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南シナ海仲裁裁 中国は判決に従う義務があるー読売新聞社説

2016-07-13 14:25:19 | 意見発表

南シナ海仲裁裁 中国は判決に従う義務がある

2016年07月13日 06時07分

 南シナ海の領有権に関して、中国の独善的な言動の不当性を指弾する国際司法判断である。

 

 オランダ・ハーグの仲裁裁判所は、南シナ海のほぼ全域に自国の主権が及ぶという中国の主張を全面的に退ける判決を下した。

 判決は、中国が主権の根拠とする境界線「九段線」について、「歴史的な権利を主張する法的根拠はない」と結論付けた。中国が「この海域や資源に対し、排他的な支配をしてきたという証拠はない」とも指摘している。

 南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で中国が造成した人工島に対して、排他的経済水域(EEZ)は生じないとの判断も示した。

 国連海洋法条約に基づくフィリピンの訴えを支持したものだ。

 習近平政権は、七つの人工島の軍事拠点化を加速させ、緊張を高めている。こうした覇権主義的な現状変更の前提が、国際機関によって否定された意義は大きい。

 岸田外相が談話で「当事国は今回の判断に従う必要がある。今後、南シナ海における紛争の平和的解決につながることを期待する」と強調したのは、当然である。

 問題なのは、中国が仲裁裁が扱うべき案件ではないとして、判決の受け入れを拒否していることである。判決後、中国外務省は「裁決は無効であり、拘束力はない」などとする声明を発表した。

 仲裁裁には、判決に強制的に従わせる仕組みはない。だが、国連海洋法条約加盟国の中国には、判決を順守する義務がある。

 判決を無視すれば、「法の支配」に基づく海洋秩序を蔑(ないがし)ろにする中国の無法ぶりが際立つだけだ。国際的な孤立が一段と深まるのは避けられまい。

 中国が判決前、南シナ海の実効支配を誇示しようと、大規模な軍事演習を実施したことも看過できない。南シナ海の権益確保に躍起になるのは、戦略原潜の拠点として利用するなど、軍事面で米国に対抗する意図があるのだろう。

 日米など先進7か国(G7)が主導し、中国に判決を尊重するよう粘り強く促さねばならない。

 米国がフィリピンなどと連携し、人工島周辺で「航行の自由」を体現する巡視活動を継続することも欠かせない。

 フィリピンのドゥテルテ大統領は今後、中国と交渉し、問題の解決を目指す意向とされる。

 南シナ海の安定には、日米と協調するアキノ前政権の路線の継承が大切だ。ドゥテルテ氏には、この点を認識してもらいたい。

2016年07月13日 06時07分 Copyright © The Yomiuri Shimbun