日本株急落、コロナはリーマン並み懸念-債券下落、為替105円台
牧綾香、伊藤小巻
2020年3月13日 8:03 JST
更新日時
2020年3月13日 11:59 JST
日経平均は下落率10%超え-日銀は国債買い現先実施で市場に配慮
政府と日銀が緊急会合開催へ-為替相場は方向感定まらず
13日の東京株式相場は大幅安となっている。日経平均株価は一時下落率が10%と、2011年3月15日の東日本大震災直後の下落率となった。下げ幅は1800円を超えている。新型コロナウイルスの感染拡大に対して米国と欧州が打ち出した対策は不十分と捉えられ、リーマン・ショック並みのリセッション(景気後退)になるとの不安が高まっている。
日本銀行は13日午前、国債買い現先オペによる資金供給5000億円を通知した。同オペの実施は先週2日と3日に続いて2週連続。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う金融市場の混乱に配慮して、潤沢な資金供給の姿勢を示しているとみられる。しかし、先行き不透明感は払しょくできず、債券相場は大幅に下落。長期金利はゼロ%に接近した。
TOPIXの午前終値は前日比95.59ポイント(7.2%)安の1232.29
日経平均株価は同1478円49銭(8%)安の1万7081円14銭
ドル・円は午前11時20分現在、前日比0.5%高の1ドル=105円13銭
長期金利は5.5bp高いマイナス0.01%、一時マイナス0.005%とゼロ%に接近
〈きょうのポイント〉
政府と日銀が緊急会合開催へ、午前11時40分から
米国株はブラックマンデー以来の大幅安
CBOEボラティリティー指数は75.47、2008年11月以来の高水準
欧州中央銀行(ECB)、新型コロナ対策パッケージ発表
債券購入と銀行への長期貸し付けプログラムを拡大
中銀預金金利をマイナス0.5%で据え置き
ストックス欧州600は11%安、過去最大の下落
トランプ米大統領、東京五輪は1年延期してはどうだろうか
アセットマネジメントOneの淺岡均シニアストラテジストは、米国の渡航制限や、欧州中央銀行の利下げ見送りなど、「主要国間で政策協調の動きが進んでいないことがあらためて確認され、日本株を含むリスク資産から投資家が資金を引き揚げている」と指摘。「日本株は高値から3割程度下がり、大幅減益を織り込んだ水準だが、ここで止まる保証はない」と話した。
岡三証券の山本信一シニアストラテジストは、「新型コロナウイルスの感染拡大は欧米では初動の段階、特に米国に集中していた資金の逆流は継続する可能性がある」と指摘。VIXが上昇しボラティリティーが高い中では、市場の動揺が収まるまで機関投資家やヘッジファンドはキャッシュ化に動くとした上で、「リーマン・ショック時より資金がリスク資産に集中していたため、株価の下げが大きい」との見方を示した。
12日の米株式相場は続落。S&P500種株価指数とダウ工業株30種平均は1987年のブラックマンデー以来の大幅安となった。米金融当局とトランプ政権の景気対策は、新型コロナウイルス感染拡大への政策対応としては不十分との懸念が広がった。この日は欧州、ブラジル、カナダと世界で株安が連鎖。米国の主要3株価指数は全て9%余り下げた。S&P500種は弱気相場入りし、2018年末以降の上昇分を全て失った。
東証33業種では不動産、医薬品、サービス、精密機器、保険が下落率上位
取引開始時に算出された日経平均先物オプション3月限の特別清算指数(SQ)は1万7052円89銭(ブルームバーグ・データ)
東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=105円台へ上昇。欧米の政策対応に対する失望から世界的に株安が進む一方、米債利回りの低下が限定的で、相対的にドル買いが優勢となっている。
(市場の動向と外部コメントを追加して更新します)
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