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公益通報者保護制度に関する自民PTの提言:通報担当者に厳しく責任を負わせ、企業事業者には消極姿勢

2024-06-17 16:35:16 | 公益通報者保護制度

 公益通報者保護制度(組織の不正を内部通報した人を守る制度)に関する自民党PTが2020年2月3日、提言をまとめた。

 2018年末の内閣府・消費者委員会の答申では、通報者に関する情報の共有の範囲は最小限にとどめるよう企業に求めたが、通報を受ける担当者個人に守秘義務を課す事や罰則については経済界からの反対を受けたため見送った。それに対して今回の自民党PTの提言は、通報を受ける担当者に対して刑事罰を含めた罰則付きの守秘義務を課し、正当な理由なく通報者の情報を漏洩してはならないとし、通報を受ける担当者に対して通報者の情報を漏洩する事に厳格な対応を求めているまた、保護対象も現役の働き手だけでなく役員や退職後1年以内の退職者にも拡大した。さらに、内部通報制度の整備について、従業員300人超の事業者には義務づけ、300人以下の事業者には努力義務を負わせた。提言は答申とは正反対に強化された内容となっている。

 しかし、通報者に対する企業事業者の対応への姿勢については提言は答申よりも後退した。答申では「通報者に不利益な取り扱いをした企業事業者に対しては指導や勧告、公表などの行政措置を課す」と通報者の保護に強い姿勢を示していたが、今回の提言では通報者の保護のための企業事業者に対する強い姿勢はまったく示さず、「通報者の負担軽減や不利益取り扱いの是正に向けた取り組みを進める」など曖昧で、企業事業者には強い姿勢を示さず、企業事業者の利害を優先した内容となっており、そのため通報者保護の実効性を期待できない内容となっている。企業事業者側を優遇する結果、提言は答申より後退したと言って良く、公益通報者保護制度は骨抜きとなり、公益通報者保護法を改正する意味はないと言って良い。

(2020年2月11日投稿)

 

  

 

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