goo blog サービス終了のお知らせ 

 玉川上水の木漏れ日の下

 ワヤン・トゥンジュク梅田一座のメンバー katakura のブログ  since 2013

撮影風景1「並んで並んで」

2014-04-01 | ワヤンのお話

並んで並んで
3月31日。日本の大手量販店の入口前で入店の順番を待つ行列。
左から「5番と6番」「7番と8番」の二組の人形、パンダワの双子の兄弟「ナクラとサハデワ」の二種類。

------------------------------
>ラクササ1「あら~奥さま!奥様も駆け込みのお買い物?明日から消費税が8%ですものね~。や~ね~。今日のうちに日常品は少しでも買いだめしとかないと。」
>ラクササ2「ほんと!やですわネ~わたしたちワヤン社会の底辺の貧乏なラクササには、ほんとうに負担ですわ~8%ですもの。食料品とかトイレットペーパーとかラクササが生きていくのに必要最低限のものへの課税率は低くしていただきたいワ~」
>ラクササ1「ほんとね~!・・”パスパティの矢” とか、”天駆ける馬車”とか、一部の高貴な人しか絶対に使わないようなモノにこそ課税すべきよね。高貴なパンダワ兄弟がうらやましい~」
>ナクラ  「イヤイヤ、わたしたちパンダワ兄弟にもこれは大変な負担ですよ。」
>サハデワ 「わたしたちは双子なのでなんでも負担が2倍です。」
>ラクササ2「そういえば、改めて見てみると、今日はなんと高貴なみなさまも並んでいらっしゃること?・・神様もいらしゃる!」
>ラクササ1「神様も節税には大変なのね~それにしてもいったい何をお買いになるのかしら?」
>並ぶ神様 「それはだナ~・・・神のみぞ知る」
(4月1日のバカ夢でした。)(か)
------------------------------


並んで並んで・200体の長蛇の列


カヨナンと宇宙

2014-03-23 | ワヤンのお話

「宇宙を撹拌するカヨナン」    制作:デザイン部長(は)

「2001年宇宙の旅」(*)より・・・最後に、ただ一人だけ木星探査船ディスカバリー号に残されたボーマン船長、彼は木星の衛星軌道上で巨大なモノリスと遭遇する・・・ことなっているが、彼が遭遇したのは実は「巨大なカヨナン」であった!・ハ・ハ・ハ
(*)アーサー・C・クラーク原作、スタンリー・キューブリック監督の名作。

--------------------------------------------
 いま、ワヤン・クリッ「影絵人形芝居」に登場する人形の撮影を計画しています。有名な人形だけではなく、出来るだけ多くの人形を撮影して、整理して記録しておこうという計画です。
 撮影はまだ先ですが、仲間うちで意見を出し合って、事前に撮影方法や記録としてのデータ処理のしかたなど、いろいろなテストを行っています。
 そんな作業の中、一座のデザイン部長(は)から上の合成写真「宇宙を撹拌するカヨナン」(題名は私が勝手につけました)が突然送られてきました、理由はよくわかりません?不思議な人です。
 緻密な作業の中での気晴らしに、作ってみた様です。なかなかお茶目な楽しい作品ですね。
 カヨナンは「宇宙樹」とも呼ばれます。カヨナンに描かれている「渦」と、宇宙の「渦」を見比べていると不思議な気持ちになってきます。カヨナンにこの「渦」の図柄を一番最初に描いた人(いったい誰なのだろう?)は、現在は明らかになっている「無数の銀河の渦の集合にってよって宇宙ができている」ことを、天体望遠鏡も無い遥か昔に、知っていたとしか思えませんネ。面白いですね。(か)


こんな「のどかな情景」バージョンもありました。
カヨナンの背景が透けて見えているところにご注目!凄い!
どうやって制作しているかは一座の「ヒ・ミ・ツ」。


--------------------------------------------
ダラン(う)のブログ『 バリ島ワヤン夢うつつ 』アーカイブス 
ワヤン>2009-10-12>「カヨナン」 より

 カヨナン?かなりのバリ通だって、ワヤンを見たことがなければ聞いたことの無い言葉だと思います。これは、ワヤンにとって、とても大切な人形の一つ。人形といっても手足のついている人形ではなくて、樹を象った人形です。<略>

 ジャワ島のワヤンではグヌンガンと呼ばれ、バリのカヨナンとは形も少し違います。でもジャワでもバリでも樹の形をして、森羅万象すべてを象徴する人形がワヤンの上演の最初にスクリーンに登場します。ワヤンを見た方なら思い出すでしょう。最初の場面までなら、たいてい起きているし。

 1983年に生まれてはじめてバリでワヤンを見たとき、この最初の部分を観ただけで、すっかりこの芸能に引き込まれてしまいました。そのスクリーンに映る美しさと、グンデル・ワヤンとよばれる音楽が吸い付きあうようなダイナミックな関係とスピーディーな迫力がすばらしいのです。ワヤンを上演するようになってからも、私はこの数分足らずの場面を演じるのが大好きです。  

ガムテープ依存症からの脱却

2014-01-27 | ワヤンのお話

マイクの完璧なセッティング。このメカニカルな感じが素晴しい!シビレます。

 ワヤン上演時のダランの台詞や歌はマイクで拾っています。このマイクは、影をつくり出すための光源となる裸電球を取付けた板の裏側にあります。マイクは上演中のダランの声を拾いやすい様に2本取り付けます。この取り付け方法が長い間の懸案事項でした。
 いままで毎回、簡単に言うとガムテープでベチャベチャと板に貼付けていました。終わるとそのガムテープをビリビリとはがして終了。毎回「なんだか、いつもこのガムテ汚らしいね」「なんとかしたいよね」「もっと知性を使った方法でカチャッと装着できないもんかね」「ほら、だれか頭使って考えろよナ~」と、お互いに言い合いながら18年が経ちました。以前はワヤンの上演も年一、二回だったのでマイクの取り付け方法のことなどすぐ忘れてしまっていたのですが、去年の様にほぼ毎月の様に公演があるとそうも言っていられません、そして前回の渋谷光塾公演の時にはとうとう本番中にガムテがはがれマイクが「・・ズリ・・ズリ」と下がって来たのでした。このアクシデントは現場でさらにガムテでベチャベチャにしてなんとかしのいだのですが、これじゃ~さすがにもうイケマセンや~。
 そこで(か)はマイクを持って東急ハンズに出かけ、金物売り場を徘徊する事30分、ついに理想の金物と巡り会たのでした。そこで完成したのが上の写真、マイクとは少し「アソビ」をとってフェルトを挟んで固定します。これは上演する会場によってはそこのワイヤレスマイクを使用するので、各種のマイクサイズに対応出来る様に考えているからです。天才とはそこまで考えるものなのです。カ・カ・(か)

 
 これからはじまる楽しい工作。

 
「オ~!これは凄い!完璧だ!」
「日本中のバリ・ワヤンのダランから注文が殺到するかもしれない?」
「でも日本にバリ・ワヤンのダランは一人だシ」
 
 
 その場しのぎの「ガムテープ依存症」だった我々一座も、
 これからは更生の道を歩む事が出来そうです。

クテンコン「ダランの友」

2013-12-20 | ワヤンのお話

クテンコンの仕事「人形箱を押さえる」

 ダランは右足の指に挟んだチュパラで、木箱をバシッ!バシッ!と蹴り込み強烈な「効果音」を出します。場面が白熱してくると「蹴り込み!」も強烈さを増してきます。木箱の横に座っているクテンコンは、箱が動かない様に懸命に押さえます(飛ばされそうになる事も?ハハ)。これも木箱の横に座るクテンコンの重要な仕事の一つです。木箱を押さえながら膝の上では次の人形の準備がされています。
 人形箱と反対側のクテンコンの前には木箱の蓋が置かれます。ダランはワヤン開始の合図、人形箱の蓋を軽く三回たたくと、ガバッ!と蓋を持ち上げてダランの右側のクテンコンの前に置きます。ワヤンの進行ではこの木箱の蓋の上のスペースは、常に次の場面のための人形を次々に準備し、すばやくダランに渡すための「準備の場」となります。ここでの準備の段取りしだいでワヤン全体のスピード感が変わります。
 下の写真は、次に登場する人形の組み合わせ、順番、向きが整えられ、操作する棒の絡みもなくきちっと準備されている完璧な状態です。素晴しい!。この状態で準備されていると、ダランは一目確認するだけで、人形をスッと掴みクリルの前へと登場させる事ができます。「スピード感」のある軽快なワヤンを演じることができるのですね。(か)

 
 クテンコンの仕事「人形の準備・整理整頓」
 常に物語の展開を考えて準備をしていきます。

 
 クテンコンの楽しい仕事「自転車のベル」

 
 クテンコンの仕事「火の番人」
「本火」の上演になるとクテンコンは俄然忙しくなります。
 芯の調節と油の管理で常に忙しく動きます。
 
--------------------------------------------
『 Pの世界アーカイブス 』
 ダラン(う)ブログ>Pの世界>カテゴリー>旅>2009.07.25>ダランの友 より
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ワヤンの人形遣いのことをダランという。ダランは一人で人形を操るだけでなく、あらゆる人形のセリフをしゃべり、歌も歌い、人形箱を右足でたたきながら効果音も出し・・・といろいろな演劇的行為を行う、といったことがたいていの解説書に書かれている。自分だってあちこちにそう書いているのである。しかし、 本当のところ実際には一人でワヤンを上演することはできないのだ。もちろんそこには音楽を奏でる演奏家が必要であるのだが、人形操作だけでも一人では決して上演できないのである。
 バリのワヤンをみたことのある人は、ダランの両脇には二人のダランの助演者が鎮座しているのをご存知だろう。この二人のせいで、人形を操る側からスクリーンを撮影しようとしても彼らが邪魔になってなかなか写真がとれないし、ダランの人形操作もよく見えないので鑑賞者にとってはすこぶる邪魔な存在なのである。しかしこの二人もまたダランなのであって、ある意味、物語や用いる人形の大半を知り尽くしている。そして、常に次の場面を考えてダランより先に話を展開させ、ダランが用いる人形を次々に準備してすばやくダランに渡しているのである。
 この二人をバリ語でクテンコンketengkongという。トゥトゥタンtututanという言い方もあるのだが、トゥトゥトtututというバリ語は 「従う」とか「従属する」といった意味で、これでは「ダランに従う」といった力関係が読み取れてしまうから私は嫌いである。クテンコンはダランとの従属関係で存在しているのではなく、同格でありいわゆる「友」といった関係である。この「友」という表現は、南タイの影絵芝居ナン・タルンで用いられる表現で、 タイ語でこの影絵芝居の演奏者のことを「人形遣いの友」とよぶ。クテンコンもまさにダランの友である。
--------------------------------------------


「チュパラ」-2

2013-12-16 | ワヤンのお話

右足の指の間に挟んだ「チュパラ」と、左手の「チュパラ」で同時に人形箱を叩きます。
「バシッ!・バシッ!!」と強烈なアタック音がします。
強烈な音の時は、叩くというよりもむしろ人形箱を足で「蹴り込む!」感じかな?
場面が白熱してくると「蹴り込み!」も強烈になってきます、
木箱の横に座っているクテンコン(ダラン補佐)は、箱が動かない様に懸命に押さえます。

(前回のつづき)
ここからは妄想です、実話ではありません・・たぶん?(実話にならない事を祈ります。)
-----------------------------------------
 ワヤン公演の帰り道、「チュパラ」を入れた巾着袋を首からぶら下げ、大きなカバンをガラガラ引きずり、帰宅のため自宅近くの繁華街をトボトボ歩いている疲れきったダラン。警ら中のおまわりさんに呼び止められます。深夜の繁華街でよくある職務質問です。きちんと敬礼をしてから丁寧に話しかけるおまわりさん。
警「お急ぎの所申し訳ありませんが、すこし質問させていただいてよろしいでしょうか?」
ダ「・・?・・まあ少しなら」
警「その首から下げておられる袋の中には何が入っているのでしょうか?ちょっと拝見させていただいてよろしいでしょうか?」
ダ「・・?・・まあいいですよ」
 ダランはめんどくさそうにチュパラを首の袋から取り出して見せる。
警「いったいこれは何でしょうか?」
 不思議そうにチュパラを見つめるおまわりさん。
ダ「チュパラです」
警「・・チュ、チュパラ??・・なににお使いになりますか?」
ダ「足の指の間に挟んで箱を叩きます。」
警「そうですか・・えッ?・・ええッ!?何ですか?・・足の指の間に挟む?・・箱を叩く?」
 おまわりさんの顔には明らかに動揺の表情が浮かんでいます。
ダ「そうです足の指です。だって両手はパンダワのアルジュナとインドラ神でふさがっているので足の指しか使えないじゃないですか、あたりまえですよそんなこと~。」
警「えッ?!いったい何のことですか?・・パンダとアルジェリアとインドがどうかしましたか?」
ダ「だから~両手ではね、パンダワ一族とコラワ一族が戦っているのわけですよ~、足で箱を蹴るしかないでしょ。」
警「えッ~?パンダと・・コワラもですか?イチゾク?・・足で箱を蹴る?」
 おまわりさんはついに何かを決意したようです。同行のもう一人のおまわりさんに目で合図を送ります。そしてダランに向かってやさしく言います。
警「あの~、さきほどからお伺いしていると、とても面白いお話なので、署のほうでもう少し詳しくお話をお聞きしたいのですが、ご同行願えるでしょうか?」
 少し離れたところで同行の別のおまわりさんが、制服の肩につけた無線機に向かってなにか淡々と話しています。
警2「ハイ、ハイ、そうです、ハイ、先ほどから意味不明の発言を繰り返している50歳代の男性を保護しました。本官もはじめて見る奇妙な形の物を所持しておりまして、ハイ、そうなんです、アルジェリアとインドとパンダとコワラがどうしたとか?足で箱を蹴るしかない、とか言っておりまして・・至急パトカーを回してください。現場は田町の交差点から南に100メートルほど入った・・」
 深夜の浜松の街、遠くサイレンの音が聞こえて来ます。(か)

  こう離して。

  こう叩く。「トン!」

上演ではほとんどの間「両手」は人形でふさがっています。
たいていはこのように「足」を使って、効果音をだし続けます。
上演は二時間を超える事もあります。
ごくろうさんです。

「チュパラ」-1

2013-12-15 | ワヤンのお話

「チュパラ」(黒檀で作られた木槌)
手前のチュパラは左手で持ちます、奥のチュパラは右足の指の間に挟んで人形箱を叩きます。
足のチュパラはこれを使うダランの足の指の形に合わせて何度も削って調整してあるそうです。

 ワヤン上演の時にダランは人形箱を木槌で叩いて効果音をだします。「コツ・コツ・コツ」「トントントン」「ダダ!」「バシッ!」と叩く速度や強弱を変えながらさまざまな「音」をだします。この音がないとワヤンは成り立ちません。台詞に抑揚をつけたり、戦いの時のアタック音、グンデルに指示をだしたり、様々に使われます。この音は二つの「チュパラ」と呼ばれる黒檀で作られた木槌を用いて出します。一つは左手で持ち、もう一つは右足の指の間に挟んで人形箱を叩きます。この説明では何の事だか分かりませんね?言葉で説明するのは難しい。
 ダランは浜松在住なので、東京と浜松の両方にワヤンの道具一式がそれぞれ置いてあります。その中で唯一「チュパラ」だけは予備がなく、移動の時は持って歩いています。すると当然、稽古の時に持ってくるのを忘れてしまう事もよくあります。「あ~靴箱の上に置いておいたけど、持って出るの忘れタ~」などと、東京での稽古の時によく嘆きます。何か木箱を叩ける代用品があれば稽古はできるのですが。よく忘れてくるので「絶対に忘れない様にいつも巾着袋に入れて首から下げていればいいジャン!」とのメンバーから意見が出たりします。
 「それいいね!」「そうしたら?」「お洒落かもしれない?」とか無責任な意見がでましたが、「でも、もしもだよ?もしそのチュパラを入れた巾着袋を首からぶら下げて、いつもの黒い大きなカバンをガラガラ引きずって、帰宅のために浜松の自宅近くの繁華街を深夜歩いている時にだよ、運悪く静岡県警のおまわりさんに職務質問とか受けたら大変だよね?」「チュパラを取り出して見せても、何に使うか言葉で説明するのは難しいシ。」「絶対理解してもらえないと思うな~ハハ」「そうそう怪しげな霊感商法の道具みたいに見えるシな~」「その場でわざとチュパラを拝んだりしたら、話こじれそうだよな~ハハ」「こりゃだめだナ~」と、それをきっかけに一座の稽古場はいつもの勢いで妄想的バカ話へと花が咲いたのでした。(次回へつづく)
-------------------------------
新企画連続ブログ(か)

何で並んでるの?

2013-10-12 | ワヤンのお話

演目「ビマ・スワルガ(勇者ビマ天界に赴く)」に出演する人形たち。

   いったい何で並んでるの?
   もしかして米国製のリンゴの列?
   銀座の歩道に人の迷惑顧みず一週間並んでいたわけ?
   そんな事は無いですよね。
   神話の世界のみなさんですからスマホは必要ありませんね。たぶん。

 先頭は名門パンダワ五兄弟の母「クンティ」さま。次は聡明な長男「ユディスティラ」さま。次に顔はしっかり隠してるけどイケメン「アルジュナ」、女性に人気の彼は所属事務所を通さないとこのブログのインタビューにも答えようとはしません。そして双子の「ナクラ」「サハデワ」。次が恥ずかしそうに隠れてしまった、マスコミには弱いけど一族最強の男「ビマ」。次に何故か「ムルダ」が従者の身分で割り込んできていて。そのあとは順不同で「インドラ神」「シバ神」と並びますが、この神様達あまりにも待ち時間の長さに飽きてしまってすでに列を離れようとしています。
 「アルジュナ」と「ビマ」の髪型が印象に残ります。兄弟だから似ているんだな~と思いました。二人とも、年取ってもこの髪型が維持できるといいな~、とも思いました。
 この列がいったい何だったのか?良く覚えていません。たぶん、われわれ庶民にもよくありますよね、ほら!「なんとかオジさんのナン回忌」とかで、ふだんはほとんど交流のない親戚が集まって、手を合わせる順番をお互い譲りあいながら待つ光景。その後のお清めの席で「あらッ~!ナントカちゃん、しばらく見ない間にスッカリ大人になっちゃって、オバサン驚いちゃったわよ。もういいお嬢様ね!・・それで、なに?今、カ・レ・シ・とかいるの?・・フフ。あらヤダ~オバサン恥ずかしい~。」
 みたいな。なんかそんな会話が聞こえてきそうな「列」でした。(・・ホントカな~?)
(か)

----------------------------------------
  「ダラン(う)のラジオ番組のお知らせ」
   本日10/12:21時「FM haro!」
   浜松周辺以外の方は以下のインターネットサイマルラジオでお聞きになれます。
   http://www.jcbasimul.com/
   放送では月曜日の浜松公演のワヤンのことを、いろいろお話しているそうです。

グヌンガンとカヨナン

2013-08-05 | ワヤンのお話

左がジャワのグヌンガン<< >>右がバリのカヨナン
ワヤン終了の時、クリル(スクリーン)の中央に立てられワヤンの終了を告げる。
須弥山の象徴。宇宙樹。生命の大樹。

 ちょうど二週間前の日曜日、浜松楽器博物館で上演されたジャワのワヤンに行きました。ジャワガムランの重低音の迫力と面白い演出でとても良いワヤンでした。
 いつもは楽器博物館の一階に展示してあるジャワガムランの立派な楽器を上階のホールに移動しての公演でした。楽器博物館はたびたび訪れていますが、いままでは見ているだけの楽器たちの実際の音を聞く事が出来てとても良かった。
 少し遅れて会場に入ったので空いている席がゴングとクンプル群の真横?(真正面?真隣?)だけ。要するに凄く近くでした。私はジャワガムランの重低音がこの上もなく好きなので全く苦にならなかったのですが、逆に気持ちがよすぎて最後のシーンでは不覚にも寝てしまいました。でも話はシンプルだったのでよくわかりました。ワヤン終了後会場で演じられた「馬にまたがって会場を走り回る」ジャワのパフォーマンスが面白かった。こんな説明だとなんのことだかわかりませんね、下の写真でご想像ください。(か)

 
 東西二人のダランによるパフォーマンス。
 ばからしく気合いが入っていて良かったゾ!
 子供達も大喜びでした。

ジャワ・マタネ

2013-06-20 | ワヤンのお話

会場風景(公演終了後)

 先日、ランバンサリ公演、ジャワのワヤン「炎」に行きました。すごく良かった!面白かった!ガムランの演奏も大迫力でした。ランバンサリって凄い!
 ダラン(人形遣い)はスミヤントさん、日本語の上手な人で、今回は全て日本語での公演でした。とても良く分かりました。ユーモアのセンス(*)も面白くて楽しめました。
 会場に入ってまず感じたことはジャワ・ガムランの楽器群のすごさです。なんと格調高く、ゆったりとした雰囲気。素晴らしい楽器の数々!まさに「キラキラ輝いている王宮の宝物!」といった感じです。(事実そうなんでしょうね)
 私たち一座のバリの平民ワヤンの伴奏はグンデルという小さな鍵盤楽器4台を4人が忙しく弾きます。それにくらべジャワ・ガムランの上品で優雅な事!20人ほどの大編成です。さらにそれぞれ演奏者の周りを囲むように複数台の楽器を配し、演奏者は曲によって座っている向きを変え、楽器を変えながら演奏するのです。なんと言う贅沢な楽器環境でしょう!われわれ一座のグンデルも同じ「青銅」の楽器ですが、単純に質量換算してみても、われわれ一座の数百倍の「青銅」が惜しげもなく使用されているものと思われます。ジャワ・ガムランって凄い!
 この贅沢な楽器環境と相まって演奏者の皆さんの立ち振る舞いもとても優雅なのです。何か前方斜め上方15度ぐらいを、焦点の定まらないような ”うっとり” とした表情で見つめ、口元にはやや微笑みを浮かべ、ゆっくりと「トントンッパ」「コカン~」「ポンポロ~」「ピ~ヒャララ~」「バブ~(ルバブ)」「ゴォ~~ン」と優雅に演奏するのです。みなさんたぶん裕福なご家庭でお育ちなんだろうな~と思いました。私たち平民ワヤンが4台だけの小さな楽器にしがみつくようにして忙しく演奏するのとは訳が違うのです。
 私がジャワ・ガムランのライブのたびに”シビレル”のが、数多く吊るされている「ゴング+クンプル」群から溢れ出す「超重低音」です。この重低音の響きに全身が包まれている時の幸福感!なんという贅沢な時間でしょうか。聞いている私も気がつくと斜め上方15度ぐらいを ”うっとり”と見つめているのです。

 会場で、私(か)のバリ・ガムランの先生(M)さんとお会いしたので、開演前、すこしお話しをしていました。私が会場のセッティングを見て疑問に思った事があったので質問してみました。
(か)「・・この会場の空気感、ものすごく格調高いですね。凄いですね。」
(M)「そうですね。これは王宮の世界ですからね。」
(か)「ちょっと疑問なんですが、ジャワのワヤンってクテンコン(**)はいないのですか?座るスペースもないみたいですが?」
(M)「そうみたいですね。ジャワ・ガムラン同様にジャワのワヤンは優雅にゆっくりと進行するのです。バリのワヤンようにダランの周辺が "火事場の様な騒ぎ” にはならないのですね、だからクテンコンは必要ないのでしょうね。」
 わたしは(M)さんのこの「火事場の様な騒ぎ」という表現を聞いて、「さすがにうまい事を言うな~」と感心しました。実は「おっしゃる通り!」なんですね、これが。
 私たちバリのワヤンは、最後は決まって「善と悪」の戦いの場面になります。クライマックスでは、ダランはお大声で叫び、台詞を語り、凄い早さで人形を操ります、木箱を足でバシバシと鋭く蹴って効果音をだし、演じていた人形を下げるときは両側にバンっと投げ出し、こんどは次の人形を素早く拾い上げて演じて行きます。ダランの両側のクテンコンの二人は、ダランの蹴りに耐え木箱を押さえながら、投げ出された人形を整えて再びダランに渡し、新しい人形と様々な武器をセッティングしてダランが取りやすい位置に並べます。ダランの背後ではクテンコンが互いに投げて渡し合う人形が飛び交います。グンデル奏者たちは、ダランの激しい動きに合わせるため人形の動きを凝視しながらの演奏です、目はワニ目となり、足がツリながらも必死に演奏します。まさに「火事場の様な騒ぎ」です。「半鐘は鳴るわ!火消しは走るわ!」そんな大騒ぎの後、バリのワヤンでは必ず「善」が勝ってワヤンは終了します。

 ランバンサリの今回のジャワのワヤン公演では、最後は「炎に包まれるシーン」でした。ダランは大きなグヌンガンを巧みに操りメラメラと燃え上がる「炎」をとてもうまく表現していました。ガムランの演奏も大迫力!不安感と緊張感に溢れた素晴らしい効果音でどんどんと盛り上げていきます。でも、火事場のシーンを演じながらも、そこは「王宮のワヤン」。進行はあくまでもゆったりと格調高く優雅なのです。ワニ目になったり足がツッてる人はいないのです。(たぶん)
 でもその日のワヤンはこの盛り上がった「炎」のシーンで突然終了、あ~続きがぜったい観たくなる!本当に素晴らしい演出でした。
 続きはいつやるの?楽しみにしています。ジャワ・マタネ。(か)
 
 
ーーーーーー
(*印)「建築基準法と消防法」のネタ、あまりにも的確な専門用語の数々、すごく受けてしまった。これって、ランバンサリ・メンバーに関係者いますね?
 しかし「マハーバーラタ」の神代から、建物をつくる際に「二方向避難の原則」があったとは知りませんでした。はるか昔から安全な避難経路確保は考えられていたのですね。とてもためになるワヤンでした。
ーーーーーー
(**印)クテンコン(トゥトゥタンとも言う):ダランの両側に位置するダランの補佐役。バリ・ワヤンではクテンコンは欠かす事の出来ない存在です。バリ・ワヤンのスピード感はダランとクテンコンの連携プレーで生み出されます。
 

桜田門外の変

2013-05-29 | ワヤンのお話
だいこんの花畑。奥の住宅の背後にこんもりと連なる緑が「玉川上水」です。(5/25撮影)

 関東地方もそろそろ梅雨入りの気配ですね。梅雨入り前の先週末、鷹の台「梅スタジオ」で一座の練習がありました。写真は五月晴れの爽やかな空の下、武蔵野の”のどか”な風景です。
 梅スタジオの近くに「だいこんの花畑」が出現していました。すご~いのだ!
 とにかく大根の花がすごいのである!この写真は地上2Mほどの高さから撮っています、背伸びをしてカメラを持った腕を上方へ高く伸ばして、まるで全身を縦方向へ延ばすストレッチ状態での撮影です(ア~背筋が伸びて気持ちいい!)。
 写真で見ると小さく見えますが、実際は2Mを超す高さの大根の花で辺り一面が埋め尽くされているのです。なぜこのような状況になったのか?知りたい方は?一座のメンバー(う)のプログ「Pの世界」>5/22「大根か花か?」をお読みください。(ブックマークでリンクしています。)
 梅スタジオの最寄り駅「鷹の台」の近くに、結構気に入っていて、メンバーも時々立ち寄る洋食屋さんがあります。ここのカツライス490円がうまいのである。
 店内のカウンター横にラジオが置いてあります。いつもかなりの音量で聞こえています。客に聞かせるというよりは揚げ物をせっせと作っているご主人が聞いているのか?聞き流しているのか?そんな感じです。この店でカツライスを食べているとどうしてもこのラジオの音が耳に入ってきます、気がつくと結構面白くて聞き入ってしまったりしています。私はラジオを聞く習慣がないので、ラジオ番組に耳を傾けるのは、学生のころの深夜放送「オールナイト・ニッポン」以来かも知れません。
 その日はラジオで久米宏が話してました。どうも「ご長寿」がテーマの放送のようでした。巣鴨通り商店街でお年寄りに質問です。「長生きの秘訣はなんですか?」「ん~?そうね・・・とりあえず死なないことかな?」
 先日は永六輔が話してました。ところで永六輔さんって今の若い人知ってますか?放送作家、ラジオ番組パーソナリティ、随筆家、作詞家、あの坂本九の世界的なヒット曲「上を向いて歩こう」を作詞したすごい人なのです。たしか現在80歳ぐらいです?
 「はたして今の若い人は、永六輔を知っているか?」その日の放送のテーマはまさにその話でした。
 放送局の人が女子高生に質問したそうです。「エイロクスケって知ってますか?」。少し間があって「あッ!知ってる。知ってる。・・・桜田門の前で雪の日に殺された人でしょ?」「・・・」
 私は口に頬張っていた千切りキャベツを吹き出しそうになるのをこらえながら、この女子高生は日本史の授業をちゃんと聞いている良い子なんだな~!と感心してしまいました。
 「とうとう私も歴史上の人物になってしまいました。ハハハ」と、永六輔本人が番組で笑ってお話ししてました。楽しい人ですね。(か)

 

住民投票

2013-05-26 | ワヤンのお話
 昨日、鷹の台駅前で配られていたビラです。(ウラ)

 昨日5月25日、梅スタジオでの練習の帰り道、鷹の台駅の駅前でこのビラを配っている人たちがいました。その人たちの表情や態度からなにかとても熱心な感じが伝わってきました。ビラは「住民投票に行きましょう」という内容でした。
 投票は『(以下、朝日新聞デジタルの記事より)都道建設計画の見直しを問う小平市の住民投票は26日、投票が行われる。投票率が50%以上に達した場合のみ、投票が成立し、翌27日午前9時から開票される。』という事です。
 事は玉川上水遊歩道と小平中央公園の雑木林に関わる一大事。ブログ「玉川上水の木漏れ日」に参加している(か)としては、このビラをみなさんにご紹介したいと思いました。本日の住民投票の投票率に注目です。(か)

ーーーーーーーーーーーーー
(5月26日23時に追加投稿です)
 住民投票は成立しませんでした。
 『(以下、朝日新聞デジタルの記事より)東京都小平市内の都道建設計画の見直しを問う住民投票は26日に投票が行われ、投票率は35・17%で成立要件の50%に届かなかった。開票はされない。都は今夏の事業認可を目指しており、計画は現状のまま進む公算が大きくなった。
 投票用紙は箱詰めされ、90日間の保管期間後、市の判断で廃棄される見込み。一方、住民投票を直接請求した団体側は、独自集計を目指して投票用紙を情報公開請求することを検討している。
 この都道は府中市と東村山市を結ぶ「府中所沢線」(約13・6キロ)の未着手部分のうち、小平市区間の約1・4キロ、幅36メートルの幹線道路。1963年に都市計画決定されたが、整備は後回しにされてきた。雑木林約0・5ヘクタールを伐採する計画のため、環境悪化を懸念する住民らが署名を集めて条例制定を直接請求し、今年3月に条例ができた。その後、市の提案で「投票率50%未満の場合は不成立」との要件が加えられた。』

 投稿人(か)として何かスッキリしないのは「・・・に届かなかった。開票はされない。」「・・・箱詰めされ、90日間の保管期間後、市の判断で廃棄される見込み。」の部分です。
 霧笛が遠くに響く霧にかすむ深夜の桟橋、バンの荷台から静かに下ろされた投票箱がズブズブズブと人知れず海に沈められて行くようなシーンを想像してしまいます。
 計画の見直に関する結果はすでに明らかなので開票作業に無駄な経費は使いたくないことも分かります。でもこれだけ話題にもなり、大勢の人たちが投票したのですから、処理としてもう少し何か方法は無いものでしょうか?
 結果が明らかでも、やはり開票して結果を公表した方がみなさんスッキリしたように思いました。
 後から市の提案で「投票率50%未満の場合は不成立」との要件が加えられたことにはいつまでも疑問が残りそうですね。うまく表現できませんがなにか息苦しい閉塞感を感じました。何故なんだろう?
 このことは今後も注目して行きたいと思っています。(か) 
(この投稿の記事は(か)個人の意見です。一座としての意見ではありません。)

 
 ビラ(オモテ)