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原発処理水 【海に捨てるしか方法無い」「韓国は何倍も海に捨てている」前規制委員長・田中俊一氏が福島での講演

2019-09-19 16:57:25 | 意見発表

 

【原発事故と汚染水】「海に捨てるしか方法無い」「韓国は何倍も海に捨てている」。前規制委員長・田中俊一氏が福島での講演で強調。「世界中でやっている。海は汚れない」とも

原子力規制委員会の前委員長・田中俊一氏(2017年9月に退任、現在は飯舘村復興アドバイザー)が18日午後、福島県福島市で講演し、福島第一原発事故後に貯まり続ける汚染水について「きちんと処理して海に捨てるしか無い」、「日本政府は韓国に対して『あなたたちも捨てている』と言及するべき」、「海洋放出と向き合わないと漁業は復興しない」などと改めて持論を展開した。

大阪湾での投棄は「出来るわけ無い」と一蹴した。田中氏の講演は株式会社地域創造研究所(石田みゆき社長)の主催で、今年6月に続き2回目。

【「貯めていても漁業は復興しない」】

 「トリチウム水の問題。これが大問題です」

 講演の一番最後に、田中氏は原発事故に伴う汚染水の海洋放出問題について語った。韓国を例に挙げながら、海洋放出には何ら問題無いという持論を展開した。

 「トリチウム水というのは、世界中の原発から日常的に捨てられています。韓国でトリチウム水について国際問題にしていますが、韓国には『CANDU』といって重水を使った原子炉が4基、加圧水型の原子炉が16基あります。月城原発はCANDU炉(重水炉)です。元々はカナダのものです。

一方、日本は軽水炉です。重水炉というのは、軽水炉と比べるとケタ違いのトリチウムが出ます。CANDU炉4基だけで福島原発の何倍ものトリチウムを捨てています。自分のところで捨てていて、日本はどうだと言っている。捨てているから良いというわけでは無いけれども、なぜ日本政府は『あなたたちも捨ててるでしょ』ときちんと言及しないのか。『トリチウムについていろいろ検討してます』と、こういう事を言っています」

 「どんな事をやったって、トリチウムはいずれ希釈廃棄。きちんと処理して海に捨てるしか無くなると思います。これは私は予言、予言というか規制委員長の時からそう申し上げて、5年間言い続けているんですが、いまだにこね回しています。でも、いずれそう(海洋放出)なります。国も、漁民の方ときちんと向き合ってその事を話すべきだと思います。そこに向き合わない限り、漁業の復興にはなりません。

トリチウムを捨てないで貯めておけば漁業を復興出来るというのは私は間違いだと思います。そういう議論をきちんとしないから、福島の復興がなかなか目に見えて進まなくて、なんとなくモヤモヤしているというところはあると思います。これは国の責任でもあるし、福島県にも良い意味でリーダーシップをとっていただきたい」

 トリチウム以外の核種には触れなかった。

福島市内で講演した田中俊一氏。汚染水は海に捨てる以外に方法は無いと改めて主張した。聴衆からは一部、不規則発言があったが、具体的な言葉は聞き取れなかった=とうほう・みんなの文化センター

【「原田さんの主張は正しい」】

 「大阪で汚染水を受け入れる?ああいう政治家のパフォーマンスに付き合いたくない。そんなもの出来るわけ無いじゃないですか。府民が何を言いますかね。しかも、あれをどうやって持って行くのか。どんなリスクがあるのか」

 「そもそも何でも無いものをこね回すから、ああいう問題になるんですよ。海洋放出すると海を汚すという意見もある?何を言ってるんですか。講演でも触れましたが、韓国はああ言っているけど、自分たちは何倍も海に流しているんですよ。重水炉の(トリチウムの)量っていうのはすごいですからね。海洋放出しか無いから、みんなそうやっているんですよ。他に方法が無いんです。原田さん(原田義昭前環境大臣)の主張は正しいですよ。当たり前の事です」

 講演後、取材に応じた田中氏は、やや不機嫌そうに語った。口調こそていねいだったが「汚染水を捨てても海など汚れない」、「そもそも海洋放出以外に方法が無い」との持論を改めて明確に打ち出していた。

 田中氏は2016年3月、外国特派員協会で行われた記者会見でも次のように語っている。

 「トリチウムはなかなか取り除く事が出来ないので、希釈して廃棄することになると思う。国際的に見ても、トリチウムを除去するということは技術的にほぼ不可能に近い。どこの国も皆、排水していいる」

 「排出基準というのは核種によっていろいろ違うが、基本的にその影響がほとんど無い。要するに証明できるような影響が無いというレベルを十分下回るような形で決まっているので、今、私どもがその安全性について証明するのが義務だと言われても、無いものを証明することは出来ない」

 「フランスやイギリスの再処理工場なんかで、福島のトリチウムから見るとはるかに桁違いに多いトリチウムが毎年、海に排出されているというような状況がある。国際的ないろいろな方、IAEAもそうだが、前のNRCのマクファーレンさんとか、今のバーンズ委員長とかも含めて、やはりこれはトリチウムは残念ながら希釈廃棄する以外は方法がない」

田中氏は「廃炉作業で大事故は起こらないと考えて良い」、「小泉進次郎さんが何を言おうと、中間貯蔵施設から放射性廃棄物を福島県外に持ち出せるはずが無い」、「自分で学ばないと放射線への不安は克服出来ない」などと述べた=講演資料より

【「汚染土壌の県外搬出など無理」】

 講演で田中氏は、除染で生じた汚染土壌の再利用にも言及。「今おおよそ福島県内には1600万立法メートルの汚染土壌がありますが、それを双葉・大熊の中間貯蔵施設に運んでいます。それをある程度利用して残ったものを全部、30年以内に福島県外に運び出すと、除染特措法で約束をしました。

しかし、実際にそんな事が出来ると思っていますか?小泉進次郎さんが何を言おうと、持ち出せるはずが無いんですよ。自ら解決・克服しなければいけないんです」と間接的な表現ながら、汚染土壌再利用の必要性に触れた。そして、飯舘村内で行われている実証事業について次のように述べた。

 「飯舘村には20の行政区がありますが、長泥地区の行政区だけが帰還困難区域で避難指示が解除されていません。そこで、長泥地区の住民たちが何とか自分たちで故郷を再生したいという事で、村と一緒になっていろいろと頭をひねりました。菅野典雄村長のリーダーシップもあったと思うのですが、環境省と協力して、村内の除染で生じた汚染土壌をきちんと埋めて、その上にきれいな土を埋めて良質の畑にしようという事業を始めました。

自分たちのところで出たものを双葉・大熊にばかり押し付けるのは筋違いだという事で合意されました。私の経験から言って、作物には放射性物質はほとんど出ません。こういった事をやりながら、出来るだけ汚染土壌の量を少なくしていくという事が必要になっていきます」

 汚染土壌再利用に対する反対意見には「野党とか全国の集団が押しかけて来て『放射能をばら撒くから駄目だ』という事を盛んにやっていますが、あなた達は関係無いんだ。目の前にある廃棄物をどうしたら良いか毎日のように考えている人とあなた達は違うんだと申し上げています。政治家も同じです。そういう政治家もいっぱいいますから。政治家の言う事なんて良く気を付けて聴いた方が良いと思います」と語った。

 田中氏は以前から、放射線や被曝リスクに対する不安を全否定し続けているが、この日も「(放射能は)少なければ少ないほど良いという考え方は、放射線防護では取りません。国際的にはそんな考えはありません」、「今度の事故で確かに被曝はしたが、一過性だしそんなに心配するような被曝量ではありません。ご理解して安心していただきたくと良い」と改めて強調した。

 「福島県産の食べ物は全然平気、測らなくたって大丈夫、というくらいの姿を全国に世界に発信する事によって、風評はたぶん克服出来ます。人に対する風評。これは『差別』ですが、大人が怖がっていたら子どもの差別は無くなりません。そういう意味でぜひ、放射線に対する理解をきちんとするよう努力していただきたいと思います」

 聴衆は主催者発表で2800人。会場はあふれ返ったが、JAやゼネコン関係者など〝動員〟も目立った。

(了)


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