静 夜 思

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リニア新幹線の遅延と挫折にみる 日本政治の宿痾

2024-05-11 08:03:16 | 時評
◎【毎日】「リニアはつまらない」 鉄オタ・石破茂さんが嘆くワケ 【聞き手・原田啓之、佐久間一輝】  抜粋
  *リニアの議論「熟していない」
  ◆ 静岡工区をどうすべきかについてはいろんな世論調査があり、質問の仕方によって全然答えが違う。反対が多いとか賛成が多いとか一概には言えない。①ただ水源の問題は本当に大丈夫か、
    きちんと答える義務が施工者側のJR東海にはあります。
 *「のぞみ」は遅い?
  ◇ 昭和30年代に、ビジネス特急と言われた特急「こだま」が(在来線の)東海道線を走り始めた頃、東京―大阪は約6時間半かかりました。スピード、輸送力の面においても東海道線が限界に来て
    いたので、東海道新幹線をつくることには十分な合理性があった。
     ところが今、東京―大阪を2時間半で走る②「のぞみ」が遅いと思う人は、どれぐらいいるのか。そう思う人は飛行機に乗るでしょう。もっと速い電車へのニーズは、どこにあるのだろうね。
    リニアだと、東京―大阪が67分といっても、出発は品川からだし、駅は大深度の地下にある。駅での乗り換えを含めたら、時間はもっとかかる。そういうところまで検証されているのか。
 *「破格の融資」
  ◆ 国民負担を一切求めないと言っていたにもかかわらず、結局は3兆円の財政投融資を使っている。③このリニアによって東京―名古屋―大阪が一つの「スーパー・メガリージョン」になって地方の
    発展につながると言われるが、その理屈がよくわからない。東京一極集中から、メガリージョン集中へ加速するだけじゃないのか。10兆円を超えるとも言われる建設費を使って、リニアが
    めでたくペイできた(採算が取れた)としても、それが地方の発展につながらないと、結局は国力が衰退する。そのお金があったら、地方の鉄道を高速化するとか、利便性向上とかにもっと
    使えるんじゃないでしょうか。

    そこには思想の問題もあります。なんで鉄道だけは鉄道会社がインフラも整備するのか。例えば、JALやANAが羽田空港をつくって維持費を出せと言われたら、経営が成り立たない。
    ④鉄道という公共インフラは赤字だろうと、税金で維持すべきものです。二酸化炭素の問題やドライバー不足で、鉄道の重要性は増しています。欧州では、なるべく飛行機を減らして鉄道に
    振り替えている国もあります。
     ところが、日本ではそういう議論がほとんどない。「夢の超特急」の令和版みたいな話ばかりが先行して、本当にそれでいいのかなって思いはあります。

  ◆ ⑤太平洋戦争が止められなかったように、「何とかなるさ」と始めたプロジェクトっていうのは止まらないのかもしれない。(JR東海や政府が)疑問にちゃんと答えて、私が「なるほどね」と
    思ったら、リニア大推進派です。私は反対派じゃありませんから。そういう疑問にちゃんと答えないまま進むことが、リニアの計画にとっても不幸なことではないか。
    財政投融資とか国のスキームを使うのであれば、納税者が納得する説明をしていただきたい。

    鉄オタとしてさ、リニアほどつまらないものはない。景色が見えないんですよね。車内は狭い。車内販売もきっと来ない。旅ではないね。もうあれは移動だよ。高速地下鉄だよね
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 石破氏が指摘する下線を施した部分は、リニア新幹線敷設に関するすべての疑念を網羅している。即ち;
①水資源保全への疑問検証が不完全では? ②「のぞみ」以上の時間短縮ニーズと効用は有るのか? ③東京一極集中の弊害が肥大拡散する懸念 ④鉄道インフラの税負担理念が間違っていないか? 
⑤疑問が湧いても途中撤退や中止を潔しとしない、戦前からの非論理的国民性を良しとするのか?  ⑥単なる移動手段としての高速地下鉄化したリニアで何人客が乗るか?という疑問


★ どの指摘も論理的かつ正当であり、なぜ石破氏が国のリーダーになれないのか、なぜ自民党で嫌われるのか? 実に不思議だ。あの眇目と淡々とした語り口のせいなのか? 惜しい。

 周知のとおり、政府及びJR東海はこれら6つの疑問に正面から答えようとせず、既成事実化を進めて押し切る姿勢である。これはリニア問題に限らず、自公政権のいっさい非を認めない姿勢である。
総選挙を何度繰り返しても、時には政権交代があっても、保守勢力の政治姿勢は全く変化しない。これは、それを許してきた国民の姿勢でもあることを有権者は肝に銘じなければ、いつのまにか
血税を使った巨大な無駄・リニア新幹線が走り出すだろう。 旧民主党政権挫折から10年経った。そろそろ、二度目の政権交代で日本に喝を入れるタイミングではないだろうか???


 一気に議席逆転が難しいなら、せめて自民が単独過半数を割り、公明党ではない相手と連立を組まざるをえない状態になるだけで、これまでのような唯我独尊で、政権の独善的運営はできなくなる。
 それだけでも、旧態依然と成功体験をなぞるばかりの政治姿勢は変えざるを得なくなるはずだ。 さもなければ、失われた30年どころか40年にもなるだろう。。。。
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