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東海再処理廃止措置技術開発センター(旧東海再処理施設)の廃止作業終了は70年後(2088年)?費用は税金計9900億円

2025-03-18 09:34:12 | 原発

 2020年11月15日付の毎日新聞によると、日本原子力研究開発機構再処理廃止措置技術センター(旧東海再処理施設)は、2018年から廃止作業を進めているが、終了まで計70年かかると見ており、完了は2088年頃と計画している。

 東海再処理施設1981年に稼働を開始した。この施設が建設されたのは、核燃料をリサイクルする「核燃料サイクル政策」を政府が推し進める上で、使用済み核燃料から再利用できるプルトニウムを取り出す技術を確立するためであった。各原発などから使用済み核燃料を計1180㌧を受け入れた。プルトニウムを取り出すと高レベルの放射性廃液生じるので、ガラスに閉じ込めて核のゴミにする「ガラス固化」の技術開発もしていた。

 しかし、2011年の東京電力福島第1原発事故に伴い、安全対策の強化を迫られた。稼働し続けるには1000億円以上と見られる対策費が必要な事から、「原子力機構」は経済性を考慮して廃止を決めた。

 2018年から廃止作業を進めながら、施設内の機器類を解体するための研究や技術開発もしている。「原子力機構」は廃止作業終了まで計70年かかると見ており、完了は2088年頃と計画している。かかる費用は9900億円にのぼり、すべて税金で賄われる。

 原子力規制委員会の事務局を担う原子力規制庁の幹部は「ガラス固化はトラブルが相次いでおり、溶融炉の建設や解体にも相当の労力がいる。こうした懸念を考えると、100年以上かかってもおかしくない」と話す。

 加えて、ガラス固化された核のゴミは持って行く場がなく、最終処理場はこれから決める。その上、機器類の解体などで生じた廃棄物のうちプルトニウムなどが付着したものは、処分方法が具体的に決まっていない。NPO法人「原子力資料情報室」伴英幸共同代表は「再処理施設の廃止作業には、あとさき考えずに核燃料サイクル政策を推進した矛盾が浮かび上がっている」と指摘する。

 見通しが立っているとは言い難い再処理施設の廃止作業。技術が確立されないまま、青森県六ケ所村では日本原燃が再処理工場の本格的な稼働を目指している。

(2020年12月14日投稿)

 

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2022年経済産業省有識者会議「総合資源エネルギー調査会原子力小委員会」の委員構成は「原発推進」

2024-12-05 22:13:27 | 原発

 総勢22名。大半は原子力推進の立場で、批判的な立場は松久保 肇氏村上 千里氏2名だけである。審議会は委員の構成により、議論の方向は簡単に導き出せる。この委員会も、経産省がどういう議論を導き出したいのかは委員構成から明確である。また、委員の中には以下の12名原子力政策の推進による受益者が含まれている。

委員長

〇山口  彰 東大大学院工学系研究科原子力専攻教授

委員長代理

〇竹下 健二 東京工大科学技術創成研究院教授

委員

〇朝野 賢司 (一財)電力中央研究所 社会経済研究所上席研究員

〇岡田 往子 東京都市大学原子力研究所客員准教授/WEN代表

〇小野  透 (一社)日本経済団体連合会 資源・エネルギー対策委員会企画部会長代行

〇小林 容子 Win-Japan理事/Win-Global Board

〇斉藤 拓巳 東大大学院工学系研究科原子力専攻准教授

〇杉本 達治 福井県知事

〇中島  健 京大複合原子力科学研究所所長・教授

専門委員

新井 史朗 (一社)日本原子力産業協会理事長

〇坂田 幸治 全国電力関連産業労働組合総連合会長

〇松村 孝夫 関西電力(株)代表執行役副社長 原子力事業本部長/電気事業連合会原子力開発対策委員長

※委員構成についての問題は、新電力関係はおらず、原発推進が圧倒的多数で、「原発推進」は「最初」から「決まっていた」のである。また、脱原発の意見を言う人は、村上千里氏(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会理事)と松久保肇氏(認定NPO法人・原子力資料情報室事務局長)の2人しかいない。

 2022年2月24日開催の24回会合では、多数の委員から、原発の再稼働、原発の新増設から逃げるべきではないという議論が展開された。今後、原子力利用環境整備小型原子炉に関する課題を議論する予定となっている。エネルギー基本計画では原発の新増設書き込まれなかったにもかかわらず、原発の新増設を前提とする議題が設定されている。

 松久保氏は、原子力推進に不都合な情報をすべて消し去っている資料作成の批判、核燃料サイクルの見直し、原発老朽化に備えた代替策の検討、エネルギー基本計画で示された放射性廃棄物の海外処理方針について条件を設定すべきであると発言している。

(2022年5月22日投稿)

 

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ふげん廃炉7年先送り。もんじゅ・ふげんの電気代はいくらかかっているか?萩生田経産相が核燃料サイクル推進堅持

2024-10-31 22:06:19 | 原発

※2022年8月8日、文科省と日本原子力研究開発機構は、2033年度に完了予定の新型転換炉ふげん廃炉作業7年間延長すると明らかにした。現在の工法では放射性廃棄物が建屋内で漏洩する危険性がある事が判明したため、より安全な工法に切り替えるための研究開発に期間を要すると説明している。

 2021年11月8日、萩生田光一経産相が、青森県三田村申吾知事六ケ所村戸田衛村長と会談し、今年10月閣議決定したエネルギー基本計画どおり、核燃料サイクル引き続き推進する方針を堅持する事を確約した。自民党総裁選で見直しの是非が議論になったが放擲した。

 日本原子力研究開発機構廃止措置中の高速増殖原型炉もんじゅと新型転換原型炉ふげんについての2021年度の特別高圧電力入札結果が明らかになった。落札者はともに北陸電力である。ほかの応札者は非公表とされている。

 もんじゅ契約電力量は1.1万kW、予定使用量は6,119.8万kWh、落札額は6億1,791.7万円。ふげんはそれぞれ3,700kW、3,092.6万kWh、2億9,962.3万円。

 同じ福井県敦賀市内の日本原子力研究開発機構の施設(敦賀事業本部事務所、敦賀総合研究センターなど)では高圧電力で、落札者はホープ、ほかの応札者は非公表。7か所の合計で1,125kW、288.8万kWh、3,707.8万円。

 もんじゅ・ふげんの電力使用は極めて大きい事が分かる。もんじゅは、ナトリウムが固まらないよう高温維持が必要である。また、もんじゅ・ふげんともに、使用済み燃料プールの冷却にも使われる。

(2022年8月10日投稿)

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青森県六ケ所村に建設中のMOX燃料製造工場の一部鉄筋が腐食

2024-07-30 10:44:29 | 原発

 2020年11月11日のNHKニュースによると、青森県六ケ所村で建設が進められている、使用済み核燃料を再処理して取り出したウランとプルトニウムを混ぜて核燃料(MOX燃料)をつくる工場(政府の核燃料サイクル政策の重要な施設で、10月、原発事故後にできた規制基準の審査に事実上合格した)で、地下3階の鉄筋の一部、およそ3100本で腐食が進んでいる可能性があるという事がわかった。

 事業者の日本原燃が工事再開に向けて2020年9月に地下3階の壁をつくるための鉄筋を調べた結果、16%にあたるおよそ3100本で、鉄筋の健全性を示す値の一つ「伸び」の項目で、工業製品の品質などを定めたJIS=日本産業規格を下回っている可能性がある事がわかった。

 鉄筋は2013年から組み立てられていたが、コンクリートを流し込む前の状態のまま、2015年から審査のため工事が中断していた。日本原燃は途中でシートを取り付けるなど「錆」対策を施したものの腐食が進んだとみられる、としており、すべて交換を行う計画をまとめるなど2年後の完成に向けて耐震性などに問題がないよう対応するとしている。

(2020年12月13日投稿)

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プルサーマル(MOX)燃料の特性と危険性と原子力規制委員会の審査実態

2024-07-30 10:41:32 | 原発

 関西電力は、2023年10月10日、福島県知事に提示した「原発使用済み核燃料の搬出計画」のなかで、「フランスへの搬出量の積み増しも検討する」としているが、これまで関電は原子燃料工業(株)とMOX燃料製造契約を結び、フランスオラノ社メロックス工場でもMOX燃料(使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを混ぜて作ったもの)を製造し、高浜原発で使用(プルサーマル)するため、2013年以来日本へ返送(直近では2021年)してきていた。このMOX燃料の特性について、原子力資料情報室が1998年に『MOX総合評価』として公表している内容を以下に紹介しよう。

「➀融点が数10度下がる、熱伝導度が下がる、希ガス放出率が高くなり、ヨウ素、トリチウムの生成量が増える、局所的な出力上昇が起きやすくなる。

中性子への反応性が高まる事で制御棒やホウ素による炉心の制御効果が減り、原子炉の停止余裕が減少する。

中性子線が増える事により、原子炉容器の脆化を早める。

こうした変化により、重大事故時の状況を早めたり、悪化させたりする。にもかかわらず、2013年に発足した原子力規制委員会は、プルサーマル実施炉に関して、特有の変化を考慮した審査を行っていないのは問題である。」

(2023年10月14日投稿)

 

 

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