静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

≪ 英国の混迷にみる 議会政治/議院内閣制の欠陥 ≫  日本は”他山の石”とし 中央集権を弱めた統治制度に変革せよ

2019-09-06 09:05:02 | 時評
 【金言】英首相VS議会=西川恵 https://mainichi.jp/articles/20190906/ddm/002/070/028000c?fm=mnm
・ 西川氏の指摘するところは、英国における政党政治と議会(=国会)の関係が変質してきた事だ。読んで気づくのは、幾つか日本の現状に照らす時、
  カタチの上では同じ議院内閣制でありながら英国政治の在り方が日本の現状と大きく違うことだ。それは、
   <総理大臣と解散権への制約><政党党首と首相の関係><政権党(与党)と非政権党(野党)の関係性><政府と政党(与野党問わず)の争点>だろう。

* EU(欧州連合)離脱を巡る国民投票後、ずっと続くイギリスの混迷。これを『老大国の蒙昧』などとあげつらうのではなく、議会制民主主義そして
  議院内閣制の孕む弱点ととらえ直し、日本人は「対岸の火事」ではなく「他山の石」と肝に銘じなければいけないと思う。中でも日本が「他山の石」とすべきは
  <首相の解散権への制約><国家・政府の権限と国民・市民個人の権利のバランス>だ。

ロシア、中国ほか地球上にある専制的独裁国家からみれば、この混迷こそ”西欧型デモクラシーの限界”であり、普通選挙を行わない合理性だと言い続けるだろう。
加えて、トランプ大統領出現で暴露した<アメリカ型三権分立&大統領制の盲点>。これも上に挙げた専制独裁国家には「漁夫の利」を稼ぐ絶好のチャンスだ。
 英国離脱によるEU弱体化とアメリカ一国主義による国際政治の混乱は、グローバル経済の悪弊的側面だけでなく、此の文脈上で捉える必要がある。


よく言われる通り、西欧型議会制民主主義政治はベストでも完全無欠でもない。普通選挙による議院内閣制を編み出した大英帝国、それに飽き足らず、権限集中度が
強い大統領と強い議会の均衡で異なる統治システムを編み出したアメリカ合衆国。だが皮肉にも、此の二大デモクラシー先進国が機能不全に陥りかけている。

では、議会制度後進国の我が日本国は何をニ国の教訓から学ぶべきか?  私は、日本が統治制度で改革すべきポイントを次のように考える。
 (1)民主的統治の根幹になる地方自治と分権の拡大=中央集権の軽減をもたらす都道府県制度の広域再編
 (2)(1)と連動した二院制度の変革<定数・選挙区割>で、(広域自治体の利益代表議員 & 国家政策検討議員)に議員選出を区分けする
 (3)(2)を踏まえ、民意の表現が不十分なまま形骸化した選挙制度の変革・・・全国代表 vs 地域代表(≠1県1区/1名)
 (4)議会解散を首相の政局操縦に使わせない為の英国式の制約(=解散総選挙への議会承認制度)導入
 (5)憲法裁判所の設置による行政・立法権限への牽制機能で、三権分立の形骸化を防ぐ

 これら(1)~(3)の変革でもたらす目標は(インフラ投資絡みの)地域権益獲得に紐付いた議員後援会組織&集票体系の消滅であり、これでこそ角栄的土建屋選挙体質からの訣別に繋がる筈だ。(4)(5)は、日本でとりわけ弱い<三権分立の強靭化>が狙いである。   如何?
コメント
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