阿部ブログ

日々思うこと

無燃料・超長時間飛行可能な航空機とその活用

2009年07月11日 | 日記
太陽電池で発電した電力のみで24時間連続飛行が可能な航空機が存在する。
日中は、翼全面のソーラーパネルによる電力で飛行し、夜間は蓄電した電力で飛行するもので、この種の航空機としてはNASAが開発した「ヘリオス・プロトタイプ(Helios Prototype)」とキネティック(Qinetiq)社(UK)の「ジェフィアー(Zephyr)」がある。

どちらも無人機で、現在の長時間飛行記録はジェフィアーの82時間37分。単なる研究のように見えるが、無燃料で超長時間飛行が可能な航空機の用途は意外に広い。アメリカ海洋大気庁(NOAA)はハリケーン・竜巻・洪水などの監視用として検討しているし、国土防衛分野、地球科学分野は勿論の事、通信プラットフォーム、3次元地理空間情報収集、海域監視、大気・空域モニタリングなどなどである。

現在ソーラーパネルは高価な衛星用パネルを用いているが、これを安価かつ軽量化するアイディアがある。ワシントン大学の田谷稔教授は生物由来(浅い水辺で育つ紫色の微生物に含まれている)の色素による「色素増感太陽電池」を開発し、それをソーラーエネルギー・セル(ソーラーパネルの部品)に組み込んだ。このセルに今、米空軍が着目している※1。無人航空機(UAV)への充電には大量のセルが必要であるが、これを現状の半導体セルから色素増感セルに変える事により、従来の半導体のものに比べて製造コスト4分の1と安価で、しかも小型化・軽量化が実現できる。起電効率は少し劣るが、3年から5年後の実用化に向けて開発を進めている。

我が国は、広大な排他的経済水域を有し多数の島々からなる国家であり、どのように国土全域を監視・観測し、国益を如何に保全するのかが国家的課題であるが、無燃料・超長時間航空機の複数機同時運用とニアスペース(20km~100kmの空域)無人飛行船※2の併用により安価かつ効果的に行える可能性がある。

国家財政逼迫の折、従来にない斬新なアイディアによる問題解決が望まれている。

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