阿部ブログ

日々思うこと

IBMの 『Global Human Capital Study』 2010年版要旨

2011年01月04日 | 日記
昨年『Global Human Capital Study』がIBMより発表された。
このレポートは2003年から2年間隔で調査の結果をレポートしているもので、世界61カ国、約700名にヒアリングした結果を報告書としてまとめたもの。
2010年度版のポイントは3点。

 (1)創造力のあるリーダーの育成

 (2)知の共有化

 (3)スピードと柔軟性に対する人材の確保

この『Global Human Capital Study』2010年版によると、日本企業における人事領域の重要テーマは、

 (1)将来のリーダーの育成

 (2)組織が跨った人材の効果的配置

 (3)組織横断的な協業と知の共有

の3つが挙げられている。

グローバル化と言われて久しいが、グローバル人材=英語の出来る人ではない。Creative Leadershipと言う言葉で表される能力、特にゼロ・スクラッチからのビジネス創造をリーダーとして創り上げる能力が期待されている。

グローバル人材育成の2つのポイントとは、適切な資質とスキルをどのように捉えるのか?
またどうやって様々な経験をさせキャリアアップさせる事ができるのか?
この2点はIBMでも大きな課題である。今後、この2つのポイントをどのように企業文化に組込んで定着させるのか。
IBMの場合には、9つのリーダーシップ・コンピテンシーが示されている。これはガースナーがCEOに就任した時代に考えられ、当時は13あったが、現在は8つ。興味深いので全てを記載する。

 (1)あくなきチャレンジ精神の発揮

 (2)お客様の成功を支えるパートナー

 (3)グローバルな連携

 (4)体系的な思考に基づく行動

 (5)相互信頼の構築

 (6)専門能力を駆使した影響力

 (7)絶え間ない変革

 (8)相手にインパクトを与えるコミュニケーション

 (9)社員の成功を支援

このコンピテンシーは、当然時代とともに変わっていくものである。

グローバルな人材をどうやって適切な経験をさせていくのか?
ここで参考になりそうなのはGMの人材育成開発モデル。
このモデルにはGMとして必要な経験8項目が定義され、それぞれに「経験項目から学ぶべき事、知るべき事」が明示され、さらに「強化されるコンピテンシー」と「候補となるジョブアサイメント」を定義されているもの。

このようなタレント・マネジメントと呼ばれるものは、育成、選抜・評価、それと後継者育成の3つのサイクルをぐるぐる廻す。特に後継者の選抜については、後継者候補に対して適切なポジションを経験させ、必要な教育研修を受ける機会を優先して与える。後継者のポジショニングプランは、人をベースとした選抜と育成を基礎とした後継者計画の2つのサイクルからアウトプットをもとに実施している。

これを支援するシステムも当然ある。IBMの場合にはタレント・マネジメントなどグローバル人材の育成などを支援するDBシステムを構築している。このDBには全IBM社内の経営幹部候補者の情報が格納されている。

さてIBMでのリーダー育成は「4層ラーニングモデル」に体系化して、事前学習の部分はeラーニングで行なっていると言う。昔は集合研修でやっていたが、時間や場所などの制約により効果的ではなくコストも掛かる為、全てeラーニングに変えた。このeラーニングでは様々なケーススタディで疑似体験を経験する。後半は集合教育を行なう。
この「4層ラーニングモデル」はハーバード大学と共同で開発した。このモデルは現在ソニーなどが採用している。

ここで重要なグローバルリーダーの育成に関する成功要因を4つ示して終わりにする。

(1)一貫したメッセージを伝え続ける事

(2)リーダーによるリーダーの育成

(3)チャンスを与えて、自ら変わる事を経験させ、他をサポートする

(4)グローバル人材のネットワークと協働機会を提供する。

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