今日も損切り!徒然なる列車

損切続きの人生ですが、そんな事は忘れて鉄道旅や鉄道模型とかの話、日常生活での発見や思い浮かんだ話とか書いてみます。

急行電車男 前編23(最終回)

2020-06-23 18:05:11 | 鉄道旅行

下り急行「第2関門」2回目と上り急行「びんご3号」  その2

 

 海水浴に行った翌日、祖母が隣町の松永にある親戚の家へ行くと言うので私たち3人も一緒に同行することになりました。恐らく母は、この祖母の親戚の誰かと相識の間だったのかもしれません。

祖母の親戚の家には私たち兄妹と同じ年齢の兄妹がいました。私たちはすぐに打ち解けて近くの小川で蟹を捕ったりして遊びました。周囲には田畑が広がり遠くに山陽本線の列車が望める長閑な農村地帯でした。

 帰りはバスで福山に引き返すのかと思ったら逆方向の尾道に向かいました。何やら母が千光寺公園に行きたいと言うのです。

バスを降りてから坂道を上って公園とを結ぶロープウェイ乗り場に着いたらちょうど最終便が出た後でした。仕方なく今来た坂道を下って駅に向かう事にしました。山陽本線のガードを潜り抜けたところで下り急行「みずしま2号」が頭上を通過して行きましたので午後6時を回っていました。祖母の親戚宅に長居をしすぎたようです。

 今回は珍しく父の実家から2カ所も足を延ばしましたが、私が中学1年生で妹が小学4年生になっていて、もうこれからは3人そろって福山に行くことはないかもしれないと母は感じていたのかもしれません。実際に私と妹とが一緒に旅行したのはこれが最後になってしまいました。

 

 京都への帰りには糸崎発大阪行の臨時急行「びんご3号」を利用しました。糸崎へは福山12時09分発の岡山始発下関行き普通列車に乗りました。車両は湘南電車(80系)で結構車内は空いていました。

岡山以西の3本の優等列車は、左から特別急行「かもめ」、急行「第1つくし」、臨時急行「第2宮島」です。

 糸崎では切符の買い替えのために連絡橋を通って一旦改札口に向かいました。糸崎駅は島式ホームで改札のある所には乗降用のホームがありませんでした。私と妹は改札口を出ずに連絡橋の階段近くで母が戻ってくるのを待ちました。

画像にはありませんが、「びんご4号」の設定もありました。糸崎16時07分発、大阪20時25分着で8月15日~19日の運転でした。

 ホームに戻ってしばらくしたら「びんご3号」入線の構内アナウンスの後、下り線から朱色と黄色に塗り分けられた見慣れない電車がやって来ました。一目見てひょっとしたら修学旅行用電車かもしれないと頭に浮かびました。図鑑や小学生向けの「学習」とかの雑誌に載っていた写真で知ってはいましたが、まさかここで乗ることになるとは予想もしていませんでした。

 車内に乗り込むと、写真で見た通りの4人掛けと6人掛けのボックス座席で、網棚は窓上に長く設置してあるのとは違って枕木方向に座席の背ずりの上に設けられていて、しかも頭の上にあるのでかなり威圧感がありました。本来なら細長いテーブルも取り付けられているのですが、修学旅行用ではないためか取り外されていました。

 糸崎を発車した時は、連絡列車もなく糸崎自体も小さな町でしたので車内はガラガラでした。次の尾道以東で多数の乗客がありましたが、座席定員が多かった事や一等車のない12両編成だったこともあってか終始空席が見られました。

 画像の時刻表をご覧いただくとわかると思いますが、「びんご3号」は臨時と言う事もあって定期列車よりかなり所要時間が長くなっています。特に兵庫県内での鈍足が目につきます。加古川では後から来る赤穂線回りの急行「だいせん」に追い抜かれ、神戸でも特別急行「第2しおじ」の通過待ちをします。

 母は、いつもの通り神戸で快速に乗り換えるつもりで到着の少し前から降りる準備をしていました。ところが、列車は「第1しおじ」をやり過ごすためにいつも乗り換えているホームではなく山側にある一面だけの1番線に着きました。これでは島式になっている同じホームの反対側で快速に乗り換える事ができません。母は一瞬どうしようか考えて間が空きましたが、結局神戸で乗り換えることになりました。私も神戸駅にこのようなホームがある事に初めて気が付きました。時刻表が好きでしょっちゅう見ていましたが、神戸で優等列車の通過を待つような列車を見た事がありませんでした。それに1番線の存在すら記憶にありませんでした。このため、「びんご3号」は明石ー神戸間のどこかに運転停車して特急待ちするのだろうと思っていました。

 そのような事もあって乗り換えのために地下道へ降りて行く階段の薄暗さが今でも記憶の片隅に残っています。それでも結果的には神戸で乗り換えた方が良かったようで、神戸始発17時16分発の快速に乗れました。ヨンサントオ(昭和43年10月)ダイヤ改正までは神戸を終着、始発にする快速の設定が結構ありました。

 

 今回で「急行電車男 前編」は終了します。前編では家族旅行の話が多くなってしまいましたが、国鉄の急行電車に乗る機会が次第に増えて行き「急行電車男」の基礎が出来上がる時でもありました。後編では一人旅が多くなり急行電車に乗る機会もさらに増えて行きます。そんなエピソードの中から幾つかを選んでお話ししたいと思います。

 

 


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