阿部ブログ

日々思うこと

3.11以降の都市復興におけるスマートシティ基盤システム開発の必要性

2011年03月23日 | 日記
今盛んに喧伝されているスマートシティを実現する情報システムのアーキテクチャにはどのような要素技術が必要なのか?についてITベンダー、重電会社数社にヒアリングを行った。その結果、各社が検討しているアーキテクチャは共通している事が判明した。

ヒアリングによれば、いよいよ市民の安全・安心、快適性と利便性、及び低炭素な社会インフラを最適制御する為に、本当の意味でのユビキタス社会が現出する。つまり膨大なセンサーや多様なデバイスがインターネットに接続さる。接続されたセンシングデータは勿論の事、テキストデータや音声、画像、動画など様々な形式のデータが絶え間なく奔流の如くリアルタイムで流れる事となる。このデータストリームを瞬時に収集・分析し、必要なアクションを行なえる情報システムが必要であるが、このような大規模分散・リアルタイム処理&制御を実現するアーキテクチャをストリーム・コンピューティングと言う。

ストリーム・コンピューティングは、スマートシティと言う現実世界に生起する多彩な事象と状況の変化をリアルタイムに観測・識別し分析する事で、その事象に対する必要なアクションを起こし、様々な機器を一斉に制御しつつ、必要な情報提供や適切なサービスを必要な人と制御機器に提供することを可能にする考え方である。

このストリーム・コンピューティングを可能とすると目されているのがHadoopと呼ばれる大規模分散処理ソフトウェアである。ヒアリングした各社は全てこのHadoopをコアにしてアーキテクチャを考えている。このHadoopはオープンソースで提供され無料ながら、データストリームに対して最初に変換・フィルタリング処理を行い、意味あるイベントを抽出するためのデータ平準化を行なう。
その後、複合イベント処理(Complex Event Processing)の仕組みにより、意味のあるイベントメッセージを抽出し、この抽出されたデータに基づいてデバイスや制御装置、及び当該事象に関係する全ての担当者に状況をレポートする事を可能とするソフトウェアである。このストリーム・コンピューティングは従来のグリッド・コンピューティングにリアルタイム性を付加したものであると言えるが、データストリームの量と分析の複雑性、応答時間などに合わせて、その時々の実行環境の最適化がなされなければならない為、ストリーム・コンピューティングの実現には新たな開発手法が必須となる。

また単体のプログラムを1台のマシンでもクラスタ接続した数百台のマシンでも実行可能にしつつ、ストリーム・コンピューター群から得られるイベント情報を基に複数のプログラム群を自動的にクラスタ上に最適配置する技術が必要となるなど解決すべき課題は多いものの、3.11を経験した我が国においては被災した東北の復興に際し全ての都市をスマート化し、将来の災害への対応能力を飛躍的に向上させる事が必要である。

この為にもスマートシティ基盤システムを早期に開発・構築し、安全・安心で、持続可能な社会の形成にITベンダー&重電会社は各社の思惑を越えて協同し日本民族全体に貢献する必要がある。

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