「ハイレベルのバトル、激闘でした!」
試合終了直後、実況アナウンサーが、そう叫んでいた。
「J1でこういう試合が増えたら、面白くなりますよね。」
「J1のレベルが上がりますね。」
アナウンサーと解説の森崎浩司は、こんな会話を交わしていた。
そうだよ。アルビもすごいだろ!
1-1のドローに終わったものの、後半戦の最初の試合は白熱した好試合だった。
試合のスタッツを見ると、ボールの支配率こそ新潟が高かったものの、ゴールのチャンスは広島の方が多かった。
ボールを支配しようとする新潟、そのボールを奪ってチャンスを作ろうとする広島。
両チームの戦い方が、くっきりと浮かび出た試合展開だった。
好ゲームを展開するときには、GKの働きが欠かせない。
今日の新潟の守護神は、小島ではなく阿部航斗だった。
開始早々に、広島の鋭いシュートを浴びたが、2本続けてスーパーセーブを見せた。
試合後半にも、相手の無回転のミドルシュートを枠外にはじき出した。
日頃は小島の陰に隠れているが、今日は全く引けを取らない活躍ぶりだった。
その活躍もあり、先制したのは新潟だった。
自陣深くからボールを何本もパスをつなぎ、最後は小見がドリブルからゴール前にボールを入れた。
そこに走り込んだ谷口が見事にダイレクトなワンタッチでシュートを決めた。
このゴールには、解説の森崎さんも、「見事!」と感心していた。
ただ、上位に位置する広島もさすがだった。
前半26分、3月にシーズン開始間もないというのに、裏切るような形で新潟を出ていった某選手がクロスを上げると、そこに飛び込んだ広島のFWの選手に同点弾を食らってしまった。
GK航斗もよく触ったのだが、ボールの勢いの方が勝っていた。
同点となったそこからは、目が離せなかった。
私は、どちらが勝つか分からないというドキドキ感にずっと包まれていた。
両チームともに、ボールを持つ相手を1対1で止めるのは難しかった。
最近、DAZNでアウェイ戦を見ていると、解説者が皆、一様に新潟の選手たちのプレーぶりに感心することが多い。
アウェイチームの場合、そのチームの選手だったことが多いため、乗り込んでくる新潟の選手たちのパフォーマンスを見ることが少ないのだろう。
だから、実際に新潟のプレーを見て、引き付けられるものがたくさん見つかるようだ。
この試合でも、新潟の選手たちがパスでつないでいくボールを、広島の選手たちがなかなか奪えないシーンがよくあった。
「新潟の選手たちは、足元の技術がしっかりしていますね。」
森崎さんも、そう言ってほめていた。
そんな好試合で、ようやく小野裕二が復活。
後半81分に交代出場し、一度エリア内でラストパスをシュートするシーンを見せてくれた。
ぴたりと止まるトラップはさすがだったが、その直後のシュートが枠をとらえられず残念だった。
だが、今まで故障していた分を、FWとしてこれから取り返してもらうことにしよう。
なにしろ、今までがんばっていたFW鈴木孝司が負傷して退場してしまったのだから。
今度は、君が頼りだ。
さて、好試合ではあったが、獲得できた勝ち点は1のみ。
残念ながら、順位はまた下がって、16位になってしまった。
でも、どんな相手であっても、見ている人を引き付ける魅力のある試合をしているのは確かなのだ。
あとは、勝利をつかむだけなのだ。
3日後にはアウェイ札幌でのデーゲームとなる新潟。
広島から北海道へ。
移動も楽ではないし、休養も十分に取れないままだ。
でも、今のチームなら、なんとかできるだろう。
きっと今日以上の好ゲームを見せてくれるはずだ。
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