唐突ですが、この放置ブログに今後は時代小説の読書感想も載せることにしました。
やはり「おやじ趣味」と謳うからには時代小説は外せません(というか、ここ数年は時代小説しか読んでませんが…)。
ということで、まずは今読んでいる山田風太郎先生の忍法帖シリーズからスタートします。
山田風太郎忍法帖1「甲賀忍法帖」講談社文庫

読了日:2011年9月7日
感 想:甲賀の忍者10人vs伊賀の忍者10人が対決する話。なんと対決の理由が徳川三代将軍を決めるため。忍者が戦った結果で次期将軍を決めていいのか!?
忍者の繰り出す忍術が人間離れしていてまるで、漫画のワンピースに登場するキャラクターのよう。
初の山田風太郎の忍法帖ながら、文章が読みやすく十分に楽しめた。
忍者の中でも印象的なのが、地虫十兵衛・鵜殿丈助・霞刑部・陽炎・薬師寺天膳・雨夜陣五郎。特に秀逸なのが背景に同化する霞、ナメクジ人間の雨夜、ゾンビ系キャラの薬師寺の3人。破天荒過ぎて最高!
評 価:★★★☆☆
山田風太郎忍法帖2「忍法忠臣蔵」講談社文庫

読了日:2011年9月14日
感 想:吉良家を救うため、上杉家の家老千坂兵部は、藩主綱憲が赤穂浪士たちの暗殺を命じた同藩の忍者たちを部下のくノ一たちに殺すよう指示をする。その実行のお目付役が主人公の無明綱太郎。この綱太郎、伊賀に5・6年忍法修行に行っただけで物凄い術を身に付ける(例えば人間の刺身とか作っちゃう。長年修行した料理人の立場なし)。また、くノ一たちの色仕掛けの術がこれまたハチャメチャ。大石内蔵助の下半身がくノ一のそれと一体化して抜けなくなったのには笑った。
しかし綱憲が放った「能登組十人衆」たちが意外に弱い。
ラストは綱太郎がまた人間の刺身を作る。
最後に綱太郎は自分に問いかける。「無明綱太郎、お前はどこにいく」と。俺が訊きたい…。
評 価:★★★☆☆
山田風太郎忍法帖3「伊賀忍法帖」講談社文庫

読了日:2011年9月20日
感 想:“戦国の梟雄”松永弾正久秀は、主君である三好家の右京太夫を自分の物としたくなる。そこで、利休から貰った平蜘蛛の鍋を使い、女性の愛液を煮詰めて「淫石」を作ることに。その石を入れて作った茶を飲ませると、最初に見た男性を好きになる効用がある設定。この案を提供したのが実に妖しい果心居士。
女性の愛液を集めるのを担当するが根来忍法僧たち。その中の羅刹坊なんて、切断された身体を縫い付けて元通りにすることが出来ちゃう(他人と他人も!)。それ以外の連中も奇怪な忍法ばかり使う。
そんな奴らと戦うのが伊賀忍者笛吹城太郎。
今までにない1人vs7人の対決が結構ハマる。
最後の方で登場する上泉伊勢守がいい。
そしてずっと陰で城太郎を助け続ける柳生新左衛門もまた憎い。無刀取り遂に成る!!
評 価:★★★☆☆
山田風太郎忍法帖4「忍法八犬伝」講談社文庫

読了日:2011年9月25日
感 想:想像していたよりもかなり面白かった。
里見家に伝わる八顆の宝珠が盗まれ、犬士の子孫である8人の老人が責任を取り、いとも簡単に切腹する。しかも、その宝珠を奪い返す役を任せた、甲賀卍丸へ修行に出たおのおのの息子たちは、一年で甲賀を逃げ出している体たらくぶり。このお気楽な成り行きから楽しい。
アホな殿様や親父のためではなく、殿様の奥方である村雨のために奮起する息子たち。その全員が村雨に恋しているので、彼女を助けるためならこれまた簡単に命を捨てる。その単純な忠義さが清々しい。
いつもの甲賀vs伊賀の対決ながら、修行を一年で投げ出しているにもかかわらず活躍する甲賀(息子たち)8人組に軍配ありか。
最後の数行「ひとしきり旅人が絶えて、ひっそりとした街道にただ白いひかりだけが満ち、ものうい春風に吹かれて飛んで来た海燕が、破れ傘の上に、ついととまったが、傘はいつまでもうごかなかった」がしみじみとしていい…。
評 価:★★★★☆
山田風太郎忍法帖5「くノ一忍法帖」講談社文庫

読了日:2011年10月1日
感 想:秀頼の胤を宿した真田のくノ一5人vs伊賀5人組の対決。全体的にみて真田くノ一チームの方が優勢。伊賀の忍者はあと一息というところで詰めが甘く殺されるハメに。
さらに中盤から登場する長曾我部盛親の妻、丸橋がくノ一チームに加わり大活躍。この人、メチャメチャ強い!
伊賀鍔隠れ五人衆の一人、七斗捨兵衛の忍法「人鳥もち」が笑える。
隼人は障子のかげで、捨兵衛が巨大な男根をつき出しているのを見た。そこから一条の白濁した噴水がほとばしり出た。バカバカしくて苦笑。
最後の家康が哀れ。
このエログロさは自分が想像していた山田風太郎の世界そのもの。
評 価:★★★☆☆
山田風太郎忍法帖6・7「魔界転生」講談社文庫


読了日:2011年10月17日
感 想:カミサンが大好きな魔界転生をついに読むことに。以前からこの作品が好きだと公言していた我が家内。山田風太郎が好きって女性をあまり聞いたことがないのは気のせいか。まあ、かなり変わった趣味だけどね、うちのカミサンは(このブログ読んでないよな…)。
今まで読んできた作品と比べてより以上にストーリーがしっかりとしていて、余計なグロさも少なく、話にグイグイと入り込める。
それにしても主人公の柳生十兵衛は格好いい!剣の腕は立つし、女性にはモテるし、飄々としていてどこか虚無的。
最後の宮本武蔵との対決は手に汗握る。死を覚悟して臨んだ十兵衛。その展開は読んでのお楽しみ。最高!
評 価:★★★★☆
山田風太郎忍法帖8「江戸忍法帖」講談社文庫

読了日:2011年11月4日
感 想:柳沢吉保が放った甲賀七忍vs葵悠太郎の戦い。
冒頭に登場する悠太郎の師匠、織部玄左衛門が実にカッコいい!
玄左衛門は刀の柄に手をかけたまま、じっと見あげたが、かすかにその眼がまたたいた。
「うぬは……一つ眼のくせに、妙な眼術を心得ておるの」
と、玄左衛門は笑った。
「じゃが、わしには効かぬ!」
相変わらず脇役の老人で、そのクセ剣の達人という設定が好き。
また、最後のシーンでの水戸黄門も気に入っている。
主人公は悠太郎だが、お縫・鮎姫・志乃の存在がかなり大きい。
本書は忍法帖シリーズ第2作目とか。そのせいか、忍者たちの忍術が比較的大人しい。
それにしても刑部の素顔の描写はキモチ悪い…。
評 価:★★★☆☆
山田風太郎忍法帖9・10「柳生忍法帖」講談社文庫


読了日:2011年11月27日
感 想:「魔界転生」に続いて柳生十兵衛再登場。魔界同様にこの隻眼の剣士はどこかユーモラスで女性にモテるし、剣の腕前は無敵だし。
会津藩主、加藤明成の命令によって殺された家老の堀田主水一族の恨みを晴らすため、その堀家の女性7人が立ち上がる。それをサポートするのが十兵衛。ただし、敵討ちの相手である「会津七本槍衆」を討つのは彼女たちであって、十兵衛は手を出してはいけないルール。こりゃ難儀でっせ…。
家康の孫娘千姫、沢庵和尚、黒衣の宰相天海と登場人物も盛りだくさん。
藩主明成のグチャグチャな淫虐ぶりや会津七本槍衆や芦名銅伯との激闘、めまぐるしい展開と山田風太郎の美味しいところがびっしり詰まった作品。読まずに死ねるか的作品なり!
評 価:★★★★★
山田風太郎忍法帖11「風来忍法帖」講談社文庫

読了日:2011年12月16日
感 想:iPhone買ってから途端に読書時間が減ってきた。しかもiPadも買って家のiMacも買い替えたから余計に読めない。Mac漬けの日々。
そんな中でもこの作品は印象深い。
7人の香具師が、忍城の麻也姫を風魔組三人衆から守るため(本当は麻也姫に仕返しをするためだったけど)同じ風魔くノ一七人衆と力を合わせて活躍する話。
香具師たちの個性が際立っていて物語に思わず引き込まれる。
テンポはいいし、展開は巧みだし、悪役はとことん悪役に徹しているし。
682ページあたりなど、読んでいて思わず目頭熱くなりましたよ。
仲間が眠る墓に訪れた悪源太。
「(前略)虫みたいな一生だったが、たったひとつ、おれたちはすばらしいことをやった!……そうは思わねえか?」
山田風太郎作品で一番の名場面と勝手に決めた。
前作といい、この作品といい、いい本に巡り会えたと深く感謝!!
評 価:★★★★☆