今日も損切り!徒然なる列車

損切続きの人生ですが、そんな事は忘れて鉄道旅や鉄道模型とかの話、日常生活での発見や思い浮かんだ話とか書いてみます。

急行電車男 後編2 福塩線の8620

2020-07-09 20:07:03 | 鉄道旅行

 父の実家に着いた翌日の午前中、自転車を借りて未舗装の細い土手上の道を上流に向かって探索に出かけました。以前にこの道沿いの河川敷にある畑には行ったことがあったのですが、その先がどうなっているのか見てみたいと思ったからです。けれども、この先には民家はなく、道も程なく車が通れない小道になっていました。少し不安感も出てきましたので引き返しました。途中、対岸にある取水口のために設けられた低い堰堤が水量も少なくて対岸まで渡れそうなので自転車を置いて土手を下りて行きました。堰堤を3分の1ほど進んだところで、水が流れ落ちるあたりに何か魚のようなものがうようよしているのが目に留まりました。しかしながらよく見ると魚ではなくてヒルのように見えたので大急ぎで河川敷に駆け上がりました。

 午後は家でぶらぶらと過ごしましたが、その間対岸を走る福塩線の列車の音には常に耳を澄ませていました。と言うのは、鉄道関係の雑誌で福塩線にも一日一往復の蒸気機関車牽引の貨物列車が設定されていると言う記事を見ていたのですが、時刻までは載っていませんでした。それで、ここの叔父や叔母に蒸気機関車の汽笛を耳にしたことがあるか尋ねたところ、午後に聞いたことがあるとの返事だったからです。

 このあたりは対岸を走る福塩線とは1km近く離れていますが、周囲は田畑が広がり、また当時はほとんど車も通らなかったので日中でも静かな所でした。

 その次の日の午後、自転車を借りて近くに架かる橋を渡って対岸にある福塩線の横尾駅に向かいました。蒸気機関車を見るだけならここからでも良かったのですが、ここからさらに福山駅まで行くつもりをしていました。

 福塩線は、横尾ー備後本庄間は芦田川に(正確にはこのあたりで芦田川と並んで流れる高屋川)張り出した小山を回り込むようにして走っています。私は、線路に沿って一段低い所に畦道のような細い道があるのを見つけて自転車を漕ぎました。

 左手に見える小山の終わり近くまで来た時、蒸気機関車の汽笛の音を耳にしました。それもかなり近くまで来ているようです。自転車を止めて急いでズボンのポケットからハーフサイズのバカ〇ⲟ〇カメラ(現在では禁止用語です)を取り出した時にはすぐ近くまで列車が迫っていました。何とかカメラには収めましたが、背の高い草や灌木が邪魔してイマイチの写真でした。もう少し先まで行けていたらマシな写真が撮れたかもしれません。

 さて、写真を撮ったあたりから福塩線が福山駅に向かって弧を描いて私が来た小道からは離れて行くので、近くの小さなガードを潜って線路の東側の市街地に出ました。初めのうちは線路に沿っていた道も行き止まりになり、後は左に右にと行き当たりばったりで何とか福山駅から下り方向に向かって初めての踏切までやって来てました。踏切を渡り切った時に警報機が鳴りだし、しばらくして朱色と黄色に塗られた上り臨時急行「長州」が通過して行きました。

 実は、わざわざ福山駅まで自転車でやってきたのはこの「長州」を見る事が目的でした。急行「長州」は臨時急行ではありましたが、東京ー下関間を走る日本で最長距離の電車列車で一度は乗ってみたいと思っていました。それとこれに乗れば乗り換えなしで京都に帰ることができます。そのために帰りの列車の第一候補にしていました。けれども、乗るからには4人掛け席を一人で確保できるくらいに空いていることが条件でした。それで福山駅の改札口からこの列車の込み具合を見ようとしたのでした。ところが、駅までの道中で予想以上に時間を食ってしまって、踏切で下から列車の窓を見上げる形になって車内が見渡せない結果となってしまいました。

 少しショックでしたが、この踏切の脇にある小さな機関車の駐泊所に先ほど見た福塩線の蒸気機関車が休んでいるのを見てそれも飛んでしまい、帰りは第二候補の列車に乗ることに決めました。(駐泊所に停まっている8620の写真があるのですが行方不明で見つかり次第公開します。)


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