前回の応挙も圧倒されたのですが、
心落ち着かず、受験生対策に追われつつ、
ブログ記事を放りっぱなしにしておりました・・・・
なんとか見通しがついたので、
過去のものも思い出しつつ、
記事にしていきたいと思います。
さて、今回は三井記念美術館へ
「室町三井家の名品」として
卯花墻と箱根松の茶屋と副題がある。
師走の賑やかな世間からす~っと落ち着いた
お茶の世界に引き込まれ、しばし喧騒を離れ
お茶の一服を頂戴したい気持ちを抱いて中に入った。
展示室1の重厚なケースには
三井家の花形茶器が勢揃い。
探幽の下絵を得た
「色紙松毬鐶付輪口釜」
素直な丸みの優しいなりの釜
美しい配色で線描も細やかな
「真如堂尊像模刻霊感記絵巻」
すっくりした清々しい青磁の
「青磁筒花入」 大名物
多分、筆筒を花入れに見立て、掛け金をつけたもの。
長次郎の「俊寛」
ノンコウの「鵺」
東博から「馬蝗絆」
重厚、威厳に溢れる一品勢揃い。
展示室2は 国宝 志野茶碗「卯花墻」
のワンマンショー
展示室3 如庵ケースは
渋い侘茶器が堂々と居並ぶ。
備前の緋襷のかかった水指が唯一派手といえば派手。
古渓宗陳の墨跡、黒棗は利休の判がある銘 影法師
蓋にちょっと金箔が一筆すっといれたように
梨地に光って見えた。
茶碗はととや 銘かすみ
実にしぶい。
展示室4には
茶室を飾るもの
墨跡、貫之などの名筆の軸装の美しいこと。
貫之系の文字を見ると
さぞこの文字に恋焦がれた女性が夢描いたことだろうと
罪深い文字でもあると感じてしまう。
そのくらい、なよめいている。
伊賀焼の名品
銘 業平
業平がこんな姿であちこち歩きまわっていたような気もしないでもない。
伊賀の質感は実にアバンギャルド。
志野と織部の愛らしい香合。
武野紹鴎、利休、 宗旦、松花堂など大々茶人達の茶杓。
ここでちらり茶杓好きな遊行さんを思い出す。
茶杓は竹の姿を茶会のために自らが削るもので、
その作る茶人の性格と竹の質感が共鳴しているように見える。
高取のまっすぐな筒茶碗。
見込みには釉薬の流れが波立って赤が差して
まるで漆を入れたような景色が見えた。
きなこ色のお砂糖をお茶碗全体に
コーティングしたようなとろんとした質感。
姿の美しい水指は仁清の物。
仁清の作品は本当に作陶の上品さが際立つ。
その形に雅な京都の趣味が表されて
実に素敵なでき。
展示室5の細い廊下のような展示室は
文房具、箱。
罌粟蒔絵茶箱の可憐な模様は
アールヌーボーとしか思えない。
軽く目にしびれを感じるくらいステキ。
螺鈿ものの硯箱、香箱、盆などが並ぶ。
中国のものでしょう。
明時代のものが多い。
終に乾山の蓋物。
食籠を保全、和全の作で締めくくる。
展示室6では、展示品の茶器が使われていた
三井の松の茶屋の写真が紹介されていた。
なんとも鄙びた感じがあっていい茶室だったろう。
深々とした森の中の閑居に憧れた茶人たちの
息使いさえもいまは遠い。
展示室7 最後の展示室には
懐石に使われた、椀、向付、鉢などが賑やかに並ぶ。
そこでも乾山のものがすぐピッと光って存在する。
小さな「雲月蒔絵沈箱」
なんともいいデザインの箱。
中ぶたが外されて箱の横に添えられていた。
「誰が袖図屏風」
静けさの中に人の存在が残っている。
土佐光起の端正な「水辺白菊図」
大観の「江山煙雨」
古径の「木菟」
靫彦の「九郎義経」
落ち着いたしとやかな絵に癒され、展示は終わる。
会期は前・後あり、新年は4日に後期が始まる。
またしても三井の質の高さと品格を再認識させられた。
日本橋の真ん中にこの三井記念美術館がどん、とある。
その意味はかなり重たいものとなっていることだろうと
静かに感じた。
一年を省み、新年を迎えるに当たって実に良い展覧。
心静かにお茶を一服いたしましょう。
付記*ご紹介画像は今回の展示とは異なります。
心落ち着かず、受験生対策に追われつつ、
ブログ記事を放りっぱなしにしておりました・・・・
なんとか見通しがついたので、
過去のものも思い出しつつ、
記事にしていきたいと思います。
さて、今回は三井記念美術館へ
「室町三井家の名品」として
卯花墻と箱根松の茶屋と副題がある。
師走の賑やかな世間からす~っと落ち着いた
お茶の世界に引き込まれ、しばし喧騒を離れ
お茶の一服を頂戴したい気持ちを抱いて中に入った。
展示室1の重厚なケースには
三井家の花形茶器が勢揃い。
探幽の下絵を得た
「色紙松毬鐶付輪口釜」
素直な丸みの優しいなりの釜
美しい配色で線描も細やかな
「真如堂尊像模刻霊感記絵巻」
すっくりした清々しい青磁の
「青磁筒花入」 大名物
多分、筆筒を花入れに見立て、掛け金をつけたもの。
長次郎の「俊寛」
ノンコウの「鵺」
東博から「馬蝗絆」
重厚、威厳に溢れる一品勢揃い。
展示室2は 国宝 志野茶碗「卯花墻」
のワンマンショー
展示室3 如庵ケースは
渋い侘茶器が堂々と居並ぶ。
備前の緋襷のかかった水指が唯一派手といえば派手。
古渓宗陳の墨跡、黒棗は利休の判がある銘 影法師
蓋にちょっと金箔が一筆すっといれたように
梨地に光って見えた。
茶碗はととや 銘かすみ
実にしぶい。
展示室4には
茶室を飾るもの
墨跡、貫之などの名筆の軸装の美しいこと。
貫之系の文字を見ると
さぞこの文字に恋焦がれた女性が夢描いたことだろうと
罪深い文字でもあると感じてしまう。
そのくらい、なよめいている。
伊賀焼の名品
銘 業平
業平がこんな姿であちこち歩きまわっていたような気もしないでもない。
伊賀の質感は実にアバンギャルド。
志野と織部の愛らしい香合。
武野紹鴎、利休、 宗旦、松花堂など大々茶人達の茶杓。
ここでちらり茶杓好きな遊行さんを思い出す。
茶杓は竹の姿を茶会のために自らが削るもので、
その作る茶人の性格と竹の質感が共鳴しているように見える。
高取のまっすぐな筒茶碗。
見込みには釉薬の流れが波立って赤が差して
まるで漆を入れたような景色が見えた。
きなこ色のお砂糖をお茶碗全体に
コーティングしたようなとろんとした質感。
姿の美しい水指は仁清の物。
仁清の作品は本当に作陶の上品さが際立つ。
その形に雅な京都の趣味が表されて
実に素敵なでき。
展示室5の細い廊下のような展示室は
文房具、箱。
罌粟蒔絵茶箱の可憐な模様は
アールヌーボーとしか思えない。
軽く目にしびれを感じるくらいステキ。
螺鈿ものの硯箱、香箱、盆などが並ぶ。
中国のものでしょう。
明時代のものが多い。
終に乾山の蓋物。
食籠を保全、和全の作で締めくくる。
展示室6では、展示品の茶器が使われていた
三井の松の茶屋の写真が紹介されていた。
なんとも鄙びた感じがあっていい茶室だったろう。
深々とした森の中の閑居に憧れた茶人たちの
息使いさえもいまは遠い。
展示室7 最後の展示室には
懐石に使われた、椀、向付、鉢などが賑やかに並ぶ。
そこでも乾山のものがすぐピッと光って存在する。
小さな「雲月蒔絵沈箱」
なんともいいデザインの箱。
中ぶたが外されて箱の横に添えられていた。
「誰が袖図屏風」
静けさの中に人の存在が残っている。
土佐光起の端正な「水辺白菊図」
大観の「江山煙雨」
古径の「木菟」
靫彦の「九郎義経」
落ち着いたしとやかな絵に癒され、展示は終わる。
会期は前・後あり、新年は4日に後期が始まる。
またしても三井の質の高さと品格を再認識させられた。
日本橋の真ん中にこの三井記念美術館がどん、とある。
その意味はかなり重たいものとなっていることだろうと
静かに感じた。
一年を省み、新年を迎えるに当たって実に良い展覧。
心静かにお茶を一服いたしましょう。
付記*ご紹介画像は今回の展示とは異なります。
美しく力のある作品には本当に
感動を覚えますね。自分もこの展覧会は
観に行きましたよ。
さて今年もあとわずかですが、体調など崩されないようにご自愛くださいね。
コメントありがとうございます。
やっぱり名家の所蔵品の品格は見る人に
心地よい緊張を与えてくれます。
お気遣いいただき感謝申し上げます。
nageireさまにとってもすてきな年の瀬となりますように。