阿部ブログ

日々思うこと

ウラン233爆弾

2011年01月25日 | 日記
リチャード・ローズ著の『原爆から水爆へ』(上)の176ページにはウラン233爆弾についての記述がある。

ウラン233はウラン235よりさらに希少だが、原子番号90のトリウムから変換する事ができる。
トリウムは柔らかい銀白色の放射性金属で、1829年にスウェーデンで発見された。
トリウムは、モナズ砂を精錬して得られるが、ブラジルや南北カロライナ州にはモナズ砂の大規模な鉱床があった。
もし、ウラン233が爆弾の原料として使えることが判明すれば、ウラン238からプルトニウムをつくるのと全く同じように、原子炉の中でトリウムからウラン233をつくって、プルトニウムの場合と同様に、母材から化学的な手段で分離することができる。
これはウラン238とウラン235を物理的な手段で分離するより、はるかに容易である。

同書の注釈には、ウラン233は爆弾には適さないことが、後に判明している。原子炉内でトリウムを変換させると、ウラン233とともに、ウランのもう一つの希少同位体ウラン232も生成する。
ウラン232+は大量のアルファ粒子を放出し、アルファ粒子は、物質中の不純物から中性子をたたき出すために、早期爆発が誘発されてしまうからだ。
それでもやはり、アメリカは多数のウラン233爆弾について実験を行った。

同書は旧ソビエトの原爆スパイ活動という公然活動について、情報が豊富で一読の価値はある。
</stron2g>