阿部ブログ

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産総研がディスプロシウム(Dy)不要の高性能「等方性焼結磁石」を開発!

2011年07月11日 | 日記

レアアースの価格高騰が続いている。とりわけ供給不安が深刻なネオジム(Nd)とディスプロシウム(Dy)の取引価格は、先1年前と比較して、それぞれ5倍と10倍に高騰している。特に7月7日にはディスプロシウムが2400㌦USD/kgを超え、今週中には2500㌦に迫る勢いだ。

レアアースの価格高騰と輸入制限の影響により、ついに磁石の国内シェア4割を占める昭和電工が、中国国内での生産を増やす決定をした。今後も中国のレアアース輸出規制により、生産が制約されるリスクを回避する狙いがあるが、磁石製造に関する技術は、確実に中国に流出する事になるだろう。

無能な民主党政権には、今更何も期待できないが、レアアースを巡る対中国問題は、単なる資源問題では無い事を認識し、早急に必要な政策を打ち出し、速やかに実行するべきだ。

こんな中、産業技術総合研究所(産総研)サステナブルマテリアル研究部門相制御材料研究グループが快挙を成し遂げている。つまりディスプロシウムを必要としない高性能磁石の開発に成功したのだ。素晴らしい!

産総研は、現在最強の「ネオジム-鉄-ホウ素(Nd-Fe-B)」系磁石に次ぐ高い磁石特性を持つ材料の「等方性サマリウム-鉄-窒素(Sm-Fe-N)系」磁石(大同特殊鋼)の粉末を使って、温度400℃を1分間保持し焼結させ「等方性焼結磁石」を生成した所、この焼結磁石の残留磁束密度0.91T(9.1kG)、保磁力770kA/m(9.68kOe)、最大エネルギー積129kJ/m3(16.2MGOe)であり、最大エネルギー積約88%の性能を維持していることを確認したと言う。

ディスプロシウムは、100%中国からの輸入に頼っており、ディスプロシウムを含有しない高性能磁石の開発が喫緊の課題となっていたが、今回産総研は、磁石粉末としての特性は高いが、500℃以上の高温で焼結すると磁石特性を失ってしまう「サマリウム-鉄-窒素(Sm-Fe-N)系」磁石粉末に対し、アモルファス合金粉末を低温で高密度に焼結する技術適用し、500℃以下での焼結実験を繰り返し、今回、最大エネルギー積100kJ/m3に満たなかったものを、129kJ/m3に引き上げる事に成功した。

成功の要因は、前述のように400℃程度の低温でサマリウム-鉄-窒素(Sm-Fe-N)系」磁石粉末をパルス電流によって焼結し、荷重制御をするためのサーボプレスを組み合わせた新たな焼結法を用いた。パルス電流による焼結法を「パルス通電焼結法」と言うが、これは文字通り粉末の入った金型に電流パルスを流して焼結を行うもの。

通常、金型と粉末は双方ともに電気抵抗を持つため、金型と磁石粉末自身が発熱するが、パルス電流を使うと粉体の温度を上げることなく粉末界面での結合を促進することが可能となる。これにより粉末特性を低下させることなく焼結することが可能となったもの。

産総研では、今回作製された「等方性Sm-Fe-N系焼結磁石」は、Dyを使用しない為、レアアース資源の寡占状態の緩和に貢献することが期待されるとしており、今後は、異方性のSm-Fe-N系磁石粉末を用いて異方性焼結磁石を開発し、焼結技術だけではなく、磁石粉末自体の研究開発を行って、更に高性能なSm-Fe-N磁石の開発を目指すとしている。

今後の開発に大いに期待する。
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