録画とはいえ、すごい試合を見た。
朝になって、世界卓球2023、準々決勝の結果を知った。
男子シングルスの張本が中国選手に負けた。
女子シングルスの伊藤が中国選手に負けた。
残るは、今や日本のエースの早田ひな選手のみ。
しかし、早田の相手も中国選手。
どうだったのだろうと、結果を検索した。
すると、なんと早田がゲームカウント4-3で勝っていた!
しかも、最後のスコアが、21-19である。
昔のルールでは、卓球は1ゲームが21本先取での試合であった。
今のルールでは、11本先に取れば勝ちである。
つまり、10―10からジュースを10回繰り返したということだ。
しかも、最終ゲームでだ。
なんと壮絶な試合だろう。
そんな試合は見たことがない。
卓球史に残ることだろう。
結果を知った後ではあるが、調べてみると、YouTubeでその試合のすべてが見られると知った。
さっそく見てみようと思った。
早田ひな対中国・王芸迪の対戦。
過去2戦2敗。
世界ランクは、早田10位対王3位。
明らかに格上との対戦だった。
世界3位に気後れせず強気に攻める早田。
第1ゲームを取られても、第5ゲームまでで逆転して3-2とリードした。
しかし、さすがにそこは最強中国、第6ゲームを取り返し、最終第7ゲームへ。
積極的な早田は、8-5とリードしたが、なんとそこから5連続で王に巻き返され、8-10とマッチポイントを握られた。
ここを自身のサーブからのラリーで2点を連取、ジュースに持ち込んだ。
これだけでもすごいのに、ここから先がもっとすごかった。
ジュースをなんと10回繰り返す。
ここでも、10回のうち7回は相手が先にポイントを取った。
あと1点失うと敗退するというピンチを合計9度もしのいだ。
ラリーの中では、相手の鋭いスマッシュも食らったことが何度もあったのだが、バックハンドでそれを返し、相手に粘り勝ちしたのは見事だった。
そして、ジュースも10回目を数えたとき、早田が先にポイントを奪った。
彼女にとって、ようやく3回目のマッチポイントだ。
最後は、早田のバックハンドのクロスボールが、ノータッチで相手のフォアを抜いて行った。
何とすごい精神力だろう。
9度もマッチポイントを握られながらも、それをしのぐという粘り強さ。
普通は、その圧迫感に心が折れてしまうものだ。
なのに、彼女は、負けなかった。
豊富な練習量に裏打ちされた技術と、自分を信じて戦うという心の強さが、早田を支えていた。
「努力してきたことが無駄ではなかった」
「自分がやってきたことに間違いはない」
と試合後のインタビューで涙を見せしながら彼女は答えていた。
試合も、インタビューも見終えて、この50foxじいさんもうるうるきてしまった。
これで、銅メダル以上のメダルの獲得が決まった。
世界選手権で、日本の女子選手が、中国選手に勝ってメダルを獲得するのは初めてなのだという。
すばらしい快挙であった。
そして、今日、準決勝が行われた。
さすがに、現在世界ランク1位の圧倒的女王、中国の孫穎莎にはかなわなかった。
それでも、第4ゲームを取り、一矢報いた。
第5ゲームも、終盤まで競る展開となった。
早田の粘り強さと対応力のすばらしさが十分に発揮された試合だった。
ただ、現状では、一歩及ばなかっただけだ。
大会前は、数歩離れていた差がそこまで縮まったように思えた。
敗れた早田は、涙をこぼしながらも、「最後の最後まで努力し続けたい」と、今後の自分の強い決意を語っていた。
そんな姿にも、50foxじいさんは、胸が熱くなった。
勝っても、負けても、感涙、感涙。
早田ひな選手、心を打つ戦いぶりでした。
すばらしい試合を見せてくれて、本当にありがとう。
そして、銅メダル獲得、おめでとうございます!