事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「シティ・オブ・ゴッド」City of God

2008-01-24 | 洋画

Cityofgod01製作年 : 2002年製作国 : ブラジル
監督 : フェルナンド・メイレレス

1960年代、ブラジルの都市リオ・デ・ジャネイロ。「シティ・オブ・ゴッド(神の街)」と」呼ばれる貧民街に、3人組のギャングがいた。ギャング団のひとりを兄に持つブスカペは、写真家を夢見る少年。ギャング団に憧れる同い年のリトル・ダイスは、リーダーのカベレイラとともにモーテルを襲撃し、初めて人を殺した。70年代、リトル・ダイスは街のギャング・リーダーとなる。町にはドラッグが蔓延し、ギャング団は麻薬ビジネスの組織を立ち上げて大金を稼いでいた。そして80年代、ひとつの事件から、神の街は熾烈な闘争へと突入していく。

この映画を観た人の多くが思い浮かべるキーワードはおそらく「ペキンパー」「暴力」「深作欣二」「無邪気」「タランティーノ」「バトル・ロワイヤル」などだろう。

Cityofgod02  貧困のなかで若者たちが衝突し、殺し合い、そしてその殺し合いが連鎖し、次の世代へ受け継がれていく……こりゃーどう考えても「仁義なき戦い」。原作が実話をもとにしていることまでいっしょ。焼け跡の闇の奥からはじけ出てくる広島やくざと、神の街のチンピラたちの姿は、どうしたってオーバーラップする。堕ちていく男にどうしようもなく尽くしてしまう女の強さと弱さ、権威としての“大人”の不在など、国家が疲弊している時代のアンダーグラウンドは、やはり似てしまうものらしい。

 それにしても構成はタランティーノばりにしゃれている。時制を前後させ、チンピラひとり一人をえぐるように描くテクニックはまるで「木更津キャッツアイ」(笑)。失礼な言い方になるけれど、まるでブラジル映画とは思えないほどだ。今さらだが、もう製作国でその映画を判断することなど出来はしない地点に世界の映画界は到達したと再確認。2003年のわたしのベストワン。ぜひ。

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東宝の謀略・東映の逆襲

2008-01-24 | 映画

Conann 前号で東宝の好調と東映のどん底ぶりを報告した。これは2003年の9月に記したことを、そのまんまブローアップしただけの事実であることが悲しい。東宝がなんとか持ち直したのにくらべ、東映ときたらもう逆襲どころの話ではないのである……

 ことの善し悪しはともかく、日本映画界を今ささえているのはアニメーションだ。「踊る大捜査線2が興行収入の記録を作ったといっても、これはあくまで実写作品の話。もちろんその上には「もののけ姫」と「千と千尋の神隠し」がそびえている。世界における日本文化とは、今やジャパニメーションが代表で、実はものすごい輸出産業でもある。

 大ざっぱに近年の歴史をふりかえると(異議があったら突っ込んでね)、東映動画部が「白蛇伝」や「長靴をはいた猫」などの傑作を作り上げ、「まんがまつり」→「アニメまつり」と黄金時代を築き、人材として宮崎駿などのジブリ系を輩出した。東宝がこの牙城を切り崩したのは、何といっても「ドラえもん」の登場による。一時の勢いはなくなったとはいえ、今でも毎年20~30億かせいでくれる存在は大きい。この四半世紀、東宝は3月の番組をまったく気にすることなく、他の実写作品で安心して赤字をたれ流すことができたのだから。

 そして今や、東宝のアニメ戦略は盤石だ。( )内は昨年(2002年)の興行収入。
1月 犬夜叉(15億)
3月 ドラえもん(23億)
4月 名探偵コナン(34億)  クレヨンしんちゃん(13億)
7月 ポケットモンスター(27億)
8月 ジブリ系(65億)
12月 とっとこハム太郎(これはゴジラがメインだが……27億)

黄金のラインナップ。昨年の日本映画の興行収入ベスト5はみな東宝のアニメ。実写の出る幕なし。東映がこれに対抗するには、「仮面ライダー」と「ワンピース」をよほど大事に育てるしかない。

 しかしこのメンツを見て、少しさみしくなる。【テレビで人気が出たら映画化】【テレビは一種のアンテナショップ】こんなセオリーが固まりつつあるようだが、いくらなんでも映画オリジナルのキャラがジブリだけというのはどんなもんだろう。この状態はアニメの将来を危うくしていると痛切に感じる。将来の観客を育てる上で、「おなじみのキャラを劇場に確認しに行く」だけの風潮は、業界の怠慢とそしられても仕方があるまいに。

 だいたいさあ、こども向けの映画は、親もいっしょに見に行くわけだから入場者数は初手から倍は見込めるし、キャラクターグッズの収入も加わるんだからおいしい商売であることは素人にもわかる。それなら、もっと時間と金をかけてせめて丁寧につくらんか!

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'07わたしはこれで泣きました~予告編の優劣

2008-01-24 | 読者レス特集

Mail02a Mari01 ……いろいろあったんだけど。
一般的に書けるヤツでは「マリと子犬の物語」の予告編かなあ。
わかってるんだけど、毎回に近く泣いていました。

……これ、「駅Station」の読者もふくめて三人から同様のレスが(笑)。本編を観たという話は聞かないのに、みんなあの予告編で泣いている。実はわたしも「けっ。犬と子どもで泣かせようってか」とバカにしながらもグッときてました。あれは卑怯だよなあ。

 それにしても、昔から「動物と子どもには勝てない」と言われてきたけれど、その二つに中越地震の悲劇をからめ、主演はマスコミに露出の多い船越栄一郎……こんなあざとい映画がヒットするものか、と思っていたら大ヒット。びっくりだ。そしてこの大ヒットの要因の8割方はあの予告編だろう。

Tyatya  逆に、予告編で客を減らしたと断言できるのが東映の「茶々 天涯の貴妃(おんな)」。思い切って知名度がほとんどない宝塚の女優を主役にすえたのはいいとしても、その大仰な芝居っぷりに予告編だけでもお腹いっぱいになった。あの調子で2時間突っ走られたらたまらん、と大方の観客は感じたのではないかなあ。少なくともわたしはそうでした。

 それにしても、天下の東映の正月作品が、封切り一週目でトップテンにも入らない惨敗ぶり。東映系の館主たちの悩みは深いだろう。映画製作について、ほとんど無能に近い岡田家の二代目ボンクラ社長にクーデターが起こらない方が不思議。先代の岡田茂社長のご威光がまだ健在なのだろうけれど、少なくとも東映から近年“新しい何か”が生まれていないことは確かなのに。

東宝の独走ばかりが目立つ興行。しかしその内実には、東映の不振がまちがいなく貢献している。

あ、さっきのレスには続きがある。

Mail02a_2 私の友人はやはり予告編で泣きまくってて
なのに本編は絶対見ないっていうから、なんで?と聞いたら
「絶対泣くから」。

……よくわかりません(^o^)。

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'07わたしはこれで泣きました~中村中

2008-01-24 | 読者レス特集

Nakamuraataru 読者企画「’07わたしはこれで泣きました」第三弾も大晦日ネタ。

Mail01j 2007年12月31日 20.29
紅白が始まりました。
私は今年新しく知った歌手にはまりました。
紅白にでます。
その人は「中村中

10月、寄り道ツアーで宮沢和史が歌った「友達の詩」を聞いて衝撃を受けました。いつもなら胸にググッときてから涙がでるのですが、気づいたら涙が出て止まらなかったって感じです。
なんでだかわからない……
突き刺さる言葉の数々、居た堪れないような詩の羅列。それでいてとても繊細で暖かさも感じる。

こんな世界を持つ人がいたんだ

性同一性障害を持つことだけに焦点をあてられがちですが、男でも女でもない中さんがTVから発するエネルギーに触れられる今夜、とても楽しみです。

……紅白の視聴率が去年もふるわなかったとニュースになっている。でもよく考えてみてほしい。みんなが帰省してこたつに入り、年越しそばやミカンを食べながら大晦日を過ごす時代ではもはやない。“初売り”は1月1日が常態化。年中無休24時間営業の業態も増えている。ということは大晦日がたんなる“12月30日の翌日”にすぎなくなっているわけだ。そんなご時世に40%近い視聴率をとり、しかも番組で披露された曲が翌日から爆発的に売れはじめる……こんな影響力をいまだに持ちえていることの方が奇跡ではないか。

 影響の典型が一昨年の「千の風になって」(わたしの父親までCDを買っていた)だろうし、今回は徳永英明か。わたしは紅白を観る習慣がないので、例によってYou Tubeで中村中を拝見。彼女を看板番組に抜擢したのだから、NHKにもわかっているヤツはいる、ということがよくわかった。すげーな中村中。

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