秦の始皇帝、その時代が紀元前3~2世紀、という果てしなく遠い時代のもの。
その圧倒的力の歴史的宝物が中国からやってきました。
兵馬俑の軍団が整列している姿は一度見たら忘れられません。
現地でその凄味に触れたいと思いはしますが、
現実的ではないこともなんとはなしに思っていました。
10月27日から東博で
兵馬俑の一部と、その時代の宝物の大々的な展覧会が開催されています。
会期は長く、来年の2月21日まで。
まさに発掘現場のような臨場感が見る人の目を釘付けにします。
中国の長い歴史の中でこの秦の始皇帝の時代は特別の時代だったのではと感じます。
広大な土地と勢力争いが繰り返されていく中で、
その畏怖と尊敬と永遠を墳墓の大きさで表したのだとすれば、
始皇帝の思いも果てしなくその力と執着を見せつけてきます。
江戸時代、徳川家康が日光東照宮に奉られた、そのことを思っても、
大きさが桁違いだと知らされるのです。
会場では
装飾品が煌めきを放って、銅製の鐘が鳴り響くような気配と共に、
玉の麗しい姿にため息を吹きかけるようにへばりついて見つめてきました。
やきもののゆるい表情にも癒やされて、うっかり紀元前に制作されたことを
忘れてしまいそうになります。
第二会場の兵馬俑の実物の展示コーナーはやはり、圧巻壮観です。
このためにこの展示があると言っていいでしょう。
始皇帝の魂を乗せる銅馬車1号、2号が展示され、その横にはぐるり
馬を飾ったものなどが展示されています。
馬たちの表情も一頭一頭丁寧に作られ、感心します。
その立派な馬車は永遠の道へ連れて行ってくれるのでしょうか。
そして、いよいよ、兵馬俑がまさに発掘場所のような超大なスケール感で
会場に林立していました。
一人一人あてがわれた職をプライドを持って厳しくも凛々しいお顔で
正面を向いて構えています。
よく見れば様々な職業、それぞれの衣裳、ヘアスタイルも違い、
回り込んで見上げて三つ編みだとか、六つ編みだとかの編み込みも
工夫されていて、感心したのですが、
これは自分で編み上げられるものではないので、
誰かが彼の髪結いをしたのだろうと想像し、工夫に感心しました。
それにしても土のやわらかな表情がよくぞ壊れずに保存もさることながら
運搬技術にも敬意を表しました。
会場では撮影コーナーが設けられ、臨場感を記録してきました。
一見の価値ありありです。
大国の紀元前の文化度の高さにひれ伏します。
トーハクのサイトはこちら
展覧会の特別サイトはこちら
サイトの画像がとても綺麗なので、ぜひご参考に。