阿部ブログ

日々思うこと

世界の脅威に関する米上院情報委員会公聴会

2013年03月16日 | 日記
米国の安全保障に対する世界の脅威に関する上院情報委員会の公聴会が、3月12日開催され、ジェームズ・クラッパー国家情報長官が、北朝鮮やイランの大量破壊兵器やサイバーテロなどについて証言を行った。ちなみに国家情報長官は、米国のインテリジェンス・コミュニティの情報機関相互の活動の調整と情報の一元化を行う組織。

さて国家情報長官の証言内容については、以下のURLを参照下さい。

Remarks as Delivered by DNI James R. Clapper on the 2013 Worldwide Assessment Office of the Director of National Intelligence, March 12, 2013

また公聴会に提出された「アメリカに対する『世界の脅威』評価年次報告書」(34ページ)と公聴会の模様は以下のURLを参照。
Open Hearing: Current and Projected National Security Threats to the United States U.S. Select Committee on Intelligence, March 12, 2013

上院情報委員会の公聴会でのジェームズ・クラッパー国家情報長官の証言のポイントは以下です。

・米国における第1の脅威として、テロによる破壊活動ではなく、サイバー空間における攻撃とスパイ活動を第1に挙げている。長官は、アメリカにとって大惨事をもたらすようなテロ攻撃が発生する可能性は、従来に比べれば低くなった」と述べている。またIT分野においては専門家ら対応できないほどの技術革新が進んでいることを挙げており、サイバー攻撃による奇襲攻撃などの脅威が高まっているとの認識が背景にある。

・米国の安全保障に関する他の脅威として、世界的な核拡散の脅威。特に核兵器開発を進める北朝鮮の動向や、アラブの春を起因とする中東諸国の民衆による体制変革運動と、その後の地域不安定化。中国の軍事拡張と周辺諸国との国境紛争、特に西太平洋への海軍力の伸張。それとキューバにおいて予測される政治移行プロセスなどを脅威として挙げている。

・イランの核兵器開発とそれに関連するウラン濃縮や長距離弾道ミサイルの開発&製造におけるイランの技術的進歩についてのインテリジェンス・コミュニティーは、未だイランの指導層が核兵器製造を決断していないとの見解を示している。

・シリア内戦に関してインテリジェンス・コミュニティーは、バッシャール・アサド政権の権力基盤と軍事力は弱体化しているとの評価で、CIAや軍情報機関は、シリアの反体制派は、アレッポやダマスカス、そしてホムスといった都市を掌握できてはいないが、反体制派は、周縁の農村部を支配下に収めており活動基盤が確立している。

その他、米国インテリジェンス・コミュニティーの様々な見解が示されており、行間を読む必要はあるが、読み物としては面白いと思う。