長々 〝織りの地獄”などと泣き言を言っていましたものが織り上がりました。
なぜに〝地獄”だったのか・・・それは後ほど。
これは染め材のコチニールです。
中南米のの砂漠地帯のサボテンに寄生するコチニール虫を干したものです。
この寄生虫は生きている時にすり潰すと真紅の色が出て、それを赤の染色として使っているようです。
私たちは生きたものを手に入れることはできませんので、
こうやって干したものを染料屋さんで買って使います。
これを粉砕して赤い色に染めることもありますが、私は好みでピンクに染めたり、青ネズ色に染めたりします。
糸はシルク・カベ糸 1綛(102.8g 2540m)、通常、コチニールはその1割使います。
染めた糸は非常に細く、刺繍糸と同じ太さで、くっつきやすく、しかも静電気を帯びているため、、綛から玉巻きするときで、
すでにシッチャカメッチャカになりました。
それでも果敢に挑戦します
これは整経台で整経中の様子です。
中央 玉巻の様子は可憐ですが、どうしてどうして、暴れ者です。私と同じです。
途中で、何度もからみ、しまいには泣きそうになりましたが、やめるわけにはいきません。
この辺りが地獄の一丁目でしょうか。
整経が済んで、織り機にかけます。
金綜絖に通し、筬通しのときも 絡みに絡み、絶望の中で作業をします。誰も助けてくれません。
この辺りが地獄の二丁目あたりでしょうか。
何日もかけて(サボった日々もあり)、織り機にかけ、織れる状態まできましたが、
案の定、絡みついて、順調に進みません。
これが織り機にかけて織っている状態です。
織り機の足の部分はこうなっています。ご紹介します。
この足の部分を順番に踏んで糸を通すわけです。
というわけで、どれだけの日にちが経ったのか忘れてしまうくらい長い時間をかけて
織り上がったものがこのストールです。
以前 織った〝5月の風のストール” と同じ織り方です。裾を鋭角に織っています。
(http://blog.goo.ne.jp/yuuzuru_2006/e/3c19da6a14cbf378f258d99811d039cb)
幅50㎝、 丈は220㎝あります。
〝風のストール”の織り上がりです。
糸が刺繍糸くらいの細さですから、柔らかいのは当然ですが、シルクなので腰があります。
風になびいて、軽やかに翻ることでしょう。
織っているときは、敵に会ったように憎らしかったのですが、織り上げて房仕上げもしてみると、
こんなに清純で上品な作品になるなんて・・・と うっとりです。
これにて超極細糸は終了!といきたいんですが、またまた超極細糸が控えています。
次はセイタカアワダチソウで染めた糸です。
地獄から生還したにもかかわらず、凝りもせず、また地獄に戻って泣こうと思っています。