阿部ブログ

日々思うこと

太陽活動極小期と宇宙線飛来による影響

2012年04月23日 | 日記
最近、太陽が気になって仕方がない。
過去にも「太陽活動が電力システムに与える影響」を掲載し、太陽からのメガフレアの脅威について書いたが、直近でも太陽観測衛星「ひので」による太陽極域での磁場反転現象の観測について書いている。

気になっている点は、太陽活動の低迷による宇宙線が地球に降り注ぐことによる影響だ。
過去45年間にわたり宇宙線を中性子モニターで観測しているオウル大学のデータを見ると、地球への宇宙線量が観測史上最高となっている。

これは「ひので」の観測からも明らかで、従来の極小期とは異なる乱れた太陽風構造と太陽風圧力の低下が観測されており、この太陽風活動の低下により宇宙線が太陽圏内に進入しやすくなっている。

カリフォルニア工科大学の宇宙科学者らが『Astrophysical Journal Letters』誌に発表した記事によると、2009年の宇宙線量が、前回の太陽活動低下期と比べて、20~26%多かったことを明らかにしている。
また北極や南極で採取した氷床コアに含まれる放射性物質を測定した結果、過去500年間の宇宙線量を調査した結果、1970年代初頭から比較して、特に南極の氷床コアでは宇宙線量が40%~80%多いと結論している。つまり長期トレンドとして太陽の活動は弱くなっている事がデータから明らかでである。

短期の「ひので」の観測データからも約5%宇宙線量が増えていると結果づけている。両者の間には開きがあるが、宇宙線量が増えているのは間違いない。

宇宙線は、普通太陽風によってエネルギーの弱い粒子は弾かれる。太陽風は、太陽系の周囲に「太陽圏」と呼ばれる宇宙線シールドを形成して地球圏を防護している。
しかし、この太陽系のシールド効果は、太陽の活動周期によって変動する。つまり黒点や太陽フレアが増える太陽活動極大期と、活動が低迷する太陽活動極小期である。これを太陽は11年程度の期間をおいて繰り返している。

つまり太陽活動極小期には、太陽系外からの宇宙線の地球圏への到達量が飛躍的に増える事が懸念される。

知人の天文学者は既に、宇宙線増加が地球に及ぼす影響を明確に認知している。特に宇宙空間に浮かぶ探査機や偵察衛星では宇宙線の影響と思われるシステム・エラーが確実に増えていると言っている。

何れにせよ、太陽からのメガフレ、地球圏に降り注ぐ宇宙線など宇宙環境の観測と予報、そしてメガフレアの発生については迅速な対応が必要だ。


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