阿部ブログ

日々思うこと

柴田哲孝氏の 「異聞 大平洋戦記」

2011年03月19日 | 日記
柴田哲孝と言う作家がいる。
彼の最新著書である「異聞大平洋戦記」を浜松町の本屋で購入し電車の中で読み始めたが、その日の午後には読了した。久し振りにそのストーリーにのめりこんだ。
この本を読んで、昔からの東京大空襲に対する疑問が氷解した。

3月10日の大空襲の5日前、3月5日インドネシア産業と言う会社の社長と専務が空襲される下町に住む授業員に対し9日、もしくは10日に空襲があり火の海になるから逃げろと指示して回ったと言う。事実、本所区や浅草区に住む従業員は全員無事だったと言う。
この日は防空戦闘機も殆どB-29への攻撃命令を受けておらず、首都圏に配備された300機を超える戦闘機が迎撃に飛び立つ事も無かったと言う。
この日来襲したB-29、325機は完全な丸腰であった。全ての銃器と弾薬を外し、4人の射手もこの攻撃には搭乗せず、通常より4トン多い焼夷弾を搭載し、高度2000メートル程度で進入したと言う無謀な作戦だった。
東京大空襲を実施した第73爆撃団の指揮官らは、当然の如く猛反対した記録がのこされている。カーチス・ルメイ少将はこの抗議にこう答えたという。
「大丈夫、日本軍は攻撃してこない。安心しろ」と。

戦時でも日米両政府の間には、密なコミュニケーションが交わされ、相互調整しながら戦争を進めていた傍証をこの本は示している。
日本とドイツが戦争に負けたのは、外交&軍事の暗号が解読されていたからと言う事が喧伝されているが、それは違う。連合国と枢軸国の暗号解読能力は互角だった。暗号解読を表面に出して、視線をそらせ事実を誤認させようとしている。

「異聞 太平洋戦記」は必読だ。

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