つれづれなるままに心痛むあれこれ

知る事は幸福度を高める

皇室典範内容は憲法原則違反、差別の元締め的特徴、玉音放送、東京大空襲、メディア

2024-05-09 20:25:48 | 皇室

 天皇家が最近よくメディアに登場している。天皇家の存在を国民の意識に定着させる事が目的である。また、近い将来において、日本の「元首」の地位に就く上でのムード作りである。『自民党憲法改正草案』第1章第1条には、「天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」とある。草案解説では、「明治憲法には、天皇が元首であるとの規定が存在していた。また、外交儀礼上でも、天皇は元首として扱われています。我が国において、天皇が元首である事は紛れもない事実ですが、……元首として規定する事の賛成論が大多数でした」とある事が背景にあり、それをメディアが翼賛化して報道しているのである。そういう視点が必要である。

◎現皇室典範に見る天皇家の差別的体質

天皇家は人権侵害(差別)の総元締めである。

皇室典範第1条「皇位継承の資格」では「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」とあり、日本国憲法の男女平等の原則に基づかない男尊女卑思想(女性差別に基づく憲法違反である。2016年3月に国連女子差別撤廃委員会勧告で女性天皇を認めない皇室典範を問題視し、見直し(改正)を求めたが、安倍自公政権は抗議をし削除させた。国会でも岸田外相は「我が国の皇室制度は歴史や伝統が背景にある。女子に対する差別目的とは全く別の事柄である」と説明。菅官房長官も「国民の支持を得て今日に至っている。女子に対する差別を目的としていない」と述べている。安倍自公政権は世界で普遍的な考え方や価値観を認めようとしないのである。この姿勢は選択的夫婦別姓制度においても同根である。

第3条「継承順序の変更」では、「皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、……皇室会議の議により、前条に定める順序に従って、皇位継承の順序を変えることができる」とあり、身体障害を持つ場合には、皇位継承から除く事ができるとしている身体障害者に対する差別人権侵害であり、憲法違反である。

第22条「成年」では「天皇、皇太子及び皇太孫の成年は、18年とする」とあるが、国民の成人年齢は未だに20歳であるのはどういうことか。世界のほとんどの国が18歳となっているにもかかわらずである。天皇家は日本国民ではないのか、国民とは別格の別世界の人間である事を表している

第26条「陵墓」では「天皇、皇后、太皇太后及び皇太后を葬る所を、その他の皇族を葬る所をとする」とあるが、墓所の呼び名を変えて差別化しているが、今日その必要はまったくないと思う。憲法違反である。外国ではありえない

以上のような日本国憲法の原則に反した(憲法違反)、人権を認めない内容が定められている事は問題であると思う。このような規則で天皇家を存在させておく事は問題である。

日本国憲法第1条「天皇の地位・国民主権」では「……、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」とある事に基づいて、少なくとも改善すべきである。また、天皇制自体を「廃止」すべきである

 『憲法改正草案』第6条「天皇の国事行為等」5項では、「第1項及び第2項に掲げるもののほか、天皇は、国又は地方自治体その他の公共団体が主催する式典への出席その他の公的な行為を行う」とあるが、これは「靖国神社」の国営化、天皇の靖国参拝を狙っている事をうかがわせるものであるので注意すべきである。

◎「玉音放送」

 今年8月1日付で、「玉音放送」を宮内庁が録音原盤から再生し公表した。「玉音放送」とは、1945年8月15日正午に臣民に向けてラジオ放送された、昭和天皇が自ら「大東亜戦争終結に関する詔書」を読み上げた録音の放送の事である。

 以下、天皇が臣民に訴えた言葉の抜粋(朝日新聞の記事を基にしたが、原本により近い形に修正した)と、矢印(→)以下は私の注釈である。

 「帝国臣民の平穏無事を確保し、すべての国々が共に繁栄する喜びを分かち合う事は、皇祖皇宗(歴代天皇)が大切にしてきた教えであり、朕が常々心中強く抱き続けているものである。」→臣民とは天皇皇族の家来を指し、国民の事。家来は主人の主君のために命をかけて奉公するのが原則。

 「英米2国に宣戦したのも、まさに帝国の自存と東亜(東アジア諸国)の安定とを心から願っての事であり、他国の主権を排除して領土を侵すような事は、もとより朕の本意ではない。」→満州事変以来の中国などとの戦争を日本による侵略戦争であると認識していない。戦争最高責任者である事の無自覚と責任回避。

 「敵国は新たに残虐な爆弾を使い、……」→新たな残虐な爆弾とは、原子爆弾の事でその使用を非難している。天皇制大日本帝国でも、東大と京大で原爆製造の研究が行われていた事には口を閉ざしている。

 「朕はいかなる手段で赤子を守り、歴代天皇の御霊にわびる事ができようか。」→赤子とは臣民の事で家来の意味。家来は主人のために命を捧げるのが原則。

 「東亜(アジア諸国)の解放に協力してくれた同盟諸国に対して、遺憾の意を表さざるを得ない。」→1943年11月に「大東亜共栄圏」の結束を図るため開催された「大東亜会議」に参加したアジア諸国の協力にもかかわらず、アジア諸国の解放ができなかった事が残念であるとの事。「大東亜共同宣言」では「共存共栄・独立尊重・互恵提携・文化高揚などが採択された。ビルマ、満州国、中華民国、日本、タイ、フィリピン、自由インドの7カ国。

 「朕は、ここに国体を護持する事ができ、忠義で善良な臣民の真心を信頼し、常に臣民とともに過ごす事ができる。」→国体とは敗戦までの神聖天皇主権国家を指し、天皇に対する臣民の対応の在り方を護持できた事を喜び、改めて一方的に押し付けている。

 「感情の高ぶりから節度なく争い事を繰り返したり、あるいは仲間を陥れたりして互いに世情を混乱させ、そのために人としての道を踏み誤り、世界中から信用を失ったりするような事態は、私が最も強く戒めるところである」→戦争終結の御前会議では「戦争を続ける事はかえって国内治安の乱れる事が考えられる」(保科善四郎手記)との発言があり、神聖天皇主権体制そのものを脅かすような国内危機の出現を予想した。敗戦よりも敗戦によって起こる混乱と国体変革を恐れた天皇を中心とする支配階級は、国民と軍隊が起こすかも知れない動揺を抑えるために、最後の切り札として天皇の権威を利用(聖断)したのである。戦争終結が「聖断」によってもたらされたという物語をつくり最大限に活用し、翼賛体制化しているメディアは、「玉音を拝して感泣嗚咽」「朝夕詔書を奉戴して再建へ」と「天皇の慈悲深さ」を宣伝した。

 「国を挙げて一家として団結し、子孫に受け継ぎ、神国日本の不滅を固く信じ、……総力を将来の建設のために傾け、踏むべき人の道を外れず、……揺るぎない志をしっかりと持ち、誓って国体の精華を発揚し……」→日本は神国であり、不滅である事を信じ、その国体の精華を発揚すべき事を誓いなさいとしている。

つまり、この詔書は、天皇を中心とする支配階級が、「天皇制護持」だけが重要事であって、それを将来の日本国においても不変のものとして臣民に対し念押しをしたものであり、それ以外は何も考えていなかったという事を示している。国民の犠牲も、アジア諸国に与えた苦難や被害や損失なども。この事は、この戦争の本質を如実に現わしている。

 朝日新聞は、記事の最後に「総力戦の行き着いた果てに防空壕で起きた事を、世代を超えて記憶し、風化に抗し語り継いでほしいとの願いを感じる」としているが、余程の「お人よし」である。手前勝手な解釈をしてはいけない。歴史は事実をきちんと押さえなければただの恣意的な作り話となり、誤った評価判断を生む。語り継ぐ価値のあるものとするために、メディアがやるべき使命は、国民が歴史の真実に、より以上近づくための正しい情報を提供する事である。

◎御文庫付属室(防空壕)と東京大空襲について

 戦争終結を決めた御前会議の場となった「御文庫付属室」も「玉音原盤」と同時に公表した。「御文庫付属室」は1943年1月から天皇皇后が生活していた場所である。1945年3月10日の「東京大空襲」時、天皇皇后はどのような行動をしていたのか。渡辺清氏『私の天皇観』によれば、

「1945年3月10日の東京大空襲で奇怪な事実がある。B29が大挙、爆撃を開始したのが午前0時8分、それから7分も経過した0時15分に空襲警報が発令された。その理由は、床の中ですでに安らかに眠っている天皇を起こすのは誠に恐れ多い、という東部軍司令部参謀の配慮から、一秒一刻を争う状況の中で、あたら7分間も空襲警報を遅らせたのである。その7分はたった一人の天皇、45万坪の広大な屋敷の中に広さ500坪余、500㌔爆弾もはね返すという厚さ3㍍のコンクリート、配電、除湿、防音装置に調理室までついていたという堅牢な大防空壕を有していた天皇一人の安眠を妨げないようにという事だったとは、心の煮える思いがする」とある。

朝日新聞1945年3月19日付では、

畏し、天皇陛下戦災地を御巡幸 焦土に立たせ給い御仁慈の大御心 九重の奥深くまで醜翼の羽搏き伝わり、高射砲の轟音響き渡る皇国の危局、朝に夕に一億国民ひとしく忠誠の心いまだ足らざるを嘆き悲しむ、今はただ伏して不忠を詫び奉り、立っては醜の御楯となり、皇国三千年の歴史を太しく護り抜かんことを、誓うのみである。ああ、しかもこの不忠の民を不忠とも思し召されず、民草哀れと思し召し、垂れさせ給う大御心の畏さよ。18日、天皇陛下は帝都の空襲戦災地の御巡幸を仰せ出だされたのである。」→天皇の本心はいかなるものであったか、翼賛体制化した新聞による、「天皇の行為を賛美する」記事はどういう効果を生んだであろうか。言をまたない。

 1964(昭和39)年には、来日した「東京大空襲」の総指揮官カーチス・ルメイ天皇や自民党日本政府は最高の栄誉「勲一等旭日大綬章」を贈った。主戦派のルメイは、太平洋戦争末期のトルーマン政権下で、都市全面爆撃に反対したハンセルに代わって司令官となり、一夜にして10数万の死者をだした「東京大空襲」を含む日本無差別爆撃の張本人である。ルメイは後にヴェトナム戦争下の米空軍参謀総長にもなった。昭和天皇や自民党日本政府が、自らが起こした侵略戦争を、米政府を、どのように位置づけていたのかが分かる。

(2017年3月14日投稿)

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自公政権が蹂躙破壊する国権... | トップ | 天声人語「プラカード事件」... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

皇室」カテゴリの最新記事