中村教授、ノーベル賞受賞おめでとうございました。心配していましたが良かったです。
徳島大学では名誉なことに中村修二氏とは共に客員教授だった。ただし、中村修二氏は既にカリフォルニア大学の教授でノーベル賞有力候補、私は大学発ベンチャー企業立ち上げのコーディネーターだった。
中村教授は年2回ぐらいだったかな、日本に来る機会があり、そんな時、講演を聞く事が出来た。そこでアメリカの大学事情を知る事となった。
アメリカの教授は夏休みに鞄を下げ、軍隊や企業へプレゼンに行く。そこで、1億円以上集めないと、実験をする学生を雇えず、大学を去ることになる(アメリカでは実験学生に給料を払う)。教授に年齢は関係ない。
特に、軍隊は予算が大きく重要なプレゼン先だが、軍隊から研究費を貰うにはアメリカ市民が条件のため、中村教授は2005年以降(不明)、アメリカ市民権を取得した。
当時から中村教授は文部科学省の事をけちょんけちょんに言っていた。大学入試はウルトラスーパークイズで意味が無い。ところてん方式で卒業するので入学後に勉強しないし世の中の役に立たないとの趣旨。
アメリカでは大学入試は日本ほど難しく無いものの、授業についてゆくのは大変なようだ。必死で勉強して、卒業できるのが約半分。彼らの目的は金持ちになる事で、目的が明確だ。
私も中村教授と同意見だったが、彼は歯に衣を着せず厳しく語る。文部科学省は相当カチンと来ていた事だろう。私は講演を聞きながら、文部科学省がブレーキをかけるからノーベル賞は暫く無理と思っていた。
そもそも文部省が国内のノーベル賞候補を推薦する。だから、東大関係者を推薦するケースが多いものの、実際には東大関係者の受賞は少ない。中村教授は真っ先に候補から落とされていただろう。これまでの文部科学省の情報を分析して疑いの余地が無い。
これは私の推定だが、中村教授がアメリカ市民権を得て数年経過した事でアメリカ側からの推薦が出来る事となり、今回の受賞となったと見る。日本は官僚が支配する村社会だから、文部科学省に睨まれたらまず不可能。
文部科学省が反対しても、中村教授はアメリカ市民だから関係無いじゃないかと反論できる。だから、残りお二人の受賞者は穏便な方々(文部科学省から見ると優等生)と思う。
他の理由として、日本のノーベル賞受賞候補者が今後減って行くことがあげられる。中村教授は最後の泥んこ世代だ。戦後の焼け野原から雑草のように育ち、泥んこになりながら、本能を呼び戻し、36億年間の大自然の知恵を授かった。
現在の子供は幼い頃から塾だの習い事など、手をかけすぎて、自分から冒険したり課題を解決したりという自発性が失われている。意味の無い情報を詰め込まれ、偏り過ぎた頭脳を持つロボットのようだ。パワーが無い。
中村教授の過激な発言に怒り狂った文部科学省の担当者もいなくなり(私が中村教授の講演を聞いたのが9年前)、何としてもノーベル賞受賞者を増やしたい文部科学省も柔軟化せざるを得なかったとは思われる。
中村教授は日亜化学に勤めながら、こつこつと試験装置を改造しメンテしながら実験をされていた。予算が無いから全部自分でやらざるを得なかったが、逆にそれがヒントにもつながり開発に至ったらしい。
当時、日亜化学から徳島大学に社員が来ていた。特許紛争の最中で、日亜化学の社員は中村教授を非難していた。私は、その社員には言わなかったが、日亜化学が500億円ぐらい中村教授に払ってしかるべきと考えていた。
中村教授は裁判には勝ったが何故か最後は尻切れトンボの8億円で幕引きしてしまった。日本の技術者はやくざな事務屋から踏み台にされ、利用され、無能な事務屋がトップに立つ。技術屋が晴れ舞台に出ることはまずない。
中村教授の発言をテレビで拝見して、当時とお変わりなく、はっきりと仰る。それでいいと思う。日本はあまりにも権力に遠慮しすぎて、何も言えない。国民は事実を知らない。文部科学省を強烈に批判して初のノーベル賞受賞は立派!