、新米国安全保障センター(CNAS)のクローニン上級顧問は十三日、「具体的な行程もなく、目標時期を示す政策は危うい」と指摘した。これに対して、長島氏は「目標の時期なしで原発を再稼働した場合、国民は政府が原発推進に突き進むと受け止めてしまう」との趣旨で、ゼロ目標を入れた内閣の立場を伝えていた。また交渉で米側は、核技術の衰退による安全保障上の懸念なども表明したという。
 エネ環戦略は十四日に決めたが、野田内閣は米側の意向をくみ取り、「エネ環政策は、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」という短い一文だけを閣議決定。「原発稼働ゼロ」を明記した戦略そのものの閣議決定は見送った。
 大串、長島両氏は帰国後、官邸で野田佳彦首相に訪米内容を報告している。
 政府関係者は「事前に米側に報告して『原発稼働ゼロ』決定への理解を求めようとしたが、米側は日本が原発や核燃サイクルから撤退し、安全保障上の協力関係が薄れることを恐れ、閣議決定の回避を要請したのではないか」と指摘している。

「判断変えてない」大串政務官
 原発ゼロをめぐる米国との協議について、大串博志内閣府政務官は二十一日、本紙の取材に対し「個別のやりとりの内容は申し上げられないが、米側からはさまざまな論点、課題の指摘があった。米側からの指摘で日本政府が判断を変えたということはない」と話した。

骨抜き背景に米圧力
 <解説> 「原発ゼロ」を求める多数の国民の声を無視し、日本政府が米国側の「原発ゼロ政策の固定化につながる閣議決定は回避せよ」との要求を受け、結果的に圧力に屈していた実態が明らかになった。「原発ゼロ」を掲げた新戦略を事実上、骨抜きにした野田内閣の判断は、国民を巻き込んだこれまでの議論を踏みにじる行為で到底、許されるものではない。
 意見交換の中で米側は、日本の主権を尊重すると説明しながらも、米側の要求の根拠として「日本の核技術の衰退は、米国の原子力産業にも悪影響を与える」「再処理施設を稼働し続けたまま原発ゼロになるなら、プルトニウムが日本国内に蓄積され、軍事転用が可能な状況を生んでしまう」などと指摘。再三、米側の「国益」に反すると強調したという。
 当初は、「原発稼働ゼロ」を求める国内世論を米側に説明していた野田内閣。しかし、米側は「政策をしばることなく、選挙で選ばれた人がいつでも政策を変えられる可能性を残すように」と揺さぶりを続けた。
 放射能汚染の影響により現在でも十六万人の避難民が故郷に戻れず、風評被害は農業や漁業を衰退させた。多くの国民の切実な思いを置き去りに、閣議での決定という極めて重い判断を見送った理由について、政府は説明責任を果たす義務がある。 (望月衣塑子)
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