上野藝術大学美術館で開催されている注目の展覧会を駆け足で
鑑賞した後、トーハクの年間パスポートの更新に行ってきました。
また一年間、たった4100円で特別展、平常展を何回も楽しめるなんて!!
(特別展は6回。国立博物館ならばどこでも!)
本当にありがたいシステムです。感謝!!
新しい年パスを持って、先ずはクレオパトラ女王様に参詣しました。
平成館はまるで海外の博物館のようで、天井に刺さるような
石柱(レプリカ)が重厚感もってエジプトを演出していました。
それにしてもうっとりするのは美しい女王の頭部。
いまだに発掘作業が続き、
その歴史がひもとかれ、そこからあらわれた発掘品の美しさは
こうして日本にもやってきて見ることができることに
改めて感嘆します。
気持ちを入れ替えて本館に移動しましたら、
平成館からつながる廊下が拡張されて広々していました。
日本中の展覧会ポスターを眺める空間が狭かったのですが、
これで少し混雑も緩和されます。
さてさて、
今回はなにしろ着物の数が凄かったので、
着物に焦点を当てることとしました。
解説タイトルの長々しく漢字が連なりますが、
大体のイメージで感じ取れます。
8月2日まで、特集「呉服商『大彦』の小袖コレクション」が
本館特別1室、特別2室で公開されています。
日本橋橘町に「大彦」を開業した、大黒屋・野口彦兵衛(1848~1925)
による小袖コレクションです。
このコレクションを見た、永井荷風は
「限り知れぬ美感に酔ひし」と感動したそうです。(東博ニュースより)
数多いコレクションから選りすぐりということですから、
どのくらい所有されているのでしょう。
すべて手の込んだ、素晴らしいものでした。
着物は、「一領」と数えるのも、興味深いところです。
画像と合わせてピックアップしてご紹介します。
小袖 白練緯地松皮菱竹模様(しろねりぬきじまつかわひしたけもよう)
打掛 萌黄縮緬地松竹梅模様(もえぎちりめんじしょうちくばいもよう)
打掛 紅綸子地水仙梅葵菊七宝模様(べにりんずじすいせんうめあおいきくしっぽうもよう)
振袖 白縮緬地梅樹衝立鷹模様(しろちりめんじばいじゅついたてたかもよう)
夜着 萌黄紗綾地唐獅子牡丹模様(もえぎしゃあやじからじしぼたんもよう)
小袖 白綸子地斜縞歌文字模様(しろりんずじななめしまうたもじもよう)
小袖 紅綸子地竹牡丹模様(べにりんずじたけぼたんもよう)
小袖 白綸子地大菊波模様(しろりんずだいきくなみもよう)
小袖 黄羽二重地海辺風景模様(きはぶたえじうみべふうけいもよう)
同時に本館10室 浮世絵と衣裳のコーナーの着物の展示をご紹介します。
帷子 黒麻地御簾藤模様(かたびら くろあさじみすふじもよう)
帷子 浅葱麻地檜扇寝殿蓑笠御所車風景模様
(かたびら あさぎあさじひのきおうぎしんでんみのがさごしょくるまふうけいもよう)
被衣 白生絹地夏秋草模様描絵(かつぎ しろきぎぬじなつあきくさもようかきえ)
9室、能と歌舞伎からもご紹介。
唐織 茶紅段枝重柳鷺模様 (こちらは偶然大倉集古館所蔵のものでした)
唐織 紅緑段御簾色紙短冊萩模様
思いがけず、着物尽くしの鑑賞となりました。
今、トーハクでは休館中の大倉集古館からの出品があり、
国宝 随身庭騎絵巻が展示されています。
今回彼方此方で大倉の所蔵品と遭遇する楽しみがありました。
10月27日から1月17日まで、国宝「普賢菩薩騎象像」が展示されるようで、
トーハクで見る、大倉の普賢菩薩様を楽しみにしたいと思います。
他にも大倉集古館からは
四季草花図屏風 6曲1双 松村景文
虫太平記絵巻 1巻
等が展示されていて、喜びました。
写真不可なのが残念なところではありますが、
松村景文のきらびやかで可憐な草花にうっとりしますし、
色鮮やかで繊細ながらも様々な虫を頭にのせた「虫太平記」の
奇想天外ぶりに感嘆しました。
蛇は虫の仲間なのですね。
その横には扇面。
若冲の鶏、芦雪の雀、呉春はなんとウド。独活です。
芦雪の作品が他にも。
寒山拾得図屏風
また、珍しいことに、抱一の大きな絵馬が展示されました。
洋犬図絵馬 こちらの写真不可でした。
時代が逆流しますが、
時代不同歌合絵 鎌倉 が興味深いものでした。
屏風の展示からは
犬追物図屏風 江戸17世紀 筆者不詳ですが、きっちりとした画力が見えます。
茶の美術では
渋く、柿の蔕 茶碗 銘 唐衣
最後に、河鍋暁斎の
地獄極楽図の大作の一部を。
平成館の企画展示室では
特集「キリシタン関係遺品にみる聖母マリア信仰」
として、通称、親指のマリアさまがお出ましです。
他、厳しい弾圧の元、踏み絵という厳しい苦行がありました。
敬虔な信者に対する、無慈悲な拷問が待ち受けていたのでした。
祈りに対する信仰の深さに頭を垂れます。
真夏にむかうトーハクの緑も一段と深まっているようでした。