『 HARD & LOOSE 』 れいめい塾 津市久居

塾頭の『れいめい塾発 25時』
三重県津市久居にある学習塾『れいめい塾』の塾頭のブログです。

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3月17日

2006年03月17日 13時31分04秒 | Weblog

昨夜も理恵はやってきた。
受験が終わってから、これが3回目の訪問。掃除をしてみたり、計算用紙を作ってくれたりと落ち着かない。
不安でたまらないようだ。そんな理恵に俺からのプレゼント・・・、大和和紀のマンガ「あさきゆめみし」を手渡す。「とりあえず、これを読め。いつか役に立つから」

理恵は理系文系の選択では文系になるはず。となると、国語が勝負を決するはずだ。現代文は今回の公立入試のために延々と全国入試問題を解いてきたなかで、基礎的な記述力は身につけたと思われる。高校へ進学後もウチの塾を続けるならば、数学と英語しかプッシュしない津高にあっては国語の出来が趨勢を決めるはず。
今年の津高は、前評判が高かったわりには東京大学や京都大学などで振るわなかった。その原因はいろいろ考えられるが、国語という教科に対する軽視にあるのではないか・・・。
理恵が難関大学を攻略するには、確かに数学や英語は重要な因子にはなるだろうが、文系である以上は国語の実力養成が急務となる。
理恵の数学では理系は厳しい、・・・解き方にときめきがないからだ。
理系文系かまわず、英語はともかく、数学をあれほどプッシュする津高、理系なれば難関大学を攻略できるだろうが、こと文系では今のカリキュラムに問題がある。
つまり理恵の3年後をふまえたうえでの「あさきゆめみし」

それでも不安がぬぐいきれない理恵に俺は言った。
「もし万が一、明日津高で自分の番号がなければ俺の携帯に電話しろ。俺は津西でグッチの相手をしているが、すかさず津高へ向かう。そして、明日だけはお嬢様のリクエストにお答えしてどこへでもドライブに連れていってやるよ」「お嬢様って」「アンタやアンタ」

午前8時30分、なぜか起床。昨夜のコーラの買出しの後、依然として塾で高校の因数分解を解いていた裕に何問か教えてベッドにもぐり込んだはず。・・・熟睡、しかし二日酔い。
頭を抱えながら、舞のデジタルカメラのリファランスに目を通す。

午前8時45分、古西到着。
今日の津高担当は古西。午前9時になると愛・沙耶加・千尋・荒井など古西組が登場。しかし龍神がいない。
午前9時前、塾の電話が鳴る。里恵か・・・と思いつつ、「はい、こちら久居警察です」
里恵には午前9時に電話してくれと頼んでいた。ところが相手は・・・「あなた、何バカなこと言ってるの」「あれ、奥さん。どうしたの」「今日は公立高校入試で大変でしょうけど、私は今からあいの卒業式に向かいますから」

午前9時をまわり、甚ちゃん登場。
甚ちゃんは津東担当、そこへあゆみと由子が補佐で着く。
そして俺は里恵を三重中央病院でひろって津西に向かう段取り。
午前9時10分、第一陣の津西担当の俺から出発。

里恵を拾って津西に到着は午前9時35分。
津西の先生方と塾の関係者が目立つものの、構内には受験生がポツポツいる程度。
里恵と車の中でタバコを吸って時間を潰す。
発表の午前10時の15分前に構内へ。ずっとグッチを探しているが見つからない。
だんだんと人が溢れ始める。もちろん受験生も多いが、津西の在校生もまた多い。津東が人権なんとかで県文化会館へ生徒を押し込めたのとは対照的である。

午後10時、合格者の番号が書かれた板が木枠に掛けられていく。
一番左の板を凝視する! グッチの154番がない! 「ない!」と隣から短い叫び声があがる。俺は再び、左上からなぞっていく。その瞬間、隣で「あった!」と絶叫。「どこや!」「先生、あそこあそこ、真ん中の上のほう!」 真ん中!?・・・上のほう・・・154番!・・・あ・・・、「あった!あった!」
左側の番号は国際の番号だったと気づき、「なんで津西には国際なんかあるねん!」と俺はおかど違いの怒りで猛り狂っている。
しかし依然としてグッチの姿は見えず・・・。
そこへ携帯が鳴る! 来た! 津か津東か! えっ!・・・理恵!

前身から血の気がひくのが分かった。
理恵が始めて塾に来たときに、真ん中の部屋で話した光景が蘇る。
すかさずかけなおすものの、繋がらない。ならばと愛の携帯に電話・・・呼び出し音6回、「愛です」「津高はどうなってる。いや、理恵は、理恵は受かったか!」「はい、受かってますよ」「えっ、・・・ほんま?」「ええ、津高は全員受かってます」「ホンマか」「本当です」「じゃあ、もっと早く電話してこいよ!」

午前10時20分近くまでグッチを待つ。見逃したか・・・いや、絶対にまだのはずだ。しかし、他も気になる。ならば、津西から津駅までトロトロと車を走らせよう。
俺と里恵は車に戻りエンジンをかけた。
津東裏に甚ちゃんのステップワゴンが駐車してある。それを横目で見ながら津駅を目指す。ロータリーを一巡、バスを待っている受験生風を眺めながら、車を津高に向ける。

津高到着は10時35分、校門前に余裕で止めて恒例のコーラかけの場所に急ぐ。
ところが、誰もいない・・・。
地面にはコーラかけの断片が散らばってはいる。しかし誰もいない。
里恵と二人で構内に入り、合格発表の掲示板に近づく。
昨日、理恵が作ってくれた塾生の一覧表を取り出す。
裕、117番・・・慎也、120番・・・理恵、125番、ある・・・そして瞭、127番・・・ある、みんなある。
じゃあ、理恵の電話は?・・・、クソッ!ともかく、塾で会ったら絶対にお仕置きや。

今日もここいらでコーラかけをやらかしたんだろう・・・コーラで濡れている道の脇にコーラ缶が1本残っている。俺が昨日買ったコーラだ。俺はそれを拾った、まだ入っている。必ず空き缶はゴミ袋に入れて持ち帰ることを徹底して言ってある。多分、見落としたんだろう。俺はそれを口に含む。通りがかりの人が俺を一瞥していく。他者の目から見れば、今の俺は道端に置いてある誰のか分からぬコーラを拾って飲み干した・・・かなり不気味な人間として映っているんだろう。

コーラをかける時は、「通りがかりの人に迷惑をかけるな! 車にかけるな!」が鉄則だ。コーラをかける楽しさから状況判断はついつい甘くなりがちだ。過去に何度か、この禁を破ったことから苦情をいただいたことがある。ともに俺が津西か津東にいて、裁量を大学生に委ねていた時だ。
合格した生徒にコーラをかけるという非日常的で、反社会的な行為を続けていくためには、他者を常に意識する必要がある。眉をひそめながらも、まあしかたないか・・・このあたりで折り合いをつけたい。
その意味で、ほんのさっきまで行われたはずのコーラかけの出来に興味があった。古西の裁量が問われるのだ。

塾に戻ると古西組がたむろっている。
愛は明日の東大の健康診断とやらで今日の夜には東京に入る。パソコンと首っ丈で新幹線の時間を調べている。
古西が私用で退去。残った高3は古い塾の掃除へと向かう。
甚ちゃん率いるあゆみ・由子の津東のメンバー帰還。由子に健斗の様子を聞く。「意外と元気そうでしたよ。高田高校で頑張って三重大へ行くって言ってました」
そこでふと気づく雄一、「あ! 雄一の結果を見に農林へ行ってくるわ」「まだ行ってなかったんですか」と甚ちゃんの呆れ顔。

雄一の受けた農林の環境土木は定員21名に対して受験者22名・・・計算では一人落ちるだけ。倍率が年によって大幅に上下する農林にあっては、今年の環境土木、雄一にとってめちゃラッキーの展開となった。
内申は28でそこそこはある。あとは学力、これは過去3週間の甚ちゃんのブログを見ればわかるように、睡眠時間を削って勉強していた。
最初の頃の質問で笑えたのが、「先生、この字、何て読むの」と指を差したページはレンズの個所・・・雄一の指は「焦点」を示していた。「オマエ、焦点の読み方も分からんかったんか!」 そんな雄一、受験直前には「初期微動継続時間は距離に比例するんやな?」と聞くようにはなっていた。
甚ちゃんとは、かなりの確信で雄一は受かると踏んでいた。
それでも今日の午前11時30分・・・428番の文字を見つけた俺は一人、安堵のため息をついていた。

午後から突然、開明学院の永橋学長が来られて久しぶりに喫茶店で話す。
いつものことながら、塾のことしか分からない俺は、相も変わらぬ学長の旺盛な知的探究心に圧倒される。

1年に一度だけの家族との晩餐、まあ今日は末娘のあいの卒業式の祝いもあって焼肉屋へ。
塾に戻ると、瞭・グッチ・理恵・千帆・雄一が自分の机を掃除している。その合間を縫うように勉強している中2たち・・・。
今日の津高のコーラかけの様子を撮った古西のビディオを中2と中3の全員で鑑賞。

津高受験者は全員が合格した。ゆえに何も考えずに、コーラをかけることに没頭できる。
理恵がセーラー服のまま、津高の校舎脇のドブに飛び降りる。運動靴はたぶん洗濯不可能、埋め立てゴミに直行かな・・・すかさず頭上から理恵に浴びせられるコーラ・コーラ・コーラ・・・高3の愛や千尋や荒井や沙耶加が笑っている。そしてドブの中でコーラのシャワーを全身で浴びる理恵も笑っている。

ビディオが終了した後、上気している中2に俺は一言だけコメントした。
「このビディオの続きは1年後だ! 健闘を祈る」

深夜、杉野がやって来た。
薬剤師国家試験の結果は今イチ・・・ただ、採点する間もなく急遽帰省。
杉野が試験を受けていた日に、杉野のおじいちゃんが亡くなった。
杉野ほどではないにしろ、1週間に一度病院を訪問しおじいちゃんと交わした心のふれあい、それを訪問の都度、杉野から聞いてきた俺だ。それなりの感情はある。
しかしそれらの感情を押しつぶすように、杉野を交えた久しぶりのマージャンが始まる。
当然脇を固めるのは征希と古西の師弟コンビ。こちらももやたらテンションが高い。
今夜は長い長い夜になりそうだ。

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