あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

茶の湯の美 ・畠山記念館

2010-06-18 22:51:36 | 日本美術
庭園の緑が一段と深まって、
瑞々しい木々の香りが充満していた。

もうすぐで雨が空から落ちそうではあったが、
なんとかこらえてもらった。

記念館に入り、スリッパにはきかえて
階段を登ると、静かな静かな水の音。

左側の畳のコーナーには
光琳の禊図と、雪村の仙人図が来訪を喜んでくれる。

今回はー数寄のかたちと意匠ーというサブタイトル。
茶室をしつらえた道具が伝来の歴史とともに
並んでいた。
茶籠に入った愛らしい茶器。
結ばれた組紐も美しい。
ちいさな草文の茶碗、茶筅入れ、象牙の折りたたみ式茶杓、
振り出しの可愛らしいこと。

珍しいもの。
銀凹薬缶 昭和の沢田宗味作。
薬缶の腹部分がべコンベコンへこんでいる荒ぶれた姿
それなのに、品がある不思議。

瓢花入 銘 木菟 千道安 作
鉄のもので、掛け花ように後ろには金具がぶら下がっていて、
瓢箪の上のほうに口がある、丸いふくよかな作。
皮袋のようでもあり、質感がとてもいい。
床の間に掛けたらどんな花が合うだろう?

千利休が作った竹の一重切花入に
竹の節目を使ったのは小堀遠州が初めてだったとか。
楚々とした竹に節目が入るだけで
きりっと重みが増す。
小堀遠州の文字はなかなか味わい深い。
西行の雰囲気があるし、後の白洲正子の文字にも通じるような感じ。
好きな文字だ。

李朝粉引茶碗の銘 放れ駒は、まるで祭器の気配。
この色と質感がたまらない。

やや大ぶりの茶入 瀬戸面取茶入 銘 吸江
広い口とたっぷりした胴体、釉が斑に変化している。

茶入はだいたい着せ替え人形のように二つ以上の仕覆があって、
縞と唐織りだったりする。
お茶会の季節や主客にあわせて替えるのだろう。
こういう遊びがあるのが嬉しい。

他には懐石に使われた漆器と向付、
盃と得利。
小鉢と椀などが並ぶ。

ムシムシする時期に清々しいお茶道具の様々な意匠が
ぱ~っと明るくさせてくれた。

茶室には籠の花入が掛かり、
金糸梅と縞芦が可憐に活けてあった。

こういう優雅な遊びをしていた人たちの
濃厚な時間を道具たちから想像するのはなんとも楽しい。

4月に見たらまた感想が変わっているのだろう。
そういう許容があるところも面白いところだ。

ぎりぎり20日まで。
梅雨時期でも、十分楽しめるステキな展覧だった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 東京都庭園美術館のバラ  | トップ | 徳川家康の遺愛品 ・三井記... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。