システムトレードには証券会社サポート方式と、疑似操作方式があると先に紹介した。後者は素人がやるにはハードルが高すぎ、証券会社サポート方式でもVBA(マクロ)でソフトを開発できるのは一部の人に限られる。そうなると、一般の人がシステムトレードしたい場合に、最も近いのは、エキーラやイージーランゲイジなどの専用言語を利用した方式となる。
エキーラ(ソフトはトレードシグナル)を使っているのは日本ではひまわり証券、イージーランゲイジ(同トレードステーション2000)はアメリカのトレードステーション証券であり、両方の言語は非常に近いと言われ、イージーランゲイジの本はいくつか発行されている。そこで、エキーラを学習する場合も、イージーランゲイジの本を購入することになる。トレーダーズ証券ではトレードスタジアムでシステム取引ができる。
授業方式で学びたい場合は、ひまわり証券の初級者コースやウェストビリッジ社(ソフト開発会社)などの講習会がある。本だけでは分かりにくいので、興味のある方は一度は参加されたらよい。専門家などとのネットワークも形成される。証券会社の場合は、安くて初歩的な知識を教えてくれるが、実際のソフトを開発していないので実践的な部分が弱い。
これらの専用ソフトはどんなものかというと、トレードに特化したソフトとなっており、専門知識が無くても取りあえず取引できるということだろう。つまり、アイデア(ストラテジー:戦略)が有れば、簡単に取引できるというわけだ。ソフトは簡単な英語を喋る感じ。例えば買い建てにはBUYを使い、実際にこれで買い建てられるから驚くほかはない。専用ソフト以外ではこうはいかない。
トレードのプログラムの部分が、ストラテジーと呼ばれるジャンルで分類され、補助ソフト的に関数がある。分析に使う移動平均線などの主な表示は豊富にインディケーターに揃っている。それぞれ、自分でも開発できるが、予めライブラリーが用意されていて利用できる。同じく、VBAでトレードソフトを開発する場合に比べて、開発は3倍以上、内容によっては100倍ぐらい楽だ。ただし、トレードシグナルを運用する全体のシステムを理解する必要があり、これは講習を受け、分からないことを電話で確認する必要がある。
エキーラが容易で楽なことは理解できるが、VBAを知っているものからすると、BAR(足)の動きに合わせて勝手に走るしどうも中身が分かりにくく、検証もできにくい。つい、つい、VBAで開発し、有効性を検証したうえで、エキーラなどに書き換えることになる。
エキーラ用には東大マスターとか、マエストロなどのソフトが発売されているがこれもやくざな商売で、ユーザーが増えれば、利益が減りリスクが増してしまう。運用成績が公表されているがこれは信用しないほうが良い。スリッページ(発注時の価格ずれ)や手数料などが入っていないので、良い成績でも半分ぐらいで考えておかないと期待外れになる。増してや、将来の利益を保証するものではない。
例えば、マエストロの調子が良い時は、1枚で1日50万円以上を稼いだ日もあった。年間の成績も700万円台という凄さだったが、その後、ユーザーが増えたせいか、稼いだ分をたちまち吐き出すような不調が続いた。マエストロも前日のアメリカの株価を逆張りする方法で、当たる日もあれば、外れる日もある。なぜ勝てるかといえば、18円(TOPIXでは1万倍だから18万円)を超える損が出たところで、ロスカット(取引中止)が入るので、株価が大きく変動する相場では有利になる。ところが、株価の変動が少ない、ユーザーが増えるとなると負けが込んでくることになる。
システムトレードは取引は巨額のお金が動くことで、勝つ人がいれば同じく負ける人がいる計算であり、実は儲けることは簡単ではない。システムトレードはとかく技術的な面に関心が行きがちだが、最後に行きつくのは、ロジック(戦略)の重要性である。良いロジックがあれば、有料で開発してもらう手がある。例えば、ウエストビリッジでは10万円程度からと聞いた。良いシステムを開発できれば一生食っていける。