まりっぺのお気楽読書

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『春の水』魔性の女には勝てないかぁ…

2011-03-10 23:05:23 | ロシアの作家
ВЕШНИЕ ВОДЫ 
1871年 ツルゲーネフ

けっこう筋の読めるお話しで、途中からは完全に読み通りに進んじゃうという
本来ならつまらない物語が、どうしたわけだか面白かったのは
やはりツルゲーネフのお力によるものなのでしょうか?

作者の恋の思い出から生まれたと言われるこの作品、本当に事実だったら
作家にとっては糧となる恋愛経験に恵まれたとしか言いようがありません。

でも、主人公男性の恋心のことばかりに終始している内容でして
もっと他のエピソードや脇役のキャラクターなどの肉付けがあれば
さらに面白いものになったかもしれませんね。

ま、これはこれでいいのかもしれない…ツルゲーネフの青春の記録として。

あらすじと言ってもね…
ひとりの老紳士の、夜更けの回想から物語が始まります。

一人旅を終えた若き領主サーニンは、ロシアへの帰路フランクフルトに立ち寄ります。
その夜のうちに馬車で発つはずだったのに、一人の少年の命を救ったことで
一家から歓待を受け、馬車に乗り遅れ、しばらく滞在することになりました。

サーニンが救ったのはエミリオという少年で、未亡人である母ロゼーリ夫人と
美しすぎる姉ヂェンマ、友人であり下僕のパンタレオーネ老人と暮らしていました。

そりゃヂェンマに恋をしますわね?
しかし彼女には羽振りのいい商店主のクリューベルという婚約者がいます。
容姿端麗、慇懃無礼、傲慢不遜なクリューベル、行く末は見えましたでしょ?

なるべくして(思ったより簡単に)ヂェンマと恋人同士になったサーニンは
ロシアの領地を売ってフランクフルトで暮らす決心をします。
そこでバッタリ出くわしたのが寄宿学校時代の知人ポローゾフでした。

ポローゾフは風采があがらないずんぐりむっくりの男ですが妻は大富豪という噂です。
サーニンはその妻に領地を売ろうとして、彼とヴィスバーデンへ向かいます。

ほんの3~4日の旅のつもりでヂェンマと慌ただしい別れを交わしたサーニンですが
目の前に現れたポローゾフの妻マーリヤ・ニコラーエヴナがそうはさせません。

はっきり言っちゃうけど、マーリヤは妖婦です。
サーニンの前でありとあらゆるしなをつくり、瞳を覗き込み、ボディタッチをして
しきりと二人きりになりたがります。
ヂェンマを想うサーニンだって心が揺らいじゃうってもんです。
頭では「みえみえの女だ」とわかっていても、気持が言うことをききません。
マーリヤのあの手この手はすごいですよ! お手本になりますのでぜひ一読を。

欲しい男性を手に入れようとした時の、所謂ラブハンター女の気迫はすごい!
あからさまに物欲しそうだけど、ものすごいガッツが感じられます。
好かれるための努力にも怠りがなく、少しは見習わねばね…と反省したりします。

韓流ファンとしてはヂェンマに勝利してほしいところではありますが
自分の美しさにかまけていただけのヂェンマではなく
己の力を出し切ったマーリアに軍配が上がったとしても、仕方がないかもしれない…

愛し合うサーニンとヂェンマはどうなってしまうんでしょうね。

それはさておき、ラストのパートが気になります。
回想から醒めたサーニンのその後の行動なんですが、今さらどうする気?と
半ば呆れ、半ばハラハラしたまま終わってしまいました。
モデルであったツルゲーネフはどうだったんでしょう?

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