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[視点 参院選2022]<4>憲法は機能しているか…井上武史 関西学院大教授

2022-06-15 16:23:19 | 意見発表

[視点 参院選2022]<4>憲法は機能しているか…井上武史 関西学院大教授

 

 憲法は作られた状況や時代の下で、必要とされたことを定めている。施行75年、日本国憲法は一度も改正していない。そういう憲法は世界中にほかに例がない。社会制度や考え方、技術が変わるなか、憲法だけ変わらないのでいいのか、本当に機能しているのかを考える必要がある。

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いのうえ・たけし 1977年生まれ。京大大学院博士課程修了。専門は憲法学。九州大准教授などを経て2019年から現職。著書に「結社の自由の法理」など。45歳
いのうえ・たけし 1977年生まれ。京大大学院博士課程修了。専門は憲法学。九州大准教授などを経て2019年から現職。著書に「結社の自由の法理」など。45歳

 ロシアのウクライナ侵攻の様子を多くの国民が映像で見て、加害者になってはいけないと思うと同時に、被害者になる可能性も感じただろう

 憲法前文では、日本国民は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とうたっている。これは日本の安全を国際社会に、とりわけ国連に委ねるという前提に基づく。だが、安全保障理事会の常任理事国であるロシアが国際法に反してウクライナに攻め込み、核の脅威を振りかざしている状況で、そうした前提はなお成立しているといえるだろうか。

 前提が変わったのなら、それに基づく9条の平和主義が今でも本当に通用するのかということを議論すべきだろう。これまでの9条論は、侵略戦争の反省から、日本が再び他国に侵略しないことを念頭に展開されてきた。今や「9条が対外的な侵略への歯止めになっているか」ではなく、「9条が日本の安全保障にとって足かせになっていないかどうか」が問われるべきだ。

 ウクライナの状況に加え、新型コロナウイルスの感染拡大で、緊急事態条項も焦点となっている。日本では「独裁につながる」などと危険性が強調されるが、欧州ではむしろ、人権保障、民主主義、法の支配に適合するものと考えられている。緊急事態条項は、非常時でも憲法ルールに基づいて権力を発動させるものだ。政府の強権的措置を認めるのと同時に、政府の措置を事前または事後に監視・統制する仕組みも導入される。緊急事態においても侵害できない基本的人権を明記する方法もある。

 参院選後は2025年まで大型の国政選がなく、その間に憲法改正が国会で発議される可能性がある。今回の選挙は、改憲議論を進めるのか、そうでないのかについて有権者の意思が示される選挙だ。

 日本は今、世代間格差や男女間格差の問題に直面している。憲法に何を書き込めばこうした課題が是正されるのか。各党は9条や緊急事態条項という喫緊の問題だけでなく、日本の民主主義の質を向上させる構想も示してほしい。(政治部 石田浩之)


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