映画をチラッと「垣間みた」だけで、原作も読んだことなかった
どうも「マザコン話」が苦手なのと、流行したものには天邪鬼で
食事シーンに興味はあったものの、ずっと後回しにしてきてしまった
先日の「わが母の記」をみてから、なんとなく免疫ができたのか
この「東京タワー」も鑑賞してみようか、いや本から読むかと
それで読んでみた
うん、ヒットするだけある、面白かった
しかし男の人達のように、号泣することはないけど(笑)
娘にとって、母親ってもっと冷めた存在だから........
リリーさんて、アタシと同年代なんだな
九州と北海道、南と北で育った環境は全然ちがうけど
同じ時代を生きてきたせいか、物語を非常にリアルに感じた
世界を騒がせたニュースとか、あの頃の「原宿」の雰囲気とか
あの時代の匂いとか、文章のむこう側が見え過ぎてドギマギした
赤羽橋近くの、東京タワーのみえる病院で
オカンの最後の人生に、ボクとオトンが付き添っていた「あのとき」
アタシも東京にいた
桜が咲いてるなか雪がふったあの晩のことは、よく覚えている
オカンの最後の3日間である、その最初の4月12日の夜、そのときアタシは
当時すんでいた江戸川区●葛西のマンションで、母に手料理をふるまっていた
その日は母の誕生日、しかも還暦だった
偶然に、北海道から千葉の親戚の家に来ていた母は
伯父の車に乗せられて、引っ越したばかりの我が家を訪ねてきた
あいにくオットは多忙で不在、だから親子水入らずで食事をした夜だったのだ
本来なら父や妹達家族を交え、温泉にでも泊まって祝ってあげたい所だが
アタシ達は上京し新生活をスタートさせたばかりで、とても手が回らない
妹達に「お祝いは任せる、お金はだすから」......という情けない有様で
そんなおり、たまたま母は上京し、たまたま我が家にやってきた
十数年前のことだったし、引っ越したばかりで街の事情には疎く
今なら気のきいた「美味しいお店」へ「お連れ」するとこなんだけど
当時のアタシでは無理だったから、せめて「娘の手料理でも」と思ったのだ
しかしながら、今とくらべて料理の腕はまだまだ未熟だったうえに
引っ越しと環境の変化による疲れが、ピークに達していた頃ってこともあり
料理は甚だ不出来であった
確か、オニオングラチネとか、ご馳走サラダとか
軽いフルコース風のものを、ワインと一緒に整えたと思う
黄色い小さなテーブルにちまちまと並べて、母と2人で食べた
美味しいと喜んで平らげてはくれたけど.................
失敗、あれは間違いなく失敗
どうしてもっと「ちゃんと」拵えなかったのか
情けなくて切なかった
そんな4月12日だった.................
なんて、読んでて思いっきり思い出してしまったじゃないか
しかも、さっき読み終わってから気づいたけど
今日は4月12日じゃないかっ
希林さんの娘さんは、色っぽくていい芝居する
もっと本格的に女優をやってほしいな