2020年11月15日付の毎日新聞によると、日本原子力研究開発機構の再処理廃止措置技術センター(旧東海再処理施設)は、2018年から廃止作業を進めているが、終了まで計70年かかると見ており、完了は2088年頃と計画している。
東海再処理施設は1981年に稼働を開始した。この施設が建設されたのは、核燃料をリサイクルする「核燃料サイクル政策」を政府が推し進める上で、使用済み核燃料から再利用できるプルトニウムを取り出す技術を確立するためであった。各原発などから使用済み核燃料を計1180㌧を受け入れた。プルトニウムを取り出すと高レベルの放射性廃液生じるので、ガラスに閉じ込めて核のゴミにする「ガラス固化」の技術開発もしていた。
しかし、2011年の東京電力福島第1原発事故に伴い、安全対策の強化を迫られた。稼働し続けるには1000億円以上と見られる対策費が必要な事から、「原子力機構」は経済性を考慮して廃止を決めた。
2018年から廃止作業を進めながら、施設内の機器類を解体するための研究や技術開発もしている。「原子力機構」は廃止作業終了まで計70年かかると見ており、完了は2088年頃と計画している。かかる費用は9900億円にのぼり、すべて税金で賄われる。
原子力規制委員会の事務局を担う原子力規制庁の幹部は「ガラス固化はトラブルが相次いでおり、溶融炉の建設や解体にも相当の労力がいる。こうした懸念を考えると、100年以上かかってもおかしくない」と話す。
加えて、ガラス固化された核のゴミは持って行く場がなく、最終処理場はこれから決める。その上、機器類の解体などで生じた廃棄物のうちプルトニウムなどが付着したものは、処分方法が具体的に決まっていない。NPO法人「原子力資料情報室」の伴英幸共同代表は「再処理施設の廃止作業には、あとさき考えずに核燃料サイクル政策を推進した矛盾が浮かび上がっている」と指摘する。
見通しが立っているとは言い難い再処理施設の廃止作業。技術が確立されないまま、青森県六ケ所村では日本原燃が再処理工場の本格的な稼働を目指している。
(2020年12月14日投稿)