阿部ブログ

日々思うこと

リチウムイオン電池の概要

2011年01月06日 | 日記
リチウムイオン電池は、従来の電池を越えるエネルギー密度を持つ電池として登場し、1991年にソニー・エナジー・テックが世界で初めて量産化に成功した。

リチウムイオン電池は、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することにより充電・放電を行う電池で、約3.7Vという高い放電電圧を持ちながら、リチウムの溶解・析出反応を伴わないため、500回以上の充放電に耐える性能を有する。(東芝のSiCBは約6000回の充放電が可能とされる)
このリチウムイオン電池は、正極材、負極材、電解液、セパレータ、バインダ/集電板なとから構成される。

正極・負極の電極材料としては、正極活物質としてコバルト酸リチウム (LiCoO2)、負極活物質としてはグラファイトやハードカーボンなど炭素材料が用いられているが、更なる高出力化、高容量化が求められており、各社において新規電極材料の研究開発がなされている。特に、自動車分野をターゲットにした開発が進められておりハイブリッド車の場合、放電容量(エネルギー密度)より入出力特性(出力密度)が重視されるため、電池のサイクル寿命の向上、安全性、低価格化が求められる。

リチウムイオン電池は、エネルギー密度や出力密度などの性能面で、他の蓄電デバイスに比べ優れているため、将来的にリチウムイオン電池が採用される製品用途は多岐にわたると考えられており、市場規模は2011年には、515億円、2014年には950億円に成長すると予測 されている。

リチウムイオン電池の需要は、今の所ハイブリッド車が高いシェアを占めており、今後、米国におけるグリーン・ニューディール政策の進展により更に需要が喚起されると考えられ、この米国においては蓄電池技術に関して戦略的かつ重点的に大規模な投資が行われている。

このリチウムイオン電池は、市場に登場してから十数年でエネルギー密度は2倍以上に達し、外装材としてのアルミの採用、ポリマー電池などのラミネートタイプの実用化といった技術革新を経て、今後も更なる軽量化・薄型化も進められている。
またリチウムイオン電池の低価格化については、本格的にハイブリッド、電気自動車が生産される2012年以降の量産効果により進むと考えられる。また、安全性を高める為、電池工業会がリチウムイオン電池の規格化を推進しており、これが実現すると部材の共通化などにより低価格化につながる可能性がある。

但し、中国でのレアアース禁輸措置などに代表されるように、レアメタル系資源に大きく依存するリチウムイオン電池の価格については、希少金属資源マーケット(コバルト、ニッケル、マンガンなど)の価格動向に留意する必要がある。

最新の画像もっと見る