
無藝荘(むげいそう)
蓼科をフワフワと散策していた、無藝荘に寄ってみた。
無藝荘は、小津安二郎が蓼科の別荘として利用していた建物である。10年ほど前に小津の生誕100年を記念し、数100メートルはなれた現在の場所「プール平」 へと移築された。この無藝荘の近くに脚本家、野田高悟の別荘「雲呼(うんこ) 荘」(この呼称は素晴しいネ!)も昔あった。小津達は執筆作業を蓼科に移して「東京暮色」から「秋刀魚の味」までの多くの作品をこの地で執筆した。茅野の酒「ダイヤ菊」もこのとき二人で大量に消費したようである。
蓼科の「プール平」という地名は今でもあるが、プールは今やない。でも、この地にまだ県営プールがポツンとあった遥か昔にわれわれ家族4人はこのプールで泳いだのである、22年前の出来事である、凄い!・・その日のプールの水はとても冷たかった、他にはだれもいなかった、「なんでこんなとこにプールを作るかな~?」と思った、でも子供達が喜んでいたので楽しかった。更に昔、このあたりはとても賑やかだったそうだ。
無藝荘の中に小津安二郎の写真があった。そこにはとてもいい感じの晩年の小津がいた。「私もこれからこんな感じで歳をとれたらカッコいいよね。」と妻に言った。そのあとよく考えてみると、この写真の小津より今の私の方がすでに歳をとっている事に気がついた。(か)

小津安二郎