フジテレビの孫会社である㈱フィンズの澤野正邦社長のお話を聞く機会があった。
実はこの会社が入居している東品川のISビル前を毎朝歩いて通り過ぎている。ビル屋上にはパラボラアンテナがあり、フジテレビのマークもあるので一目瞭然。(工事中の東品川橋の川向はJAL本社ビル。)
フィンズは出来て間もない会社なので親会社であるフジミックの一角を曲がりしているとの事。
重要な社会インフラの一角を占めるテレビ放送を支えるミッションクリティカルなシステムについて、貴重なお話をお聞きできた事は非常に有益だ。
澤野社長によると、テレビ局の基幹システムは「編成営業放送システム」略して営放システムと言う。
営放システムは「番組」や「コマーシャル(CM)」の情報を秒単位で管理し、テレビ放送に必要な編成情報を作って「送出システム」に受け渡すシステム。
(1)今年7月に東北3県を除き、地上デジタル放送に切り替わったが、アナログ放送における営放システムとは異なり、地上デジタル放送に対応するためには、音声のチャンネル数や画像のクオリティ、帯域など放送制御信号を、番組制作の上流工程である編成作業と連携させる必要がある。この事から営放システムと送出システムを直結して運用されることとなるので、加盟28局は各社毎に営放システムの新規開発が必要となった。
フジテレビは、地上デジタル放送への切替えのタイミングで、基幹システムである各社の「営放システム」を共通開発して、IT投資を最小限する方針を立て「FNS標準営放システム」(編成・広報から営業・放送関連業務向けシステム)を開発した。
(2)フジテレビをキー局にするフジネットワーク(Fuji Network System、略称:FNS)は、は主として番組の相互供給を目的に組織されたネットワークであり、現在28局が、自局の放送番組の内、ニュース番組以外のものを融通している。
現在、FNS向けに、加盟28局中23局が共同利用する「FNS標準営放システム」のバージョン1をリリースし現在運用中である。
「FNS標準営放システム」に加入していない5局は、他のキー局とも契約している関係から今回は導入を見送りした。
今後は、全ての加盟28局を結び共有活用しているニュース速報、アーカイブデータ、メールなどの情報サービスを、「コミュニティ・クラウド・サービス」と言う形で提供する。この為、新たな会社㈱フィンズが2011年4月に設立され澤野氏が社長に就任。
(3)放送業界では他社の株式取得が、報道の自由と言う事で法律で20%に制限されていたが、地上手じたる放送に対応する為、設備投資などが嵩み経営を圧迫する懸念から、法律が改正され現在は33%となっている。
(4)フジテレビの編成作業は仙台で行っている。この編成情報をお台場のフジテレビに送られる。(澤野氏は実際の編成表とCMの割振り表を持参されており、業界用語では「ふんどし」と呼ばれているとの事)
CMは放送時間全体の18%以下と決められており、夜間に関しては1時間当たり6%に自主規制して放送している。
(5)FNS標準営放システムは、放送業界での実績ノウハウがある西日本コンピュータ㈱が開発し、クラウドサービスはIBMの「マネージド・クラウド・コンピューティング・サービス(IBM MCCS)」を利用した。システム開発の全体統括はフジサンケイグループのSI企業である㈱フジミックが担当。
(6)IBMのクラウドサービスを採用した理由は、従量課金制のサービスであり、業務量に応じて、基本使用量の最大4倍まで自動的に拡張可能な点。またサーバーやストレージを二重化することで、災害対策なども考慮した安定稼働が可能な事。
(7)FNSを構成する情報システムには、FNS加盟局のイントラネットである「FNS情報交換網(ネットコム)」がある。
(8)フジテレビを中心として、地上デジタル放送開始以降のシステムの方向性やあり姿を検討する為、「FNS明日のシステム研究会」(略して、あす研)を2007年に立上げ、差し渡し3年にわたり議論を詰めた。
この結果、加盟各局が個別にシステム開発するする調達から、共同でのシステム調達を行い、FNS共通のシステムとサービスを利用する体制への転換が望ましい、との結論に至り「FNS標準営放システム(バーション1)」が開発される契機となった。
(9)今後の展開としては、FNS情報システムセンターを稼働させるとの事。現在、営放システムは加盟局ごとに設置されているが、これをFNS情報システムセンターに設置する標準営放サーバーに集約し、加盟局はFNS情報交換網経由でデータをやり取りする仕組みに切替える。
FNS情報システムセンター設立の狙いは、①ITコスト削減、IT資産&IT関連業務の負担削減、②設備集約・共用運用、③業務・システムの標準化、④新規事業及び災害対応への柔軟即時対応で、2012年10月にFNS情報システムセンター機能の一部をリリースする。
可能な限りこのリリースの時点で、①FNN緊急速報(ニュース・天気・地震)と、②「情報連携(編成営業広報、放送運行)」、③「ニュース素材交換」などのサービスも行ないたい。
(10)このFNS情報システムセンターの運営の委託先が、㈱フジミック、日本IBM、西日本コンピュータ3社の共同出資会社「フィンズ」である。
(11)現在「FNS標準営放システム・バージョン2」を開発中で、2013年春にサービスインするスケジュールで動いている。バージョン2の特徴は、FNS系列の標準システムとは言いながら、加盟局によってはカスタマイズして運用している現状があり、バージョン2では、23個存在する営放システムを完全一本化する。また「ふんどし(編成表)」のフォーマットも全て一緒にする。つまり業務プロセスも一つにすると言う事になる。
この為、FNS標準営放システムバージョン2に搭載する機能を決める為、標準営放システムV2検討委員会を立ち上げた。
(12)標準営放システムV2委員会では、①編成広報、②営業業務、③放送などの分野ごとの会議体を組成し、この場で様々議論をし、標準機能を決める。各標準化会議で決定した内容は1年掛けて機能仕様書として取りまとめて、加盟23局で全てでレビューを実施し、承認を頂く、手間は掛かるが確実に作業を進捗させる方式を採用した。
澤野社長は最後に、バージョン2の標準営放システム開発においては、各社にとって中核業務である編成作業や関連作業における業務プロセスの共通化などと言う、非常に困難、かつ厳しい対応が求められるプロジェクトにおいては、仙台における○○部長さんのリーダーシップと人柄、各社のIT担当者の地道で、忍耐強い説明と丁寧な社内対応など、ベタベタの人間系が重要な成功ファクターであると述べられた。
同社の成功を祈念して筆をおきたい。
実はこの会社が入居している東品川のISビル前を毎朝歩いて通り過ぎている。ビル屋上にはパラボラアンテナがあり、フジテレビのマークもあるので一目瞭然。(工事中の東品川橋の川向はJAL本社ビル。)
フィンズは出来て間もない会社なので親会社であるフジミックの一角を曲がりしているとの事。
重要な社会インフラの一角を占めるテレビ放送を支えるミッションクリティカルなシステムについて、貴重なお話をお聞きできた事は非常に有益だ。
澤野社長によると、テレビ局の基幹システムは「編成営業放送システム」略して営放システムと言う。
営放システムは「番組」や「コマーシャル(CM)」の情報を秒単位で管理し、テレビ放送に必要な編成情報を作って「送出システム」に受け渡すシステム。
(1)今年7月に東北3県を除き、地上デジタル放送に切り替わったが、アナログ放送における営放システムとは異なり、地上デジタル放送に対応するためには、音声のチャンネル数や画像のクオリティ、帯域など放送制御信号を、番組制作の上流工程である編成作業と連携させる必要がある。この事から営放システムと送出システムを直結して運用されることとなるので、加盟28局は各社毎に営放システムの新規開発が必要となった。
フジテレビは、地上デジタル放送への切替えのタイミングで、基幹システムである各社の「営放システム」を共通開発して、IT投資を最小限する方針を立て「FNS標準営放システム」(編成・広報から営業・放送関連業務向けシステム)を開発した。
(2)フジテレビをキー局にするフジネットワーク(Fuji Network System、略称:FNS)は、は主として番組の相互供給を目的に組織されたネットワークであり、現在28局が、自局の放送番組の内、ニュース番組以外のものを融通している。
現在、FNS向けに、加盟28局中23局が共同利用する「FNS標準営放システム」のバージョン1をリリースし現在運用中である。
「FNS標準営放システム」に加入していない5局は、他のキー局とも契約している関係から今回は導入を見送りした。
今後は、全ての加盟28局を結び共有活用しているニュース速報、アーカイブデータ、メールなどの情報サービスを、「コミュニティ・クラウド・サービス」と言う形で提供する。この為、新たな会社㈱フィンズが2011年4月に設立され澤野氏が社長に就任。
(3)放送業界では他社の株式取得が、報道の自由と言う事で法律で20%に制限されていたが、地上手じたる放送に対応する為、設備投資などが嵩み経営を圧迫する懸念から、法律が改正され現在は33%となっている。
(4)フジテレビの編成作業は仙台で行っている。この編成情報をお台場のフジテレビに送られる。(澤野氏は実際の編成表とCMの割振り表を持参されており、業界用語では「ふんどし」と呼ばれているとの事)
CMは放送時間全体の18%以下と決められており、夜間に関しては1時間当たり6%に自主規制して放送している。
(5)FNS標準営放システムは、放送業界での実績ノウハウがある西日本コンピュータ㈱が開発し、クラウドサービスはIBMの「マネージド・クラウド・コンピューティング・サービス(IBM MCCS)」を利用した。システム開発の全体統括はフジサンケイグループのSI企業である㈱フジミックが担当。
(6)IBMのクラウドサービスを採用した理由は、従量課金制のサービスであり、業務量に応じて、基本使用量の最大4倍まで自動的に拡張可能な点。またサーバーやストレージを二重化することで、災害対策なども考慮した安定稼働が可能な事。
(7)FNSを構成する情報システムには、FNS加盟局のイントラネットである「FNS情報交換網(ネットコム)」がある。
(8)フジテレビを中心として、地上デジタル放送開始以降のシステムの方向性やあり姿を検討する為、「FNS明日のシステム研究会」(略して、あす研)を2007年に立上げ、差し渡し3年にわたり議論を詰めた。
この結果、加盟各局が個別にシステム開発するする調達から、共同でのシステム調達を行い、FNS共通のシステムとサービスを利用する体制への転換が望ましい、との結論に至り「FNS標準営放システム(バーション1)」が開発される契機となった。
(9)今後の展開としては、FNS情報システムセンターを稼働させるとの事。現在、営放システムは加盟局ごとに設置されているが、これをFNS情報システムセンターに設置する標準営放サーバーに集約し、加盟局はFNS情報交換網経由でデータをやり取りする仕組みに切替える。
FNS情報システムセンター設立の狙いは、①ITコスト削減、IT資産&IT関連業務の負担削減、②設備集約・共用運用、③業務・システムの標準化、④新規事業及び災害対応への柔軟即時対応で、2012年10月にFNS情報システムセンター機能の一部をリリースする。
可能な限りこのリリースの時点で、①FNN緊急速報(ニュース・天気・地震)と、②「情報連携(編成営業広報、放送運行)」、③「ニュース素材交換」などのサービスも行ないたい。
(10)このFNS情報システムセンターの運営の委託先が、㈱フジミック、日本IBM、西日本コンピュータ3社の共同出資会社「フィンズ」である。
(11)現在「FNS標準営放システム・バージョン2」を開発中で、2013年春にサービスインするスケジュールで動いている。バージョン2の特徴は、FNS系列の標準システムとは言いながら、加盟局によってはカスタマイズして運用している現状があり、バージョン2では、23個存在する営放システムを完全一本化する。また「ふんどし(編成表)」のフォーマットも全て一緒にする。つまり業務プロセスも一つにすると言う事になる。
この為、FNS標準営放システムバージョン2に搭載する機能を決める為、標準営放システムV2検討委員会を立ち上げた。
(12)標準営放システムV2委員会では、①編成広報、②営業業務、③放送などの分野ごとの会議体を組成し、この場で様々議論をし、標準機能を決める。各標準化会議で決定した内容は1年掛けて機能仕様書として取りまとめて、加盟23局で全てでレビューを実施し、承認を頂く、手間は掛かるが確実に作業を進捗させる方式を採用した。
澤野社長は最後に、バージョン2の標準営放システム開発においては、各社にとって中核業務である編成作業や関連作業における業務プロセスの共通化などと言う、非常に困難、かつ厳しい対応が求められるプロジェクトにおいては、仙台における○○部長さんのリーダーシップと人柄、各社のIT担当者の地道で、忍耐強い説明と丁寧な社内対応など、ベタベタの人間系が重要な成功ファクターであると述べられた。
同社の成功を祈念して筆をおきたい。