まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

神保町で後藤治先生の『論より実践 建築修復学』を入手

2019-05-06 15:13:48 | 建築まち巡り東京 Tokyo

先日下谷快哉湯を見学したときに、ご挨拶した工学院後藤治先生の『論より実践 建築修復学』をもとめて神保町へ。

後藤先生にはいつもご指導いただいています。電車の中で少しだけ読むと「したがって、歴史的建造物のほとんどは、保存より『利用』に力点を置くべきである。修復という作業においても、丁寧で慎重な扱いよりもむしろ、建造物が現代的な利用に耐えられるように手を加えていくことが重要になる」という言葉に出会い大いに勇気づけられます。

今山形県酒田市・旧割烹小幡の改修設計の大詰めを迎えていますが、日々迷うところがあります。和館は、人々が思っていたよりもずっと古くて、明治初期以前の町家形式を基本に様々な改修が加えられてきた料亭建築であること、洋館は酒田フレンチの源流ともいえる貴重な大正建築であることなど、酒田市図書館岩浪館長とともに基本調査で明らかにしてきました。大変貴重な歴史的価値があることを発見してきたわけですが、いざテナントにも入って利用してもらおうとするとそのまま復原するだけではだめです。各所に手を加えなければなりません。これまで改修に改修を重ねてきたという「時間の中の建築」ですから、今回もきちんと評価されるような歴史に残る改修設計で答えたいと考えています。とはいえ、先ほど述べたように迷うときもしばしばです。

もう一度、後藤先生の本に学んでみたいと思います。

さて、WEB書店を利用するようになって、神保町に降り立つこともすっかり少なくなって来ました(電車で毎日通過していますが)。

文房堂ビル。スクラッチタイルのある典型的なアールデコです。旧割烹小幡洋館と同じ1922年竣工だと店の前に掲示してあります。

震災後の看板建築の一種だと思います。

こんな銅板吹きの外壁も昔(よく来ていたのは学生時代ですからなんと半世紀近く前!)はもっと多かったように思います。

神保町シアター。面白い形体です。コガネムシを思い出します。設計者の山梨さんは今年ふたたび建築学会作品賞をとられました。

鳩が寄ってきます。なぜかうちの猫を思い出します。

I visited Jimbo-Cho town, a district of new and secondhand book-sellers, for the first time in a while.

I enjoyed a short walking around this hitoric area. The atomosphere of the street reminded me of my student days.

  

高谷時彦

建築・都市デザイン

設計計画高谷時彦事務所 東京

東北公益文科大学大学院 鶴岡 山形

Tokihiko Takatani

architect/professor

Tokihiko Takatani Studio. Tokyo

Graduate School of Tohoku Koeki University. Tsuruoka-City, Yamagata-Pref.

 

 

 

 


下谷快哉湯

2019-04-28 15:10:02 | 建築まち巡り東京 Tokyo

N君が長らく取り組んでいた建物再生の成果を見学させてもらいました。東京下谷の快哉湯。響きの良い名前です。1928(昭和3)年から2016年まで続いていた銭湯とのこと。

洗い場だったところをシェアオフィスに、そして脱衣場であった場所をコーヒーコーナーやギャラリーに改装しています。

ちゃんと番台も残しています。

私も初めて登ってみました。

N君に拍手ですね。これからのご活躍にも大いに期待してしまいます。

下谷というところには今までほとんど足を踏み入れたことがありませんでした。

快哉湯のすぐ近くにはこんなゲストハウスがありました。

外で写真を撮っていると中にどうぞお入りくださいと、スタッフの方からのお声がけがありました。

中に入ると奥にはこんな立派なお屋敷があります。築100年だそうです。

ここが宿泊棟です。うまく使っていますね。ちなみに庭の前の小山は冨士塚。富士講のお参りのための人工の山です。

反対側に回ると、全体が分かります。説明サインもあります。

駅に戻る途中にもいろいろ面白い建物があります。関東大震災直後の建築と思しきものが次々と登場します。

下谷というまちの探索もしてみたいものです。

I visited Kaisai-yu Building, converted from Sento Public Spa to a share-office by Mr. Nakamura.

I saw the old building has become a very comfortable space where people meet together.

I remember when I met Mr. Nakamura first. He was a student of Kogakuin University where Ihad been teaching

as a visiting critic.  I'm very happy to see his exellent work.

 

 

高谷時彦

建築・都市デザイン

設計計画高谷時彦事務所

東北公益文科大学大学院

Tokihiko Takatani

architect/professor

Tokihiko Takatani Studio. Tokyo

Graduate School of Tohoku Koeki University. Tsuruoka City, Yamagata

 

 

 

 


目白散歩吉村順三アトリエと徳川ビレッジ

2018-09-23 00:03:42 | 建築まち巡り東京 Tokyo

目白の吉村順三記念ギャラリーを見学。旧事務所の打合せ室で、吉村順三ディテールの障子に関心、感心、得心。建築において動く部分、可動部がこんなにたくさんのことを語り掛けてくれるんですね。面白さを十分に堪能しました。部屋のスケールも心地よいものでした(もしかすると写真撮影OKだったのでしょうか)。

 

すぐ近くには徳川ビレッジ。WEB情報を見ると、尾張徳川家の19代当主徳川義親が昭和初期に開発した住宅地とのこと。御本家の建物は御当主の同級生、渡辺仁と紹介されています。渡辺仁は色々なタイプの建築をつくった人で、上野の国立博物館、銀座服部時計店、そして品川の原美術館も彼の手になります。さらには私の中でもう一度訪れたい建築の上位にある熱海日向邸の地上和館部分も渡辺仁です(地下はブルーノタウト)。

ビレッジの中に入ると表示が英語になっています。

 確かに遊んでいる子どもは外国人。

そうとう高級な賃貸住宅です。大使館の関係者や大企業、あるいはIT関係者が住んでいるのでしょうか?

家の中には入れませんが、桜並木でできた、みち空間自体が緑あふれる気持ちの良い共用空間になっています。こういうところに暮らすと、一つのコミュニティ意識が醸成されることでしょう。ここまで高級感が無くても良いですが、やはり住宅地には、何かみんなで共有できる外部空間、公共空間があるといいですね。公共性やコミュニティというのは空間性を伴った概念だと思います。みんなが親しみを感じることのできる空間(まち並みのこともあるでしょう)が共有されることで、コミュニティ意識は育つでしょうし、また自分たちの物ではあるけども、私だけの物ではない大切な空間が、公共という観念を育てるのではないでしょうか。

I visited Yoshimura Jyunzo Memorial gallery in Mejiro. Yoshimura is an architect of great renown and his office was converted into a memorial gallery. I found the detail of the window and shoji, a sliding wooden door, interesting and full of craftmanship. I enjoyed Yoshimura world very much.

 

高谷時彦 建築/都市デザイン

設計計画高谷時彦事務所・東京

東北公益文科大学大学院・鶴岡

Tokihiko Takatani  architect/professor

Takatani Tokihiko Studio. Tokyo

Graduate School of Tohoku Koeki University. Tsuruoka City. Yamagata Pref.

 

 

 


槇文彦先生の刀剣博物館へ

2017-09-17 16:24:23 | 建築まち巡り東京 Tokyo

刀剣博物館は駅でいうと両国。

ちょうど本場所中。

 

敷地は旧安田庭園の中という素晴らしい立地。

 

3層のスケールは歴史的な公園にも調和しています。1階はレクチャー室、カフェなどのパブリックな用途。2階は館長室や学芸員室、収蔵庫など。展示室は3階にコンパクトに収まっています。

たまたま副所長のWさんがおられて、教えてくれたのが日本の刀剣美術の大恩人のお二人。

 戦後、進駐軍の方針で刀剣が日本人の手から離れようとしていたときに、美術作品としての価値を認めさせたのがこのお二人。もちろんそれ以外の面でも刀剣美術界で様々に活躍された方のようですが、佐藤先生は鶴岡、本間先生はその名からご推察の通り酒田の出身。そして今の会長(博物館館長)は旧荘内藩主酒井忠久氏。鶴岡の致道博物館で刀剣をもう一度じっくり拝見する必要があります。

高谷時彦記

Visited the Japanese Sword Museum designed by architect Fumihiko Maki.

It is located in Yasuda Teien, a Japanese traditional garden famous for its beautiful seneries. 

Walking through the garden I found the building in good proportion to the beautiful surroundings.

And in the museum, I felt, as usual, a sense of elegance coming out of good proportions, carefully selected materials and refinement of details.

Mr.Wakatsuki, a senior associate of Maki's office, taught me that two portrait busts set in the entrance hall were for two leading persons of Society for Preservation of Japanese Art Swords and they were both born in Shonai region.  The present director of the museum is Mr. Sakai, a descendant of a feudal lord of Shonai region. I realized Shonai people made a great contribution in the field of art sword.

Tokihiko Takatani

Architect/Professor

Takatani Tokihiko and Associates, Architecture/Urban Design, Tokyo

Graduate School of Tohoku Koeki university ,Tsuruoka city, Yamagata

  

 

 


都心回帰?千石はマンションラッシュ

2017-08-30 14:04:11 | 建築まち巡り東京 Tokyo

私たちの事務所(文京区千石)の周りは、すでにマンションで一杯ですが、それでもなお古い一軒家や、ビルを解体してのマンション建設が盛んです。直近にも二つの解体現場。解体してみると思わぬ風景が展開します。オフィスビルの一階が解体されると、向こうにこじんまりとしたいい雰囲気の中層建物が見えます。実は私たちの事務所のある建物。

そしてこちらでは、旧山の手のお屋敷が、現れてきました。倉と古い住宅は残るといいですね。

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高谷時彦記

Tokihiko Takatani

Architect/Professor

Takatani Tokihiko and Associates, Architecture/Urban Design, Tokyo

Graduate School of Tohoku Koeki university ,Tsuruoka city, Yamagata