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【cinema】『ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男』(試写会)

2017-02-02 00:51:07 | cinema

2017.01.24 『ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男』(試写会)@一ツ橋ホール


ぴあで当選! いつもありがとうございます。内容柄ちょっと重そうだなと思ったけど、マシュー・マコノヒー主演ということで見に行ってきた~




ネタバレありです! 結末にも触れています!


「南北戦争当時、南軍の衛生兵だったニュートン・ナイトは、甥の遺体を家族のもとに届けるため脱走する。脱走兵は縛り首にとなるため、沼地に逃げたニュートンは、逃亡黒人奴隷たちと共に過ごすうち、彼らに共感していく。やがて白人脱走兵たちも合流し、追っ手や物資調達のため貧しい農民の家を襲う騎兵隊と戦ううち、自由軍を名乗り、ミシシッピ州ジョーンズにジョーンズ自由州を立ち上げるが・・・」という話で実話ベース。予想通り重い内容で、光はほとんど見えない。でも、140分と長尺にも関わらず飽きてしまうことはなかった。目をそむけたくなるシーンもあったけれど、ひきつけられた。


ゲイリー・ロス監督作品。監督の作品では『シービスケット』が大好きでDVDも持ってる。監督作品としては見たのは2本目かも? 毎度のWikipediaにはまだあまり情報がない感じ。簡単な説明と、キャストとスタッフ情報、あとは評価についての記載があるくらい。評価も受賞履歴とか観客動員数やRotten Tomatoesなどの評判などはなく、3人の批評家の意見が紹介されおり、正反対の意見であるとの記載があるのみ。正反対の意見というのは、今作が"白人の救世主"の話と見ることができるかどうかで、1:2で白人救世主の物語とはいえないという意見が優勢。Wikipediaによると"白人の救世主"というのは、白人が非白人を窮地から救うという典型的な表現だそうで、そう考えると確かに意見が分かれるのもわかる気がする。


Ciatrの記事(映画『ニュートン・ナイト』あらすじ・キャストまとめ【マシュー・マコノヒー主演】|Ciatr[シアター])によると、ニュートン・ナイトの子孫たちがエキストラとして出演しているのだそう! あと、原作『ジョーンズ自由州:ミシシッピ州の最も長い南北戦争』の著者、ヴィクトリア・バイナムも看護婦役で出演してるとのこと。まぁ、見てもどこだか分からないと思うけれど(o´ェ`o)ゞ


ニュートン・ナイトについては日本語版Wikipediaはないらしい。英語版の前置き部分を読んだ感じと、公式サイトの彼の項目によると、脱走した経緯については映画と違っているようだけれど、映画で描かれていた部分についてはほぼ史実どおりに描かれているっぽい。ただ、映画では85年後のニュートンのひ孫のエピソードも並行して描かれていたのだけど、その人物のことは全く分からなかった。ただまぁ、エンディングでそのエピソードの顛末がクレジットされていたので、こちらも実際あったことなのだと思われる。


前述のCiatrによると、ニュートンの祖父はジョーンズ郡一の奴隷所有者の一人だったそうなので、大地主だったのかしら? ただ、ニュートンの父親は奴隷を引き継がず、自らも所有することはなかったそうで、ニュートンももちろん奴隷を持たなかったのだそう。彼の平等の精神は父親譲りということなのかな?


重い内容ながら過剰な演出をせず、ドキュメンタリーのようでもありながら映画的でもあって、そのバランスが絶妙だったと思う。ただ、南北戦争のことや白人至上主義者いわゆるKKK(クークラックスクラン)のことなど、ほとんど説明がないので、ある程度知識があった方が楽しめるのかなと思った。内容が内容だけに楽しむという表現は語弊があるかもしれないけれど・・・ とはいえ、知識がなければ理解できないというわけではなく、その場面で起きていることの意味は伝わって来たので大丈夫


冒頭、粗末な軍服姿の男たちが隊列を組んで行進するシーンから始まる。銃を手にしているが構えることはなく、死体が横たわる草原を進んで行く。皆悲壮な顔。彼らはこれから敵陣に突撃しようとしているところなのだった。当然、敵は迎え撃ってくるわけで、次々倒れて行く。指揮官も倒れてしまうけど、抵抗することなく突き進んでいく。いきなり戦争の悲惨さを感じさせる場面。150年も前のことだから、銃は旧式で連射式でもなく、ミサイルが飛んでくることもなく、ましてやドローンで遠隔操作で爆撃などということはない。でも、戦争の恐ろしさは伝わって来る。


場面切り替わって野戦病院。病院というより粗末な丸太小屋の中に、所せましと兵士たちが横たわっており、ろくな薬や医療器具も持たない医師たちが、麻酔もなく脚を切断したり、傷口を縫合したりしている。目を背けたくなるようなシーンが続く。そんな中、衛生兵として南軍に参加しているニュートン・ナイト(マシュー・マコノヒー)が、負傷した兵士を励ましつつ運んでいる。将校だと優先的に診察してもらえるため、患者を将校だと偽ったりもする。そうすることによって、誰かが後回しにされていしまうわけなので、それが正義かといえば微妙だったりもするけれど、要するにニュートン・ナイトというのはそういう人物だということ。ここで彼は奴隷を20人持っている人物は招集を免除されると聞き、貧しい者が富める者の犠牲となっていることに憤りを感じる


その夜、ニュートンの元に甥っ子ダニエル(ジェイコブ・ロスランド)が訪ねて来る。突然家に兵士たちがやって来て、収穫物や物資を奪い、自分を兵士として入隊させたというのだった。まだ14歳のダニエルは怯えており、伯父を頼って逃げてきたのだった。しかし、ダニエルは共に潜った塹壕の中で胸を撃たれて死んでしまう。ニュートンはダニエルの遺体を家族に届けるため、仲間の制止を振り切って脱走する。と書くと、あまり考えなく脱走しているようだけれど、前述したとおり貧しい者や弱い者が犠牲になることについて憤りを感じていたところに、ダニエルの死が追い打ちをかけた形。堪忍袋の緒が切れたわけだけど、激しい怒りではなく、静かに憤っている感じ。基本、ニュートン・ナイトは憤ったりしているけれど、感情をあらわにすることはあまりない。それは、他の人物たちにも言えること。


甥っ子の遺体を迎えた母親も、脱走したニュートンを迎えた妻セレナ(ケリー・ラッセル)も、感激の再会という感じではなかった。脱走兵は縛り首だからということもあると思うけれど、極力過剰な演出は避けているのかなと思った。戦時中に夫や息子のいない家を守る貧しい農家の女性たちは疲れ果てていただろうし、夫や兄が脱走兵であるというのは複雑なものがあるでしょう。そういう感じは伝わってきた。


ある夜、ニュートンの幼い息子が高熱を出す。村で酒場を経営するサリー(ジル・ジェーン・クレメンツ)に医者を呼ぶように依頼するも、戦地に行ってしまっているので、代わりの者を行かせると言われる。やって来たのは若い黒人女性レイチェル(ググ・ンバータ=ロー)。彼女に対して普通の態度で接するニュートン。レイチェルの手伝いまでする。レイチェルのおかげで息子の熱が下がると、彼女に丁寧にお礼をする。「人の命を救うのは簡単なことじゃない」というセリフはとても素敵だと思った。奴隷としてさ虐げられているレイチェルに対して尊敬を込めたこの言葉はとっても胸打つものだったのではないだろうか。このエピソードが実際にあったのかは不明だけど、後に内縁の妻となるレイチェルとの関係に説得力を持たせている。


村には物資調達係の騎兵隊がやって来て、貧しい農家から収穫物や物資を奪っていた。3人の幼い娘たちを育てる母親から相談を受けたニュートンは、母子と共に銃を構え騎兵隊を待つ。緊迫した状況が続くけれど、結局隊は去っていく。確かに物資は必要だろうし、彼も任務だからとは思うけれど、だったら物資の有り余っている金持ち達から調達すればいい話。南北戦争が起こった理由の1つは奴隷問題だったのであって、この戦争自体金持ち達が原因だったりするのだから。取り立てしやす貧しい農民たち、しかも母子だけで暮らしている家を狙うところが憎らしい。しかも、この隊の将校は脱走兵の捜索も行っており、ニュートンは彼らに目をつけれる形となってしまう。この将校の名前が分からないのだけど、いやな人物は何人も出てくるけど、今回の分かりやすい悪役は彼とその上官。


捜索隊が現れニュートンは逃走するけれど、犬をけしかけられ脚を噛まれてしまう。何とかサリーの店に逃げ、彼女の手引きで沼に向かう。しばらく待つと現れたのはレイチェル。彼女の案内で森の奥へ向かう。そこには脱走奴隷たちが隠れていた。尖った金具のついた首輪をはめられたモーゼス(マハーシャラ・アリ)が傷を治してくれる。逃走を繰り返したため首輪をはめられたという彼とは友情を育んでいく。彼の首輪を外そうと大きな音を立ててしまったため、騎兵隊をおびき寄せてしまうけど、彼らと戦い追い払うことに成功する。このことが評判を呼んだのか、いつしかニュートンたちのもとには、脱走兵たちや逃亡奴隷だけでなく、子供を連れた女性たちも集まって来る。


食糧調達係のレイチェルが、ニュートンから文字を習い、それにより自分の中に尊厳が芽生え、今までは主人の求めに自分を殺して応じていたのを、拒絶し鞭打たれたらしい描写があったり、ニュートンに心酔する少年の描写があったりはするものの、それぞれ割とサラリと流れていく。なので、彼らが共同体となっていくまでに、ちょこちょこエピソードはあるけど、それらについての記載は省く。ちょっと忘れてるし(o´ェ`o)ゞ ここで重要なのはニュートンたちが"ジョーンズ郡の自由民"として蜂起したということ。


これに対して南軍は農家を焼くなどの報復に出て、投降を呼びかけるビラもばら撒く。ニュートンは反対だし、大多数の者たちは彼に従うけれど、大人1人と子供3人が投降する。投降すればお咎めなしとチラシには書かれていたけれど、4人は首を吊られてしまう。中にはニュートンに心酔していたあの少年も含まれていた。南軍のこの仕打ちに怒った自由民たちは、彼らの葬儀の際に報復に出る。悲しみの表情を浮かべ、静かに参列していた女性たちが突如騎兵隊たちに銃を発砲。それを合図に棺桶から男たちが飛び出してきて、さらに自由民たちが加わり奇襲をかける。犠牲者も出たけれど、あっという間に勝利。調達係の将校も、無慈悲に4人を殺害した隊長も殺害する。この隊長はニュートンが殺害するのだけど、このシーンのマシュー・マコノヒーの演技がスゴイ。怒りが体中に満ちていた。


自由民たちのこの行為が正しいのかどうかは分からない。でも、そもそもの南北戦争だって北部と南部の考え方の違いが同じ国の人間同士が殺し合う結果となったわけだからね・・・ つくづく戦争はむなしい。ただ、隊長が殺されたのはちょっと胸がすいた気がしてしまう。その感じが自分でも恐ろしかったりもするけど、脳科学者の中野信子氏によると、どうやら日本人の90%以上が、自分が正しいことをしていると信じていて、相手が(法律的、道徳的に)間違っていることをしているならば、殺害してもかまわないという思考があるのだそう。正確な言い回しは忘れてしまったけれど、そのような内容だったと思う。ちょっとビックリした覚えがある。ちょっと話がそれた


この出来事が実際にあったのかは不明だけど、映画としてはこれをきっかけとして南軍との戦いが激化。ニュートン達"ジョーンズ郡の自由民"たちはジョーンズと隣接する3つの郡を制圧する。ニュートンとしては北軍と手を組み、南軍と戦おうと考えて使者を送るけれど、援軍は得られなかった。そこでニュートンは、1.貧富の差を認めない。2.何人も他の者に命令してはならない。3.自分が作ったものを他者に搾取されることがあってはならない。4.誰しも同じ人毛である。なぜなら皆2本足で歩いているから。というスローガンのもと、ジョーンズ自由州を立ち上げる。


その夜、空き家となった屋敷なのか、豪華な寝室へレイチェルを招き入れる。生まれて初めての豪華なベッドに涙を浮かべるレイチェル。でも、白人とはいえニュートンだってこんな豪華なベッドで眠るのは初めてでしょう。ニュートンには上に掲げたような理想があったわけで、彼の中に黒人差別はなかったのでしょうけれど、彼のもとに集まって来た白人たちの中には、当然黒人たちに対して差別があった者もいたと思う。事実、そういう描写もあった。でも、ほとんどの人々が、彼らを受け入れたのは、共に戦ったというだけではなく、自分たちの境遇もまた、決して恵まれたものではなかったからかもしれない。要するに社会の底辺にいる人々の集まりであるということ。社会の底辺にいる人々の声は、なかなか届かない。こうして蜂起しても、社会全体が変わるのは、ヒエラルキーの中層部が変わり、そして上層部が変わらなければならないわけで、そう考えると長い道のりだけど、決して無駄ではないのだと思う。現在でも途上ではあるけれど、少なくとも当時より遥かに改善がみられているわけなのだから。


南北戦争は歴史が語るとおり北軍が勝利する。そしてリンカーン大統領が奴隷解放宣言をする。彼らには土地が与えられ、奴隷たちは狂喜するけれど、現実はとても厳しいものだった。与えられたのは貧しい土地で、年季奉公と称して子供たちを連れ去る元地主たち。何も変わっていない。リンカーン大統領が暗殺され、ジョンソンが大統領になると、元奴隷たちに有利だった法律が次々撤回されていく。ジョンソン自身が人種差別的だったのか、票が欲しかっただけなのかは不明だけど、要するに現実的には白人は何も変わっていないということ。それでもニュートンと共に戦った元奴隷たちは諦めてはいなかった。その姿が気に入らないのか、頭巾を被った男たちが夜襲をかけ、教会や家々に火をつけて行く。白人至上主義者であるKKK(クー・クラックス・クラン)。特に説明はなくこの映像のみで見せる。アメリカ人なら特に説明がなくても分かるのかな? まぁ、彼らの名前が重要なのではなく、こういう行為をする人間がいたということが重要なので、くどくど説明しなくてもOKかも。


この頃、モーゼスは政治的な活動を行っていた。黒人たちを訪ね歩き、名前を聞き取っているこの作業がどういう活動なのかがよく分からなかったのだけど、KKKを刺激してしまったことは間違いないらしい。ある日、彼は捕えられ、酷い仕打ちを受け木に吊られてしまう。彼が何者かに追われている描写はあるものの、決定的な暴力シーンはない。次の場面でニュートンが遺体を発見する形で見せられる。前述の4人の処刑シーンもそうだけれど、淡々と描かれるそれはより胸を締め付ける。モーゼスの地道な活動を思うと切ない。そして許せない


間もなく選挙が行われる。モーゼスの活動は、この選挙のための票集めだったのかも? 黒人にも参政権が認められたので。そして、おそらくKKKはそれをよく思わなかったということかも。ニュートンを中心に20数名の黒人たちが集まる。中にはニュートンの右腕的な存在の白人ジャスパー・コリンズ(クリストファー・ベリー)もいる。そして、同じく白人で中心的な人物であり、新たな道を開くため、数名の同志を連れて離れていたウィル・サムラル(ジョーン・ブリジャーズ)も駆けつける。彼らは歌を歌いながら投票所に向かう。その姿を道の両サイドから睨みつける白人たち。ピリピリした空気が流れる。投票所にやって来た彼らに対し、投票用紙が無くなったとあからさまな嘘をつく。ニュートンたちは怒りを抑えて、新たな投票用紙が届くまでいつまでも待つと言う。結局相手が折れて、彼らは投票することができる。これ自身の勉強不足でニュートンたちが共和党に投票した理由がよく分からなかった。ただ、白人たちにとって共和党を勝たせるわけにはいかなかったらしいことは、その後テロップで表示されるとおり、少なくとも23票は入った共和党の投票数が2票と公表されたことでも分かる。これ選挙違反なのでは? そんなの白人ルールでは関係ないということですかね(*`д´)


ニュートン自身は農夫として生活しており、そこに行く当てを無くしたセリーナと息子が訪ねて来る。既にレイチェルと夫婦同然の暮らしをしているため、2人は納屋だったかな?に住むことになる。一見奇妙な生活に見えるけれど、少なくともセリーナとレイチェルの関係は上手くいっている様子。後にレイチェルが生んだ子供をセリーナがあやすシーンがあったりする。セリーナとの息子ちゃんと、レイチェル、そしてその子供との間がどんな関係だったのかは描かれないので分からない。レイチェルとの間の息子ちゃんの名前を失念してしまったのだけど、この子がある人物の人生に大きな影響を及ぼすことになる。


チラリと触れてはいたものの、あえて書いていなかったことがある。実は、ちょこちょことニュートンたちの時代から85年後のある裁判の様子が差し込まれる。被告人は30代前半くらいの男性。この人物の名前を失念してしまい、公式サイトのキャスト紹介にも掲載がないので、俳優が誰かも分からない。ちょっと特徴のある顔立ちで、見覚えがある気もするのだけど? ちょっと話がそれたけれど、この男性はニュートンの曾孫。曾々孫だったかな? とにかくニュートンの子孫なのだけど、今問題になっているのはその血筋。外見上は全くの白人に見えるこの青年、実はニュートンとレイチェルの間に生まれた子どもの子孫らしく、その血に8分の1黒人の血が流れている場合、ミシシッピ州の法律では黒人とみなされるのだそう。なんというバカバカしいルール!


しかも、裁判の内容というのが、彼が黒人であるから、白人女性との婚姻は無効であるというものだった。この訴えが誰から起こされたものなのかは不明だけど、裁判の過程で彼の妻は彼を愛しており、この婚姻を破棄する気持ちはない様子。だったら何が問題なのか? 繰り返すけれどホントにバカバカしい。たまたまニュートン・ナイトが有名な人物だったからかもしれないけれど、そこまでさかのぼって調べてまで黒人認定するとわビックリな執念。しかも、妻がそれを承知で彼との結婚を続けたいと思っているのだから何か問題があるのかと問い詰めたい(笑) とはいえ、そう考えるのは21世紀の日本を生きているからなのでしょうかねぇ・・・


21世紀を生きる日本人としては、弁護士の論点は彼の血を認めたうえでの勝利なのかと思うのだけれど、この黒人の血が入っているというのは圧倒的に不利なようで、彼はレイチェルの息子の子孫ではないという方向での答弁。しかし決定的な証拠が出てきてしまう。そのシーンについては先にレイチェルの出産シーンがあり、ニュートンがその子の名前と共に自らの名前と、母親としてレイチェルの名前を書き入れる姿が映し出されている。ニュートンの子孫は自分を誇りに思っているし、妻を愛しているから離婚する気はないと宣言。結局、彼は有罪となり禁固刑が言い渡されたんだっけ? でも、確か抗議があったか何かで刑自体は執行されなかったような・・・ ちょっと失念


85年後の裁判のその後や、ニュートンや家族たちのその後については、字幕で紹介される形。なのでちょっと印象に残りにくい部分もあったりする。映像で見せられるのと、文章で見せられるのとはちょっと違う。文字情報とはいえ小説を読んでいるのともちょっと違うし。85年後の裁判を差し込んだ意味は、そのバカバカしさについて後世の私たちに知らしめるということなのでしょうけれど、もちろんこれも実話なのでしょうから、ニュートンのその正しいと思ったことを周囲の偏見などに負けずにするという精神が受け継がれていること、そしてそういう個々の闘いが、今のこの状況を切り拓いてきたのだということを伝えたいのかなと思った。ただ、唐突に短い映像を差し込まれるので、注意が削がれてしまう部分はあったし、こちらについても詳しい説明はないので、脳内補完が必要な部分もあったりする。でもまぁ、全く分からないということはない。


キャストはみな良かったと思う。マシュー・マコノヒー以外は地味なキャストかなとは思うけれど、派手さがない分じっくり見れた部分はあるかも? ただ、ニュートン・ナイトを英雄的に描いたために、他の登場人物たちの印象が薄くなっていたとは思う。ニュート以外の登場人物たちのキャラが少々弱いような気がする。さすがに内縁の妻なったレイチェルは、後に子供たちに読み書きを教えるなど、聡明な女性であることが描かれており、キャラづけがされていたし、演じるググ・ンバータ=ローもそのように演じていたと思う。健気で芯が強い素敵な女性になっていた。ただ、せっかく黒人の中でも親友となるべきモーゼスを、マハーシャ・アリが知的に好演していただけに、生かし切れていない印象で残念。モーゼスの最大の見せ場であるはずの、署名活動?が自分の勉強不足もあり、何のために何をしているのか分かりにくかったのがもったいなかった印象。そういう意味では、ニュートンの右腕的存在であるジャスパー・コリンズのクリストファー・ベリーも、ウィル・サムラルのショーン・ブリジャーズもそれぞれ的確に役柄を演じていたとは思うけれど、特段いてもいなくても良い程度の印象しかないのが残念。妻のケリー・ラッセルは良かったと思う。レイチェルと不思議な友情を育んでいる感じ。おそらくニュートンのことを夫として愛する時期は終わっているということなのでしょうかね?


これだけ脇のキャラの印象が薄いのも、マシュー・マコノヒーの熱演のゆえとも言える。存在感がスゴイ。最初は一衛生兵として登場し、次第に信念を持ったリーダーへと変わっていく。静かに憤り、時に怒りをあらわにし、そして皆に優しい。まぁ南軍に対しては容赦なかったけど(笑) 多分に理想化している部分はあると思うけれど、映画なのでいいと思う。大人の男のヒーロー像としてとても良かった。外見アプローチでも有名だけど、エンドロールで映った、レイチェルとの間の息子との本人写真に似ていた気がする。もちろんマコ様の方が素敵ですけども


かなり重い話で、画面も暗くどんよりすることが多い。人物の描き込みが薄いように感じるので、物足りなく感じる人もいるかもしれない。戦争シーンも出て来るけれど、南北戦争当時ということもあり、戦闘シーンにスピード感はあまりない。傷口がアップになったり、顔が飛んだりと目を背けたくなるシーンもあったりする。でも、こういう人もいたんだということが分かって見て良かったと思う。ニュートンたちが潜伏した沼が美しかった。


奴隷問題や人種差別のことを知りたいと思っている方は見てみるといいかも。マシュー・マコノヒー好きな方是非!

 

『ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男』Official site


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