TVおじさん

世相の鏡であるテレビから学び、時として批判も。メディア表現にも触れる。まだ元気、散策の想い出も綴りたい。

須田剋太 「街道を行く」の挿絵

2010-03-24 | ブログ



豆本“灯”41編 『千古動悲風』仙賀松雄著より

 著者には大変お世話になっている。文化人を中心にきわめて交流が広い。彼が編む豆本・灯叢書には、いろいろ面白い話が満載されている。もう手に入らないと思うので、さわりの部分を抜き取って紹介しよう。著者の了解は得ている。以下、抄録。

“街道を行く”の挿絵を担当された昭和46年頃に「世の中知らなさ過ぎる。須田国太郎先生と俺を間違えて、俺の絵を買う人が居るんだ。国太郎と剋太を間違える。日本人の文化の程度はそんなものかな」。



 夜おそくに電話があり、今すぐ蘇州の帆掛舟の写真を持ってきてくれ、私は中国旅行の写真の主たるものをアルバムにして先生に届けているので、アルバムはと尋ねたら、「探すが見つからないんだ」。真夜中で電車もないし、明朝持参することで電話を切る。早すぎるかと思ったが、一番電車で伺うと、いつもはお手伝いの小母さんが出られるのに、先生自身が門を開けられる。

 

 驚きながら写真を見せると、「矢っ張りそうだ、これだよ蘇州は。午前中に社に届けなくてはいけないので急いでいる。待っていてくれすぐに仕上げるから、これを見ていてくれ」とアルバムを置いてアトリエへ。

 

 司馬さんとの取材旅行で撮った写真は一枚帆、これは上海の黄浦江の舟。蘇州は二枚帆である。挿絵の舟の絵が完成してアトリエから出てこられて、「よかった。君の写真があって。スケッチしているのは二枚帆だが、日時と場所を入れてなかった。社から届けられたのは一枚帆、有難う恥をかかなくて済んだ」。

 

 

大体挿絵は五枚描き、二枚は新聞社に渡し、三枚は関心のある方に差し上げている。“君もその一人”、君に持ってもらう分と一枚くださった。

 





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