「天皇のフィリピン訪問「おことば」;真の日比友好は「傲慢と欺瞞」の自省から始まる。」国民は騙されてはいけない。 goo.gl/L0ecex
「政府の教育統制が急進、教科書選定「説明会」解禁と大阪府の「教育庁」設置とはリンク」大阪で設置されたら次は全国へ設置される。「おおさか維新の会」は安倍政権の「露払い」「尖兵」である。教育を露骨に... goo.gl/Wz4h84
教科書選定の「説明会」を「解禁」する狙いは、「つくる会」系の「育鵬社」版や「自由社」版教科書の採択を強行し増加させる事とそのために都合のよい「採択制度」への改悪である。そして、安倍政権の目論みとリンクして、大阪府(橋下徹・おおさか維新の会)が安倍政権自民党の「尖兵」となって、「私立学校」をも公立と同様に一元的に「統制・支配」する事を狙って、「教育庁」を設置しようとしている。
1月5日、文科省は、教科書会社が検定中の教科書を外部の教員に見せていた(謝礼も渡していた)問題を受け、教科書会社の宣伝活動などを定めた2007年の通知を見直す事を発表したようだ。内容は、検定中の教科書には外部の教員に見せない事を改めて強調する一方、検定済み教科書を自治体毎に選ぶ(採択)段階では説明会などを開く事を禁じていたこれまでの方針を改め、公の説明の場を設ける方向だという。採択の段階で各社が教科書の特徴を教育委員会や教員に説明したり、教員から改善に向けた意見を受けたりする事は教科書の改善に役立つうえ、宣伝活動が水面下で過熱する事を防ぐ事につながるとの事。
このような問題に関しては、07年の通知以前から、業者や教員にとっては当然知っているべき守るべきモラルとなっていた。その点では、今回の問題は、明らかな「確信犯」とみなすべきであり、地位と権力を悪用した「贈収賄問題」と言ってもよい問題と理解すべきであろう。そう考えれば、このようなルール違反への対応として最も肝要な事は、再発を防ぐためのチェック体制を厳しくするとともに、関係者(業者と教員)に対する処分・制裁を遺漏なく厳しく実施する事でなければならない。それほどに教科書採択は重要なのである。このような問題とは別に政治権力の介入による混乱も起きている。近年、代表的なものは、採択制度を権力で変更して混乱した「八重山教科書採択事件」があり、大阪においても、同様の変更を行い強行採択した。そのほかには横浜、東京などでも同様の事が起きている。
採択の段階で、全業者が参加する説明会を解禁するという事であるが、誰を対象としたものなのかを追及すべきである。文科省は2015年4月7日に通知を出し「採択教科書の決定に当たっては、教職員の投票によって決定されるような事はもとより、十分な審議や調査研究を経ずこれまでの慣例のみによって決定されるなどにより、採択権者(教育委員会)の責任が不明確になる事がないよう、採択手続きの適正化に強める事」「調査員等が作成する資料においても、その資料及び評定について十分な審議を行う事が必要であり、必ず首位の教科書を採択・選定、又は上位の教科書の中から採択・選定する事とするなど、採択権者の責任が不明確になる事がないよう、当該評定に拘束力があるかのような取扱いはしない事」を指示し教育委員会に権限を集中させ独断採決への道を開いている。だから、この説明会出席の対象となるのは実は「教育委員」という事になるのかもしれない。そして、安倍政権の意思に沿った「育鵬社版」の教科書を国民にアピールする場、デモンストレーションの場とする狙いが感じられる。
さらには説明会解禁により、これまでに採択において重要な役割を果たしてきた現場の教員からなる「調査員」の役割を認めない、また廃止する事も大きな狙いであろう。当然「選定委員会」の「答申」についても同様に考えているのであろう。
しかし、そのような事は、ILO・ユネスコの勧告「教育職は専門職としての職務遂行にあたって学問上の自由を享受すべきである。教員は生徒に最も適した教材および方法を判断するための格別な資格を認められたものであるから、承認された枠内で、教育当局の援助を受けて教材の選択と採用、教科書の選択、教育方法の適用などについて不可欠な役割を与えられるべきである」とする内容に反した政策なのである。
つまり、安倍政権は、教育(教科書採択制度)を「政府の意思に沿って(権限によって)行われるもの」という形につくり変え政府の統制下に置こうとしているのである。その意思はすでに『自民党憲法改正草案』の第26条「教育に関する権利及び義務等」の第3項で「国は、教育が国の未来を切り拓く上で欠く事のできないものである事に鑑み、教育の整備に努めなければならない」と公表している。
また注意をしなければならない事は、この安倍政権の政策は、「おおさか維新の会」と結託して行われようとしている事である。1月7日の新聞では、「大阪府教委が、私学も所管」を検討という記事を載せた。これまでは、私立の幼稚園や小中高校を指導するのは、教委ではなく、「府私学・大学課」が担当してきた。しかし、府は「教育庁」を設け、府教委が幼稚園から高校まで公立・私立を一元的に指導統制支配できるように検討しているとの事。つまり、私学を公立と同じように府教委の指導統制支配下に置き、「おおさか維新の会」の意思に沿った教育活動だけをさせるというのが狙いである。そして、「おおさか維新の会」がこの大阪で実現した後、これを前例として全国的に実施していくという戦略である。この点でも「おおさか維新の会」はまた、安倍「自民党」政権の「尖兵」「別動隊」「補完勢力」の役割を果たそうとしている。自民党は言うまでもないが、「おおさか維新の会」は公明党よりタチが悪いだけでなく、一貫性なく、それに対する恥も外聞もかなぐり捨て、安倍政権とつるんで日本国民を奴隷化し生活を崩壊に導いている。人権尊重や民主主義を大切に思うならば、経済だけに関心をもっていてはいけない、経済への関心だけでは、それ以上に大切な精神的な幸福やそれを感じるための命までも奪い取られる事になる。
1月22日の新聞では、21日、大阪府は、私立小中高校などの管理指導を知事部局から府教育委員会に移管する「教育庁」の設置案について、私学の理事長や府議会議員らに説明した。府人事課は移管の利点として、指揮命令の一本化による意思決定の迅速化、公立・私立の交流促進と強みの共有、公立・私立双方の視点を踏まえた政策立案、などをあげている。府は2月府議会に設置に向けた議案を提案する方針のようだ。
私学側は、「私学の自主性をつぶそうとしている」「私学にメリットはない」「公立と同様の一元的な指導・監督を要するケースが生じる恐れがある」などとして反発している。
その通りである。「安倍政権」と「おおさか維新の会」の目論見に徹底的に反対する闘いをすべきである。「教育の政治的中立」とは憲法の「基本的人権の尊重」「国民主権」「平和主義」の3原則を尊重する事にほかならない。