まりっぺのお気楽読書

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『家なき娘』恐るべき12歳

2008-07-07 00:17:29 | フランスの作家
EN FAMILLE
1890年 エクトル・マロ

いやはや、子供が読むものだと侮っていてはいけませんね。
『家なき子』の姉妹本ということで、すっかり甘く見ていました。
『家なき子』は読んでないけど、カルピス劇場とかでやってそうな
やつでしょー? のんきそうなアニメの。
うーん『家なき娘』の主人公は大人っぽいぞ、12歳ですけど。

両親を亡くしてしまったペリーヌが、パリを発って
父を勘当した大富豪のお祖父さんを訪ねて行くのですが、
子供とは思えぬ判断や忍耐力で旅の危険を切り抜けて
祖父の地所があるブローニュ地方の村にたどり着きます。

しかし、ただ訪ねて行った訳ではないのです。
ペリーヌの父は、母と結婚したことから勘当されたので
「すぐに名乗り出てもだめかも」、と思った彼女は
とりあえず祖父の工場で働きながら様子をうかがおうとします。
まずは、面接 及び 下宿の家賃交渉をこなしますよ 12歳で。

工場でアクシデントがあって、すぐ通訳に抜擢されたペリーヌは
持ち前の知性と思慮深さで、邪魔をしようとする工場の監督や
祖父の甥たちをおしのけて、どんどん祖父の信頼を得ていくわけ。

ところが、とうとう祖父が息子(つまりペリーヌの父ね)の死を知ってしまい
がっくりきて急激に衰えていきます。

ここで奮起したペリーヌ、祖父を力づけ、説得して新たな生き甲斐に着手させることに成功。
その説得材料って言うのが、スゴすぎるんですけど・・・
工場の職場環境の改善 ですと  12歳で!

ペリーヌの助言を聞き入れた祖父は、娯楽施設や託児所を設立したり
職員用の下宿の衛生を良くしたりとするうちに元気を取り戻し
最後はペリーヌのことが孫だと分かってめでたしめでたし
でも、すごいでしょ? ペリーヌ、12歳。

まあ、何か国語も操れるっていうのは家族で世界中を放浪してたから分かるとして
思慮深さ、慎み深さは子供じゃないし
甥や監督の謀略や、叔母たちの腹の底まで見抜けちゃう。
下宿を出た後は一人で生計をたてて、食料も自分で調達するし
社会問題への意識も高いって、いったいどんな子なのぉ?
そばにいたらものすごく助かるかもしれないけど
ぜったい可愛くない、ませた子だと思うなあ

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2 コメント

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どんな読解力してるんだか…w (マロ)
2011-07-20 14:08:13
>その説得材料って言うのが、スゴすぎるんですけど・・・
>工場の職場環境の改善 ですと  12歳で!

私が読んだのは偕成社文庫ですが、祖父は薄々
「もしやと思って」とありますよ。
助言を聞き入れるようになったのは、
自分の孫ではという疑念があったからです。

せっかくの名作をそんなに読み違えたら
もったいないですよ
返信する
こんばんわ (まりっぺ)
2011-07-20 20:48:55
マロさま、こんばんわ

確かにそういう件がありますよね。

今回は主人公が12歳というところにおおいに驚いてみました
いずれにしても楽しく読めました。

コメントありがとうございました。
返信する

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